開成中学校 入試対策
2020年度「開成中学校の理科」
攻略のための学習方法
開成中の満点は70点、知識問題も見られるが、問題文・図・グラフ等を読み取った上で答える問題が中心である。難問はほとんどなく、適語を答える問題・記号選択問題・計算問題が中心で、グラフ作成問題が1題、記述問題等はなかった。
攻略のための学習法としては、基本知識を固めることは当然のこととして、計算問題や実験・観察問題を中心とした問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の総合問題の演習もしっかり行って頂きたい。実験器具の使い方を問われることもあるので、実験や観察については、その進め方などもテキストで確認しておいて頂きたい。
また、過去には時事問題が出題される年度もあるので、日頃から科学や自然に関するニュースにも関心を持って欲しい。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年度は植物の葉の形状についての出題であったが、知識問題ではなく、葉の形状を測定したデータを読み取り考察するタイプの問題であった。
ここ数年を見ると、植物および昆虫に関する出題頻度が最も高く、次いで、動物・人のからだの働きに関しての出題が多い。
この分野の学習法としては、植物の分類・つくり・はたらきを中心に、生物に関する基本知識をしっかり固めることが最優先である。また、実験や観察について考えるタイプの問題演習もしっかり行って欲しい。
地学分野
本年度は太陽の動きを中心とした天体からの出題であった。昨年は地学分野からの出題はなかったが、それ以前では、やはり天体に関する出題頻度が最も高く、次いで気象に関する出題が多かった。
この分野の学習方法としてまずは、太陽・月・星の動きを中心に基本事項をしっかり固めることに力を入れて欲しい。天体の動きに関しては、なぜそのように動くのかの理屈を理解した上で覚えて欲しい。地層・岩石や気象に関しても知識をしっかり固めて欲しい。
物理分野
本年は手回し発電機をテーマにした電気に関する出題であった。ここ数年では、てこ・滑車・ばねなどの力のつり合いに関する出題頻度が高く、次いで電気回路に関する出題が多くなっている。
この分野の学習方法としては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力などの基本知識を身につけた上で、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。
化学分野
今年度は食塩の溶け方に関しての出題で、計算問題も含まれていた。ここ数年では、物の溶け方、気体の性質と発生、溶解度などに関する出題が見られる。また、ガスバーナーなどの実験器具の使い方についても頻繁に問われている。
この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。また、実験器具の使い方、実験の進め方もしっかり学習して頂きたい。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2020年度「開成中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は25題で70点満点。試験時間は40分で例年通りであった。適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、グラフに点を描き入れる問題が1題見られた。今年度の合格者の平均点は56点で昨年に比べてやや難化している。
知識も必要だが、論理的な思考力を試す問題が多い。試験時間は十分あるが、問題文をしっかり読み取って考えることや計算問題の処理に時間がかかるので、過去問等の時間を意識した問題演習もしっかり積んでおく必要がある。
【大問1】地学 太陽の動き
- 難度:易
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問1 地軸の傾き方から各季節の地球の位置を求めればよい。
問2 各季節の日影曲線に関する問い。
問3 5月5日は真西よりも北寄りの場所に太陽が沈む。
問4 5月5日の太陽は、真東より北寄りから上り、真西より北寄りに沈むので、朝と夕方に北側の窓から光が差し込む時間があり得る。
問5 地軸と平行であることから、北極星の方向を向いているとわかる。
問6 北極星の高度はその土地の緯度に等しい。また日本では明石で太陽が南中する時刻を12時と決めている。問題文より、この場所で北極星が見える高度は27度太陽の南中時刻は11時とわかる。選択肢の中で該当する場所は小笠原父島だけである。
太陽の動きを中心とした天体に関する出題。
問5までは易問。問6は知っている知識をもとに、思考力をしっかり働かせて欲しい。
ここで得点できなかった場合は、地球の自転・公転が天体の動きとどうのように関係するのかをしっかり復習すること。
【大問2】物理 手回し発電機
- 難度:標準
- 時間配分:10分
問1 乾電池の+極から電気は流れる。
問2 白い端子から電流が入るので、反時計まわりに回転する。
問3 時計まわりに回転することから、黒い端子に電流が入るとわかる。
問4 コンデンサーから流れる電流は、G1の白端子、G2の黒端子に入る。
問5 コンデンサーにたまった電気はG1の黒端子に流れてくるが、次第に電気の流れが少なくなり、最後は電気が流れなくなる。
手回し発電機に関する出題。
問題の説明文や図から、電気の流れる向きと手回し発電機のハンドルの回転方向との関係を理解できるかがポイント。
【大問3】化学 食塩の溶け方
- 難度:標準
- 時間配分:10分
問1 食塩が溶けてできた濃い食塩水は水よりも密度が大きいので、下に沈んでいく。
問2 赤色リトマス紙を青色に変えるのはアルカリ性の水溶液。アンモニア水・石灰水が該当する。
問3 表より11㎤の重さが24gであることがわかる。
問4 100gの水に溶ける食塩の重さが36gなので、60gに水には36×0.6より21.6g溶ける。30-21.6より、残る固体の重さは8.4g。
問5 実験結果の表をグラフにした時の、グラフの形状についての問い。
問6 実験結果から何が言えるのかを問う出題。実験結果から言えることだけを選ぶこと。例えば、水の温度を上げる実験は行っていないので、これを選択してはいけない。
実験結果について考察する内容が中心。計算問題も含まれているが、決して難問ではない。
【大問4】生物 植物の葉の形状
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
問1 葉の形状を表やグラフで表すとどうなるかを考える問題。
問2 与えられたデータからグラフを作成する問題。
問3 グラフで与えられたデータを基に計算して値を求める問題。
問4 グラフの傾き方から、葉の幅の増加の割合を読み取ることができる。
問5 図のデータを基に計算すると、全長が20mmから40mmまで伸びる間に、幅は2倍以上になる。また、全長が100mmから200mmまで伸びる間では、幅の増え方は2倍より小さい。
葉の形状に関する問題だが、知識を問うものはなく、すべて与えられたデータ・グラフを基に計算し考察するタイプの問題。実験・観察を行い、その結果をまとめ考察するという中学の理科の授業を想定したような内容になっている。
ここで得点が伸びなかった時は、グラフや表を読み取るようなタイプの問題の演習量を確保して欲しい。同タイプの問題の選択にあたっては、家庭教師や塾の講師に相談するといいであろう。
攻略のポイント
ここ数年合格者平均点は60点近く(満点は70点)で、約8割の正答率が要求される。今年度は昨年度よりやや難化しているが、それでも合格者平均は56点であった。
超難関校開成中学とはいえ、理科の出題においては標準レベルのものがほとんどで、攻略ポイントとしては、まず各分野まんべんなく基本知識を固めることである。
実験や観察の結果について考えさせる問題が非常に多い。今年度もグラフやデータの読み取り問題が非常に多かった。
落ち着いて取り組めば正答できるレベルの問題が大半を占める。実験や観察の結果に基いて考えるタイプの問題の演習量を十分に確保して欲しい。
入試直前には過去問等を使って時間を意識した問題演習も行って欲しい。
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