開成中学校 入試対策
2021年度「開成中学校の理科」
攻略のための学習方法
開成中の満点は70点、知識問題も見られるが、問題文・図・グラフ等を読み取った上で答える問題が中心である。適語を答える問題・記号選択問題・計算問題が中心、今年度は昨年度にはなかった簡単な記述問題記が見られた。
攻略のための学習法としては、基本知識を固めることは当然のこととして、計算問題や実験・観察問題を中心とした問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の総合問題の演習もしっかり行って頂きたい。
今年度見られた実験器具の使い方、時事問題は過去にも度々出題されているので、対策が必要である。
各分野毎の学習法は次の通りである。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年度は生物の擬態についての出題であったが。知識も必要であるが、問題文や観察結果から考察するタイプの出題が中心であった。ここ数年を見ると、植物および昆虫に関する出題頻度が最も高く、次いで、動物・人のからだの働きに関しての出題が多い。この分野の学習法としては、植物の分類・つくり・はたらきを中心に、生物に関する基本知識をしっかり固めることが最優先である。また、実験や観察について考えるタイプの問題演習もしっかり行って欲しい。
地学分野
本年度は月の満ち欠けおよび川の水位の変化に関する出題であった。過去の出題傾向を見ると、天体に関する出題頻度が最も高く、次いで気象に関する出題が多い。
この分野の学習方法としてまずは、太陽・月・星の動きを中心に基本事項をしっかり固めることに力を入れて欲しい。天体の動きに関しては、なぜそのように動くのかの理屈を理解した上で覚えて欲しい。地層・岩石や気象に関しても知識をしっかり固めて欲しい。
物理分野
本年はてこのつり合いに関する出題であった。ややレベルが高く、問題文に書かれて内容の理解度が明暗を分けたと考えられる。ここ数年を見ても、てこ・滑車・ばねなどの力のつり合いに関する出題頻度が高く、次いで電気回路に関する出題が多くなっている。この分野の学習方法としては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力などの基本知識を身につけた上で、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。
化学分野
今年度は水溶液の性質および実験の進め方に関しての出題で、計算問題は含まれていなかった。ここ数年では、物の溶け方、気体の性質と発生、溶解度などに関する出題が見られる。また、ガスバーナーなどの実験器具の使い方についても頻繁に問われている。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。また、実験器具の使い方、実験の進め方もしっかり学習して頂きたい。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2021年度「開成中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は25題で70点満点。試験時間は40分で例年通りであった。適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、簡単な記述問題、図を描く問題も見られた。今年度の合格者の平均点は54点で昨年と同程度であった。
知識も必要だが、論理的な思考力を試す問題が多い。試験時間は十分あるが、問題文をしっかり読み取って考えることや計算問題の処理に時間がかかるので、過去問等の時間を意識した問題演習もしっかり積んでおく必要がある。
【大問1】化学 水溶液の性質・実験の進め方
- 難度:易
- 時間配分:9分
問1 水溶液のにおいをかぐときは、有害な気体を勢いよく吸わないようにするために、手であおぎ寄せ るようにする。
問2 アンモニア水と塩酸は刺激臭がする。
問3 アンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液はアルカリ性で、赤いリトマス紙が青くなる。
問4 塩酸または水酸化ナトリウム水溶液にアルミニウムを入れると、溶けて水素が発生する。
問5 炭酸水を沸騰させると溶けていた二酸化炭素がすべて抜け出てしますので、石灰水を入れても白く変化することはない。
問6 メスシリンダーは最小目盛りの10分の1まで読み取ること。
問7 使用後のメスシリンダーを洗うとき、傷をつけるおそれがあるので、ブラシなどは利用しない。
問8 別のメスシリンダーに移すとき、移す前のメスシリンダーの壁についた液体などの影響で、体積が若干減ると考えられる。
問9 2つの液体を混ぜる時、問8と同様の理由から、2つのメスシリンダーから直接別に用意したビーカーに液体を加えて混ぜる。
前半は水溶液の性質に関する易問で、開成受験者であれば確実に正答したい。後半は実験器具を使っての実験の進め方に関する出題。日頃の学習において、実験器具の使い方を理解できているかが問われる。
【大問2】地学 月の満ち欠け・川の水位の変化
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
問1 下弦の月の日は地球から見て月の左側から太陽の光が当たっている。
問2 下弦の月が南中するのは6時頃。
問3 太陽・地球・月の位置関係と地軸の傾きから考えること。東京で満月の南中高度が最も高くなるのは、冬至の日になる。
問4 簡単な記述を含む出題。上流の地点で土砂崩れなどが発生し、川の流れがせき止められたために一時的に水位が下がり、その後せき止めていた土砂が流されたために、水位が上がったと考えられる。
問5 上流のC地点では、土砂崩れが発生した時から水位が上がり、土砂が流された時から水位は下がり始めて元に戻ると考えられる。
問6 最近中学入試で頻繁に取り上げらえるキーワード「線状降水帯」。
前半の月の満ち欠けに関する出題の中で、月の形と季節毎の南中高度の関係は、勝負を分けるは応用的な知識として身につけておきたい。後半の川の水位の変化についての出題は、2人の会話文をよく読んだ上で考察すること。
【大問3】生物 生物の擬態
- 難度:標準
- 時間配分:10分
問1 ナナフシは敵に捕まることを防ぐために、ハナカマキリは他の生物を捕まえて食べるために、ホソヒラタアブは毒針を持つハチだと誤解させるために擬態をする。
問2 2つのグラフを比べて考察する問題。巣内と巣外で巻貝Cの割合が大きく異なっている。
問3 巣内の巻貝Cが減ると、稚魚が生き残る割合が減ることを確認すればよい。
問4 実験結果についての考察結果をまとめる文章の穴埋め記号選択問題。
問5 実験結果についての考察結果を記述する問題。
生物の擬態をテーマとした実験結果について考察する内容が中心。記述問題も含まれるが、内容的には決して難しくはない。
【大問4】物理 てこのつり合い
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
問1 バットの重さは、2つのばねばかりで示した数値の和で720g。
重心の位置は、540:180=3:1 逆比の1:3でバットの長さ84cmを分割して、21cmとなる。
問2 棒のつり合いの計算問題。アは10cmを4:1で分割して、8cm。
右側の10cmの棒は、30cmの棒の右端から6cmの位置に下がっている。
30-(8+6)=16 8+16÷2 より、イは16cm。
問3 支点から左側の板の重さの合計と右側の板の重さの合計の比は2:3。
10cmをこの逆比で分けると6cmと4cm。
5+10×2+6 より31cm。
問4 切り取る前の板の重さは40で重心は左から40cm
切り取った板の重さは15で重心の位置は問3の結果より31+10で左から41cm。切り取り後残った板の重さは25。これらの数値を使って回転力の計算を行うと、(40×40-41×15)÷25より、39.4cm。
問5 問4が大きなヒントになる。切り取る前の円板の重さと切り取った円板の重さの比は、3×3:1×1=9:1
切り取る前の円板の重心は左から30cm、切り取った円板の重心は左から20cm。これらの数値を使って計算すると、(30×9-20×1)÷(9-1)より、31.25cmとなる。
一見難しく見える問題も、問題文に書かれている説明に従って解き進めれば、比較的容易に解くことができる、という出題。従って、問題文の説明を理解することができるかどうかが、明暗を分けるポイントとなる。問1から問3の結果が問4に、問4の結果が問5につながる。弧の出題のように問題文の理解度がポイントとなる出題が本校には多いので、同タイプの問題演習を行って欲しい。
攻略のポイント
2019年度の合格者平均65点(満点は70点)に比べるとやや難化しているが、昨年と今年度は55点前後で約8割の正答率が要求される。超難関校の開成中学とはいえ、理科の出題においては標準レベルの出題が多く、攻略ポイントとしては、まず各分野まんべんなく基本知識を固めることである。
例年同様、実験や観察の結果について考えさせる問題が多かった。また、てこのつり合いに関する問題も、問題文に書かれてある内容が大きなヒントになる出題であった。
落ち着いて取り組めば正答できるレベルの問題が大半を占める。実験や観察の結果に基いて考えるタイプの問題の演習量を十分に確保して欲しい。
入試直前には過去問等を使って時間を意識した問題演習も行って欲しい。
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