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頌栄女子学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「頌栄女子学院中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「頌栄対策」では先ず、「地理」「歴史」「公民」全単元と「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが重要だ。

「基礎的事項」は無論、細部にわたる「知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックもすること。

だが、悲しいことに人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。

その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」の全分野から出題される頌栄ではなおさらだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して、徹底的に「地理」の「復習」をしておくことがポイントだ。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。

さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を独自に続けておくことで、ライバルに差をつけておこう。

 

いもづる式学習

全ての単元に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させていても無意味だ。
バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、頌栄で求められる「多角的思考」などできるはずがない。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。

もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。

さらに、単元もまたいでいるので、頌栄おなじみの「3単元融合問題」にも対応できるようになる。
無論、「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

 

手づくり式学習

特に、「歴史」単元の「復習」で必要となる。

塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」で「時代別」「時代順」になっている。
しかし、頌栄に限らず上位校ではそうした単純な出題はほとんどない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸になっている。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。

「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみたい。

 

細部へのこだわり式学習

前述のように、「リード文」「設問文」「統計資料」等の「要素」と、自らの「知識」を多角的に結びつけないと解けない問題が頌栄には多い。

考える際の前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということだ。そこから「考えるヒント」を見つけ出すのだから、「細部」にこだわって読み取ることが重要となる。

当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」や「資料の数字」、そして「関連事項」など全てを材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。

こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えていけばいい。

 

意識継続式学習

どのような場合も、常に何かを「意識」しながら学習することが必要だ。なんとなく机に向っていても時間の無駄。

その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのかを具体的に「意識」し続けていることが重要だ。そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。

頌栄の入試では40分という制限の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして70もの問題に答えなくてはならない。

だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「他の設問」との関連は大丈夫か?「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

当然、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2019年度「頌栄女子学院中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「総合」(「地理」「歴史」「公民」「時事」)。
「『2019年5月1日、改元』という時事ネタを切り口とし、『30年にわたる平成のあゆみ』を主な出来事を通して振り返ったリード文」からの出題。 小問は全13問(解答数22)、「選択肢」(「組み合わせ」「整序」あり)、「事項記述」(「空所補充」、「国名」、「漢字・カタカナ・アルファベット指定」あり)、「説明記述」(1問。「字数指定」なし、「120字ほど」の解答欄)、「自由論述」(1問。「字数指定」なし、「80字ほど」の解答欄)。

大問は「地理」。「8つの県に関する説明文」からの出題。
小問は全8問(解答数19)、「選択肢」、「事項記述」(「島名」「地名」「河川名」、「空所補充」あり)。

大問は「歴史」。「身近にある寺社の歴史的役割を調べた6人の発表文」からの出題。
小問は全8問(解答数13)、「選択肢」(「不適切」「整序」、「複数解答」あり)、「事項記述」(「空所補充」、「人名」あり)、「説明記述」(1問。「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。時間配分としては、「説明記述」「自由記述」で6~7分ほど、他は3問を2分強で解くペースになる。

【大問1】「総合」(「地理」「歴史」「公民」「時事」、「自由論述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:19分
  • ★必答問題

※本校では全大問の前提として、「漢字で書くべきものは漢字で答えなさい」という《注意》を最初に掲げており、本校HPにも「基本的な地名や人名その他の社会科用語については、必ず正しい漢字を使って書くよう日頃から心掛けて下さい」と明記してある。したがって「事項(人名)記述」などは、特に指示がない場合は全て「漢字指定」と考えよ。

「総合」(「地理」「歴史」「公民」「時事」)。「『平成』という元号は、1989年1月8日に始まり、2019年4月30日に終わりを迎える」という書き出しで、「『30年にわたる平成のあゆみ』を主な出来事を通してさまざまな視点から振り返ったリード文」からの出題。いかにも本校の「総合問題」という感じで、各単元に関する実に多種多様な設問が並んでいる。ただし、「自由記述」以外はそれほど難易度が高くないので、一気呵成に解き進めていきたい。以下、いくつかの「設問」を確認してみよう。

[1(3)(7)(9)(10)] 「空所部についての事項記述設問」。「公民」「時事」単元。
リード文中の空所(3)(7)(9)(10)に入る「適切な語句」を答える。空所に〔指定〕があるものがあるのでそれに従うこと。やや「深知り知識」が求められる空所もある。それぞれの「答え」を確認したい。

(3)は2ヵ所あり、「(平成5年=1993年)11月にはマーストリヒト条約が発効し、(3)〔日本語名〕が誕生し、(3)は平成24年(2012年)にノーベル平和賞も受賞」⇒どちらかを手がかりに、「答え」=「ヨーロッパ連合(欧州連合)」だと特定したい⇒「日本語名」指定なので、「EU」としないこと。(7)も2ヵ所、「平成13年(2001年)9月にはアメリカで(7)〔6字〕が発生」「(7)を引き起こした組織が潜んでいる国を攻撃するため、アメリカは戦争を開始」⇒これは誰もが知っているはず。ただし「指定字数」には注意すること⇒答え」=「同時多発テロ」。次は「安倍内閣は同盟国への軍事攻撃を自国への攻撃とみなして同盟国と共に反撃する、(9)の行使容認を平成26年(2014年)に閣議決定」⇒「答え」は「集団的自衛権」⇒数年前の「時事問題」指定なので、抜け落ちている可能性があるので要注意。そして、「平成30年(2018年)6月に(10)〔国名〕でトランプ米大統領と金正恩北朝鮮委員長の間で米朝首脳会談が実現」⇒典型的な「時事問題」なのだが、開催場所となるとどうか?しっかりと押さえているか?⇒「答え」=「シンガポール」⇒「時事問題」ではそれぞれの事項で抜けている要素がないようにすること。尚、同じ空所が何か所かある場合は、全てが「ヒント」であり、同時に全てに「代入」できなくてはいけない。

<時間配分目安:4問で1分半>

 [] 「下線部についての時期整序選択肢設問」(3択)。「公民」単元。
リード文中の下線部(a)「首相(内閣総理大臣)」について、「平成の時代に首相を務めた人物を就任した順番」に並べて答える。

各選択肢は、(ア)「小泉純一郎」、(イ)「菅直人」、(ウ)「村山富一」。
それぞれの首相の特色や当時の出来事などと結びつけ整序していきたい。

「小泉純一郎」⇒何といっても「日朝平壌宣言」(2002年)、また「アメリカ同時多発テロ」(2001年)、「イラク戦争」(2003年)、そして「郵政民営化関連法案成立」(2005年)などと結びつかなくてはいけない。

「菅直人」⇒「民主党」が歴史的な政権交代(2009年)を成し遂げた「鳩山由紀夫内閣」を引き継ぎ、「東日本大震災」(2011年)の対応にもあたったことは知っているはず。

「村山富一」⇒「日本社会党」の党首として「自民党」と連立政権を組織し(1994年)、在任中に「阪神淡路大震災」や「地下鉄サリン事件」(ともに1995年)が起きている。

したがって、「答え」は(ウ)→(ア)→(イ)となる。ちなみに、「平成時代」の「内閣総理大臣」は「17人」(ただし、安倍晋三は間隔を開けて2019年9月現在2期目)。「平成時代のことがら」は来年度の「時事問題」でもあるので、確認しておくことが必要。

<時間配分目安:1分弱>

 [] 「下線部についての時期整序選択肢設問」(3択)。「公民」単元。
リード文中の下線部(b)「サミット(先進国首脳会議)」について、「平成の時代に日本で開かれたサミットを順番」に並べて答える。

各選択肢は、(ア)「北海道洞爺湖サミット」、(イ)「九州沖縄サミット」、(ウ)「伊勢志摩サミット」。
「サミット」については、日本開催の年に該当した場合の「時事問題」としては押さえるはずだが、過去のものについては定着していない可能性がある。その時の「内閣総理大臣」と結びつけて押さえておきたい。

「北海道洞爺湖サミット」(2008年)⇒「福田康夫」、「九州沖縄サミット」(2000年)⇒「森善朗」、「伊勢志摩サミット」(2016年)⇒「安倍晋三」。

よって、「答え」は(イ)→(ア)→(ウ)だ。尚、最初の「サミット」、「第1回先進国首脳会議」は第1次石油危機を受けてフランスのランブイエで開催された。当時の参加国は「日・米・英・仏・旧西独・伊」の6カ国。こちらも覚えておきたい。

<時間配分目安:1分弱>

 [] 「下線部に関連しての選択肢設問」(4択)。「公民」単元。
リード文中の下線部「死刑判決」に関連して、「OECD(経済協力開発機構)」加盟国で現在(2019年)も「死刑制度」を維持しているのは3カ国だけだが、「先進国クラブ」と呼ばれている「OECD」の2017年時点の「加盟国の総数」を答える。「OECD」の名称は知っているはずだが、その「加盟国数」まで押さえている諸君は少ないだろう。ここでの「答え」は選択肢(ウ)「35」。ただし、2018年に「リトアニア」が加盟して現在(2019年)は「36カ国」になっているので要注意。尚、本問では「頌栄女子学院にあるクラブ(部活動)の数と同じ」という「ヒント」が示されている。なかなか茶目っ気があるではないか。本校志望者であれば、「頌栄女子学院」のことをとことん調べているはずだということだ。

<時間配分目安:30秒>

 [11] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。「公民」単元(「時事的要素」あり)。
リード文中の下線部「(安倍晋三首相は)これまでの歴代最長の政権(を超えると考えられている)」について、「これまでの首相在任期間の通算が2886日で、歴代最長の内閣を築いた人物」を答える。

各選択肢は、(ア)「佐藤栄作」、(イ)「桂太郎」、(ウ)「伊藤博文」、(エ)「中曽根康弘」。

本入試の試験日(2019年2月1日)時点ではなかなか厄介な問題だったはずだが、2019年8月23日に「安倍晋三」が「佐藤栄作」を抜いて「歴代2位」になったということが大きく話題となったので、現時点(2018年9月)ではすぐに「答え」は(イ)の「桂太郎」だと分かる。ちなみに、2019年11月20日には「桂太郎」を抜いて憲政史上最長となる見通しだ。尚、「安倍晋三」も含めて「歴代4位」までの首相(上記に加えて「伊藤博文」)は全て「長州閥(山口県出身)」だということも押さえておきたい。「時事問題」では「受験年」の「予想可能な出来事」までチェックしておくことが欠かせない。

<時間配分目安:30秒>

 [12] 「下線部について条件付き自由論述設問」(「字数指定」なし。「80字ほど」の解答欄)。「時事」単元(「考察」の要素あり)。
リード文中の二重下線部「世界の発展や進歩」について、近年、「『ソサエティ5.0』あるいは『第4次産業革命』という言葉が注目されている。それは狩猟社会(ソサエティ1.0)、農耕社会(ソサエティ2.0)、工業社会(ソサエティ3.0)、情報社会(ソサエティ4.0)に続く新しい社会(ソサエティ)のことや、軽工業、重工業、情報技術に次ぐ産業革命を表している」が、「皆さんが成人になっている2030年代には、どのような社会が実現していると思うか」を説明する。「条件」は「IoTという語句を用いて具体的に説明する」こと。この小問、冒頭の「ソサエティ5.0」「第4次産業革命」という言葉でビビってしまったら、その時点で敗北だ。誰も知るはずがない。しかも、問題文の中でそれぞれ説明されているのだから、何の問題もないと開き直ればいい。それよりも「IoT」を「時事用語」として押さえているかがポイント。
「IoT」=「モノのインターネット」⇒さまざまな「モノ」がインターネットに接続され(単につながるだけではなく、モノがインターネットのようにつながる)、情報交換することにより相互に制御する仕組み」ということは知らなくてはいけない。さらにここで、「AI(人工知能)」を結びつけていければOKだ。人間がインターネットを用いて瞬時に「情報」をやりとりできる「社会」である現在が「情報社会(ソサエティ4.0)」であり、それを可能にする技術が「情報技術(IT)」だ。それに対して、今後(2030年代)は人間ではなく「モノ」自身が「ビッグデータ」を処理・学習し(「ディープラーニング」という言葉は知っているはず)、さまざまな「判断・実行」までもを行う「社会」が訪れる可能性があると予想できる。「人口減少」がさらに進み、「高齢化率」が3割以上になる2030年代、「条件」になっている「具体的」なことでは、「AIロボット」が色々な仕事をして「労働力不足」を補い、移動手段のない「高齢者」を「自動運転車」が送迎している様子などを思い浮かべたい。そうしたことを「自由」に「論述」していけばいい。本校の「自由論述」、何を問われたとしても、自らの「知識」を組み合わせ「考察」していくことで対処できると心得よ。

<時間配分目安:4分弱>

【大問2】「地理」(「自然地名記述」あり)

  • 難度:
  • 時間配分:12分

「地理」。「ある県について説明した(A)~(H)の文章」からの出題。「日本地理」に関するさまざまな「基本的事項」が問われている。しかし、本校でお馴染みの「地形図読み取り」はなく、例年になくあっさりとした「地理」の大問だ(無論、来年度以降に関して油断は禁物)。先ずは「説明文」の「8県」を「キーワード」で特定しておく。

(A)「落花生やしょうゆの生産高が全国1位」=「千葉県」は何ら問題なし。
(B)「日本標準時子午線が通る」=これまた「兵庫県」で即決定。
(C)「火山灰の堆積した台地では、この県の旧国名の名がついた産物などを生産」=「シラス台地」⇒「旧国名の名がついた産物」=「さつまいも」(薩摩)で「鹿児島県」だと分かるはず。
(D)「島の数が全国で最も多い」=「長崎県」は常識の範囲。
(E)「県西部の都市では楽器・オートバイの生産がさかん」⇒「楽器・オートバイ」といえば「浜松市」=「静岡県」に決まっている。
(F)「日本にある米軍基地の約75%が集中」=無論、「沖縄県」。
(G)「中央部の湖の周辺では精密機械工業や電子工業がさかん」⇒「周辺で精密機械工業や電子工業の湖」であれば「諏訪湖」=「長野県」だと特定できるはず。
(H)「扇状地」「果樹栽培」「リニアモーターカー実験線」⇒この3つがそろえばもちろん「山梨県」しかない。各県の特定は以上のように平易だった。これらを踏まえて、以下、2問だけ考える。

[] 「下線部についての半島名記述設問」。
説明文(E)中の下線部「(旧国名では3つに分かれており)一番東側の旧国名は半島名ともなっている」について、「この島」の「半島名」を答える。
(E)は「静岡県」、「一番東側の半島」はもちろん、「答え」=「伊豆(半島)」だ。ちなみに、「静岡県」の「旧国名」は西から「遠江」「駿河」「伊豆」だ。失念していた諸君は改めて定着させておくこと。

<時間配分目安:30秒弱>

[] 「下線部についての河川名記述設問」。
説明文(G)中の下線部「(この県の北東部を流れる河川は隣県に入ると)この県の旧国名を冠した名称に変わる」について、「この旧国名」のついた「河川名」を答える。
(G)は「長野県」、「旧国名」を知っていれば即答できるが、そうでなくとも、「北東部を流れ隣県に入る」と「河川名」が変わるというところから、「答え」は「信濃(川)」だと特定したい(ちなみに、「長野県」では「千曲川」)。与えられている情報を多角的に処理することが肝要だ。

<時間配分目安:30秒>

【大問3】「歴史」(「説明記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:9分

「歴史」。「身近にある寺社は信仰の場として多くの参拝者が訪れる」が、「歴史的にはそれ以外にもさまざまな役割」を持っている。そうした「寺社の役割を調べた6人の発表文」からの出題。「6世紀~江戸時代までの、寺社をめぐる多種多様な歴史的事項」が問われている。ただ、標準レベルの難易度なので、手際よく解き進めていきたい。以下、いくつかの「設問」を検討しよう。

[] 「各発表文に関しての不適切選択肢設問」(複数解答/5択)。
示されている、(A)~(E)さんの「発表文」に関する(F)さんの「まとめ」の中の下線部(ア)~(オ)の中で、「明らかに間違っているもの」を「二つ」答える。下線部の「キーワード」でそれぞれ正誤判別していく。

(ア)「光明子(聖武天皇の皇后)が施薬院を設立」「空海が香川県でため池の改修工事」⇒無論、知っていることばかり=適切。
(イ)「中世の市は武家政権(幕府)によって開かれた」⇒(B)さんの「発表文」に関するものだが、そこには「(物資の交換の場)は寺社の縁日へ移って」「(鳥居の前は)市の開設には最適な場所」と説明されている⇒「寺社が市の主体」だということだ=不適切。
(ウ)「民衆は神前で一揆の契約」⇒(C)さんの「発表文」に確かに「村民は神前で……、一揆を結ぶこともあった」と記されている=適切⇒ちなみに、「一揆」は「起こす」のではなく「結ぶ」ものなので要注意。
(エ)「中世の寺社は鉄砲を使用して、荘園を侵略していた」⇒(D)さんの「発表文」についてだが、「根来(ねごろ)寺」を例に挙げ「僧侶が鉄砲生産に関わる」とは説明されているが、「荘園を侵略」には全く触れていない=不適切。
(オ)「寺社の領地は幕府の権限すら適用されない場所であった」⇒(E)さんの「発表文」では「寺社は『歴史上の敗者』を受け入れる場所」「守護が寺社の領地に入って(犯罪人を)逮捕することは許されず」となっている=適切。

したがって、「答え」は(イ)(エ)ということだ。こういった問題では、示されている文章・資料など(ここでは「発表文」)から読み取れることと「自らの知識」を組み合わせて判別する必要があると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[] 「下線部についての史料読み取りの空所部補充記述設問」(「字数指定」なし。「5字ほど」の解答欄)。
「発表文」中の下線部「(中世に入ると)寺社の縁日では市が立ち」について示されている≪資料1≫に関しての「会話文」中の空所に「適する説明」を答える。
≪資料1≫は「中世マデ山田ニ毎月八日ニ上市と云(いう)市アリ。下市と云ハ岩淵町ニアリ、是(これ)ハ毎月三日ナリキ」というもの。そして、空所前後は「(上市は)鎌倉時代にこの市場が成立していたことを考えると、毎月8日に開かれるのではなく、毎月    に開かれていた」となっている。≪資料1≫には「毎月八日」としか記されていない。では、どうする?ここで諦(あきら)めてはいけない。「鎌倉時代にこの市場が成立していたこと」を考えろという「ヒント」がある。そう、「鎌倉時代の定期市」といえば「三斎市」、つまり「毎月3回」だ。ということで、「答え」は「(毎月)8のつく日」だと分かる。どこに「手がかり・ヒント」があるかは分からない。常に目を皿にして見落とさないようにすべし。

<時間配分目安:1分弱>

[] 「下線部についての史料読み取り条件付き説明記述設問」(「字数指定」なし。「30字ほど」の解答欄)。
「発表文」中の下線部「幕府は『宗門改帳』という台帳の作成を諸藩に命じ」について示されている≪資料2≫を参考にして、「幕府が『宗門改帳』を作成させた目的」を説明する。
「条件」は「幕府の政策と関連させて説明する」こと。≪資料2≫は「長崎県の平戸町・横瀬浦町の『宗門改帳』」で、ある家族の名前とともに「仏教の宗派と寺院の名前」が記されている。下線部は「江戸時代」の説明なので、「江戸幕府のキリスト教禁止政策」に関連することだとは分かるはず。万一「宗門改帳」が未定着だとしても、≪資料2≫の内容から「寺請制度」に関することだとは分からなくてはいけない。要は、人々に対してどこかの寺院の檀家(だんか)になることを義務づけ、それを寺院が証明する制度だ。したがって、「キリスト教徒ではないということを寺院に証明させるという目的。」(30字)といった「答え」になる。ここでもやはり、「資料」+「知識」で対処することの重要性が分かる。

<時間配分目安:1分半>

攻略のポイント

  • ●本校では「基本的知識を基にした思考力や記述力、また、図表や資料等から必要な情報を読み取る能力を特に重視」(本校HPより)している。それらを問う「設問」では、「リード文」「設問文」「統計資料」「歴史史料」などの「要素」と自分の「知識」を多角的に結びつけて考えることが重要だ。そのためにも、過去問演習を通じて(「解説」を読みながら)、どのような「要素」を組み合わせて考えていけばいいのかを繰り返し確認し、自分でも「多角的思考」ができるように練習していきたい
  • ●「毎日の世界中の出来事に目を向けて、新聞やテレビで伝えられることがこれまで学んできたこととどのようなつながりを持つのか、自ら考える習慣も大切」「時事的な問題が常に家庭の中で話題になる、そのような社会問題に対する積極的な意識づくりまで期待したい」(同HPより)。「時事問題」の重要性を改めて意識しなければならない。
  • ●「基本的な地名や人名その他の社会科用語については、必ず正しい漢字を使って書く」 (同HPより)。「漢字」での習得が必須となる。
  • ●合格ラインは6割弱(過去6年間の「合格者平均得点率」は60.6%、本年度はやや上がって62.3%)。「試験時間」を考えれば「戦術」は不可欠。基本は「取れる問題を確実に押さえる」ということ。潔く「捨て問」にするという覚悟も求められる。「基本的知識」の完全定着で、基礎点(5割強)は獲得可能だ
  • ●もうひとつ。本校では「4科目の配点が全て均等(100点満点)」であることも注意したい。「社会」だからといって手抜きはできない。逆に考えれば「社会」が得意科目である場合、ライバルに大きく差をつけるチャンスにもなる。

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