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開智中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「開智中学校の理科」
攻略のための学習方法

近年の傾向としては難しい知識や複雑な計算をこなす力を求めるよりも、日常的な会話表現から対応する基礎的知識を導かせたり、文章の説明内容や図表に立脚して実験や観察の結果を解釈あるいは考察させたりするような出題が目立つ。また、単語ではなく文のレベルで説明文中の空所を補充させる問題も特徴的である。

したがって、他の学校の受験以上に国語力が必要であると考えて欲しい。読解としては内容の理解もさることながら、表現の言い換えや論理の展開が把握できなければならない。それだけでなく、答えを文で記述させる問題では整合の取れた思考を自ら言語化する力も必要となる。そこで、何らかの科学現象について説明する文を読み、その内容を自分の言葉で説明させるという練習をしておくと良い。出題形式への直接的な対応力強化だけでなく、新知識の習得にも役立つであろう。

知識については高度なものまで覚えておく必要はないが、基礎的な事柄を「理解したうえで」頭に入れておくことが大事である。本年度の星座早見盤の問題では、たとえば回転盤を止めるピンが北極星の位置に相当することは分かっていても、「どうしてその位置に北極星があるのか」をきちんと理解していなければ、最後の設問には答えられない。小学生の知識レベルでは原理の理解が難しい現象も存在するが、理科では高校で学習するような内容が説明と共に扱われるケースも少なくない。必ずしも丸暗記する必要はないが、「どうしてそうなるのか」という視点は知識の習得時、意識して伴わせるようにして欲しい

また、本年度の化学分野で明言されている通り、開智中は「探究」を重視しており、科学的発見や考察の結論に至る思考過程が問われやすい。したがって、機会があれば、光合成などの生命現象が如何にして発見されたのか、実験の歴史やその意図に触れておくと良い。受験勉強が本格化して問題演習に追われる6年生になる前に、様々な科学的読み物を通じて科学者の思考に馴染んでおく機会が設けられると理想的である。

実践的な対策としては、開智中ほど「基礎の徹底理解」を重視した出題に振り切ってくる学校は少ないので、過去問を用いた演習が中心にならざるを得ない。ただ、もう少し発展的な内容で実験の考察を求めたり、原理を説明させたりする問題は難関校の多くが取り入れている。レベルが多少高くても構わないので、そうした学校の過去問も積極的に活用し、考察などの問題に慣れておくと本番で楽になるだろう。また、問題数や難度に対して設定された試験時間が厳し目なので、過去問演習の際には問題の取捨選択も意識させたい。時間内に全問解き切れなかった場合には、時間配分に改善の余地が無かったかどうか、何を基準に解く問題を選んだかなどについて、振り返りの時間を設けるようにすると良い

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

生物分野

2年続けて光合成がテーマになったが、光合成は二酸化炭素と呼吸の速度に関する計算問題と、光合成の働きを調べる実験の理解を問う問題が定番である。他に、計算については蒸散が、実験についてはだ液など消化液の働きに関する問題が使われやすい。知識の面では動植物の器官の名前と働き、分類上の特徴などをしっかりと押さえておこう。

地学分野

本年の星座早見盤の問題で見られたように、天体の見える位置や天球上の動きについては、単なる暗記ではなく本質的な理解が必要となることが多い。立体的な捉え方と平面的な捉え方が上手く対応させられるよう、描図の練習を積んでおくことは必須である。また、特定の天体や星座に固有の特徴も押さえておこう。地質分野は知識面以上に、柱状図、地殻変動に関する計算問題などに習熟しておくと良い。

物理分野

複雑な計算問題はあまり出題されないので、標準レベルまでの計算が円滑に出来れば十分である。一方、身近な電気製品への物理現象の応用が扱われる傾向にある。基本的には設問を順番にこなしていく中で考えの筋道が立てられるようになっているが、科学的読み物などを通じて色々な製品の仕組みに馴染んておくと考えやすいだろう。

化学分野

物理分野と同様、身近な物を題材として基礎知識との関連付けを考えさせるような問題が多い。ゆえに知識に穴があってはまずいが、教科書的なレベルで固めておけば十分であろう。ただ、科学的な現象の背景にある原理は意識するようにしておきたい。覚える必要まではないが、その原理がどのような実験や考察を経て発見されるに至ったかを知っておくことは、開智中のような学校の入試問題を解くうえで、参考になるだろう。

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2020年度「開智中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

33個の解答箇所に対して時間は30分。熟考を要するような問題が少なかったとは言え、設問数は前年から増えており、長々とした問題文を読むのにもたついていると、解き終わらない可能性がある。特に後半の生物・地学は小問が少ない分だけ1問あたりの配点が大きいため、余裕が持てる時間を確保しないと致命的な失点に繋がりかねない。

【大問1】電磁石と電磁誘導

  • 難度:やや難
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

問1〜問4までは、図の例とは磁石を逆にしてみたり、コイルを横倒しにしたりといった捻りはあるものの、考え方自体は教科書通りである。問3、問4で電流の向きを間違えないように、丁寧に考えること。実力が問われるのが問5

問4
基本的には「N極が近づく=S極が遠ざかる(①と②)」か「N極が遠ざかる=S極が近づく(③と④)」かを判断していけば良い問題だが、コイルが横倒しになっているので、図3・4におけるS極の動きと電流の方向を丁寧に適用するように。図3との対応から、「S極がコイルに近づくと左向き」などと分かってしまえば、①と②で右向き、③と④で左向きになると容易に判断できる。

問5
良問である。非接触型ICカードの仕組みが電磁石(読み取り部分)と電磁誘導(ICカード)の組み合わせで成り立っていることの理解が問われている。読み取り部分ではコイルに電流が流れるので磁界が発生する。その磁界に対して、ICカード側のコイルを近づけることで今度はカード内に電流が流れることになる。チップの情報発信に電力が必要であることが若干分かりにくいかもしれないが、電流の発生が発信の鍵になっていることから、Dには電源や電池といった答えが入ることが推測できて欲しい。

【大問2】物の燃え方

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

【疑問】から【仮説】を考え、適切な【検証】の【結果】から仮説の妥当性が判断できる学生を求めているという強いメッセージ性を持った設問である。問2と問3(2)で得点できるかどうかが勝負。

問2
検証の結果から当初の仮説を推測させるユニークな問題。ただ紙なべを燃やしているだけであることから、紙なべ自体の可燃性を確認している問題であると分かる。「燃えてしまった=仮説が正しくなかった」と述べられているので、仮説は「紙なべの材料になっている紙は、燃えにくい紙だったから」というものであったと推測できる。どちらかと言えば、国語の問題に近い。

問3
(2) 「紙なべ用の燃料の炎の構造はろうそくの炎とよく似ている」と書かれていることから、燃料の炎の温度も酸素が十分に供給される外炎部が最も高く、炎心に向かって温度が低くなっていくと推定される。さて、「紙なべ用の燃料の炎は、ろうそくの炎よりも温度が低い」という仮説が真であると証明するには、「紙なべ用燃料の炎で最も温度が高い部分」が「ろうそくの炎(の最も温度が低い部分)」よりも温度が低いと言えなければならないはずである。したがって、炎と空気が触れているところで測定するのが適切である。

問5
紙なべの原理については、燃焼の3条件(燃える物、酸素、温度)の導入時に大抵紹介されるはずなので、記憶を紐解くことで答えられた受験生も少なくないことだろう。ただ、問4できちんと「だし汁」の存在が鍵になることが明示されているため、知識が頭になかったとしても答えられて欲しい。紙なべは、鍋に多量の水(だし汁)を入れることで、炎によって与えられた熱が沸騰時の水分蒸発に使われてしまい、紙の温度が燃焼に十分な高さまで達しないという原理によって成り立っている。

【大問3】光合成と呼吸

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

前年に引き続き、光合成がテーマとなったが、前回が光合成速度と呼吸速度の差異に焦点を当てた出題であったのに対し、今回は光合成の作用や条件を明らかにするための実験設計が主たるポイントになっている。決して難しくはないが、科学的なものの見方を問ううえで、重要な設問である。

問3
光合成を行う植物の存在の有効性を確認する実験であるから、植物の有無によって比較がなされなければならない。また、当然ながら植物が光合成を行うのに必要だと考えられている環境が与えられている必要があるので、実験の組み合わせはと、そこから植物だけを取り除いたの比較が相応しい。

問4
問3も同様だが、光合成に関する検証を行おうとする限りにおいて、1つには必ず光合成に必要だと考えられる条件の揃ったエが含まれなければならない。本問は「光の有無」を問題にしているので、の設定から光の照射だけを除いたカが比較の対象となる。

問5
本問は光合成とは関係なく、石灰水そのものの働きを検証するための実験が焦点となる。すなわち、空気中に多量の二酸化炭素が含まれている条件下で、石灰水が想定通り白濁するかどうかが問われているのだが、植物が存在する環境下で比較すると、植物と二酸化炭素との間で交互作用が存在する可能性を排除することができない。したがって、植物の存在下で息の吹き込みの有無を異にするオとカの組み合わせよりも、純粋に息の吹き込みの有無のみが比較できるアとイの組み合わせの方が適切である。

問6
十分な光量のもとでの光合成速度は呼吸速度を上回るため、本実験の設定では植物が光合成を行える限り、二酸化炭素濃度が上がって石灰水が白濁する可能性は考えにくい。一方、アルミホイルによって光が遮蔽されているの試験管では、当初は息の吹き込みが無いため二酸化炭素濃度が低く、石灰水の白濁が見られないものの、時間が経つにつれて植物の呼吸による二酸化炭素排出が増え、石灰水が白濁するに至ると予想される。

【大問4】星座早見盤

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

星座早見盤の使い方や北極星の高度に関する基礎的な知識問題と、天体の見え方や星座早見盤の原理の理解を問う応用的な問題から成り、難度が二極化している。問3(1)と問5が実力を問われる問題。

問3
(1) 天の赤道の概念自体は学習時に導入されるはずだが、黄道ほど出題の対象になる頻度が高くないので、戸惑った受験生もいたかもしれない。しかしながら、「地球の赤道を真上に天までのばし、天球上にできる円のことです」と書いてくれているので、仮に忘れていたとしても考えることは可能である。天の赤道が地球の赤道を天までのばしたものであるということは、春分・秋分における地軸の向きと太陽との位置関係と同じ状況が、天の赤道上の恒星との間で常に成立することを意味する。つまり、いずれの恒星も南中高度は「90°−(緯度)」で計算されるし、真東から上って真西に沈むということになる。

問5
星座早見盤の中心にある黒い点が北極星の位置であることは、早見盤に関する基礎知識として把握していなければならない。問4で考えた通り、ロンドンで見える北極星は日本よりも高い高度にあるため、天頂に近くなる。星座早見盤における天頂は、南を手前にして母盤を持った状態で手前から奥へと南の空を辿っていくと、高度が90°になる位置に示され、天頂より奥は、北の空を下降していくような見方になる。よって、ロンドンの北極星の方が北の空の高い位置にあり、回転盤で遮蔽された地平線までの距離も長くならなければならない。なお、本問では問題文に書かれているように、実線が日本の早見盤、点線がロンドンの早見盤なので、取り違えにも注意すること。

攻略のポイント

本年度は素直な良問が目立ち、考え込むような問題は少ないと思われる。ただ、例のごとく文章が長いので、てきぱきと読み進めないと時間が足りなくなる恐れがある。特に、空所補充の問題は文脈の把握が肝になるので、短時間で文意を捉えることに努めよう

また、一部の問題を除き、本年度は基礎知識や単純な実験結果の比較に基づいて答えられる問題が多い。このような構成ではちょっとした取り違えや判断ミスが命取りとなる。後から全体を見直す時間は十分に確保できないと思われるので、解答時、設定や問題文をこまめに再確認しながら解き進めること。簡単な問題できちんと得点できたうえで、思考力を要する問題がどれだけ解けるかが合否の分かれ目になると考えよう

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