｢2018年の世界全体の国際観光客数が14億人に達した｣という時事ネタを切り口として、｢観光について考えた対話文｣からの出題。
｢地理｣｢歴史｣｢公民｣｢時事｣の各単元、そして｢考察問題｣と、設問内容が目まぐるしく転換する。しかし、難易度は高くないので、冷静かつ手際よく解き進めていきたい大問だ。以下、いくつかの｢設問｣を確認してみよう

[問３]　｢下線部についての数字記述設問｣。｢公民｣単元。｢対話文｣中の下線部③の｢ＧＤＰ｣とは｢国内で１年間に生み出される『付加価値』の総額｣だが、｢100円の原材料費のものを300円の価格で販売した場合の『付加価値』｣を｢数字｣で答える。

｢ＧＤＰ｣＝｢国内総生産｣で、その｢付加価値｣は｢生産物から原材料費などの中間生産物を引いたもの｣だと知っているはず。仮に知らなくても、そもそも｢付加｣なのだから、見当はつく。300円－100円で、｢答え｣は｢200(円)｣だ。尚、｢ＧＮＰ｣＝｢国民総生産｣と混同しないこと｡

＜時間配分目安：30秒弱＞

[問４]　｢下線部に関連しての県名記述設問｣(｢漢字｣指定)。｢地理｣単元。｢対話文｣中の下線部④｢東京オリンピック･パラリンピック｣に関連して示されている｢キャラクター｣のモチーフ｣は｢ソメイヨシノ｣で、｢霧島ツツジ｣と同様に江戸時代に入り、流行した樹木だが、｢宮崎県とともに活火山である霧島山の噴火被害への支援制度を設けている都道府県名｣を、｢漢字｣で答える。

何やらややこしい問題文だが、要は、｢霧島山｣のある｢都道府県｣はどこかということだ。｢宮崎県｣と隣接しているはずで、｢答え｣は｢鹿児島県｣だ。｢霧島山｣の｢新燃岳(しんもえだけ)｣では2011年に爆発的噴火が起きている。尚、｢鹿児島県｣の活火山といえば｢桜島｣だが、それだけを押さえているだけでは対応できない。
あと一歩の｢深知り知識｣が求められているわけだ。

＜時間配分目安：30秒強＞

[問５]　｢下線部に関しての都市名記述設問｣(｢漢字｣指定)。｢時事｣単元。｢対話文｣中の下線部⑤｢キリスト教｣に関して、｢2019年11月24日、来日した教皇フランシスコが訪ねた、キリスト教と縁が深い被爆地である都市の名前｣を｢漢字｣で答える。

典型的な｢時事問題｣。無論、｢答え｣は｢長崎(市)｣。
ここで注目したいのは｢2019年11月24日｣という｢日付｣だ。｢時事問題｣では、おおむね受験前年の｢９月｣くらいまでが対象となるが、本校では｢11月｣のことが出題されている。要注意だ。

＜時間配分目安：30秒弱＞

[問７]　｢下線部に関連しての選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元。｢熊野三山｣に祀(まつ)られている、｢対話文｣中の下線部⑦｢八咫烏(やたがらす)｣は、｢朝鮮半島の、隋などと対立することもあった北方の『国』の古墳にも記されている｣が、この｢国｣を答える。

唐突に｢朝鮮半島｣の｢国｣といわれても、どう考えればいいのか？ ｢手がかり･ヒント｣は｢隋｣と｢北方｣だ。｢隋｣⇒｢遣隋使｣⇒｢聖徳太子｣⇒｢飛鳥時代｣と結びつくはず。当時の｢朝鮮半島｣といえば、｢南西｣に｢百済｣、｢南東｣に｢新羅｣、そして、｢北方｣は、そう、｢答え｣は(イ)の｢高句麗｣だ。｢古代｣の｢朝鮮半島｣の国々は頻出なので、しっかりと地図で確認しておきたい。

＜時間配分目安：30秒弱＞

[問10]　｢下線部に関連しての図の記入設問｣。｢時事｣｢歴史｣単元。｢対話文｣中の下線部⑩の｢名所図会｣のひとつとして示されている｢和泉名所図会｣に紹介されている｢百舌鳥(もず)古墳群｣は、｢2019年７月、世界遺産登録が決定｣したが、｢この古墳群で最も大きい古墳の、上から見た形｣を｢図｣で記入する(上下左右の向きは問わない)。

｢百舌鳥古墳群｣のニュースは｢時事問題｣として誰もが押さえているはずで、その中で最大といえば｢大仙古墳｣、その形は｢前方後円墳｣だということは｢歴史｣の常識。したがって、｢前｣が｢方(四角)｣で｢後｣が｢円｣の｢図形｣を描けばいい。たとえば、下のような｢図形｣になる。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(←前)

本校ではたまにこうした｢作業問題｣が出題されるので、確実に練習しておくこと｡

＜時間配分目安：１分弱＞

 [問11]　｢下線部についての不適切選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元。｢対話文｣中の下線部⑪｢1771年｣について、｢この『世紀』の説明｣として｢誤っているもの｣を答える。

｢世紀｣の特定だ。もちろん、｢1771年｣は｢18世紀｣。｢江戸時代半ば｣だということを意識して、各選択肢の｢キーワード｣で正誤判別していく。
(ア)｢田沼意次による政治｣⇒｢田沼の政治｣は無論、｢享保の改革｣と｢寛政の改革｣の間、であれば｢18世紀後半｣だと特定できるはず＝適切。
(イ)｢天明の飢饉(ききん)｣｢浅間山噴火｣⇒｢田沼の政治｣と結びつかなくてはいけない＝適切。
(ウ)｢武家諸法度｣｢参勤交代｣⇒当然、｢３代将軍･徳川家光｣の時、江戸時代前半だ＝不適切⇒｢17世紀前半｣になる。
(エ)｢政治の改革｣｢松平定信｣⇒｢老中･松平定信｣の｢政治の改革｣といえば、｢寛政の改革｣に決まっている。｢18世紀終わり｣だ＝適切。
よって、｢答え｣は(ウ)だ。｢歴史的事項｣は、｢年代｣｢世紀｣｢元号｣、そして、｢人物」と結びつけて定着させることが肝要。

※尚、[問15]は｢資料･地図の読み取り｣の｢考察問題｣になっている。
こうした問題では、｢資料｣等をとにかく正確に読み解いて、｢条件｣などを｢手がかり･ヒント｣にして｢考察｣していくことが肝要。決して難解ではないので、果敢に挑んでほしい。

＜時間配分目安：30秒強＞

｢近年の訪日外国人旅行者の動向｣という時事ネタを切り口として、｢北海道から沖縄まで、日本各地での訪日外国人旅行者の実情についての対話文｣からの出題。
｢考察問題｣の出題はないが、全単元から問う多彩な｢小問｣が並んでいる。難易度は標準的なので、臨機応変に対応していきたい。以下、いくつかを検討する。

[問２]　｢下線部についての条件付き内容説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、｢30字ほど｣の解答欄)。｢時事｣単元。｢対話文｣中の下線部②の｢スマートフォン決済｣について、｢今後、ほとんどの支払いが電子マネーになった場合の問題点｣を説明する。

｢条件｣は｢災害の観点から説明する｣こと。｢2019年10月の消費税増税｣を機に｢電子マネー｣など、｢キャッシュレス化｣が注目されていることは知ってのとおり。では、｢災害｣のときの｢問題点｣とは何か？ ｢2019年９月の千葉の大規模停電｣は当然、｢時事問題｣として押さえているはず。｢停電｣となれば、｢電子マネー｣の｢決済システム｣そのものが使用できなくなってしまうわけだ。したがって、たとえば、｢停電などで決済できず、お店で買い物ができないという問題点｡｣(29字)といった｢答え｣だ。
｢知識｣を多角的に組み合わせることが肝要。

＜時間配分目安：１分半＞

[問８]　｢下線部に関連する不適切選択肢設問｣(５択)。｢地理｣｢歴史｣単元。｢対話文｣中の下線部⑦｢周遊｣に関連して示されている４つの｢西日本周遊の行程の説明｣の中で、｢訪問していない府県｣を答える。

各選択肢は、(ア)｢和歌山県｣･(イ)｢大阪府｣･(ウ)｢三重県｣･(エ)｢奈良県｣･(オ)｢京都府｣。
それぞれの｢行程の説明｣の｢キーワード｣で訪問した府県を特定したい。
①  ｢東寺｣｢特産品の抹茶｣⇒｢京都府｣で決定。
②  ｢天下の台所｣⇒もちろん、｢大阪府｣。
③  の前半は｢古代に政権の中心があった都市｣⇒京都はすでに訪問しているので｢奈良県｣、後半では｢巨大な神社｣｢真珠の養殖で有名なリアス式海岸｣⇒｢三重県｣だ。
④  の前半は｢本居宣長で有名な町｣⇒｢松阪｣なので｢三重県｣、後半は｢巨大な湖｣｢一周約240㎞｣⇒｢琵琶湖｣で｢滋賀県｣。
したがって、｢和歌山県｣は訪問していないので、｢答え｣は(ア)になる。
単元をまたいで柔軟に思考することも必要だということ。

＜時間配分目安：１分＞

[問12]　｢下線部に関連する条件付き内容説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、｢60字ほど｣の解答欄)。｢公民｣単元。｢対話文｣中の下線部⑪｢中国･韓国等｣に関連して、日本が両国をはじめ各国と推進しようとしている｢自由貿易｣とは、｢どのような貿易か｣を説明する。

｢条件｣は｢『関税』と『政府』の両方の語を用いて説明する｣こと。言葉としては知っていて当然。だが、いざ説明するとなるとどうか？ さまざまな｢知識｣をつなげていきたい。
｢関税｣は｢政府｣がかけるもの⇒高ければ自由に｢貿易｣ができない⇒できれば、なくした方がいい⇒そうしたことを進めようとしているのが｢世界貿易機関｣……。
あとは、的確にまとめていきたい。たとえば､｢世界貿易機関や各国間で進めている、原則的に関税をなくすなど政府の統制を少なくして、各国の企業などが自由に行う貿易のこと｡｣(60字)といった｢答え｣となる。
｢自らの知識｣を多角的に結びつけていくことが肝要だ。

＜時間配分目安：２分半＞

[問13]　｢下線部に関しての事項記述設問｣。｢公民｣｢時事｣単元。｢対話文｣中の下線部⑫の｢沖縄｣にあるアメリカ軍基地や、自衛隊施設の上空に｢ドローンを飛行させることを禁止する法律が、2019年５月に成立｣したが、この法律に反対する意見として｢『ある権利』を侵害する｣というものがあった。この｢『ある権利』の名前｣を答える。

｢時事問題｣で押さえていれば即答できる。そうでなければ類推していく。
｢ドローン｣はよく撮影に用いる⇒報道機関も取材で活用⇒地上からは見えないものも上空からは撮影可能⇒それを報道することで、国民は事実を知ることができる⇒こうしたことが不可能になることで｢侵害される権利｣、もう分かったはずだ。｢答え｣は｢知る権利｣。
本問のように｢類推｣が必要になる場合もあると心得よ。

＜時間配分目安：１分＞