｢2016年の参議院議員選挙より選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた｣という｢時事ネタ｣を切り口としての､｢日本や世界各国の選挙制度と民主主義に関するリード文｣からの出題。｢地理｣｢歴史｣｢公民｣の各単元で｢平易と難解｣が混在するという､本校の真骨頂が発揮されている｡３単元それぞれについての｢説明記述｣も出題されている。

以下、いくつかの設問を確認してみる。

[問１]　｢下線部に関する理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし。｢60字ほど｣の解答欄)。                             ｢公民｣単元。｢リード文｣中の下線部①の｢参議院｣と｢衆議院｣は｢それぞれ特徴が違い、そのために衆議院が優越｣されているが、｢なぜ優越されるのか｣を説明する｡

いわゆる｢衆議院の優越｣のことで、その｢理由｣は誰もが丸暗記しているはずだ。

｢衆議院は参議院よりも任期が短くて解散もあるので、国民の意見をより強く反映していると考えられるから｣といった具合だろう。が、実はこれでは不正確、不十分だ(すでにそのことに気づいていた諸君はエライ！)｡

先ずは、単に｢任期｣では不正確で、｢議員の任期｣とする必要がある。また、｢国民の意見｣だけでは不十分だ。なぜ、｢国民の意見｣を｢反映｣させる必要があるかが明確ではないからだ。やはり、｢主権者である国民の意見｣などとすべき。

よって、たとえば、｢衆議院は参議院よりも議員の任期が短くて解散もあるので、主権者である国民の意見をより強く反映していると考えられるから｡｣といった｢答え｣になる。

｢説明記述｣では、より正確に十分な内容を説明するように意識して、｢減点｣を防ぐことが肝要。

＜時間配分目安：１分半＞

[問２]　｢下線部に関連する数字記述設問｣(｢算用数字｣指定)。                                                               ｢地理｣単元。｢リード文｣中の下線部②の｢オーストリア｣は｢内陸国｣だが、示されている｢地図｣(｢形状｣の輪郭のみ)の｢県｣と接している｢内陸県｣の｢数｣を｢算用数字｣で答える。

｢設問｣を的確に把握する必要がある。なかなかの｢難問｣だ。                                                                ｢地図｣が示されている｢県｣が｢福井県｣だということはすぐに判断できるはず。｢福井県｣に隣接するのは？　｢日本地図｣を思い浮かべながら漏れがないように捉えていく。｢石川県｣｢岐阜県｣｢滋賀県｣｢京都府｣だ。なので､｢答え｣は｢４｣､ではない。｢内陸県｣という指定があるので｢岐阜県｣｢滋賀県｣､つまり、｢答え｣は｢２｣となる。

｢設問｣を正確に理解し、絶対に｢勘違い｣しないようにすること。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問６]　｢下線部に関連する選択肢設問｣(４択)。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢公民｣単元。｢リード文｣中の下線部⑥｢一定の条件｣に関連して、｢日本の内閣総理大臣｣となるのに｢必要な条件｣を答える。

一見易しそうなのだか、ここでもやはり｢正確な知識｣がないと判別できない可能性がある。

｢内閣総理大臣｣については無論、｢日本国憲法｣に規定されている。｢第66条｣に｢内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない｣とあり、さらに｢第67条｣には｢内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する｣ともある。ということは、｢必要な条件｣は｢文民｣と｢国会議員｣になる。

各選択肢は､(ア)｢男性｣､(イ)｢30歳以上｣､(ウ)｢国会議員｣､(エ)｢国務大臣の経験｣。したがって、｢答え｣は(ウ)だ。

｢日本国憲法｣の規定と適切に結びつけることがポイントだ。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問12]　｢下線部に関連する事項記述設問｣。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢歴史｣単元。｢リード文｣中の下線部⑫の｢中学校｣は｢義務教育｣だが、こうした｢近代的な教育制度｣を日本で初めて定めた｢1872年に公布された法令｣を答える。

何やら｢設問｣はややこしいが、要は、｢日本で初めて義務教育を定めたもの｣ということ。当然、｢学制｣が思いつくはず。が、ここでまじめな諸君は悩むのではないか？　だって､｢法令｣でしょ？　｢学制｣は｢制度｣ではないのかと。確かにそうだ。｢正確｣を期し､確認するというのはとても素晴らしい。しかし、ここは心配ない。間違いなく｢法令｣の名称だ。よって、｢答え｣は｢学制｣｡

尚、｢明治時代｣には、｢～法｣だけではなく、｢～条例｣や｢～令｣といった｢法令｣が数多くあったので注意したい。

＜時間配分目安：１分＞

｢『日本の医療』の歴史に関する５つの説明文｣と６つの｢写真｣｢図版｣からの出題。主に｢歴史｣の｢基本的事項｣が問われているが、例によって｢難問｣が紛れ込んでいる(｢不適切選択肢＋訂正記述｣｢年代整序｣など)。以下、いくつか検証してみよう。

[問１]　｢説明文についての選択肢設問｣(４択)。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢縄文時代の説明文｣について、｢縄文時代の遺跡である大森貝塚｣に関する説明で、｢正しいもの｣を答える。

各選択肢の｢キーワード｣に着目して｢正誤判別｣していくのだが、悩ましいものがある。確認する。

(ア)｢周辺から日本最古の水田跡が見つかった｣⇒本格的な｢稲作｣は｢弥生時代｣以降(｢最古の水田跡｣は佐賀県の｢菜畑遺跡｣)＝｢不適切｣､

(イ)｢巨大な濠｣｢かめ棺｣⇒｢環濠集落｣｢かめ棺｣といえば佐賀県の｢吉野ヶ里遺跡｣(｢縄文時代｣は主に｢屈葬｣)＝｢不適切｣､

(ウ)｢アメリカの動物学者｣｢エドワード=モース｣⇒｢モース｣は間違いないが、｢動物学者｣？　悩みそうだ＝？

(エ)｢発掘された栗は栽培されたもの｣⇒確かに｢縄文時代｣にはもう食物を栽培していたから｢適切｣？　でも、｢大森貝塚｣だっけ？　これまた悩ましいが、あっ、それは青森県の｢三内丸山遺跡｣だ！＝｢不適切｣。

よって結局、｢答え｣は(ウ)だ。｢エドワード=モース｣は東京大学で｢動物学｣を教えていた｢お雇い外国人｣｡　　悩ましい｢選択肢設問｣では｢消去法｣も活用すること。

＜時間配分目安：１分＞

[問４(２)]　｢図版に関連する不適切選択肢および訂正記述設問｣(４択)。　　　　　　　　　　　　　　　　　示されている｢絵巻物｣(この問題では｢内容｣は無関係)のひとつに｢後三年合戦絵巻｣があるが、それについての｢説明文｣の中の４つの｢下線部｣の中で｢誤りがあるもの｣を答え、それを｢正しい語句｣に直す。

新機軸の｢設問｣で､とても複雑だ。とにかく｢下線部｣を確認してみる。

(ア)｢源義家｣､(イ)｢奥州藤原氏｣､(ウ)｢宇治｣､(エ)｢中尊寺｣となっている。　　　　　　　　　　　　　　　　｢後三年合戦(＝後三年の役)｣を知っていれば何の問題もないが、仮に覚えていなくても、｢宇治｣だけが｢違和感｣があると気づくはずだ。｢後三年合戦｣は、東北地方で11世紀後半に起きた内乱で、｢源義家｣の助けを得た豪族の｢清原清衡｣(後の｢藤原清衡｣)が勝利し、岩手県の｢平泉｣を拠点に｢奥州藤原氏｣を繁栄に導いた。

したがって、｢答え｣は(ウ)と｢平泉｣になる。｢選択肢｣の中の｢違和感｣､それに気づくような繊細さが求められる。

＜時間配分目安：２分以内＞

[問11]　｢説明文に関連する年代整序設問｣(３項目)。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢近現代の医学についての説明文｣に関して、｢1950代以降のできごと｣を｢古い順｣に並べて答える。

｢年代整序｣では、覚えているであろう｢年代｣で無理やり｢整序｣しようとすると、｢数字｣を取り違えて誤ってしまう可能性があるので、必ず｢流れ｣や｢背景｣を考えてつないでいくこと。

各項目を確認する。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ア)｢東京オリンピック開催｣＝｢1964年｣、(イ)｢沖縄返還｣＝｢1972年｣､これらは誰でも知っているはず。

問題は(ウ)の｢カラーテレビ放送開始｣だ。年代など知らなくて当然。｢流れ｣｢背景｣を考えてみたい。｢高度経済成長期｣の｢新三種の神器＝３Ｃ｣を思い出したい。｢カラーテレビ｣｢クーラー｣｢カー｣｡であれば当然､｢沖縄返還｣より前で、｢東京オリンピック｣は｢カラーテレビ｣普及の絶好のチャンスだと判断できる。

したがって、｢答え｣は｢(ウ)→(ア)→(イ)｣｡｢歴史的事項｣は必ず｢背景｣｢流れ｣を理解し、定着させておくこと。

＜時間配分目安：１分＞

日本列島にある２つの大きな割れ目、｢フォッサマグナ｣と｢中央構造線｣に関連する３つの｢説明文｣からの出題。｢地図記号｣も含めて、多様な分野からの｢地理｣の基本的問題が並ぶ。基本的には平易なので得点を重ねたい大問だ。

やや分かりづらいものだけ、以下、いくつか検討する。

[問１]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢フォッサマグナの説明文｣中の下線部①の｢東北日本｣にはない｢火山帯｣を答える。

各選択肢を確認する。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ア)｢鳥海火山帯｣､(イ)｢千島火山帯｣､(ウ)｢霧島火山帯｣､(エ)｢那須火山帯｣｡

｢火山帯｣ではあるが、それぞれの｢地名｣を手がかりにして｢判別｣したい。｢答え｣は(ウ)｡｢霧島火山帯｣は｢九州中部から南西諸島｣にかけてだ。ちなみに、(ア)は｢北海道西部から東北地方日本海側｣､(イ)は｢千島列島から北海道中部｣､(エ)は｢北海道南西部から関東地方北部｣だ。

尚、｢火山帯｣は他に、｢富士｣｢乗鞍｣｢白山｣がある。｢地図｣で確認しておくこと。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問５]　｢下線部に関する地名記述設問｣(４択)。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢フォッサマグナの説明文｣中の下線部⑤｢富士山、箱根山など｣の｢火山灰｣が関東地方には多く積もっているが、同じように｢火山灰｣が積もっている台地｢笠野原｣は｢何半島にあるか｣を答える。

｢笠野原台地｣⇒｢鹿児島県｣とはすぐに判断できるはず。が、｢鹿児島県｣の２つの｢半島｣､どっちがどっちだっけ？　戸惑う諸君がいるやも知れぬ。ここは記憶を確認したい。西に｢薩摩半島｣､東が｢大隅半島｣､｢シラス台地｣の｢笠野原｣は東だ。よって、｢答え｣は｢大隅(半島)｣となる。

尚、｢２つの半島｣では｢青森県｣も混乱しやすい。西が｢津軽半島｣で東が｢下北半島｣だ。紛らわしい｢自然地名｣の｢位置｣は必ず｢地図上｣でチェックしておくこと。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問８(１)]　｢下線部についての空所補充記述設問｣(｢漢字３字｣指定)。　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢中央構造線の説明文｣中の下線部⑧｢紀ノ川｣での｢みかん栽培｣は､｢川の流路に沿って発達した階段状の地形｣である｢□□段□｣で行なわれているが、｢空らんすべて｣に｢漢字｣を入れて｢語句｣を完成させるように答える。

｢地形｣の説明もされているので、すぐに｢カガンダンキュウ｣だと分かるはずだが、こうした｢空所｣になっていると焦ってしまい､一瞬、｢漢字｣をど忘れする場合があるので注意したい。無論、｢答え｣は｢河岸(段)丘｣だ。

入試本番では誰もが緊張しているので、ちょっとした焦りが致命的になる可能性がある。常に｢冷静さ｣を失わないように心がけることが肝要。

＜時間配分目安：１分＞

｢2016年12月18日、日本の国際連合加盟60周年｣という｢時事ネタ｣を切り口としての､｢国際連合｣と｢日本の平和と安全｣に関連する出題。｢公民｣と｢時事｣の｢基本的事項｣に関する問題がほとんどだか、中には｢ドキッ！｣とするものがある。それらを確認してみたい。

[問２]　｢テーマについての選択肢設問｣(複数完全解答/４択)。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢公民｣単元。第１のテーマである｢国際連合｣を構成する｢６つの主要機関｣に｢あてはまるもの｣を｢すべて｣答える。

各選択肢は、(ア)｢国連教育科学文化機関｣､(イ)｢国際原子力機関｣､(ウ)｢経済社会理事会｣､(エ)｢世界保健機関｣｡

あれれ､全部が｢国連機関｣じゃないか？　ということは｢すべて｣が｢答え｣？　でも……。確かに、大雑把に捉えれば全て｢国連機関｣だ。が、設問には｢６つの主要機関｣とある。ここは落ち着いて、何度も見たはずの｢国際連合の組織図｣を思い出したい。

そこには、｢総会｣｢安全保障理事会｣｢経済社会理事会｣｢信託統治理事会｣｢国際司法裁判所｣｢事務局｣の６つが中心にあったはずだ。それらが｢主要機関｣なので、｢答え｣は(ウ)だけとなる。

尚、他の(ア)(エ)は｢国際連合｣の｢専門機関｣で､(イ)は｢関連機関｣だ。ちなみに、(ア)＝｢ＵＮＥＳＣＯ｣､(イ)＝｢ＩＡＥＡ｣､(エ)＝｢ＷＨＯ｣という｢アルファベット略語｣も覚えておきたい。

＜時間配分目安：１分＞

[問８]　｢テーマについての国名記述設問｣。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢時事｣単元。第２のテーマである｢日本の平和と安全｣に関して、｢安全保障関連法｣に基づき｢駆けつけ警護｣という任務を付与され、｢2016年11月に自衛隊が派遣された国はどこか｣を答える。

本来は典型的な｢時事問題｣で、すぐに｢答え｣は｢南スーダン｣だと特定できなくてはいけない。だが、｢時事問題テキスト｣は通常、受験前年の９月くらいまでの｢ネタ｣しか扱っていない。なので、｢テキスト｣だけで油断していると、この問題も抜け落ちている可能性がある｡

｢時事問題｣に関しては入試直前まで、様々な｢ニュース｣をテレビ･新聞などでチェックしておくことが肝要。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問９]　｢テーマについての選択肢設問｣(４択)。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢公民｣単元。第２のテーマである｢日本の平和と安全｣に関して、国内の安全を守る｢『警察』が属する省庁はどれか｣を答える。

出た！　本校ならではの｢レアネタ｣の｢超難問｣｡もちろん､各省庁の｢仕事｣や属している｢機関｣については押さえているはずだが、さすがに｢警察｣はどうか？　｢エアポケット｣になっていても不思議はない。とにかく、各選択肢を確認する。

(ア)｢国家公安委員会｣､(イ)｢防衛省｣､(ウ)｢総務省｣､(エ)｢法務省｣｡(イ)(ウ)の｢消去｣は可能だが、残りの判別は……。ここは特定できなくても仕方がない。｢答え｣は(ア)の｢国家公安委員会｣だ。

尚、｢消防｣は｢総務省｣に属している。こういう問題も本校ではあるということだ。無論、｢捨て問｣で構わない。｢時間の浪費｣は避けなくてはいけない。

＜時間配分目安：１分以内＞