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横浜共立学園中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「横浜共立学園中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「横共対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。

「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れないこと。

完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念ながら人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。

塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。

そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」でも「詳細な知識」が求められる横共ではなおさら。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。

さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそりと続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、横共おなじみの「クセのある設問」など絶対に無理だ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」

「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。

もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。無論、横共で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。

しかし、横共ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

「問題解説」でも指摘したが、「横共攻略」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。

「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。

過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。

こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。

意識継続式学習

どのような場合であっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無駄だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。横共の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。

だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2023年度「横浜共立学園中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「単元融合型総合問題」(「地理」・「歴史」・「公民」)。身近な食材である「昆布(こんぶ)」についての「リード文」からの出題。小問は全12問(解答数12)、「地名・事項・人名記述」、「地図記号記入」、「説明記述」(「字数指定なし」3問)。大問は「地理」。「日本の祭り」に関連する出題。小問は全5問(解答数10)、「選択肢」(「組み合わせ」あり)、「地名・数字記述」。大問は「歴史」。「歴史上の人物の18歳のときのできごと」をまとめた「表」からの出題。小問は全10問(解答数15)、「選択肢」(「時期整序」「位置特定」「組み合わせ」「正誤判別」「複数完全解答」あり)、「人名・事項記述」(「漢字指定」あり)。は「公民」(「時事」・「その他」各1問あり)。「ジェンダーギャップ指数」に関する出題。小問は全10問(解答数10)、「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」。時間配分は、「説明記述」で7分ほど、他は2問を1分半というハイペース。無論、圧倒的なスピード感とメリハリのある「戦術」が求められる。

【大問1】「総合」(「地理」「歴史」「公民」)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:14分

「日本の食文化を支える重要な食材の一つ」である「昆布(こんぶ)」についての「リード文」からの出題。「単元融合型総合問題」として、「地理」・「歴史」・「公民」の各単元からの小問が並んでいる。いかにも本校らしく、「平易」と「難解」が交錯している。心して解き進めていきたい。以下、いくつかの設問を確認してみる。

[問1] 「下線部についての地図記号記入設問」。「地理」単元。「リード文」中の下線部「富山県」にある「砺波(となみ)平野」には「屋敷森に囲まれた集落が見られる」が、「屋敷森」として植えられることが多い「針葉樹林」を表す「地図記号」を記入する。「地理」単元の基本、「地図記号」だ。しかも、本校では「地図記号記入」は必出だ。当然、誰もが定着していなくてはいけない。「答え」は下のとおり。

横浜共立

「地図記号」を含む「地形図読み取り」は本校に限らず「地理単元」での定番なので、「等高線」「方位」「縮尺」等の「地形図」に関連する基礎的事項を完全に定着させておくことが肝要だ。

<時間配分目安:30秒未満>

[問2] 「下線部についての地名記述設問」。「地理」単元。「リード文」中の下線部「沖縄県」について、「現在、普天間飛行場の移設のために埋め立て工事が進められている場所」は「沖縄県の何市にあるか」を答える。「普天間基地」の「辺野古移設」のことは誰もが知っているはずだ。だが、「辺野古」があるのは何市なのか? 即答できない諸君もいるのではないか。「答え」は「名護(市)」だ。「自然地名」や「地区名」などは、「都道府県名」「市町村名」、そして、「地図上の位置」をセットにして定着させておく必要があると心得よ。

<時間配分目安:30秒>

[問6] 「下線部についての内容説明記述設問」(「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。「地理」単元。「リード文」中の下線部「貿易」について、「現在日本は、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に参加している」が、「この協定で貿易の自由化のために合意された内容はどのようなものか、また、それにより日本の農畜産業にどのような影響があると考えられるか」を説明する。「環太平洋経済連携協定(TPP)」の名称は知っているに決まっている。だが、その内容をどこまで押さえているだろうか。2016年に太平洋沿岸の12カ国によって調停されたものの、翌年アメリカが脱退し、18年、11カ国によって新たな協定が結ばれた。「時事ネタ」としては古く、テキストに反映されるには新し過ぎて「エアポケット」になっている可能性がある。お手上げなのか? 否、「TPP」の内容としては定着していなくても「手がかり」がある。「貿易の自由化のために合意された」と設問にある。「貿易の自由化」といえば、誰もが最初に「関税撤廃」だと思いつく。そう、それでいい。加盟国間の合意により段階的に関税が撤廃されることになったのだ。そして、関税撤廃となれば日本より価格の安い他の加盟国の農畜産物が大量に輸入されることになり、国内の農畜産業は大きな打撃を受ける可能性があることは類推できるはずだ。こうした内容を、「字数」の制約も考慮して「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「加盟国間での段階的な関税撤廃に合意し、低価格の他の加盟国の農畜産物が大量に輸入されることで国内の農畜産業が打撃を受ける。」(60字)といった「答え」になる。尚、「自らの知識」としては定着していないことがらでも、「リード文」や「設問」などの「情報」が「手がかり・ヒント」になる場合があるのだ。

<時間配分目安:4分>

[問8] 「下線部についての人名記述設問」。「歴史」単元。「リード文」中の下線部「江戸時代に入り、全国的な海上交通が整備される」について、「西廻り航路や東廻り航路を整備した江戸の商人はだれか」を答える。無論、「西廻り航路」=「出羽の酒田(山形)から日本海側を南下し瀬戸内海を通って大阪へ向かうルート」、「東廻り航路」=「出羽の酒田(山形)から津軽海峡を抜け太平洋側を南下し江戸へ向かうルート」だということは知っているはずだ。しかし、整備した商人となるとどうか? 押さえていない諸君もいるかもしれない。「答え」は「河村瑞賢」だ。やはり、本校では「深知り知識」が求められるということだ。精進せよ。

<時間配分目安:30秒>

※尚、[問10]の「事項記述設問」(「公民」単元)では「源泉徴収制度」が問われている。「会社員の所得税を会社が給与から天引きして納める制度」のことだが、流石(さすが)に答えられなくても不思議はない。「捨て問」で構わない。

【大問2】「地理」(「地名・数字記述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:7.5分

「仙台七夕まつり」(宮城県)、「山形花笠まつり」(山形県)、「御柱(おんばしら)祭」(長野県)、「十日戎(とおかえびす)」(大阪府)、「うわじま牛鬼まつり」(愛媛県)、以上5つの「日本の祭り」に関連する「地理」単元からの出題。本大問でも「通好みの知識」が求められ判別が厄介な小問がある。それらをいくつか検討する。

[問2(1)] 「水産物についての選択肢設問」(4択)。「仙台七夕まつり」に関して、「七夕かざり」の「投げ網」は「豊漁」を意味しているが、「宮城県が海での養殖業で収穫量第1位のもの」を答える。各選択肢は、(ア)「真珠」・(イ)「くろまぐろ」・(ウ)「かき類」・(エ)「わかめ類」。「宮城県」⇒「かき類」と直感的に結びつけてはいけない。「かき類」は「第2位」だ(「第1位」は「広島県」、「第3位」は「岡山県」)。であれば、「答え」は(エ)の「わかめ類」だと特定できるはずだ。ちなみに、「第2位」は「岩手県」で「第3位」は「徳島県」になる。尚、「真珠」は「愛媛県」「長崎県」「三重県」、「くろまぐろ」が「長崎県」「鹿児島県」「高知県」の順だ。「農畜水産物」の「都道府県ランキング」は必須定着事項だと心得よ。

<時間配分目安:1分弱>

[問3(2)] 「隣接県についての数字記入設問」(「算用数字」指定)。「御柱祭」に関して、「長野県は内陸県」だが、「長野県が接している都道府県はいくつあるか」を「算用数字」で答える。「隣接都府県」(特に「内陸県」について)は本校に限らず頻出なので、「長野県」が最多の「8(県)」だということは知らなくてはいけない。確認しよう。時計回りに、北から「新潟県・群馬県・埼玉県・山梨県・静岡県・愛知県・岐阜県・富山県」だ。尚、「隣接都府県」が2番目に多いのは、「埼玉県」(7都県)と「岐阜県」(7県)だ。自分でチェックしておこう。

<時間配分目安:1分弱>

[問5(1)] 「海域についての選択肢設問」(4択)。「うわじま牛鬼まつり」に関して、「愛媛県」の「宇和島市」が面している「太平洋と瀬戸内海を結ぶ海域」を答える。各選択肢は、(ア)「周防灘(すおうなだ)」・(イ)「玄海(げんかい)灘」・(ウ)「紀伊水道」・(エ)「豊後(ぶんご)水道」。一瞬たりとも悩んでしまった諸君は、基本的な「自然地名」についての習得が不足していると自覚せよ。「答え」は(エ)の「豊後水道」だ(ちなみに、「豊後」は「大分県」の旧国名)。尚、その他の「海域」についてもあやしいものがあれば、確実に「地図」をチェックすること。

<時間配分目安:30秒>

[問5(2)] 「岬についての選択肢設問」(4択)。「うわじま牛鬼まつり」に関して、「愛媛県」にある「四国最西端の岬」を答える。各選択肢は、(ア)「潮岬(しおのみさき)」・(イ)「足摺(ずり)岬」・(ウ)「佐田(さだ)岬」・(エ)「室戸(むろと)岬」。これまたディープな「自然地名」が問われている。はっきりと判別できるか? 「答え」は(ウ)の「佐田岬」。ちなみに、「鹿児島県の大隅半島最南端」の「佐多(さた)岬」と混同しないこと。尚、「潮岬」は「和歌山県」にあり「本州最南端」にあたる。「足摺岬」は「高知県」にあり「四国地方最南端」にあたり、「室戸岬」は「高知県南東部」に位置している。それぞれ改めて確認しておきたい。

<時間配分目安:1分弱>

【大問3】「歴史」(「時期整序」「位置特定」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:11分
  • ★必答問題

「2022年4月より成人年齢が18歳に引き下げられた」という「時事ネタ」を切り口にして、「歴史上で活躍した人物6名の満18歳のときのできごと」をまとめた「表」からの出題。「飛鳥時代」~「昭和時代」までのさまざまな「歴史」単元の小問が並んでいる。難易度は標準レベルの大問。やや悩ましいものだけをチェックしておく。

[問3(2)] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。「最澄」の「できごと」についての下線部の「比叡山」で学び、「鎌倉時代に新しい仏教を生んだ僧」のうち、「『南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)』の題目を唱えれば人も国も救われると説いたのはだれか」を答える。各選択肢は、(ア)「一遍」・(イ)「親鸞」・(ウ)「日蓮」・(エ)「法然」。「答え」は「日蓮宗(法華経)」の開祖である(ウ)の「日蓮」だ。それに対して、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」という「念仏」を唱えるのが、「一遍」の「時宗」、「親鸞」の「浄土真宗」、「法然」の「浄土宗」になる。その他に「禅宗系」もある「鎌倉新仏教6宗派」は中学入試の定番だ。それぞれの「宗派の名称」・「開祖」・「教義(特徴)」などを整理して定着させておく必要がある。必ずテキスト等でチェックしておくこと。

<時間配分目安:30秒>

[問6] 「下線部についての事項記述設問」。「小早川秀秋」の「できごと」についての下線部「豊臣政権」の「衰退を招いた2度の朝鮮出兵」のうち、「最初の出兵の名称」を答える。2度の「朝鮮出兵」のことは誰もが知っているはず。それらの「名称」が混同していなければいいが……。「答え」は「文禄の役」だ。「1592~93年」。2度目が「慶長の役」(1597~98年)。尚、「元寇(蒙古襲来)」についても混同しやすいので注意したい。「文永の役」(1274年)と「弘安の役」(1281年)になる。他にも、「モリソン号事件」と「ノルマントン号事件」なども時期と内容を取り違えやすいので留意せよ。いずれにしても、歴史的事項は内容を正確に理解した上で、整理して定着させておくことが肝要だ。

<時間配分目安:30秒>

[問8(1)] 「出身藩についての選択肢設問」(5択/複数完全解答)。「高杉晋作」の「できごと」に関して、「高杉晋作と同じ長州藩出身の人物」を「すべて」答える。各選択肢は、(ア)「伊藤博文」・(イ)「大久保利通」・(ウ)「木戸孝允」・(エ)「西郷隆盛」・(オ)「坂本龍馬」。即座に各人物の出身藩を特定できなくてはいけない。順に、「長州藩」・「薩摩藩」・「長州藩」・「薩摩藩」・「土佐藩」だ。よって、「答え」は(ア)(ウ)になる。幕末から明治にかけて活躍した「薩摩藩・長州藩・土佐藩・肥前藩」(薩長土肥)の出身者については的確に定着させておきたい。無論、これら4つの藩はそれぞれ現在の「鹿児島県・山口県・高知県・佐賀県」だということも押さえておくこと。「旧国名」は現在の「都道府県」と合わせて覚えておくことが必須だ。尚、「複数完全解答」の設問では細部に十分注意する必要がある。

<時間配分目安:1分>

[問8(2)] 「できごとの時期整序選択肢設問」(4択/複数完全解答)。「高杉晋作」の「できごと」に関して、「高杉晋作は討幕運動の中心になった」が、示されている「倒幕の動きと明治維新に関するできごと」を「古いものから順に並べて」答える。それぞれの「できこと」の「キーワード」で、時期特定していきたい。選択肢(ア)「王政復古の大号令」⇒必須定着事項⇒「大政奉還」→「王政復古の大号令」で「明治維新」となっていく展開だ。(イ)「大政奉還」⇒前項のとおり⇒「王政復古の大号令」の直前。(ウ)「戊辰戦争始まる」⇒無論、「王政復古」を経て新政府を樹立した薩摩藩・長州藩・土佐藩らを中核とした「新政府軍」と「旧幕府軍」が戦った日本の近代史最大の内戦だ。(エ)「五箇条の御誓文」⇒「戊辰戦争」の最中に明治天皇が示したとものだと理解しているはず。したがって、「答え」は(イ)(ア)(ウ)(エ)だ。尚、「時期整序」は「うろ覚えの年代」で整序するのではなく、「流れ」や「キーワード」を確認し、特定していくことが肝要。

<時間配分目安:1分強>

【大問4】「公民」(「時事」「その他」各1問あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:7.5分

世界経済フォーラムが毎年公表している「男女平等の達成度」を示す「ジェンダーギャップ指数」で分析されている4分野、「教育」・「政治」・「経済」・「健康」に関する出題。多くが「公民」単元の基本的事項を問う小問だ(「時事」・「その他」各1問あり)。一気呵成に得点を重ねていきたい。いくつかを考えてみたい。

[問5] 「政治についての選択肢設問」(4択)。「時事」単元。「政治分野」について、「2022年の参議院議員通常選挙における当選者の女性の割合は日本では過去最高になった」が、「参議院議員通常選挙のしくみ」を答える。各選択肢説明の「キーワード」「要約」で正誤判別していく。(ア)「選挙区制では47の選挙区」⇒原則として「都道府県単位」なのだが、2016年から「合区制度」が取り入れられ、「鳥取県と島根県」・「徳島県と高知県」がそれぞれ合区となったので、現在の選挙区は「45」となっている=不適切。(イ)「比例代表制の投票では政党名でも候補者名でもよい」⇒「参議院」の「比例代表選挙」は「非拘束名簿式」で、「候補者名」・「政党名」のどちらでも記入できる⇒尚、「衆議院」の「比例代表選挙」は「拘束名簿式」なので、「政党名」のみ記入できる=適切。(ウ)「25歳以上の国民が立候補できる」⇒「参議院議員選挙」の「被選挙権」は「満30歳以上」ということは知ってのとおり⇒「衆議院」は「満25歳以上」だ=不適切。(エ)「1回の選挙で248名が選出」⇒「参議院議員」の「議員定数」は「248名」だが、「3年ごとに半数が改選」されるので、1回の選挙で選出されるのは124名=不適切。故に、「答え」は(イ)。「正誤判別」では細部に細心の注意を払う必要がある。

<時間配分目安:1分強>

[問7] 「地方自治についての選択肢設問」(4択)。「政治分野」について、「日本では地方自治体の首長を務める女性の割合はとても少ない」が、「地方自治体の首長が受ける住民の直接請求はどれか」を答える。各選択肢は、(ア)「条例の制定の請求」・(イ)「監査の請求」・(ウ)「議会の解散の請求」・(エ)「議員の解職の請求」。さあ、どうか? 明確に判別できるか? 「答え」は(ア)の「条例の制定の請求」になる。ちなみに、「監査の請求」は「監査委員」、「議会の解散の請求」と「議員の解職の請求」はともに「選挙管理委員会」が「請求先」になる。「地方自治」における「住民の直接請求制度」は本校に限らず頻出だ。それぞれの種類について「請求先」はもちろん、「必要な署名数」・「請求後の流れ」などについてもしっかりと整理して、理解・定着させること。

<時間配分目安:1分弱>

[問9] 「行政機関についての選択肢設問」(4択)。「経済分野」について、「日本では男女共同参画局が内閣府に設置されている」が、「同じ内閣府に設置されている機関はどれか」を答える。各機関は、選択肢(ア)「金融庁」・(イ)「文化庁」・(ウ)「国税庁」・(エ)「消防庁」。行政機関に関しては「1府12省庁」は当然押さえているだろうが、それぞれの省庁の外局となると厄介だ。「答え」は(ア)の「金融庁」だ(「お金」に関係するので「財務省」だと勘違いしないこと)。ちなみに、「文化庁」=「文部科学省」、「国税庁」=「財務省」、「消防庁」=「総務省」だ。尚、他に押さえておきたい「外局」としては、「公正取引委員会」(内閣府)・「海上保安庁/気象庁/観光庁」(国土交通省)など。確認しておくこと。

<時間配分目安:1分弱>

※尚、[問10]は「健康分野」についての、見慣れない2つのグラフの「統計資料読み取り不適切選択肢設問」(4択)だ。こうした「読み取り」では、自分勝手な解釈をするのではなく、とにかく「数字」や「傾向」「特徴」などを正確に読み取ることが大前提になると心得よ。

攻略のポイント

●「設問」に一筋縄ではいかない「クセ」がある。いかに「攻略」するか? 実直に、「基礎的事項」から「詳細事項」までを理解し(本校では相当な「深知り知識」まで求められる場合がある)、定着させることが必要だ。その上で、「細部へのこだわり」と「知らない問題」への「対処法」も押さえておきたい。前者はいかに「細部」に着目して「判断」できるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということだ。必ず、どこかに「手がかり」「ヒント」が隠されていることを心得ておきたい

近年、「考察問題」が散見されるようになった(本年度は未出だが)。2021年度から実施された新たな「大学入試制度」で重視されている「思考力・判断力・表現力」を意識しているに相違ない。よって、来年度以降の出題も当然予想される。十分に慣れておくことが不可欠だ。

「時事問題の攻略」もポイント。過去1年間程度の「時事ネタ」は、細大漏らさず確実に整理して覚えておく必要がある。さらに、それらに関連する「あらゆる事項(知識)」も全て復習すること。日々の「新聞」をしっかりと確認しておくことは不可欠だ。毎日全て読み通せなくても、「見出し」「リード」は必ずチェックして、知らない「ネタ」があったら「スクラップ」しておくこと。

「戦術」も必要になる。基本は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。もちろん「単純ミス」は絶対にしてはいけない。「合格ライン」は6割強(学校非公表。過去7年間の「4科合計の合格最低平均得点率」および「社会の受験者平均得点率」からの推定。それぞれ、「56.9%」と「61.2%」。本年度は「55.8%」と「58.1%」)。「基礎的知識問題」で基礎点(6割弱)は獲得可能。あとは「本校対策」で勝ち取ること

「地理」では「地図」「地形図」「統計資料」等、「歴史」では「年表」「歴史史料(「図版」含む)」等がよく出題されるので、常にチェックしておくこと。無論、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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