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駒場東邦中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「駒場東邦中学校の国語」
攻略のための学習方法

問題構成

論説文・小説の読解問題2題と、漢字・言葉の知識が数問という形式が定着している。素材文の長さは各2500~3500字の2問で計5000~7000字ほど。平均的な文量と言えるが、時間は45分と少し短いので注意。

選択肢問題がほとんどで、短い記述問題が出される年度もある。県下でも有数の高偏差値の学校であるが、国語の試験は非常にシンプルな構成になっている。

長文読解

論説文と小説の2問。同程度の難易度の学校では10000字を超える長文も多く見られる中、5000~7000字は文量としては少なめである。設問でも、長大な記述問題や答えを探すのに手間取りそうな書き抜き問題はほとんど出されない。

最新年度では書き抜きと適語記入の2問以外はすべて記号選択問題であった。選択肢は四択で文は少し長いのでここで多少時間を取られるが、内容は無理に迷わせるような意地悪なものではない。全体的にクセのないシンプルな試験である。

45分と少し時間は短いが、本校を志望するレベルの生徒であれば時間・難易度ともにさほどの困難は感じないであろう。

特別な対策は要らないので、長文読解の基本に沿って学習を進めればよい。

・論説文

段落の整理。形式段落→意味段落へとまとめ、各意味段落の内容を小見出しのようにつけてしまうとよい。

各段落の要点。段落の最初と最後に特に注意しながら、要点と思われる1文に傍線を引くなどしてマークしておく。細部でも、言い換えた部分などは手がかりになる場合も多いので、チェックしておく。

要旨の読み取り。どのような問題でも訊かれることが多いので、要旨の中でも特に重要な部分を目立つようにしておく。

・小説 

場面分け。時間・場所・人物の移動などに注目し、場面の変わり目をチェックしておく。だれのどんな場面なのか、他の場面との関連なども考えておく。登場人物の性格を把握し、言動や情景から心理を読み取る。気持ちに変化があった場面は問題にされやすいので、特に注意しておく。全体を見渡して、何が中心テーマとして描かれていたのかを考える。

・漢字・その他

漢字はここ数年、同音異字の選択肢問題という形で3問程度出題されている。語句の意味も数問、出されている。標準的な難易度である。 

まとめ

選択肢問題が多いので、類似問題で慣れておくことは重要である。しかし、本校の高い偏差値からすると難易度は控えめであり、全体としても取り組みやすい試験になっている。

それだけに、合格者平均点は7~8割と高いことが予想され、高得点での争いになると思われる。確かな実力と、ミスのない答案作成が求められる。

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2021年度「駒場東邦中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

出典は工藤純子「あした、また学校で」(文字数約7100字)。

文武両道で優秀な中2の兄「秀一(しゅういち)」と運動が苦手な小2の弟「将人(まさと)」を持つ、勉強が苦手な小6の「一将(かずまさ)」と母「祥子(しょうこ)」。「一将」の幼なじみで勝気な優等生「咲良(さくら)」、そして、同級生の「梨沙(りさ)」。ある事件を軸に彼らが、「学校はだれのものなのか?」をそれぞれの立場から考える物語。本文では、大縄跳びの朝練に参加せずに「荻野(おぎの)先生」に怒られたことで不登校になってしまった「将人」のことで、母の「祥子」が学校やPTA、他の子どもたちとさまざまなやりとりをして解決策を探っていく様子が描かれている。内容は理解しやすいが、多彩な登場人物の「状況」や「心情」をしっかりと読み取る必要がある。無論、「説明記述設問」が大きなポイントになる。

設問は全13問(解答数28)。「選択肢」(「不適切」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(「空所補充」で「25字以内」指定)、「説明記述」(全5問。「60字以内」2問、「10字程度」「50字以内」「110~130字以内」各1問)、「漢字の書きとり」(全15問)。問題文を9分強で読み切り、「説明記述」は35分程度、その他の設問は15分強で解きたい。

「小説の読解」(「漢字の書きとり」と「選択肢」「抜き出し」「説明記述」)

  • 難度:標準
  • 時間配分:60
  • ★必答問題

※以下、具体的にいくつか本校の典型的な設問を確認してみたい。

[問1] 「漢字の書きとり」(全15問)。

二重傍線部(1)~(15)の「カタカナ」を「漢字」に直す。本年度は本校としては「標準レベル」の難易度だ。無論、難解なものもある。特に注意したいものを確認する。

(3)「『まあ、でも、あの子はとにかく気が強いから』と、クショウしていた」=「苦笑」⇒「にがわらい」のこと。「文脈」を正しく読み取りたい。

(6)「PTAというのは、ニンイ団体じゃないの?」=「任意」⇒「自由な判断に任せる」こと。

(7)キョウセイなの?」=「強制」⇒「一定の決定や行動を個人や集団に強いる」こと。「任意」の「対義語」。

(9)デンカの宝刀」=「伝家」⇒これは難問か? 「伝家の宝刀」=「家に代々伝わる大切な刀。転じて、いよいよという場合にのみ使用するもの。切り札」という意味も押さえておきたい。

(10)ナマヤサしいものじゃない」=「生易(しい)」⇒「言葉」としては知っていても、「漢字」となるとなかなか手強い。

(11)「PTAの存在に慣れてきた。まったとも言える」=「染(まった)」⇒難しいが、「文脈」から「比喩表現」だと特定したい。尚、「染」の「つくり」の右側は「丸」ではなく「九」なので要注意。細部に注意して一画一画を丁寧に記入することが求められる。

                                <時間配分目安:全問で3分半>

[問2] 「語句の意味の選択肢」(全2問/各5択)。

本校の面目躍如といった「総合的知識問題」。

波線部(A)「理路整然と」・(B)「かいつまんで」の「意味」を答える。

(A)⇒「物事の道理や話、文章、議論の筋道が整っている様子」のこと⇒「答え」は選択肢(ア)の「筋道が通っている様子で」⇒これは「漢字」から推定できるはず。

(B)⇒「かいつまむ」=「要点を大ざっぱにとらえる」ことは知っていて当然⇒「答え」は(イ)の「要点を大ざっぱに取り出して」。本校では、「漢字」だけではなく「四字熟語」「慣用句」「故事成語」「ことわざ」「オノマトペ」「慣用表現」など、あらゆる「知識」に対応できるようにしておくことが肝要だ。

                               <時間配分目安:全問で1分以内>

[問4] 「内容説明記述」(「10字程度」指定)。

傍線部「奥の手」について、「これは具体的には何をすることか」を「十字程度」で説明する。ここでは「語句の知識」も必要となっている。

「奥の手」=「最後の手段」ということ知っているはず。内容に関して、「状況」を「同一場面」から読み取りたい(「小説」では「同一場面」に「手がかり・ヒント」がある)。直前から、「祥子」が不登校になってしまった「将人」のことで、その解決のために学校の先生と話をして、「それでもダメなら、奥の手がある」と考えていることが読みとれる。そして、直後で「学校の先生との話し合い」の様子が描かれるが、「同一場面」の最後で「相手は自分を見ていない」と思った「祥子」が、「こうなったら奥の手を……明日、PTAに訴えてみよう」と「心に決めた」ことが分かる。ここで、「奥の手」の「具体的内容」が明かされたことになる。よって、たとえば、「PTAに訴えること。」(10字)といった「答え」だ。「小説」では、「同一場面」から丁寧に「状況」を読み取ることが最も肝要だ。

                                   <時間配分目安:1分半>

[問5] 「理由説明記述」(「60字以内」指定)。

傍線部「祥子は内心ムッとした」について、「校長先生に対して祥子がこのように思ったのはなぜだと考えられるか」を「六十字以内」で説明する。

直前に「うちには一将や将人もいるのに」とある。ということは、このよう思ったことが「きっかけ」で、「祥子」は「ムッとした」わけだ。では、どうしてこう思ったのか? 「同一場面」で「状況」をチェックする。「祥子」は、「将人」の不登校の件で面会した「校長先生」が開口一番「(卒業した)秀一君はお元気ですか」と「ニコニコと言った」ことに「面食ら」っていることが読み取れる。そして、「校長先生」は「勉強も運動もできて、文武両道……」などと「秀一」のことだけを口にしている。つまり、「将人」のことが無視されているように感じた。だからこそ、「校長先生」に対して「祥子」は「ムッとした」と分かるはずだ。

説明すべき要素はそろった。あとは、「最重要要素」(「理由説明」では「直接的理由」)を「文末」としてまとめていけばいい。たとえば、「将人の件で校長先生に面会したのに、卒業している優秀な秀一のことだけを最初に話題にし、将人や一将が無視されたと感じたから。」(60字)といった「答え」になる。「理由説明」では、「きっかけ」と「結果」がポイントとなると心得よ。尚。「説明記述」では、必ず「最重要要素」を「文末」とし、その他の「要素」を「指定字数」に応じて加えていくこと。

                                    <時間配分目安:3分>

[問7] 「内容説明の選択肢」(5択)。

傍線部「そんな人だから、話を聞いてくれるかもしれないと祥子は期待した」について、「祥子はPTAや会長の梶尾(かじお)さんをどのように考えているか」を答える。

「選択肢問題」は「消去法」が大原則。「原意絶対優位の原則」(「設問」「傍線部」等の「原意」、すなわち「もともとの意味」を最優先に考えること)で、先ずは「原意消去」をしたい。ここでは、「祥子」は「梶尾さん」のことを「そんな人」だと考えているので、「そんな人」の「原意」と結びつかないものを「消去」していきたい。「指示語」なので先ずは開く(「指示語」が出たら即開くこと)。直前から、「そんな人」=「PTA会長に自ら立候補した仕事ができそうな人」だと分かる。

各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」のポイントとなる最重要事項は「文末」にある)。

選択肢(ア)「各委員会の意見に耳をかたむけようとする人物」

   (イ)「より良い学校を作ろうとする人物」

   (ウ)「積極的に問題に向き合おうとする人物」

   (エ)「面倒な仕事を進んで引き受けてくれる人物」

   (オ)「地域の問題にも意欲的に取り組もうとする人物」

どうか? 「自ら立候補した」のだから当然、「積極的に」「向き合おう」という説明以外は「消去」できるはずだ。他の部分の「PTAについての考え方」の説明も特に誤っていないので、「答え」は(ウ)だ。なんと、「一発消去」。全ての選択肢説明(各70字ほど)を確認していてはいくら時間があっても足りない。「原意消去」は絶対に活用すべきだ。

                                    <時間配分目安:2分>

[問10] 「空所補充の表現抜き出し」(「25字以内」指定)。

「28ページの〔    〕内の三つの言葉は、同じ内容のものであり、祥子が学校やPTAで言われた言葉」だが、その中のひとつである空所    に「入る言葉」を「二十五字以内」で抜き出して答える。

「抜き出し設問」では、「抜き出すべき内容」を特定してから「抜き出し範囲」を絞り込んでいく。
「内容」を捉(とら)えていく。〔    〕内の他の二つは、「将人くんが一日でも早く登校できるよう……。」「息子さん、今は登校できていますか?」となっている。ということは、「抜き出し内容」は「祥子が学校やPTAで言われた言葉」で、「将人の登校を促す内容」だと判断できるはず。「範囲」は無論、「同一場面」。ここでは「祥子と、学校やPTAとのやりとりの場面」だ。丁寧に探していくと、傍線部の次の行に「でも今は、息子さんが学校に行けるようにするほうが先決です」という「PTA会長の言葉」がある。「内容」が合致し、「字数」もOKだ。念のために確認しても、他に「候補となる言葉」はない。よって、「答え」は「息子さんが学校に行けるようにするほうが先決です」(23字)になる。「抜き出し」では、「候補」はひとつとは限らないので、必ず「抜き出し範囲」の全てを確認することが肝要だ。

                                   <時間配分目安:1分強>

※尚、[問13]に「表現特徴の不適切選択肢設問」(5択)がある。

「表現の効果や表現技法」などについての「事実関係」等を正確に読み解いて判別する必要があり、とても手間暇(ひま)がかかる。こうした「本文合致設問」、「論説文」では「序論部分」と「結論部分」とを照合すれば済むが、「小説」や「説明文」では本文全てをチェックする必要がある。時間がかかるので、戦術的には「あとまわし」にすること。「捨て問」でも構わない。

攻略のポイント

  • ●出題傾向は完全に一貫しており、対策はしやすい。「選択肢設問」はさほど難しくないので落とさないこと。やはり、攻略のポイントは本校特有の「説明記述」だ。厳しく採点されるので、「細部」への目配りが欠かせない。合格ラインは5割台半ば(直近13年間の「合格者平均得点率」は58.8%。本年度はやや高くて60.7%)。
  • 「説明記述」対策では「書くこと」の練習は当然だが、その前提として先ずは「解法」をマスターし応用できるようにしておくことが重要「問題解説」でもいくつかの「解法」には触れたが、「小説」の「解法」は確実に習得し、応用できるようにしておくことが肝要だ。また、「総合的知識問題」も侮れない。確実に習得しておくこと。
  • 解答数はそれほど多くはないが、「説明記述」に時間がかかるので、時間配分には細心の注意が必要。戦術的に、解く「優先順位」を考え、「捨て問」の判別も適切にすべきだ。問題文は7000~10000字にもなる(本年度は昨年度より大きく減少して約7100字)。いかに速く読み取ることができるかが勝負だ。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすること。

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