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武蔵中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「武蔵中学校の社会」
攻略のための学習方法

問題構成

2000字ほどのリード文を読み、数問の選択式問題と記述問題に答えていく形式。資料や統計がよく用いられている。リード文のテーマは年度によりさまざまで、政治経済中心の年もあれば大部分が地理の年度もある。問題もリード文の分野に従って出されるので、まんべんなく出題されるわけではない点、注意が必要である。

記述問題は1行のものから50字程度のもの、300~400字ほど書けるものと数パターン出題されている。いずれも字数の指定はない。特に最後の論説型の記述は、かなりの経験を積んでおかないとうまくまとめられずに時間を失うことにもなりかねない。

記述問題

記述に特化した試験なので書く分量は多くなる。しかし、特別に高度なテクニックやテキストに出てこない難解な知識が求められているわけではない。記述問題といえども、書く土台となるのは基本的な社会科の実力である。まずはテキストをマスターし、補助教材で知識にしっかりと厚みを持たせよう。

その上で、類似の記述問題を多くこなし、設問で求められていることに適度な字数で的確に答えられるように練習を積む。訊かれるのは単なる知識や用語の説明ではなく、多くは事件・出来事の背景や理由である。勉強の際には、なぜそのような出来事が起こったのか、当事者の考え・意図はどうだったのかなど、考えながら覚えていこう。統計や資料の数値から、それまでの経緯や今後の動向などを類推する練習をしよう。記述問題が多いのは、社会的な物事についてよく考える習慣がついているかどうかを見たいのであろう。

それが最もよく表れているのが、論説型の大型記述である。与えられたテーマについて見たことも聞いたこともない状態では書くのにも困ってしまうので、知識量も必要とされる。社会を取り巻くいろいろな問題について考えた経験がないと、十分な字数も埋まらないであろう。深く考えられる生徒が求められている

ただし、リード文には考える手がかりとなりそうなキーワードが示されている場合が多い。2017年度を例に取れば、「里海」や「エコパーク」などの語である。出題者の想定した解答の方向性がなんとなくわかるであろう。このような文中の手がかりもうまく使って、設問で訊かれているポイントから外れずに、文章に破綻がないようにまとめられるよう、過去問や傾向の似た学校の試験でこつをつかんでおこう。

統計・資料

毎年、統計や図版などの資料が必ず用いられている。数字の持つ意味や、画像の特徴などに気づけるように、統計資料や資料集など最新のものに目を通し、見方に慣れておくことが重要である。

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2021年度「武蔵中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

本年度は日本における新聞の発展と現在についてリード文が示され、戦時中の言論統制や新聞とインターネットとの比較など、歴史・政治経済分野に比重が置かれた出題であった。

選択肢問題は1題だけで、問題数自体は少ない。本文を参考に出来る問題から手際よくまとめ、自分で考える大型記述に時間を多く回したい。過去問でそうした時間配分のこつをつかんでおこう。

【大問】

  • 難度:
  • 時間配分:40分
  • ★必答問題

日本における新聞の発展と現在というテーマで、歴史と政治経済について考える問題が多く出されている。

問1 当時は「新聞が世論を形成するという意見は幕府には受け入れられなかった」という背景があったことが本文中で示されている。政治に反対するような世論が形成されるのを防ぐために、瓦版も幕府に批判的な内容の記事や図版などを掲載すると厳しい取り締まりや処罰を受けた。そのためそうした政治的な内容は避け、現在で言えば「社会面」のような庶民が好む事件・事故の記事を主に載せたのであろう。

問2 鎖国中も長崎で貿易を許されていたオランダと中国(清)の商館を通じて、「オランダ風説書」「唐風説書」という海外情報の報告書が幕府に提出された。

問3 福地源一郎の発言から抜き出してみよう。「どうやって新聞記者は我々のことを詳しく知ることができたのか」という取材力や、「昨日のことを今朝記事にできるのは何という速さなのか」という発行技術に驚いている。記事の内容についても「内閣が批判され、記者が堂々と議論し遠慮なく意見を言う」ことをうらやましく思い、「政治についての世論を左右するのは新聞の力だ」と、政治や世論に対する新聞の影響力の大きさを強く感じている。

問4 自由民権運動は当時の藩閥政治を批判し自由を求めた政治活動で、具体的には国会開設による国民の政治参加、憲法の制定、不平等条約の撤廃、地方自治などが求められた。

問5 戦時中は印刷・出版物に対して検閲が行われていた。政府に都合の悪い内容や批判的な記事・戦争に反対するような意見が載せられた記事は発行禁止(発禁)となり人々の目に触れないようにされ、政府を礼賛するような記事ばかりになった。戦争については軍による「大本営発表」として不利な戦況は隠して日本に有利な情勢だけ発表され、新聞はそれをそのまま報じるしかなかった。

問6 (あ) そもそも人口が増えた戦後の1960~80年代前半・1985~90年代前半にかけて、特に部数の伸びが大きくなっている。特に戦後2回のベビーブーム、その時に生まれた子どもが大人になる時期と部数の伸びが一致している。結婚による世帯数の増加は一軒に一通の新聞契約につながったであろうし、経済成長による会社などの組織の増加では、各種新聞を閲覧できるように各部署に複数の新聞が配られ、大口の契約となったことも考えられる。社会全体が豊かになり経済的な余裕が生まれたこと、社会人の常識として新聞くらいは読んでおかなければ恥ずかしいという世間の雰囲気もあったと思われる。

   (い) インターネットやスマートフォンで情報を得る人が増えたことが大きな要因であろう。これはスマホ料金の支払いが新聞代にとってかわったと考えることもできる。また、時代が進むにつれ社会や経済・政治に関する関心が薄れ、個人の趣味・嗜好が重視されるなど興味の対象が変化してきていること、時期的にバブル崩壊以降長く続く経済の縮小・低成長で収入が減り新聞代が負担になったことも原因であると考えられる。  

問7 インターネットやSNSで発信される情報は素早く更新され手軽に入手できるが、そのぶん発信者が情報を精査する時間は限られその精度が低い傾向がある。発信者は匿名でもかまわず、誤報だった場合の責任の所在も不確かな場合も多い。一方、新聞の記事はその分野に詳しい記者が時間をかけて取材し、記名のうえ紙面に掲載される。情報としての信頼度は新聞のほうがはるかに高いと言える。

また、紙の媒体である有利さもあるだろう。印刷物であることで保存が容易であり、いつでも繰り返し読むことができる。難しい内容の長い文章はスマートフォンの小さな画面やパソコンのディスプレイでは読みづらいという点も、新聞や書物など紙媒体の利点と言えよう。

攻略のポイント

記述問題が大半を占める試験ではあるが、背景として必要とされるのは基本的な社会科の実力である。そこにプラスして、新聞やニュースなどで社会のできごとについてよく考え、そうして培った社会に対する考察力といったものが答案を書く推進力になる。

勉強に限らず、身の回りで起きた事件や世界の情勢など、様々な出来事の原因や結果・その後の影響などをよく考え、考察力を養おう。海城中学など、傾向の似た試験も利用して、十分な経験を積んでおきたい。

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