立教女学院中学校 入試対策
2023年度「立教女学院中学校の算数」
攻略のための学習方法
立教女学院中、算数の満点は90点。標準的なレベルの問題が中心だが、複雑で工夫を必要とする計算問題は本校の特徴の一つ。大問の中にも計算力や思考力を必要とする問題も含まれる。各大問内の小問数が多いので、(1)での間違いは大きな失点になりかねないことにも注意が必要である。各単元の出題傾向と学習法は次の通り。
<単元毎の傾向と学習法>
計算問題
近年の出題を見ると、大問1の中の中で整数、小数、分数の計算が3題出題されている。複雑で長めの計算、□を求める問題、工夫を必要とする問題とあり、計算問題とは言え相当な計算練習を積んでおかないと攻略が難しいと言える。計算問題対策としては、複雑な計算問題を含めて毎日5~10題程度の計算練習を行って欲しい。素早く解くことも大事だが、落ち着いて丁寧に解いて正答するという練習を心がけて頂きたい。
1/4=0.25 1/8=0.125など、基本的な分数と小数の変換は覚えること。また、( )でくくるなどの工夫をすることにより、複雑な計算を減らすことを心がけて欲しい。
文章題
今年度は小問で食塩水の濃さ・集合算・比の文章題、大問では流水算が出題された。流水算はレベルの高い内容であった。近年の出題傾向を見ると流水算の出題が多く、食塩水の濃さ・相当算・仕事算・つるかめ算の出題が見られる。割合と比の文章題の出題頻度が高い。この分野の学習方法としては、重点を置いて学習すべき単元は「速さ」と「割合と比」である。特に近年頻繁に出題されている流水算と食塩水の濃さには力を入れて学習して欲しい。ややレベルの高い問題も想定し、問題集の練習問題や応用問題にも意欲的に取り組んで欲しい。
数に関する問題
今年度は、大問で分数数列について、小問集合の中で場合の数について出題された。近年の出題を見ても、数の性質・規則性に関する問題などから出題されている。特に、数の性質についての出題頻度が高い。この分野の学習方法として、まずは数の性質に力を入れて欲しい。倍数・約数を利用する問題、割り算のあまりについての問題、分数の性質についての問題などにはしっかり学習すること。規則性に関しては、数列・数表・図形の規則性などの問題演習をしっかり行いたい。三角数や平方数を用いて解く問題にも力を入れて学習して欲しい。場合の数はいろいろなパターンの問題が想定されるので、幅広く多くの問題を練習して欲しい。計算だけで処理できるものだけでなく、丁寧な調べ上げが必要な問題の練習にも時間をかけたい。
平面図形
今年度は小問の中で角度を求める問題、大問では立体図形の問題の中に複合図形の面積を求める問題が含まれていた。近年の出題を見ると、比を使って解く問題の出題頻度が高く、図形の折り返し、図形上の点の移動についても出題されている。この分野においてはまずは、相似など比を用いて解く問題の練習に時間をかけたい。工夫をすることによって求める求積・求角問題、図形の移動や図形上の点の移動についてもしっかり学習して欲しい。いずれも、多少難し目の問題も想定して欲しい。
立体図形
今年度は大問で体積および表面積を求める問題が出題された。近年の出題を見ると、回転体の求積・水の容積についての出題が見られる。この分野の学習で力を入れて欲しいのは、水の深さの変化に関する問題と回転体の求積である。立体の切断についても基本的なものについては処理できるようにしておきたい。
本校算数のテスト時間は45分であり、正確かつスピーディな処理が要求される。日頃の演習・過去問演習はしっかりと時間を意識して行って欲しい。
また、過去問や模試はまだ仕上がっていない単元や苦手な単元をあぶりだす絶好のチャンスである。単に得点だけを気にするのではなく、失点の多かった単元については、塾のテキストに戻るなどして、もう一度基本の確認を行うことが必要であろう。なお、苦手分野の分析やその対策については、プロの家庭教師へ是非相談して頂きたい
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2023年度「立教女学院中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
45分で大問が4題,小問数が30程度。90点満点で平均点が51.8点、昨年度に比べて大幅に難化している。大問1の計算問題や各大問の中に複雑な計算を必要と設問が含まれているので、45分というテスト時間はかなり短く感じるであろう。大問1の中の文章題など、比較的処理をしやすい問題は素早く処理をした上で、複雑な計算ではミスをすることなく落ち着いて取り組むという姿勢も求められる。過去問など時間を意識した演習も十分に行って頂きたい。
【大問1】計算問題・小問集合
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
(1)やや複雑な小数・整数・分数の混合計算。
(2)小数・分数混合の を求める計算。
(3)工夫(11×11+11=11×12 等)を必要とする計算。工夫なしに強引に計算することは避けたい。
(4)方陣算 一番外側の一回りをダブりがないように4つに分割して考えると、1辺に並ぶおはじきの数は、44÷4+1より12個。12×12 より、おはじきの個数は144個。
(5)場合の数 3桁の整数は3×3×2より、18個できる。偶数は、1の位が0のものが3×2 より6個、1の位が2のものが2×2より4個、計10個。
(6)食塩水の濃さ ①と③については、食塩水の濃さの公式で解くことが可能だが、②については、面積図またはてんびん図を描いた上で比を用いて処理すること。
(7)平面図形・求角問題 まずは、図の中の等しい長さの辺に印をつけること。三角形BEDと三角形ACDは正三角形、三角形ABCと三角形BCDが二等辺三角形になることから求めることができる。
(8)集合算 3つの輪を使ったベン図を描いて考えること。
(9)比の文章題 姉の初めの所持金×4=妹の初めの所持金×6より、初めの姉と妹の所持金をそれぞれ3、2と考える。キーホルダーを買った後の2人の所持金は、1.8と0.8になる。問題文より、姉が飲み物を買った後の2人の所持金の比は3:2なので、飲み物の値段の450円が比の0.6にあたる。
(1)~(3)は計算問題、いずれも複雑であったり工夫が必要であったりと手間のかかる計算問題と言える。本校受験者はこのレベルの計算問題を想定し、十分な計算練習を積み重ねて欲しい。
(4)以降は小問集合。(9)の比の文章題は小問集合の中では最もレベルが高い。
計算問題を落ち着いて処理し、(8)までは確実に正答しておきたい。
【大問2】立体図形
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
(1)半径4cmの四分円から底辺4cm高さ4cmの直角二等辺三角形を引いた形8個分になる。
(2)(1)で求めた底面積に高さの8をかければよい。
(3)底面積×2+側面積で求めることができる。底面積は(1)で求めた値。側面積は半径4cmのおうぎ形の弧の長さ8個×高さの8となる。
(4)側面積は(3)で求めた数値+1辺8cmの正方形4つ分。底面積は正方形の面積-Aの底面積の2つ分となる。
立体図形についての出題。底面の形は平面図形の問題として頻繁に出てくるものなので、比較的考えやすかったのではと思われる。(4)の集まりBの表面積を求める時に、1辺8cmの正方形4つ分を加えることを忘れないこと。また、いずれの設問も計算ミスが起こらないように落ち着いて処理すること。
【大問3】分数数列
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
(1)小さい順に並べるので、分母は大きく、分子は小さくすることを考える。
最も小さな分数は1/99、2番目は2/99と1/98を比較すると、1/98の方が小さい。
(2)最も大きな分数は、1に最も近い分数になる。98/99が1との差が1/99であり1との差が最も小さい。
(3)分子が2で最も小さな分数は2/99である。2/99より小さな分数は、すべて分子が1の分数で、分母は99から50までの50個。従って、2/99は51番目。
(4)3/95の分子を1にすると分母は31.666…となる。従って分子が1で3/95より小さな分数は分母が32~99の68個。同様に分子を2にすると分母は63.333…。従って分子が2で3/95より小さな分数にするためには分母は64~99となるが、既約分数を作るためには分母は奇数にしなくてはいけない。64~99の中で奇数は18個。分子が3の分数の中で3/95は3番目に小さいので、68+18+3 より、89番目。
分数数列についての出題。(4)では、分子を1および2にした時の分母に注目することがポイント。「既約分数」という条件も忘れないこと。
【大問4】流水算
- 難度:難
- 時間配分:12分
(1)2人乗りで子供2人を乗せて900m上るのに250秒かかるので、この時の秒速は3.6m。無人だと秒速0.6m速くなり、秒速4.2m。3人乗りで無人で上る時の秒速は3m。無人の静水時での2人乗りの速さを④、3人乗りの速さを③とすると、④-流れ=4.2、③-流れ=3 となるので、①=1.2、流れは秒速0.6mとなる。
(2)3人乗りに大人3人が乗った時の流れの速さは、3-0.5×3より、秒速1.5m。
900÷1.5=600 より、600秒=10分となる。
(3)2つの船で上ることになるので、遅い方の船の速さをできる限り速くすればよい。
3人乗りに子供3人、2人乗りに大人2人とすると、3人乗りの上りの速さが秒
速2.1mとなり、このときが最速となる。
(4)遅い方の船が9000/19秒かかったことになる。この時の秒速は1.9mなので、3人乗りには大人1人子供2人が乗ったことになる。従って、子供は2人しかいなかったことになるので、2人乗りには大人2人が乗り、上りの秒速は3.2mとなる。
流水算の出題。条件がかなり複雑であり、この条件の理解が大きなポイント。(1)を正答できれば(2)も十分正答可能なので、(1)が正答できるかどうかで明暗が大きく分かれる。(3)(4)は「最速で」の意味が理解できるかがポイント。「最速で」だが遅い方の船のことを考えるというところがミソ。
攻略のポイント
テスト時間45分で90点満点,合格者平均点は51.8点(58%)で昨年と比べて大幅に難化している。
大問1では3題の計算問題が複雑であり、ここを落ち着いて処理できるか大きなポイント。大問1の中の文章題等の小問集合はいずれも標準的なものが中心であり、ここでは時間をかけずに処理したい。
大問3題は立体図形・分数数列・流水算の出題であった。この中で、大問4の流水算は最もレベルが高く、(1)を正答できるかどうかで明暗が大きく分かれる。大問2・3の中にもややレベルの高い問題も含まれているが、大問2の(1)~(3)、大問3の(1)~(2)は落ち着いて確実に正答したい。
攻略のポイントとして、まずは正確な計算力を身につけることがあげられる。大問1の計算問題だけでなく、各大問を処理する上でも複雑な数字設定が見受けられる。日々の計算練習をしっかり行うことが大切で、工夫をすることによってできるだけ複雑な計算を減らすことを心がけて欲しい。
本校の大問は、大問の中の設問数が4つ、時には5つと奥が深いという特徴がある。各大問前半の(1)(2)を慌てずに落ち着いて処理するということも本校攻略のポイントになる。
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