鷗友学園女子中学校 入試対策
2020年度「鷗友学園女子中学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
例年、文学的文章・説明的文章1題ずつの計2題。出題形式は記述のみ6~7問。過去には選択肢問題の出題もあったが、近年は見られない。記述しなければならない文量は、およそ500字。文字を書く時間が相応に必要となるので、読む時間と合わせてその時間も考慮する必要がある。
文章量については文学的文章の字数が多い分、説明的文章の字数は少なめになっている。模擬試験等で出題される文章量と比べて特に多くはないので、大手学習塾等での通常の学習(教材・模擬試験等)を行っていれば、極端に文章量が多く感じることは無いだろう。設問数にも言えることだが、文学的文章の比重がやや大きくなっているので、その点は意識して準備しておかれたい。
素材文は受験生の年齢を考慮した読みやすい内容・設定のものが多いので、特別に国語が苦手な人でなければ苦労はしないはずである。
記述式問題
漢字以外は全て記述問題という本校の特徴的な出題に、慣れていない人や苦手な人は尻込みしてしまうかもしれない。
しかし、過度に心配する必要はない。
まず、上で述べたように素材文が適切な難しさであること。内容を理解するのはさほど難しくはない。
また、設問自体に書くべきポイントを示してくれている点。「~な点もふくめて」・「A・B・Cの関係もふくめて」といったように、答えるべき最重要点に付け加えて書くべきポイントをはっきり述べてくれている。このあたりは過去問を多くこなして、設問の指示に素直かつ忠実に記述できるように練習しておいていただきたい。
また、訊かれる内容も「自分の言葉で答えなさい」・「あなたはどう思いますか」といった自分の言葉で論じる形のものではない。素材文の中の適切な部分・文章を使ってまとめられるものが多い。小説などは人物の心情を説明しなければならない場面もあるが、論説文は要点をうまく編集して解答できる場合が多いのである。
以上のようなことから、試験にあたってはまず設問にざっと目を通し、書くべきポイントとその数をおおまかに把握するのが良いだろう。読み進めながら必要な部分に傍線なりマークなりをつけておけば後でまとめやすい。
記述だけで500字ほども書かなければならないのは確かに大変ではあるが、難易度としては超難問というほどでもないので、まずは素材文をしっかり理解する読解力をつけて、さらに類似の問題で記述の分量に慣れておくこと。臆せずに記述問題に向かい合っていただきたい。
漢字・知識
例年、漢字の問題が5問(配点10点)出題される。漢字だけを先に済ませて長文読解に集中できるのはありがたい。難易度も中級レベルなので、塾等での漢字学習に油断なく取り組んでおけば心配する必要はない。
また、言語事項の出題が無いのも大きな特徴である。この点で特別な対策が要らないのは助かるが、そもそもは言葉の知識が十分にないと正確な読解が期待できないという事実を忘れてはならないのであって、この分野で手を抜いても良いということではない。漢字同様、普段使用している教材をしっかり学習しておいていただきたい。
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2020年度「鷗友学園女子中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長・短あわせて記述が6問・漢字の書き取り5問という潔いとも言える問題構成である。漢字は1~2分で終え、残りは読解と記述に充てることになる。
素材文は計10700字ほどにもなるが、受験生の年齢を考慮した読みやすい内容が多いので、さほど苦労せず読めるだろう。設問に先に目を通して必要な部分にチェックを入れながら読めば後で解答をまとめやすい。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:26分
- ★必答問題
学業や百人一首では優秀だが人と積極的に付き合えなかった主人公が、大会のための練習を通して人と関わる喜びを感じる。
問一 勉強はできるがつまらない奴だと言われて自分を卑下している主人公が、人気者で皆から慕われている飯島さんや足立くんをうらやましいと思っていることが語られている。この問題では「足立くん」に対する気持ちを訊かれているので、「飯島さん」のことは書かない。
問二 他の人には話していないが、主人公には大会で優勝したい理由を語ってくれている。学年末に転校が決まっており、自分にとって期末までの行事は百人一首大会が最後である。その最後の大会で優勝し賞状をもらって、この学校での思い出にしたいと思っている。
問三 戦いの主戦力である主人公が指を負傷し、利き手が使えなくなるアクシデントが発生した場面である。その戦力ダウンを、ひそかに練習を続けていた飯島さんがカバーした。それに気づいた足立くんも、自分の近くにある札を急遽暗記して、主人公の負担を減らそうと考えたのだと思われる。
問四 学年一位というテストの成績は自分ひとりの努力で勝ち取れるものである。しかし、百人一首の大会での優勝は、仲間とともに勝ち取ったものである。人付き合いに積極的になれなかった主人公が心を開いて仲間と付き合うことの喜びを知り、そのおかげで飯島さんの願いをかなえてあげることができたこともまた大きな喜びだっただろう。この優勝にはいくつもの喜びが重なっているのである。
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:17分
人は誰かを支え、誰かに支えられることで生きていける。障害者が社会に出て自立することで、そのことに影響を受け教えられ支えられる人がいるという事実において、障害は「障害(邪魔であるもの)」ではなくなると筆者は主張している。
問一 直前の一文に質問の答えが集約されているので、短くまとめる。「人から頼られたり、自分が誰かを支え、人の役に立っている存在なのだと実感できることが、生きていくうえで大切な要素」であるということ、ここを40字以内でまとめればよい。
問二 鹿野さんは施設にいるときはあくまで「世話される」立場で、外の世界の健常者をうらやましがっているだけだった。しかし、施設を出て自立生活を始めて、健常者も健常者というだけで幸せなわけではなく、障害者である自分がボランティアや介助者を支える側に回ることもあると気づいた。鹿野さんを世話したことで医学や介護の道を志す人もいた。鹿野さんが他人に介助されることが他人を支えて他人の役に立っているというこの事実は、障害が「ただ世話をされる」だけの存在ではないことを示しており、その意味でもはや「障害(世話をされるだけ・他人の役に立たない)」ではないのである。
【大問三】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:2分
- ★必答問題
(2) 密閉――すきまの無いようにぴったり閉じること。
(3) 養蚕――蚕を飼って育てること。繭から生糸を作るため。
(5) 温故知新――過去の事実を研究し、新たな見識などを得ること。「故きを温ねて新しきを知る」。
攻略のポイント
記述の分量が多いのは確かだが、特別な難問にはなっていない。素材文がわかりやすい内容であるし、「あなたはどう思いますか」といった自分で論説するような記述問題でもない。
特に論説文の方は文中の手がかりや適切な箇所を利用してまとめられる問題が多い。ただし、小説のほうは心情を説明しなければならなかったり問題数が多かったりと、やや比重が重い点は意識しておこう。
同じように記述問題が多い他の学校の過去問なども利用して、書くことへの抵抗感を無くせるように経験を積もう。
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