立教女学院中学校 入試対策
2021年度「立教女学院中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
論説文(随筆)と物語文の2題が定形となっている。文量は計6000~8000字ほど。解答数は20問前後と少なめである。
記号選択・書き抜き・記述とバランスよく出題されている。記述問題は字数指定の無い、100字超の字数のものが、論説文・物語文で各1題ずつ出されるのが特徴的である。
その他、漢字の読み書きが7~8問、ことばの知識が数問出題されている。
長文読解
論説文・物語文ともに、無理に難解な素材文は使われていない。小・中学生を対象とした説明や年齢の近い主人公の話など、小学六年生が理解・共感しやすい文章が多い。
難問集などをこなす必要はないので、読解問題の基本的な技術を身につけていけば良い。
つまり……論説文であれば、段落の整理。形式段落を意味段落にまとめ、意味段落の内容をおおまかにとらえておく。各段落の最初と最後に注意して、要点をマークする。傍線や矢印などで目立つようにしておき、関連する箇所を結んでおく。全体を見渡して要旨を読み取る。最後の結論部分は特に大事である。
物語文であれば、場面分け。時間・場所・登場人物の移動などに着目し、場面の変わり目を確認しておく。人物の言動や情景などに注意し心情を考える。性格が違えば物事に対する反応も異なるので、どんな人柄なのかは大事である。最終的に、だれのどんな気持ちを描いた話なのか、主題を考える……といったことである。
書き抜き・記述
書き抜き問題は親切に作られている。「何のためですか」・「どのような考え方ですか」と訊かれたら、「~ため」・「~考え方」と書かれた部分が文中にあるので、答えを見つけやすい場合が多くなっているのである。
また、「文章をふまえて自分で考えて書きなさい」という問いもあるが、その場合は文中に適切な箇所があるものの、そのまま使ってはいけないので自分の言葉で言い換えたりすればよいということになる。
得点源にしやすい問題なので、書き抜き問題を多くこなして得意になっておくと良い。
記述問題は字数指定が無い。解答欄の大きさから考えて100字超ほどでまとめることを想定しているようである。字数の多さに腰が引けそうにもなるが、設問で「文章中の表現を用いて」と指定される場合が多い。つまり、文中の適切な部分を抜き出して使って良いのである。
ただし100字超ともなると抜き出す要素は4~5つほども必要になり、まとめるのにも時間がかかる。難易度自体はさほど高くはないので、類似問題で100字超という字数のまとめ方に十分慣れておきたい。
普段から、読んだ文章を100字程度で要約する練習をしておけば、対策にもなるし読解力アップにもつながるので、ぜひ実行してみることをお薦めする。
漢字・その他
漢字はそれほど難しい問題は出ていない。標準~中級レベルの漢字をしっかり練習しておこう。ことばの知識も数問出されることがある。
語彙は読解力にもつながるので少しでも増やす努力を。
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2021年度「立教女学院中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
最新年度では論説文約2400字・物語文約5800字の計8200字ほどになっている。
総解答数は22問と少ないが、長文記述2題はやはり時間がかかる。記述で使えそうな部分をマークしておいてとにかく最後まで解き進め、残りの時間で落ち着いて記述問題に取り組もう。記述2問に10~12分程度は使えるようにペース配分を考えたい。
【大問一】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:21分
- ★必答問題
人間の家族や社会という仕組みにおいては、子どもを作らないおじいさんやおばあさんが子育てや知恵の伝達に大きな役割を果たしている。
問一 ① 対等――優劣・上下などの差がないこと。
④ へ(る)――時間がたつ・通過する。
問二 Ⅰ. 動物は子育てが終われば寿命が尽きる「しかし・ところが」人間はその後も長生きする。
Ⅱ. 動物が三世代一緒に暮らすことはないという例としてキツネを挙げている。
Ⅲ. 人間にはおじいさんやおばあさんがいる。「そしてその」おじいさんやおばあさんの存在が人間を進化させた。
Ⅳ. おばあさんは女性として孫の世話をする。「では・それでは」おじいさんはどうか。
問三 子どもを作らなくなったおばあさんやおじいさんまでが、孫の世話をする(おばあさん)・守ったり食料を調達したりする(おじいさん)という役割をもつようになった、という流れを説明している部分の後に「こうして」とまとめとしておけばしっくりするので、【C】がよさそうである。
問四 直前のおばあさん・おじいさんの役割(孫の世話をする・守ったりする)を指している。まとめると「子どもを無事に大人に育てあげること」で字数ぴったりになる。
問五 長い年月を生きてきたおじいさんやおばあさんには豊かな経験とそこから身につけた知恵がある。その知恵や技術を子孫に伝えてアップデートしていくことで、人間は文化を発達させ文明を築くことができた。知恵が受け継がれないとしたら、社会の進化は止まってしまうのである。
問六 問五も参照。年寄りの役割の一つは子孫に「知恵を授ける」ことである。
【大問二】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:24分
父の転勤で移住したカナダで仲良くなったアディソンが他州への引っ越しを嫌がっており、主人公も一人ぼっちになることに恐れを抱くが、「なんとかなるさ」という言葉で気持ちを前向きにしたアディソンの決意を邪魔しないようにしたいとも考える。
問一 ② 悲鳴――悲しんで鳴くこと。その声。
④ つごう――物事をするときに、他の物事に影響を及ぼす事情。
問二 「自分のことばっかり考えてる」もあるが字数が少ない。子どもの立場からの発言であることが明示されている「子どもの言うことなんて聞いてくれない」が字数も適当でよい。
問三 今晩泊まれることになったのは良いのだが、明日には帰らなければならないのですっきり憂鬱が晴れたわけではない。
問四 アオイが検索している言葉を見て過去の記憶がよみがえり、「なんとかなるさ」という言葉の意味に考えがおよんで前向きな気持ちが生まれている。
問五 「また、一人になっちゃうと思った」と怖かったことが示されている。しかし、「なんとかなるさ」という言葉にどんな選択をしても幸せになれる可能性があるのだと引っ越しに前向きになったアディソンの気持ちを尊重してあげたいという、相反する気持ちもある。
問六 「なんかいいかげんだから、あまり好きじゃない」と思っていた母の「なんとかなるさ」という言葉だが、アディソンの気持ちを前向きに後押しした現実を見て、たしかに「いい言葉」なのかもしれないと思い始めている。
攻略のポイント
高い偏差値からすると問題自体の難易度はさほど高くはなく、合格者平均点も90点満点中、約8割にも達する。しかし、年度によりばらつきがあるので、毎年この難易度であると思ってはいけない。できるだけ多くの過去問をこなし、難しい問題にも慣れておくこと。
100字超の記述問題には対策が必要だが、全体的に意地悪な難しさの試験ではないので、無理に難問で練習しなくても良い。得点しやすい問題も多いので、とにかく最後まで一通り手を付けるスピードをつけ、記述問題をまったくの空欄にせず、必要最低限の字数(できれば9割)まで書いて部分点を取れるよう、こつをつかんでおきたい。
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