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横浜共立学園中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「横浜共立学園中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「横共対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。

「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れないこと。

完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念ながら人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。

塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。

そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」でも「詳細な知識」が求められる横共ではなおさら。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。

さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそりと続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、横共おなじみの「クセのある設問」など絶対に無理だ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」

「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。

もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。無論、横共で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。

しかし、横共ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

「問題解説」でも指摘したが、「横共攻略」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。

「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。

過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。

こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。

意識継続式学習

どのような場合であっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無駄だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。横共の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。

だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

 

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2020年度「横浜共立学園中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「単元融合型総合問題」(「地理」「歴史」「公民」が混在)。「演説に関連するリード文」からの出題。小問は全13問(解答数13)、「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」(「漢字指定」あり)、「説明記述」(「字数指定なし」2問)。

大問は「歴史」。「貨幣」についての5つの「説明文」からの出題。小問は全15問(解答数15)、「選択肢」(「年代整序」「時期特定」、「組み合わせ」あり)、「事項・人名記述」(「漢字指定」あり)。

大問は「地理」。「地名やその由来」に関連する出題。小問は全9問(解答数10)、「選択肢」、「事項・自然地名記述」(「漢字指定」あり)。

大問は「公民」(「時事」1問あり)。「2019年のできごと」に関連しての6つの「説明文」からの出題。小問は全10問(解答数10)、「選択肢」(「組み合わせ」あり)、「事項・人名記述」(「数字記入」あり)。時間配分は、「説明記述」は各2分ほど、他は3問で2分強というペース。無論、圧倒的なスピード感とメリハリのある「戦術」が求められる。

【大問1】「総合」(「地理」「歴史」「公民」。「説明記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

「世界では古代ギリシャ時代、日本では明治時代以降広まった『演説』にまつわるさまざまなエピソードを紹介したリード文」からの「単元融合型総合問題」。「地理」「歴史」「公民」の各単元からの出題。本校としては「標準レベル」の問題が並ぶが、中には判別が紛らわしいものもあるので、要注意だ。以下、いくつかの設問を確認してみる。

[問2] 「下線部に関連する選択肢設問」(4択)。「地理」単元。

「リード文」中の下線部①「世界」ではさまざまな「地図記号」が使われているが、示されている記号が「日本で表しているもの」を答える。示されているのは以下の「地図記号」だ。

警察署

各選択肢は、(ア)「工場」、(イ)「交番」、(ウ)「消防署」、(エ)「警察署」。
誰もが定着しているはずの「地図記号」だが、一瞬、「交番」か「警察署」で悩んだ諸君はいないか? 「答え」は(エ)「警察署」だ。「交番」は「×」だ。「地形図読み取り問題」でも問われること必須の「地図記号」、紛らわしいものがあるので確実に習得しておくことが肝要。

<時間配分目安:30秒>

[問5] 「下線部に関連する不適切選択肢設問」(4択)。「歴史」単元。

「リード文」中の下線部の「福沢諭吉」は開港後の横浜を見て英語を学んだが、示されている「開港後の日本を説明した文」の下線部の中で「誤りがあるもの」を答える。

説明文は「(ア)日米和親条約が調印した翌年から、横浜・長崎・箱館の3港で貿易が始まり……(イ)イギリスとの間で最も多く取引がなされ、(ウ)生糸や茶が輸出された……開港は(エ)攘夷運動の一因にもなった」となっている。「貿易が始ま」ったのだから、「日米和親条約」ではなく「日米修好通商条約」(1858年)だとすぐに気づかなくてはいけない。よって、「答え」は(ア)になる。実は、本問で注意したいことは他にある。「(1858年の)翌年から横浜・長崎・箱館の3港で貿易が始まり」の「3港」の部分だ。「日米修好通商条約」の結果、「5港」が開港地となったはずで、「3港」も「誤り」だと判断してはいけないのだ。「5港」のうちの「神戸」は「1868年」、「新潟」は「1869年」に実際には「開港」されている。したがって、「1859年」時点では「3港」が正しいことになる。確認しておこう。

<時間配分目安:30秒>

[問6] 「下線部に関連する内容説明記述設問」(「字数指定」なし。「30字ほど」の解答欄)。「地理」単元。

「リード文」中の下線部「マララ・ユスフザイさん」の出身国パキスタンでは「灌漑(かんがい)農業」が行われているが、「灌漑とはどのようなことか」を説明する。

無論、誰もが「灌漑」という言葉は知っているはずだが、いざ、説明するとなると戸惑うに違いない。「灌漑」=「水を農地に引いてくること」なのだが、もう少し詳しく説明しなくてはならない。ひと工夫が必要だ。たとえば、「用水路を作って、水を川・湖などから水田や畑に引いてくること。」(30字)といった「答え」だ。本校志望者は、必須定着事項を暗記するだけではなく、内容に関してもしっかりと理解しておく必要がある。

<時間配分目安:2分>

[問7] 「下線部に関しての事項記述設問」。「公民」単元。「リード文」中の下線部の「国連」が、1948年の第3回総会で採択した「人権保護の共通の基準を示す宣言」を答える。

意外と抜け落ちている可能性がある。「答え」は「世界人権宣言」(正式名称は「人権に関する世界宣言」)。尚、1966年にはこれを実現するため、法的拘束力のある「国際人権規約」が採択されている。しっかりと区別して定着させておくこと。一度定着させても抜け落ちてしまう「事項」が案外あるものなので、頻繁(ひんぱん)に確認することが肝要だ。

<時間配分目安:30秒>

[問9] 「下線部に関連する選択肢設問」(4択)。「地理」単元。

「リード文」中の下線部⑨「フランス」の「リヨン」は「絹織物」で知られているが、日本の「織物」で「群馬県の伝統的工芸品であるもの」を答える。

各選択肢は、(ア)「桐生織」、(イ)「久留米絣(がすり)」、(ウ)「結城紬(つむぎ)」、(エ)「小千谷縮(ちぢみ)」。
さあ、どうだろうか? 「久留米絣」=「福岡県」、「小千谷縮」=「新潟県」はすぐに判別できるはずだが、「桐生織」と「結城紬」、どちらか? 「答え」は(ア)「桐生織」だ。「桐生市」を「栃木県」だと勘違いしやすいので要注意。「結城紬」=「栃木県」と「茨城県」。尚、「伝統的工芸品」の代表的なものは、必ず「産地」や「都道府県」と結びつけて覚えておくこと。

<時間配分目安:30秒>

[問12] 「下線部に関連する不適切選択肢設問」(4択)。「公民」単元。

「リード文」中の下線部⑫「政権を握り」に関連して、「内閣および内閣総理大臣についての説明」として「誤りがあるもの」を答える。各選択肢説明の「要点」で正誤判別していく。

(ア)「閣議での決定は内閣の全員一致」⇒「内閣」は一体であり「閣内不一致」は原則的に許されない=適切。
(イ)「内閣総理大臣は衆議院議員でなければならない」⇒「内閣総理大臣」は「国会議員」の中から指名する=不適切⇒ただし、これまで参議院議員から総理になった者はいない(2020年9月時点)。
(ウ)「内閣総理大臣も国務大臣も文民でなくてはいけない」⇒日本国憲法にはっきりと規定されている=適切。
(エ)「内閣総理大臣は国務大臣を辞めさせることができる」⇒「大臣」の「任免権」(職務に任じることと辞めさせる権限)は総理大臣にある=適切。

したがって、「答え」は(イ)になる。尚、「正誤判別」では細部にまで配慮することが求められると心得よ。

<時間配分目安:30秒強>

【大問2「歴史」(「年代整序」「時期特定」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:11分

「日本の貨幣の歴史」について、「弥生時代」から「現在」までをまとめた5つの「説明文」からの出題。「歴史単元」からの多様な形式での出題。「基本的事項」の中に「難問」が紛れている(一昨年度ほどではないが)。心して臨むこと。以下、いくつか検討する。

[問3] 「説明文についての年代整序選択肢設問」(3択)。

「8世紀から10世紀に関する説明文」について、「8世紀から10世紀の間のできごと」を「古い順に並べて」答える。

「奈良時代」~「平安時代」の「できごと」になる。
各選択肢の「キーワード」は、(ア)「古今和歌集」・(イ)「遣唐使廃止」・(ウ)「東大寺大仏開眼供養」。(ア)(イ)は「平安時代」で、(ウ)は「奈良時代」だと即決できるはず。
問題は「古今和歌集」と「遣唐使廃止」の順序だ。「流れ」を確認する。「遣唐使廃止」によって中国の影響が薄れ、「国風文化」が開花する。その「国風文化」の代表的作品が「古今和歌集」だと考えられるはずだ。したがって、「答え」は(ウ)→(イ)→(ア)だ。ちなみに、「東大寺大仏開眼供養」=「752年」、「遣唐使廃止」=「894年」、「古今和歌集」は「905年」の完成だ。尚、「年代整序」は「うろ覚えの年代」で整序するのではなく、「流れ」や「キーワード」を確認し、特定していくことが肝要。

<時間配分目安:1分>

[問4] 「説明文についての人名記述設問」。

「8世紀から10世紀に関する説明文」について、「10世紀半ば、浄土教が広まった」が、「この教えを民衆に広め、『市聖(いちのひじり)』と呼ばれた人物はだれか」を答える。

やや「深知り知識」が必要な問題だ。定着しているか? 「答え」は「空也」だ。尚、平安時代の「浄土教」はその後、宗教へと発展し、鎌倉時代の「浄土宗」(法然)→「浄土真宗」(親鸞)へと繋(つな)がっていくことも押さえておくこと。本校ではやはり、こうした細部に及ぶ知識が必要になると心得よ。一筋縄ではいかないのだ。

<時間配分目安:30秒強>

[問6] 「説明文についての位置特定選択肢設問」(4択)。

「12世紀から15世紀に関する説明文」について、「平清盛が日宋貿易のために整備した大輪田泊(おおわだのとまり)の位置」を、示されている「地図」の(ア)~(エ)の中から答える。

「大輪田泊」は知らなくてはいけない「歴史的地名」だが、その場所はどうか?  各選択肢は全て「瀬戸内海」に面している。すぐに特定できない場合は、「連想ゲーム」だ。「大輪田泊」⇒後の「兵庫の港」⇒現在の「神戸港」の一部、と繋げていきたい。したがって、「神戸」の位置を示している(イ)が「答え」になる。ちなみに、(ア)は「堺」(大阪府)、(ウ)は「厳島神社」(広島県)、(エ)は「下関」(山口県)だ。尚、「歴史的地名」であってもその「位置」が問われることは頻出。必ず地図上で確認しておくことが肝要だ。

<時間配分目安:30秒>

[問9] 「説明文についての事項記述設問」。「16世紀から17世紀に関する説明文」について、示されている「写真」は「1588年に豊臣秀吉が発行した金貨」だが、「この金貨の名称」を答える。

本大問で最も難易度の高いマニアックな問題。「大学入試レベル」だ。示されている「写真」は以下のものだ。

お金

よく見ると、右側に「天正十九」と記されてはいるが、読み取ることは至難の業だ。しかも、「小判」ではないので質(たち)が悪い。「答え」は「天正大判」。本校では毎年必ずこうした難問があるが、悩んでいる時間はない。知らなければ即「捨て問」にして構わない。「分かる問題」で得点を重ねる方がより重要だ。

<時間配分目安:30秒>

[問14] 「説明文についての事項記述設問」。

「明治時代から現在までに関する説明文」について、戦時中の日本では「1938年に制定された法律により、政府が議会の承認を得なくても戦争に必要な人や物資を使用できた」が、「この法律を何というか」を答える。

「1938年に制定された法律」ですぐにピンときた諸君は完璧、とても素晴らしい。しかし、なかなかそうはいかないかも知れない。そこで「連想ゲーム」、「1938年」=「日中戦争」が始まった翌年⇒完全に「戦時体制」に入っていく⇒経済統制……、そう、「答え」は「国家総動員法」だ。尚、歴史上のさまざまな「法令」については単にその「名称」だけではなく、「内容」をも理解し、定着させておく必要があると心得よ。

<時間配分目安:30秒強>

【大問3】「地理」(「自然地名記述」あり)

  • 難度:
  • 時間配分:8分

「日本の地名やその由来」に関連する出題。日本全国のさまざまな「地名の由来」を切り口として、「自然地名」や「都市名」を中心に問われている。「地理」の平易な小問が多いので、一気に得点を重ねたい大問だ。以下、いくつか検討する。

[問3] 「テーマに関連する選択肢設問」(4択)。

「魚沼」は「多くの野」という意味だが、南魚沼市がある「新潟県が全国第1位の出荷額となっている工業製品」を答える。

各選択肢は、(ア)「たんす」・(イ)「ちょうちん」・(ウ)「金属洋食器」・(エ)「ソックス」。
「新潟県」⇒「燕市」や「三条市」⇒「金属加工」と結びつけていきたい。よって、「答え」は(ウ)。全国生産量の9割以上を占めている。ちなみに、「たんす」は「福岡県」、「ちょうちん」は「岐阜県」、「ソックス」は「奈良県」がそれぞれ全国第1位だ。尚、主要な「工業製品」の第3位までの「都道府県ランキング」は押さえておきたい。

<時間配分目安:30秒>

[問5(1)] 「テーマに関連する自然地名記述設問」。

「串本」の「串」は「沿岸流がつくるトンボロという地形につけられていることが多い」が、「串本町」にある「本州最南端の岬の名称」を答える。

「串本町」は「和歌山県」、そして、「紀伊半島最南端」が「本州最南端」だと結びつくはずだ。よって、「答え」は「潮岬」(しおのみさき)。「高知県」の東側の突端である「室戸岬」(むろとみさき)と混同することがあるので要注意。ちなみに、「高知県」の西側の突端は「足摺岬」(あしずりみさき)。尚、「自然地名」は本校に限らず頻出なので。できるだけ多くの「名称」と「位置」とを定着してほしい。本問は「漢字指定」ではなかったが、無論、「漢字」で覚えておくことが必須。※「トンボロ」とは「本土と陸繋(りくけい)島とをつなぐ砂州」のこと。

<時間配分目安:30秒>

[問8] 「テーマに関連する都市名記述設問」。

「岡山県」には「荘園などからの物資を輸送する中継地」に由来する地名の都市があるが、「南部に水島工業地域があり、石油化学工業などが発達しているこの都市名」を答える。

「岡山県」で「水島」といえば当然、「答え」は「倉敷(市)」になる。「倉敷市」の沿岸部は干拓と埋め立てによって土地が広げられ、工業地域が形成された。石油化学工業の他にも鉄鋼、自動車工業も盛んで、「瀬戸内工業地域」の中心都市のひとつだということも確認しておきたい。尚、「都市名」も「自然地名」同様に可能な限り習得しておきたい。

<時間配分目安:30秒>

[問9] 「テーマに関連する都市名記述設問」。

「地名の一部に『あいだ』の意味を持つ『ま』が入る、中海(なかうみ)と宍道湖(しんじこ)の間にある都道府県庁所在地の都市名」を答える。

「宍道湖」=「島根県」はすぐに分かるはず。「島根県」の県庁所在地なので、「答え」は「まつえ(市)」(松江市)だ。尚、「松江市」にように「都道府県庁所在地の都市名」と「都道府県名」とが異なるところが全国で「19」ある。頻出なのでしっかりと確認しておくことが肝要だ。

<時間配分目安:30秒>

【大問4】「公民」(「時事問題」1題あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

「2019年のできごと」という「時事ネタ」を切り口として、それらに関連しての6つの「説明文」からの出題。「公民単元」の基礎的事項が問われているのだが(1問だけ「時事問題」あり)、意外と「エア・ポケット」となってしまうような問題もある。それらを中心に確認してみたい。

[問2] 「説明文についての事項記述設問」。「公民」単元。

「4月に統一地方選挙、7月に参院選が行われたという説明文」について、1990年に神奈川県川崎市で最初に採用された「住民の立場から行政活動を監視する制度」を「何というか」を答える。

唐突に「1990年」「川崎市で最初に採用」などとあって、一瞬、「はっ?」となるに違いない。目くらましに惑わされずに、冷静に対応したい。「住民の立場から行政活動を監視」ということで、「地方自治」で学んだあの「制度」を思いつきたい。「答え」は「オンブズマン(制度)」。19世紀初頭にスウェーデンで創設され、現在では多くの地方自治体で導入されている。未定着だった諸君は改めて確認しておくこと。

<時間配分目安:30秒強>

[問5] 「説明文についての選択肢設問」(4択)。「公民」単元。

「9月、グレタ・トゥンベリさんが国連本部で開かれた『気候行動サミット』で演説したという説明文」について、「2002年に『環境・開発サミット』が開かれた場所」を答える。

なかなかの難問だ。「地球環境問題」に対する国連の取り組みの「流れ」が整理されていないと答えられない。確認しておく。1972年、選択肢(ア)「ストックホルム」(スウェーデン)で「国連人間環境会議」(テーマは「かけがえのない地球」)⇒1987年、「モントリオール議定書」(カナダ)で「オゾン層を破壊する特定フロンの製造禁止」⇒1992年、選択肢(エ)「リオデジャネイロ」(ブラジル)で「環境と開発に関する国連会議(地球サミット)」(テーマは「持続可能な開発」)⇒1997年、選択肢(ウ)「京都」で「京都議定書」(温室効果ガス排出量の数値目標を初めて定める)⇒2002年、選択肢(イ)「ヨハネスブルク」(南アフリカ)で「持続可能な開発に関する世界首脳会議(環境開発サミット)」(テーマは「地球環境を損なわない貧困解消」)。ということで、「答え」は(イ)になる。「地球環境問題」は現在でもタイムリーな「時事ネタ」なので確実に全体像をつかんでおくこと。

<時間配分目安:30秒>

[問9] 「説明文についての事項記述設問」。「公民」単元。

「11月、インターネット検索大手のヤフーとLINE(ライン)が経営統合という説明文」について、さまざまな情報を得やすい人とそうでない人との「情報格差」を「何というか」を答える。

本問はまさに「エア・ポケット」になる恐れがある。「答え」は「デジタルデバイド」だが、この用語自体は10数年前の「時事ネタ」だ。現在の「時事問題」ではない。かといって、教科書(テキスト)にすでに掲載されているかといえば、あやしい。習得していない可能性があるのだ。そこは注意したい点だ。「時事問題」では、受験前年だけではなく数年前からの「時事ネタ」を確認するとともに、それらに関連する事項までもチェックしておくことが肝要。

<時間配分目安:30秒強>

[問10] 「説明文についての人名記述設問」。「時事」単元。

「2019年は、テニスの大坂なおみ選手など、世界で活躍する日本人が報じられたという説明文」について、「2019年10月、国連難民高等弁務官として世界で活躍した日本人女性が亡くなった」が、「この人物はだれか」を答える。

典型的な「時事問題」だ。「答え」はもちろん、「緒方貞子」。ただ、彼女に関しては単に「時事問題」として押さえておくのではなく、「1976年、日本人女性として初めて国連公使になる」といった「世界で活躍した日本人女性のひとり」として定着させておく必要がある。

<時間配分目安:30秒強>

攻略のポイント

●「設問」に一筋縄ではいかない「クセ」がある。いかに「攻略」するか? 実直に、「基礎的事項」から「詳細事項」までを理解し(本校では相当な「深知り知識」も求められる)、定着させることが必要だ。その上で、「細部へのこだわり」と「知らない問題」への「対処法」も押さえておきたい。前者はいかに「細部」に着目して「判断」できるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということだ。必ず、どこかに「手がかり」「ヒント」が隠されていることを心得ておきたい。

●「時事問題の攻略」もポイント。過去1年間程度の「時事ネタ」は、細大漏らさず確実に整理して覚えておく必要がある。さらに、それらに関連する「あらゆる事項(知識)」も全て復習すること。日々の「新聞」をしっかりと確認しておくことは不可欠だ。毎日全て読み通せなくても、「見出し」「リード」は必ずチェックして、知らない「ネタ」があったら「スクラップ」しておくこと。

●「戦術」も必要になる。基本は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。もちろん「単純ミス」は絶対にしてはいけない。「合格ライン」は6割半ほど(学校非公表。過去7年間の「4科合計の合格最低平均得点率」および「社会の受験者平均得点率」からの推定)。「基礎的知識問題」で基礎点(5割強)は獲得可能。あとは「本校対策」で勝ち取ること。

●「地理」では「地図」「地形図」「統計資料」等、「歴史」では「年表」「歴史史料(「図版」含む)」等がよく出題されるので、常にチェックしておくこと。無論、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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