栄東中学校 入試対策
2017年度「栄東中学校の理科」
攻略のための学習方法
科学法則の理解
科学法則は、暗記するのではなく、きちんと理解しよう。暗記と理解は、似て非なるものだ。教科書に書いてある公式を暗記したら、そこから、どのような物事にその科学法則が活用できるのか、理解を深めておきたい。
例えば、【大問1】の(問2)は、科学法則の暗記からでは、正答できない。法則がどのように導き出されたのかを、理解しておかないと、間違えてしまうように、設問が用意されている。
現代社会は、何気ない暮らしのなかに、いくつもの科学法則がそれとなく潜んでいるので、観察する機会には困らないだろう。実験授業や理科教室も、各地で開催されている。それでも、もし実験の経験が不足していると感じたら、担当の家庭教師に、おすすめの理科の実験教材を紹介してもらってもいいだろう。授業を提供して終わりではなく、子どもの学習状況に合わせて、学習全体を支援できる点に、家庭教師の強みがある。
資料の読解力
資料を読み取る能力は、合否を左右する。中学受験においては(12歳の段階では)、知識の量に、大きな差があるわけではない。そこで、栄東では、志望者を選定するために、「知識の量」だけではなく、「知識の活用」を、試験していると考えられる。資料問題の比重を高くして、「ただ覚えているだけの子ども」と「覚えたことが活用できる子ども」を、判断しようとしているのだろう。
例えば、【大問4】は、天候の知識を暗記しているだけでは、得点できない。どの式を用いればよいのか、あるいは、計算の数値はどこにあるのか、資料から必要な情報を読み解いていく能力が、正答には欠かせなくなっている。
計算の工夫
計算力には、いくつか確認しておきたい点がある。
まずは、試験時間40分の間、細かな数字を扱い続けても、息切れしないだけの持久力が求められる。設問数が多いので、単純に手を素早く動かしていかなければならない。一問一問を解く速度を上げながら、試験の後半になっても速度が落ちないことが求められる。
また、細かい小数点以下の計算になった場合でも、計算の精度が落ちないかも気になる。この点は、小学校5年生の段階から、計算練習を積んでおけば、準備がしやすい。
最後に、試験時間内に、迅速に見直しができるように、式を整理して書き残しておく習慣が欲しい。もし、間違った解答を見つけても、あらたまって計算式を書き直している時間は、本番にはないはずだ。
志望者に求められる計算力としては、本校において、【大問2】の計算問題が、基準になるだろう。過去問の演習において、時間が足りなくなってしまったり、計算式が立てられても計算結果を間違えてしまった場合は、計算力を改善しておきたい。
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2017年度「栄東中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は40分で、得点は75点満点だ。大問数は例年4問で安定しており、分野ごとに整理して出題される。
設問数は25問だ。解答は、ほぼ一問一答の形式に統一されており、記述は1問だけ出題された。資料読解に慣れ、計算の速い受験者が、有利となる試験構成だ。
【大問1】物理分野(運動と速度 ばねの性質)
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
- ★必答問題
問1 資料読解の設問だ。ばねの縮んだ長さは、速度とは比例の関係にあるが、とう達する高さとは比例の関係にはない。とう達する高さが、3、12、27と変化していることから、法則性を発見する力が求められている。
問2 思考力を試す設問だ。運動と速度の単元の、典型的な設問を修正してあり、物理を丸暗記で解いている受験者は正答できないようになっている。物理分野は高難易度の教材で、演習をしておきたい。
問5 はねかえり板Bに到着するまでに1.2秒かかり、はねかえった後、曲線部分では0.5秒がかかっている。したがって、はねかえった後の水平部分では、4.5ー1.2-0.5秒かかることになる。
【大問2】化学分野(熱と温度 ものの燃え方 ものの溶け方)
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
問4 化学変化の前後で、物質全体の質量は変化しない。式が立てられなかった受験者は、理科の計算問題を演習しておきたい。
問6 密度が、体積と質量の関係だと理解しておきたい。計算は、小数点以下の数字を扱っている。
問7 受験者の計算力の目安となる設問だ。
【大問3】 生物分野(生物の分類 人体のしくみ 生命と環境)
- 難度:標準
- 時間配分:13分
- ★必答問題
問1 甲殻類と回答したいところだが、生物の分類を広く考えて、節足動物が正答となる。
問2 正解できなかった受験者は、生物の分類をしっかりと見直しておきたい。栄東の試験では、計算問題以外では、失点しないことを目標にしよう。
問6 面白い設問で、生物から科学技術が得られる恩恵について、理解しておきたい。小学生に向けに執筆された、理科の教養本を一読しておくと、正答しやすくなる。
【大問4】 地学分野(天候)
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
問1 栄東には珍しい記述形式の回答が求められている。地球の自転によって、コリオリの力がどのように台風に影響を与えているかを、自分の言葉で説明できればよい。
攻略ポイント
傾向が明確な学校であり、自分の頭で物事を思考できる受験者を求める傾向にある。
合否を分けるのは、資料読解力と計算力の、2点となる。過去問に目を通せば、どのような資料読解や計算が要求されているのかは、理解しやすいだろう。
いずれの能力も、標準の教材では対応しにくい。
また、記述力の対策はまったく必要ない。
したがって、演習教材は、あらかじめ精選して、解いていきたい。教材の精選が必要な場合は、家庭教師に依頼すれば、必要か不要かの判断をしてくれるだろう。
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