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明治大学付属明治中学校 入試対策

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2019年度「明治大学付属明治中学校の算数」
攻略のための学習方法

「正攻法で攻めよ」明明の算数対策を一言で表わすならば、これに尽きる。
とりたててスピードも要らないし、超難問を解きほぐせるひらめきも要らない。受験算数という枠組みの、真ん中の道を進んでいけば、おのずから合格への道は開けよう。

《オーソドックスな問題》

50分で大問5題、設問15・6題という分量はきわめてオーソドックスである。上位校としては、やや少なめかもしれない。普通に研鑽を積んでいけば、時間不足になって解けないと言うことは無い。持っている力を十分に出して問題にあたれるはずだ。

また、難易度について言えば、やはりオーソドックスな難問が並んでいるという感じである。易しいとは言えないが、決して解けないレベルではない。

他校に見られるような「捨て問」の類がきわめて少なく0点から100点までで算数の力が競える。点差はつきやすくなるが、算数が得意な生徒は満点近くを狙えるし、なにより奇問・超難問によって生徒が悩むことがないのはきわめて評価できる点だ。どの問題にも既視感があり、生徒は安心して問題解法に進んでいけることだろう。

しかしながら、明明の壁は高く、そのハードルを越えるのは容易ではない。

つまり、自分から見て「簡単だ」と思えるものは他者がみても同じであり、自分から見て「やりやすい」と思えるものは、他者から見てもやりやすいからだ。ここは誤解しやすいところである。明明の競争率が高いのは、テスト問題へのとっつきやすさも影響している。

ある生徒が「やりやすい」と感じて選択するとき、他の生徒たちも同じ感想を持って明明を選択している。奇問・超難問を克服するよりは確かに対策は立てやすいが、いまわの際でライバルたちに差をつけなければならない困難さも理解しておこう。

《公式の応用》

では、実際の入試問題において、明明対策はどのようになされるべきか。

どの問題にも一貫して言えることは、手数のかかる問題が多いと言うことだ。大問【1】の計算問題から始まり、大問【5】最後の設問に至るまでそれは徹底している。

「公式」と言うものがある。「公式」に当てはめれば答えが出るという問題も数多く存在するが、明明ではあまり見かけない。(「公式が分れば解ける」これは簡単を意味しない。特異な公式を使えば一発で出来ても、知らないと解けないか解法に苦労するという問題はたくさん存在する)

代わりに多く登場するのが、「公式」は分っていても、それだけでは解けないという、公式の応用を試される問題である。

明明で頻出の内容に「速さ」と「割合」がある。
この2つの内容は、誤解を恐れずに言えば、公式は一つずつしかない。
よく「割合の3用法」とか「速さの3つの公式」とか言うが、1つの式の解く箇所を変えているだけである。だから、普通の受験生であれば「公式」を知らないから解けない、という分野ではない。

平成27年度の問題にも、この2つの分野から出題はいくつも見られる。「食塩水」と「速さの比」と形を変えてはいても、使うのは「割合」と「速さ」の公式である。しかし、解ききるのは容易ではない。公式を何度も駆使して、ようやく解答までこぎ着けるというスタイルを取っている。

つまり、明明の算数では「公式の暗記量」よりも「公式の応用」に完全に重点が置かれていることがわかる。「規則性」の問題が意外に少ないのは、「規則性」の場合、その周期や決まりが分れば「公式」にあてはめて一発、という問題が多いからではないか。その代わり、「場合の数」のように、究極的な解き方は「数え上げる」という手法になる内容は多く出されている。

さらに言えば、明明の場合、「公式」にあてはめてさらっと解ける問題を避け、非常に手数のかかる、作業中心の問題が多い。

大問【1】では、計算問題は分数や小数、整数の混合算であり、逆算を要求されることもある。ここでも、「計算の工夫」一発というよりは、泥臭く計算を積み上げていくという問題が多い。一行問題には「和と差」「割合と比」「平面図形」などが多く出題されるが、やはり「公式は知っている」という前提でそれを使いこなせるかどうかが試されている。

大問【1】は、式は不要で、答えだけを求めればよいという形式ではあるが、大問【2】以降とさして変わらぬ作図や式が必要となる。多少難易度が低く設定されているだけである。

大問【2】以降では、より手作業が必要な問題が増えてくる。
「割合と比」、「速さの問題」、「場合の数」などである。

これらの内容は、大問【1】よりも難易度が高めに設定されているがやることはさして変わらない。よく知っている、よく使ってきた「公式」や「考え方」を用いて、丹念に作業を積み重ね、正解まで持って行くという地道な努力があるだけだ。

しかし、学校側はまさにそこを要求しているわけで、コツコツと作業をしていく問題が得意な生徒には向いていると言えるだろう。

その代わり、男子によく見られる例で、ひらめきにかけては自信があるが、ノートに式を書いて求めていくのはイヤ(何が書いてあるのかさっぱりわからない~)という生徒、または苦手な生徒はこれから自分自身のやり方を方向転換しなければならない。この学校の姿勢がそうである以上、それに合わせて自分のスタイルを変えていくのが賢明な受験生である。

今までのことをまとめると、この学校では作業を要求される問題を多く出題するので、生徒はそれに対応できるように努力するべし、と言うことになる。

《実践問題演習》

では、どのように普段の勉強を積んでいけばよいか。

まず、大問【1】レベルの、基本ではあるが、基本の中では最上級クラスの問題の解き方を身につけることが先決だ。ここでの5問は、明明合格への競争に参加できるかどうか、という資格が問われるところだ。このレベルで苦戦しているようでは、まだ後半の問題に取りかかるのは早計である。まずは一行問題を極めよう。手元によい問題集なり参考書があるはずだ。

そして大問【1】を突破し、大問【2】~【5】の問題に挑むにあたっては、過去問も含め、解く問題の分量はどうしても限られてくるので、要領よく時間を使って“合格の力”をつけたい。

大切なことは、問題の難易度に注意するということ。問題が易しすぎては話にならないが、超難問に時間を費やしても「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」である。自信もなくしかねない。過去問と同じ難易度を持つ他校の問題、たとえば「芝中」や「城北中」のような、男子進学校の問題を選んで解けばよいだろう。後半にある「捨て問」覚悟の難問ではなく、中盤の問題で十分だ。

また、出題範囲は限られているので、その分野の問題に絞って作業のコツなどを身につけながら力を蓄えていくのもよい。

特に、「動く点」の問題や「場合の数」の場合は、式ではなくて、表などに数値をまとめていくことが多い。ていねいに数値を数えていけるよう、普段から気をつけて作業に臨みたいものだ。
はじめのうちは時間を気にしなくてよい。納得いくまで時間をかけて問題の深みを味わおう。明明の難易度が体感できるはずだ。

秋が深まってくる頃には、大問1つを8分以内にこなせるスピードを会得し、算数で高得点が取れるよう仕上げていきたい。

算数の基本的な力を持つ生徒であれば、誰もが挑戦可能な難易度で「おもてなし」をしてくれる学校である。自分なりにテーマを持って挑戦し、合格を目指してもらいたい。

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2019年度「明治大学付属明治中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が5題、小問が15題。
はじめに計算問題を含む小問が5題あり、そのあと大問が4問という並びは変化がない。
【大問1】は答えのみ、【大問2】以降は、式や考え方も解答用紙に書き込むという形式で、重要な分野もはっきりしており、過去問を踏まえた上で対策しやすい学校といえる。

時間と問題数がマッチした学校であり、良問が多く受験生は時間に追われることなく自分の力を十分出せる分量になっている。
ただし本年度は【大問3】【大問5】の難易度が高く昨年度に比べると受験者平均点・合格者平均点とも大幅に下がった。それ以外の問題をしっかり解けていると合格点はクリアできるが本年度は「問題の難しい年」にあたった。

【大問1】小問(計算・速さと比・平面図形・食塩水・つるかめ算)

  • 難度:標準
  • 時間配分:15分
  • ★必答問題

(1)はじめの計算問題は5年連続で□が中ほどにある逆算の問題。ここは確実に正解しておきたい。

(2)AさんとBさんの速さをそれぞれ7,5とおいて、2度目に出会うまでに進んだ距離を7:6とし、360mにあたる比の大きさを求めていけば解ける問題で基本的なもの。

(3)7つの円柱をどのようにしたら例に上がっている3つの円柱のようにひもをまけるかがわかれば簡単な問題。ただ、そのまきかたを見つけるのが難しいので結果的に【大問1】では最もレベルの高い設問になっている。

(4)標準レベルの食塩水の問題で、最後にAの食塩水の濃さが9%200gになったことから食塩の重さに目をつけて解いていけばよい。ここは正解しておきたい。

(5)どこからどう見ても売買損益の問題かと思いきや、割引した240円の菓子の平均をとって「つるかめ算」に持ち込むという面白い問題。240円の菓子の平均をとることが思いつければあとは平易なつるかめ算が残るだけなのでそこに発想がいけるかどうか…

小問5問のうち(3)を除く4問は解けるようになっておきたい。

【大問2】過不足算

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

少し応用がかったレベルではあるがここが解けているかどうかでずいぶんと点数が違ってくる。

(1)女子のりんごを2個減らし、男子のりんごを2個増やすと全体として必要なりんごの差が10個となるのでこれを2で割って男子が5人多いとなる。ただし、この考えは男子1人と女子1人にくばるりんごの数が合わせて7個(4+3または2+5)と変わらないので使うことができる解き方だ。

(2)こちらでも、男子1人と女子1人に配るみかんの個数が合わせて7個なので、(1)と同じようにりんごの数と比べることができる。男子の数を女子と同じにするとりんごの場合、5×3+7=22個あまる。みかんの場合は4×5+10=30個余るので、みかんはりんごより8個多いことがわかる。

【大問3】立体図形(切断)

  • 難度:
  • 時間配分:10分

鬼より怖い立体図形、しかも切断とくれば不慣れな明大明治受験生は避けて通りたいところ。
しかも(1)の切断面は四角すいをななめに切っているので断面図を駆使してOR:RCを求めなくてはならずはじめの設問からして難しい。
ここは捨て問として処理するところである。受検者平均点もそれを物語っている。

【大問4】ニュートン算

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

【大問3】を捨てたとなると、この【大問4】明大明治名物「ニュートン算」は解かないわけにはいかない。問題文を読むとあまりこなしたことがない内容に思えるが、解いてみると意外に素直に解ける。ここは回転寿司の問題だけに美味しくいただきたい。

(1)レーンに追加されるお皿は1分間に12皿なので、A,Bの1分間に食べる比を5:8とすると、Aが10分、Bが4分食べたあとの残りは同じになるから
(12×10-12×4)÷(5×10-8×4)=4(皿)…比1あたり
となり、Aが1分間に食べる寿司の皿数が求まる。

(2)ははじめにレーンを回っている皿の数を求めてから問題に取りかかる。
はじめの8分間で(20-12)×8=64(皿)減るので、残ったレーン上の皿数を(4×8-12)で割れば良い。

(1)ができた生徒は(2)も解けたことと思われるが、ここの2問をしっかり正解することが合格につながることだろう。

【大問5】図形上の点の移動

  • 難度:
  • 時間配分:12分

最後の問題は図形の難問で(1)はそうではないものの(2)(3)はレベルが高い。少なくとも(1)だけは確実に解いておきたい。相似形が得意であれば(2)にも手を出しておきたいところだ。

(1)は三角形ABFと台形FBCDの面積比が1:4であることから、(1+4)÷2=2.5(ADまたはBCの長さ)、1:(2.5-1)=2:3(AF:FD)が求められればあとはすぐできるだろう。

(2)では、AP=DQ=1cmとなるように点を取り作図して三角形FRSと三角形QSDの面積比をそのまわりの辺の比などから求めないといけない。単純な平行線など存在しないのでPR:RS:SQやBR:RF:FEなどの連比を求めた上で面積を求めるのに必要な比を探さなくてはならない。かなり手の込んだ相似の応用問題である。できた生徒は自信を持って良い。

(3)は額面通りの「図形上の点の移動」の問題で、点の動いた長さを比の大きさで表し、実際の長さと対応させて解いていく…という形式になっている。ここも難しい設問ではあるが(2)ほど複雑ではない。

攻略のポイント

テスト時間は50分で100点満点。受験者平均が37.2,合格者平均が54.1と近年まれに見る低さとなった。平均点の高かった昨年度と比べると15点ほど下がっている。いくつかの大問の難易度から見るとその程度の差は仕方ないのかもしれない。

【大問1】(3)【大問3】(1)(2)【大問5】(2)(3)は難易度が高く、ここを解けないとしてもあとの設問をすべてクリアーできれば60点となり、合格者平均点も超えることができる。特に【大問4】のニュートン算が解けたかどうかが合否を分けたことになったのは想像に難くない。ニュートン算は頻出の内容なのでぜひ腕を磨いておきたい。

明大明治特有の、条件の複雑な大問群に立ち向かうには、基本問題の徹底履修だけでは難しく、基本的な公式や解き方を身につけたら、設問が2つ以上ある,条件の複雑な問題にもトライしてみることがおすすめだ。また、「割合と比にかたよった出題」「図形が重視されない傾向」にあるので、その両点から向き・不向きを考えてみるのもよいだろう。
また、頻出の分野は時間をかけて必ず得意にしておきたい。特に、「割合と比」「速さ」は十分に時間をかけてがんばろう。

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