逗子開成中学校 入試対策
2020年度「逗子開成中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問は3つ。ここ数年は漢字や言葉の知識・論説文の読解・随筆文の読解がそれぞれ割り当てられている。
素材文は2題で計5500~6000字と適度な文量である。総解答数は45問前後。選択肢・書き抜き・記述がバランスよく出題されている。
記述問題は30~70字ほど、あるいは字数指定無しで出されている。文中の適切な部分を用いてまとめられる場合が多い。
漢字・言葉の知識
配点の3分の1ほどを占めるので軽視できない。漢字の読み書きで15問、その他、ことわざ・慣用句、品詞や文学史などが出されている。覚えていれば得点できる部分なので、ひととおりは頭に入れておこう。
論説文の読解
例年、3000字前後の文章が使われている。人文科学・社会科学などの分野が多い。
要点・要旨を穴埋め・書き抜きなどで訊く問題が多く出されている。記述問題は文中の重要点をまとめることで答えられる場合が多い。本文を読みながら要点等をマークして、効率よく答えを探せるように工夫しよう。
説明的文章の読解の技術を高めておこう。
・段落の整理 形式段落→意味段落へのまとめ。意味段落の内容を短くタイトルにしてつけてしまえば、段落のつながりや論理の流れがわかりやすくなる。
・要点
各段落の最初と最後に特に注意しながら、要点をチェック。自分のやりやすい方法で良いので、傍線を引くなどしてすぐ探せるようにしておくことはやはり有効である。別の言葉で言い換えた部分と線で結んでおくなどするのも良い。
・要旨 要点をまとめれば全体の要約ができる。その中で筆者の最も言いたいことが要旨である。特に記述問題は要点・要旨から字数に合わせて抽出し、まとめて答えとなる場合が多い。説明的文章の読解は結局は要旨の把握が求められている。
文学的文章の読解
ここ数年は随筆文の出題が目立つ。外国を旅した際の異文化との交流で感じたことがテーマになっている文章が多い。文章を読んだ感想や解釈を述べた文を設問で示し、内容についての理解を確認する問題がよく出されている。
記述問題は筆者の心情・意見を問うものが多く、必ずしも文中にはっきり示されていない場合もあるので、読解力が求められる。
文学的文章、特に随筆文の読解のコツをつかんでおこう。
・人物の整理
人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
・場面の変化
時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もある。
・心情の把握
人物の言動などから、気持ち・考えを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
・主題の理解
作者が伝えたかったことは何か。異国での経験・文化の違い・考え方の違いなど、よく取り上げられるテーマがある。読書を通じて筆者それぞれの物事の捉え方の違いや多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くことだろう。
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2020年度「逗子開成中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は37問、そのうち20問は漢字と言葉の知識である。素材文は7200字ほどと、例年よりは多めであった。最新年度では小説の読解が出題された。
記述問題は30~70字ほどで4問の出題。冒頭の知識問題を素早く終えて、その分を読解・記述に残せるようにペース配分しよう。
【大問1】漢字・慣用句
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問一 ① 蔵書――所有している書物。
⑥ 一心不乱――ひとつのことに集中して、他のことに心を逸らさないこと。
⑧ 貴(い)――他に代えるものが無いこと。「尊い」は「敬うべきもの」という意味。
⑫ たいまい――金額が大きいこと。
⑮ 縦横無尽――自由自在に物事を行う様子。
問二 ① 飛んで火に入る夏の虫
② 馬が合う
③ 猫の手も借りたい
④ 鰻登り
⑤ 取らぬ狸の皮算用
【大問2】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:21分
個人的な問題として立ち現れる事柄も社会に原因がある場合があり、政治的であること=他者の幸せへの関心をもつことで個人としても幸せに生きることができると論じている。
問一 3段落後で、「因習的な男性役割に過剰に囚われた」と書かれている。
問二 問題はしばしば私的で親密な関係において表れるが、「家族や家庭の問題は、妻である女性一人(個人)ですべて解決できるようなものではない」とある。なぜなら「差別や抑圧の原因が社会全体の構造・国家体制・ある知識への信奉など、個人の私的な世界を超えたところにある」(2段落前)からで、個人で考えても解決できないのである。
問三 身近な世界では考えが近視的になってしまうので、少し外から「客観的」に見てみると新たに気づくことがあるのである。
問四 傍線部③のひとつ前の段落に「かわいそうなあなた」とある。理由が直前に書かれているので、そこが使える。
問五 6段落前に「自分が普段出会わない人々(他者)の『リアル』への関心と創造力を磨きながら、彼らと自分がどのように生きていけばいいか」を考えることが「個人的なこと」と「政治性」を結びつけることになると書かれている。
問六 「政治的であること」とは、他者への理解や想像力を持ち、他者の「幸せ」にも関心や興味を持つことであるが、アメリカ次期大統領は異質な他者を排除する「壁」を築いて、自分たちの幸せだけを考えろと主張しているのである。
問七 ア. 個人では解決できない問題があると述べられている。
エ. 日本よりも世界に目を向ける、などという考えは述べられていない。
【大問3】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:21分
- ★必答問題
和菓子屋で働くことになった主人公は、店の職人・辰五郎が和菓子職人になった経緯を知り、自分も職人になりたいという気持ちを新たにする。
問一 (1) 食わせ者――うわべでは判断できない、油断のならない者。
問二 「何も持って帰らなければ、父は何も食べられない」と、父のことを第一に考えている。
問三 「銭の一枚でも落ちていないか」と探すほど「あさましい気持ち」だったと書かれている。「あさましい」は「品性が低い・見苦しく情けない」という意味。
問四 座り込んでいた辰五郎に何も言わずに饅頭を食べさせ、客でもない辰五郎がうまそうに食べる様子に自分も仕合せな気分になった、と言っている。相手の喜びが自分の喜びであるという、和菓子屋の主人としての仕事への誇りと人への感謝が感じられる場面である。
問五 食べるものもなく弱っていた自分に饅頭を与えてくれたこと、死期の近い父親がその饅頭をおいしそうに食べて人生を終えたこと。ただ饅頭をくれただけのことが、辰五郎を2度も救ってくれたのである。
問六 なつめの最後の発言から、辰五郎は京菓子を作れる優れた腕があるのに作っていないことがわかる。辰五郎は、市兵衛がかつて自分にしてくれたように、自分も庶民においしいと思ってもらえるような、貧しい人でも買える菓子を作りたいのだと思われる。
問七 なつめはまだ菓子職人になっていないことに注目。辰五郎の話を聞いて、照月堂に関わる人たちの人柄に改めて心を惹かれ、自分もここで職人として経験を積みたいと感じたのであろう。
攻略のポイント
素材文がそれほど長くないのはありがたい点である。知識問題と読解問題のペース配分など、過去問で慣れておきたい。
試験冒頭の漢字とことばの知識は問題数も多く配点も大きいので、しっかり得点しないと損である。難問ではないので、標準的な教材をしっかりこなせば対応できるだろう。
記述問題は文中の手掛かりをもとにまとめられる問題が多いので、読解力をつけて字数に収める練習をしておこう。書き抜き問題も多いので、文中の手掛かりをすぐ探せる工夫もしておこう。
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