早稲田実業学校中等部の傾向と対策
早稲田実業学校中等部の入試傾向をプロ家庭教師の視点で解説します。役立つプロのノウハウをご覧ください。
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受験の攻略ポイント
早稲田系列の共学校。どの科目も、標準的な問題を難なく解けるようになるとともに、各科目それぞれ、早稲田実業学校中等部の傾向に合わせた対策を十分にしておこう。
算数 | 難問対策よりも、まずは標準~やや難レベルの問題を確実に正解できるようにすることが重要。 |
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国語 | 多様な「出題内容」で問われてくる「抜き出し設問」の対策が必須。 |
社会 | 時間と解答数を考えると「即断即決」が必須。臨機応変な対応と「思考力・処理能力の高さ」が求められる。 |
理科 | 4分野から出題。難易度は高めだが、解いたことのある問題をどこまで定着させているかがポイント。 |
新しい傾向の出題が見られました
早稲田実業学校中等部では2018年度入試より、新しい傾向の出題がみられる。2020年度大学入試改革を踏まえた出題とみられ、受験生には対策が必要だ。
・2018年度 国語【大問一】[問11]
空所補充問題において、本校でも新趣向の内容がみられた。360字もある説明文が示されており、その空所に入る言葉を選択するのだが、その選択肢が15択もある。とてもひとつひとつ検証する時間はない。そこで前後の内容のみで判断できないか、という知恵を使う。すると選択肢は粗方特定でき、少なくとも二択にまでは持ち込める。こういった知恵が本校でも求められるようになったのはやはり「新大学入試制度」を意識し「思考力・判断力・表現力」といった資質を求めるようになったからであろう。公立中高一貫校で出題されるような「適正問題」等も利用しながら、訓練しておきたい。
・2018年度 社会【大問Ⅰ】[問1]
本年度、初めて純粋な考察問題が出題された。「ヨシオ君」が通学に使用する電車の時刻表を4つの中から選択し、その理由を述べるというもの。「京急川崎→品川→新宿」という経路は示されているので、時刻表のどこに着目すれば「平日の品川方面行」と判断でき、説明できるのか。「思考力・判断力・表現力」の全てが問われている。初見の出題形式であっても、自らの知識と一般常識で解答を導き出すことは難儀ではない。
※早実は早稲田大学系属校なので「新大学入試制度」は直接は無関係と思われるが、早稲田大学の一般入試での入学者は新たな資質が問われるわけで、本校からの大学入学者にも同等の資質を求めるということかも知れない
算数の攻略ポイント
計算・一行問題以外では、場合の数、平面図形、立体図形に関する問題は、ほぼ毎年のように出題されている。その他の分野では、速さも比較的出題されている。本校は、傾向がはっきりしているので、出題されやすい分野は重点的に演習しておくとよい。
2023年度
分野・単元 | 難度 | 時間配分 | 必答問題 |
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【大問1】小問集合 | 標準 | 9分 | ★ |
【大問2】(1)平面図形 | 易 | 2分 | ★ |
【大問2】(2)論理 | やや難 | 10分 | |
【大問3】平面図形 | 標準 | 5分 | ★ |
【大問4】約束記号、整数 | 標準 | 11分 | |
【大問5】場合の数 | やや難 | 17分 |
国語の攻略ポイント
2015年度以降の大問3題という出題形式が2023年度も踏襲された(定着したようだ。それ以前は2題だった)。「小説」(あるいは「随筆」)と「論説文」(あるいは「説明文」)、「漢字問題」を含む「総合的知識問題」の3題(本年度は「随筆」と「論説文」、「総合的知識問題」)。
解答数は従前50前後だったが、4年前から一気に減少しており、本年度は30(「説明記述」が増加したためと考えられる)。総文字数もかつては7000~8000字程度だったものが、やはり4年前から大幅に少なくなっており、本年度は昨年度より一気に減少して約4200字。「設問形式」は、「選択肢」「抜き出し」「空所補充」「正誤判定」「語句記述」などと多彩。また、6年連続で「説明記述」が出題されており(本年度は6問。「考察表現記述」が出題されることもある)、「説明記述重視」の傾向が定着した。そして、数年前まで数多く出題されており、本校の特色だった「抜き出し設問」、昨年度はたった2問にまで減っていたが、本年度は再び増加して7問(揺れ動いているので要注意)。ただ、「説明記述」も「抜き出し」も「空所補充」としての出題となっており、「文脈重視」の傾向となってきている。尚、昨年度初出の「考察記述」、本年度は未出だったが、「新大学入試制度」を意識しているに違いない(本校は「早稲田大学系属校」だが、それでもやはり、「思考力・判断力・表現力」といった資質を求めている)。来年度以降も要警戒だ。いずれにせよ、新たな「出題傾向」となっているので、留意しておく必要がある。100点満点。試験時間は60分。
2023年度
分野・単元 | 難度 | 時間配分 | 必答問題 |
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【大問一】「随筆の読解」(「乱文整序」あり) | 標準 | 33分 | ★ |
【大問二】「論説文の読解」(「抜き出し」と「説明記述」) | やや難 | 23分 | |
【大問三】「総合的知識問題」(「慣用句」と「漢字の読み書き」) | 易 | 4分 |
理科の攻略ポイント
地学・生物・化学の3分野からの出題であった。過去の出題を見ると、4分野または3分野から出題されていて、生物に関する出題頻度がやや高くなっており、力のつりあいに関する計算問題は意外と少ない。
中和などの化学計算の出題頻度も低かったが、今年度は出題されている。また、環境問題・時事的な内容・科学的な話題に関する出題が多いのも特徴。今回は西之島と富士山2つの火山が取り上げられている。西之島については一昨年にも取り上げられている。日頃から科学・自然に興味を持っているかが問われている。
2023年度
分野・単元 | 難度 | 時間配分 | 必答問題 |
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【大問1】中和反応・金属と水溶液の反応 | やや難 | 10分 | ★ |
【大問2】西之島の生態系 | やや難 | 10分 | |
【大問3】富士山 | やや難 | 10分 |
社会の攻略ポイント
「地理」「歴史」「公民」「時事」、全ての単元からの出題と「考察問題」がある(2023年度も同)。大問数は3~4題(本年度は4年続けての3題)。
それぞれ「3単元対応」が基本だが、「他の単元の混在」や「総合問題」もある(本年度は「総合」2問と「混在」1題)。単元別の配点比率は一定ではないが、これまでは基本的に「歴史」と「地理」が高かった。だが、本年度は異変あり。「歴史」が3割半強、「公民」3割弱、「地理」2割弱、「考察」1割半ほどで「時事」は1割未満。全解答数は35~45程度(本年度は36)。解答形式は、「リード文」「会話文」や「単一テーマについての説明文」、「地図」「地形図」「統計資料」「歴史史料」「図版」「写真」等に関しての、「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」「複数完全解答」等あり)、「空所補充」、「整序」、「事項・人名・地名等記述」(「漢字」等の指定あり)、「説明記述」(本年度は4問)など。出題内容も多彩で、「図表」「写真」「絵図」等々の「読み取り」、「世界地理」が出題される年度もある(本年度は昨年度同様で未出)。「早実の社会」で特徴的なのは、「歴史」中心に「大学入試レベル」の出題があるということだ。また、「新大学入試制度」を意識した「考察論述」が本年度も出題された。来年度以降に向けても備えを怠ってはならない。無論、時間と解答数を考えると決して余裕はない。臨機応変な対応と「思考力・処理能力の高さ」が求められる。50点満点。試験時間は30分。
2023年度
分野・単元 | 難度 | 時間配分 | 必答問題 |
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【大問Ⅰ】「総合」(「地理」「歴史」「考察問題」) | 標準 | 13分 | ★ |
【大問Ⅱ】「公民」(「時事」1問の混在あり) | 標準 | 8分 | |
【大問Ⅲ】「総合」(「地理」「歴史」「考察問題」) | 標準 | 9分 |
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学校 | 早稲田実業学校中等部 |
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偏差値 | 2023予測偏差値 男63/女67(四谷大塚80%)・男58/女61(サピックス80%) |
併願校 |
男子では早稲田中・慶應中等部・明大明治中・渋谷教育学園幕張中・芝中が、女子では慶應中等部・明大明治中・豊島岡女子中・渋谷教育学園幕張中が多く見られる。 *入試日程の変更にご注意ください |
合格者 | 合格最低点は、男女による差(女子が高め)があるが、事前の過去問対策では、男子なら60%、女子なら65%は最低限クリアしよう。出身塾別で見ると、早稲田アカデミーが多く、四谷大塚・サピックス・日能研が続いている。リーダーズブレインの生徒も同様の塾生が多いが、近年ではサピックス生の増加が見られる。 |
進学実績 | 卒業生のほとんどが早稲田大に進学し、ごく一部が難関国立大や医学部に進学している。 |
その他 | 早稲田大学高等学院中学部・早稲田中学と並び早稲田大の傘下校として、その人気は極めて高い。よって、入試傾向対策が必須であり、対策いかんによっては偏差値とのギャップを埋めることも可能である。 |
基本情報 |
所在地 〒185-8505 東京都国分寺市本町1-2-1 最寄駅 JR中央線・西武多摩湖線「国分寺駅」徒歩7分 連絡先 ℡:042-300-2121 沿革 明治34年開校。平成13年国分寺移転。平成14年男女共学化。 |