武蔵中学校 入試対策
2018年度「武蔵中学校の社会」
攻略のための学習方法
問題構成
2000字ほどのリード文を読み、数問の選択式問題と記述問題に答えていく形式。資料や統計がよく用いられている。リード文のテーマは年度によりさまざまで、政治経済中心の年もあれば大部分が地理の年度もある。問題もリード文の分野に従って出されるので、まんべんなく出題されるわけではない点、注意が必要である。
記述問題は1行のものから50字程度のもの、300~400字ほど書けるものと数パターン出題されている。いずれも字数の指定はない。特に最後の論説型の記述は、かなりの経験を積んでおかないとうまくまとめられずに時間を失うことにもなりかねない。
記述問題
記述に特化した試験なので書く分量は多くなる。しかし、特別に高度なテクニックやテキストに出てこない難解な知識が求められているわけではない。記述問題といえども、書く土台となるのは基本的な社会科の実力である。まずはテキストをマスターし、補助教材で知識にしっかりと厚みを持たせよう。
その上で、類似の記述問題を多くこなし、設問で求められていることに適度な字数で的確に答えられるように練習を積む。訊かれるのは単なる知識や用語の説明ではなく、多くは事件・出来事の背景や理由である。勉強の際には、なぜそのような出来事が起こったのか、当事者の考え・意図はどうだったのかなど、考えながら覚えていこう。統計や資料の数値から、それまでの経緯や今後の動向などを類推する練習をしよう。記述問題が多いのは、社会的な物事についてよく考える習慣がついているかどうかを見たいのであろう。
それが最もよく表れているのが、論説型の大型記述である。与えられたテーマについて見たことも聞いたこともない状態では書くのにも困ってしまうので、知識量も必要とされる。社会を取り巻くいろいろな問題について考えた経験がないと、十分な字数も埋まらないであろう。深く考えられる生徒が求められている。
ただし、リード文には考える手がかりとなりそうなキーワードが示されている場合が多い。2017年度を例に取れば、「里海」や「エコパーク」などの語である。出題者の想定した解答の方向性がなんとなくわかるであろう。このような文中の手がかりもうまく使って、設問で訊かれているポイントから外れずに、文章に破綻がないようにまとめられるよう、過去問や傾向の似た学校の試験でこつをつかんでおこう。
統計・資料
毎年、統計や図版などの資料が必ず用いられている。数字の持つ意味や、画像の特徴などに気づけるように、統計資料や資料集など最新のものに目を通し、見方に慣れておくことが重要である。
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2018年度「武蔵中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
本年度は銅の生産と消費をテーマに、2700字ほどのリード文で、江戸時代以降を中心とした銅に関連する歴史などが示された。
問題数自体は少ないので、選択式問題を手早く終えれば、残りを記述に充てられる。本文を参考に出来る問題から手際よくまとめ、自分で考える大型記述に時間を多く回したい。過去問でそうした時間配分のこつをつかんでおこう。
総合問題
- 難度:難
- 時間配分:40分
- ★必答問題
問一 別子銅山は伊予国にあった、とある。伊予は現在の愛媛県なのでカが選べる。足尾銅山は渡良瀬川流域で鉱毒事件が発生したことで有名な場所。栃木県なのでウ。阿仁銅山は秋田藩による、と文中にあるので迷わずアが選べる。
問二 文中に、当時の貿易相手は中国(清)・韓国・オランダなど、とある。この中で乾物のアワビやフカヒレを多く使うのは中国料理である。
問三
(あ) かつての日本は中国から輸入した貨幣を使用していたが、江戸幕府は金貨・銀貨・銅銭を多く発行した。銅の産出量が減ってきたので、輸出にばかりまわしては銅銭を発行できなくなる恐れがあったと思われる。
(い) 18世紀末に日本と近づこうとしていたヨーロッパの国とは、1792年のラクスマンの来航のことを指している。ロシアに通商を求められたが幕府は断った。同様に欧米の強国が開国を求めてくることが予想される中、現状を維持するためにはオランダとの関係を悪化させないことが重要だったと考えられる。
問四
(あ) 広い土地を持つ農民とは地主や庄屋たちである。多くの土地を持たない農民から小作料(年貢米)を受け取っていた彼らが、鉱山に労働力を取られてしまうのは面白くなかったはずである。
(い) 銅山では様々な作業で多くの人手が必要とされることが文中に示されている。小作として働くことに不満を持っていた農民や、銅山が開かれて人が集まることで新たな商売を始められる商人は、銅山の再開を喜んだであろう。
問五 文中に「トンネルの整備・排水」の文字がある。トンネル工事では地下水の流出が大きな問題となる場合がある。図で示されているのは排水作業のようである。低い所から高い所へ人力で水を上げている様子がわかる。現在ならポンプで吸い上げるところであるが、そのような技術がない時代なので、排水も人力で行われていたのである。
問六 示された品目の中で、綿糸・綿織物だけ材料を輸入していることに注目する。綿花の輸入代金がかかる。銅・石炭・生糸は原材料を国内で調達できるので、輸出した際に「原材料の輸入代金分」だけ、綿糸・綿織物より利益率が高くなるわけである。
問七 銅は電気伝導率が高く、やわらかいので加工がしやすいという特徴がある。銀も伝導率がよいが銅は価格が安い。また、熱伝導率もよいので、鍋などにも使われる。銅線が必要な技術としては半導体の回路などもあるが、大量に使われて社会や経済を大きく変えるとなると、電気の通り道としての電線が思い浮かぶだろう。電気を送れることで様々な電化製品・産業用機械の使用が可能となり、人間の労力を省き、大量生産もできるようになった。鉄道は大量輸送に役立ち、電信・電話・テレビなどは情報を瞬時に遠くまで伝えることを可能にした。近年では半導体を用いたコンピューターがあらゆる分野での効率化・高速化を実現している。銅線のもたらした電力の影響はまことに大きなものがあったのである。
攻略のポイント
記述問題が大半を占める試験ではあるが、背景として必要とされるのは基本的な社会科の実力である。そこにプラスして、新聞やニュースなどで社会のできごとについてよく考え、そうして培った社会に対する考察力といったものが答案を書く推進力になる。
勉強に限らず、身の回りで起きた事件や世界の情勢など、様々な出来事の原因や結果・その後の影響などをよく考え、考察力を養おう。
海城中学など、傾向の似た試験も利用して、十分な経験を積んでおかれたい。
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