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開成中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「開成中学校の理科」
攻略のための学習方法

開成中の満点は70点、知識問題も見られるが、問題文・図・グラフ等を読み取った上で答える問題が中心であった。
難問はほとんどなく、適語を答える問題・記号選択問題・計算問題だけで、記述問題等はなかった。
攻略のための学習法としては、基本知識を固めることは当然のこととして、計算問題や実験・観察問題を中心とした問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。
一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の総合問題の演習もしっかり行って頂きたい。
実験器具の使い方を問われることもあるので、実験や観察については、その進め方などもテキストで確認しておいて頂きたい。
また、過去には時事問題が出題される年度もあるので、日頃から科学や自然に関するニュースにも関心を持って欲しい。

分野毎の学習法

生物分野 

本年度はアリの行動を中心とした昆虫に関する出題であった。ここ数年を見ると、植物および昆虫に関する出題頻度が最も高く、次いで、動物・人のからだの働きに関しての出題が多い。
この分野の学習法としては、植物の分類・つくり・はたらきを中心に、生物に関する基本知識をしっかり固めることが最優先である。
また、実験や観察について考えるタイプの問題演習もしっかり行って欲しい。

地学分野 

本年度は地学分野からの出題は全くなかった。ただし、来年以降はこの分野からの出題も考えられるので、注意が必要である。
昨年までの出題では、天体に関する出題頻度が最も高く、次いで気象に関する出題が多い。
この分野の学習方法としてまずは、太陽・月・星の動きを中心に基本事項をしっかり固めることに力を入れて欲しい。
天体の動きに関しては、なぜそのように動くのかの理屈を理解した上で覚えて欲しい。
地層・岩石や気象に関しても知識をしっかり固めて欲しい。

物理分野 

本年は熱の伝わり方に関する出題であった。
ここ数年では、てこ・滑車・ばねなどの力のつり合いに関する出題頻度が最も高く、次いで電気回路に関する出題が多くなっている。
この分野の学習方法としては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力などの基本知識を身につけた上で、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。

化学分野 

今年度は水に関しておよびクロマトグラフィーに関しての出題であった。
ここ数年では、物の溶け方、気体の性質と発生、溶解度などに関する出題が見られる。また、ガスバーナーなどの実験器具の使い方についても頻繁に問われている。
この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。
また、実験器具の使い方、実験の進め方もしっかり学習して頂きたい。

過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。
その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。
分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。

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2019年度「開成中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は4題、小問数は25題程度で70点満点。試験時間は40分で例年通りであった。適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、記述問題は見られなかった。
今年度の合格者の平均点は65点で例年以上に高く、非常に高い正答率が要求される。
知識も必要だが、論理的な思考力を試す問題が多い。
試験時間は十分あるが、問題文をしっかり読み取り考えることや計算問題の処理に時間がかかるので、過去問等の時間を意識した問題演習もしっかり積んでおく必要がある。

【大問1】化学 水の三態変化

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分

問1 水が氷になると体積が増える(約1.1倍の体積になる)

問2 まわりから凍りはじめ、不純物が中心に追いやられていったため、中心付近は白く濁って見えると考えられる。

問3 気体は水の温度が低いほどよく溶ける。Aの操作で水を沸騰させることにより、水に溶けていた気体を追い出すことができる。
また、「まだ凍っていない部分」には不純物が含まれているため。Bの操作を繰り返していくことにより、不純物の濃度を次第に下げていくことができる。

問4 凍らなかった海水は追い出された食塩が多く含まれているため、周囲の海水よりも重くなり、海の底に向かって沈んでいく。

問5 蒸発して水蒸気になるのは水だけであり、水以外の不純物は蒸発しないで、残される。
    
水の三態変化を中心とした出題。基本的な知識はもちろん必要だが、問題文をしっかり読み取ること力が要求される。

【大問2】化学 クロマトグラフィー

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

問1 予想通り水に溶けて移動したものもあるが、Cだけは移動しなかった。

問2 実験の結果から推測すると、ABは水に溶けてインクは皿の中に広がってしまう。一方、点Cは点のまま元の位置に残る。

問3 図を見ると、黒色ペンDには複数の色の成分が含まれていることがわかる。また、水色は黄色より遠くへ広がっていることから、水色の成分は黄色の成分より水に溶けやすく、紙にくっつきにくいことがわかる。
 
問4 図を見ると、予想とは異なり、どのろ紙も水が移動した長さは同じであった。
 
問5 問4までの結果より、折り曲げてあっても水の移動距離は同じであるので、中心から同心円上に広がると考えられる。
 
問7 これまでの実験の結果より、水色が一番遠くへ広がると考えられる。
 
クロマトグラフィーに関する出題。実験の結果を基に推論して答える問題が中心で、思考力・考察力が求められる。とは言っても、問題文や図を見れば解答可能なレベルの問題が中心で、決して難問ではない。

【大問3】生物 昆虫の生態

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

問1 アリ・ハチが完全変態の昆虫である。

問2 完全変態の昆虫では、卵→幼虫→さなぎ→成虫の順に成長する。
 
問3 枝分かれの地点で右に行く道を移動するものを選択すればよい。

問4 アリのにおいに関係はなく最短距離を移動するのであれば、アリを加えてすりつぶしたアルコールで曲線を引いて行う実験(ウ)でも曲線に沿うことなく最短の直線で進むはずである。

問5 アリを加えていないアルコールで引いた曲線には従っていないので、アリはアルコールのにおいをたどってエサにたどり着いたのではないことがわかる。

問6 実験の結果では、足の長さが長いものはエサから遠い距離で、足の長さの短いものは近い距離で巣を探し始めている。このことより、アリはエサと巣の間の歩いた歩数を記憶しているのではないかと推測できる。
  
問1・2は昆虫に関する基本知識問題、ここは確実に正答したい。問3以降はアリの巣とエサの間の行動に関する問題。問題文、図、グラフなどを読み取って答えるタイプの問題。考察力が必要だが決して難問ではない。
ここで得点できていない場合は、昆虫に関する知識をもう一度復習するとともに、同タイプの問題演習を積み重ねて欲しい。

【大問4】物理 熱の伝わり方

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分

問1 加熱している部分から同心円を描くように熱が広がっていく。

問2 表より、容器の外側の温度と氷がとけるまでの時間は反比例の関係にあることがわかる。

問3 210℃で氷がとけるまでの時間が120秒なので、350℃では
210×120÷350=72 より72秒かかる。

問4 各ロウソクの位置の温度をグラフから読み取る。50℃未満のとなるロウソクの本数を数えると、合計6本でロウソクがとけずに金属棒に残ることがわかる。

問5 左端の温度が高い順に、0秒、1秒、2秒・・となる。グラフを読み取ると、1秒後の温度は左端で430℃、左端から2mで75℃となる。

問6 左端の温度で上から4本目が3秒後のグラフになる。金属棒4・5それぞれのグラフで、温度が50℃未満になる位置を読み取ればよい。

熱の伝わり方に関する出題。実験結果の表やグラフの読み取りが中心で、落ち着い
て考えれば十分正答可能な問題が並んでいる。

攻略のポイント

ここ数年合格者平均点は60点近く(満点は70点)で、約8割の正答率が要求される。今年度はさらに合格者平均があがり、約65点になった。
超難関校開成中学とはいえ、理科の出題においては標準レベルのものがほとんどで、攻略ポイントとしては、まず各分野まんべんなく基本知識を固めることである。
実験や観察の結果について考えさせる問題が非常に多いのが特徴だが、落ち着いて取り組めば正答できるレベルの問題が大半を占める。実験や観察の結果に基いて考えるタイプの問題の演習量を十分に確保して欲しい。
入試直前には過去問等を使って時間を意識した問題演習も行って欲しい。

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