城北中学校 入試対策
2020年度「城北中学校の算数」
攻略のための学習方法
城北中学の算数は,男子校らしい問題の難易度と適切な問題量を持ち,毎年多くの受験生に受け入れられているオーソドックスな内容である。しかしながら、問題傾向に特徴を持っているので,そのための対策を施しておく必要が生じている。
それは、頻出である「図形問題」への対応である。もともと図形問題と一括してもいろいろな分野がふくまれているし,他校においても図形問題が複数出ることは当たり前であるが,城北の場合は問題数の半分近くを占めることがあり,図形分野の得意不得意が合否に大きく影響することは想像に難くない。
「図形」問題への対応に関してはやはりテクニック的なことに触れることになる。
「和差算なら線分図」「平均なら面積図」というように,問題 の内容によって典型的な解き方というのが存在し,その解き方を身につけるために日々勉強を続けているわけだが,図形の場合は「円の面積なら半径×半径×円周率」という公式の暗記だけでは解けないことが多い。ことに城北の算数で単純に円の面積を求めさせることはあり得ない。同様に,ありたきりの公式暗記は必要条件ではあっても十分条件ではない。
ポイントはもう一つ上のランク,「やっておきたい作業」の習得となる。
たとえば,平成28年度大問【2】の(1)。「折り返した図形において,等しい角度にはしるしをつける」ができているだろうか。(6)の補助線しかり。また、平成30年度大問【2】の(4)(5)もまた、補助線を引けないと答えが導けない作りになっている。
手作業が必要な問題を受験生は敬遠する嫌いはあるけれども,それでは城北中学の合格が遠ざかってしまう。
図形の問題は,特殊算と違って解き方を覚えたからと言って必ずしも解けることは限らない。だからこそ,「図形問題にはひらめきが必要だ」などとまことしやかに伝えられ,それを一概に否定することはできないけれど,まずは正解する可能性が高くなる作業は出来るようになっておきたい。
今回実例に挙げた以外にも,図形問題「解法のテクニック」はいくつも存在するだろう。公式を超えて,それらもしっかりと自分のものにしておきたい。
さて,「城北中学合格のための勉強法」をまとめると
・過去問を解いて自分の力との兼ね合いを図り,おおよその合格ラインを見据え,それに合ったレベルの問題をたくさん解く。
・図形の問題では直感に頼った解き方ではなく,テクニックとして必要なものの中からいつでも必要な作業を取り出せるようにしておく。
・基礎的な問題が解けるだけでは合格点には到達しない。一行問題集のレベルから早く脱して,標準的な文章題に対応できるポジションまで到達しておきたい。
城北中学の算数は総じてオーソドックスな問題が多い。特殊な勉強法は要らないので過去問に取りかかるのは力が十分ついた秋からで間に合う。それまでにどの分野から出されても高い正答率を持って問題にあたれるよう地道に力をつけておきたい。
易しくはないが決して困難ではない、城北中学の問題に真っ向から挑戦してみよう。
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2020年度「城北中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が5,小問が19。時間に対して出題数・量は適切でありしっかりと勉強を積んできた生徒であれば時間不足となることはないだろう。ここ数年は素直な出題が続いているのでふだんの勉強量が点数に反映されたことと思わせる。
前半の基本問題を時間内または少し時間を余らすペースでこなし、【大問3】以降の応用問題に余裕を持って取り組めれば目標とする75点以上をとることも難しいことではない。
【大問1】計算問題
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
計算問題としては手のこんだ問題なので、【大問2】以降よりも慎重を期さないと間違えしまうかもしれない。
(1)は逆算と分数の割り算が含まれているので1つずつていねいに求めていく。
(2)は城北中でしばしば見られる、分配のきまりを駆使して解く問題で、途中から普通の計算に入っても困ることはないが究極まで使いこなすと次のように。
10.8×21=3.6×63から始めて
3.6×(53+63)+(27.8-20.6)×42
=3.6×116+7.2×42
=3.6×(116+84)
=3.6×200
=720…答え
複雑とは言え計算問題なので、ここでの失点は許されない。
【大問2】相当算・平均算・平面図形の面積・円とおうぎ形・数の性質
- 難度:標準
- 時間配分:18分
- ★必答問題
5つの小問からなる【大問2】だが、それぞれの難易度はまったく同じというわけではない。(1)(2)(3)は「易」、(4)(5)は「標準」レベル。いずれも典型題なのでどれも確実に正解したい。
(1)は線分図に条件をまとめ、28人に当たる割合を求める相当算。小5レベル。
(2)は面積図を使う平均の問題で、これも城北受験者にとっては当然身についているテクニックだろう。
(3)は2つの相似の関係を使って、BG:GH:HDの連比を求める平面図形の問題。今では「易」レベルと言っても良い内容だろう。
(4)は①と②の面積の和が③と等しいことから、円の面積と直角三角形の面積が等しくなる、だったら「易」問題と評したが「4分の3円」と「直角三角形-正方形」が等しくなるところに単純な典型題ではないことから「標準」問題とした。しかしこの程度の意匠に負けてはならない。
(5)は【大問2】の中では最も難易度が高い。もちろん経験したことのある問題だとは思うが…「5で割ると2余り」と「11で割ると8余る」には「5-2=3」・「11-8=3」という共通点があることから「5で割っても11で割っても3不足する」数とまとめることができる。一番小さい数は52で、しかも52は「7で割ると3余る」ではないか!この幸運を活かさぬ手はない。そこから先は(5×7×11=)385ごとに出てくる。あとは該当する数を2つ書き出すだけ。
【大問3】仕事算
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
本年度の問題では、この【大問3】が平易な出題だった。(3)がせめてポンプを使った時間がバラバラであったなら多少の難度アップは望めたのだが…
(1)(2)はポンプA,B,Cのくみ出す量の比を求めれば良い。ポンプBはCの3倍の水をくみ出すなと親切心にあふれた設問と言えよう。
(2)はポンプAとBが同じ時間水をくみ出しているので、平均を取れば1つにまとまってしまう。あとはつるかめ算に持ち込むという典型的な仕事算の問いになっている。基本の確認になるとともに合格まで手に入りそうだ。
【大問4】速さとグラフ
- 難度:標準
- 時間配分:8分
昨年度【大問4】は「勝負の分かれ目」となるくらい、手のかかった良問であった。本年度は同じダイヤグラムの問題でありながらそこまでの難易度はなく、設問も素直なものばかりだ。しかし点差がつくとすればここと【大問5】しか考えられず、そういう意味では「分かれ目」になった問題と言えるかもしれない。
(1)は10分にあたる割合がわかるのですぐ求まってしまう。
(2)(1)の答えから走る兄は家と公園の半分の距離を走るのに7.5分かかることがわかる。この距離を弟は12分かかっているので逆比から速さの比が求められる。
(3)(2)の答えから、兄と弟の速さの比を5:3とすると、家から公園までの距離は(5×15=)75とおける。弟が8分先に進むので、その距離を3×8=24とすると、この距離を兄は24÷(5-3)=12(分)で追いつくことになる。そのとき兄が走った距離は5×12=60である。このことから350mにあたる割合は(75-60=)15にあたるので全体の5分の1であることもわかる。
ここを全問正解して「合格」を確実なものにしたいところだ。
【大問5】立体図形の構成と切断
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
小さな立方体を積み上げ大きな立方体を作ってから中をくりぬくという問題も出題されたころには難問と恐れられたものだが、この問題を含め解き方が人口に膾炙してからは面倒ではあるものの難攻不落の問題ではなくなった感がある。しかし、両設問とも手間がかかる点と(2)の難易度を考慮して「やや難」問題と認定する。
(1)は上から見た25個の正方形を1段ずつていねいに調べていくという解き方が一般的だろう。時間と手間がかかるものの堅実なとき方だし、おそらく時間は十分に残っているものと判断する。
(2)は大きな立方体をななめに切断しているので考え方は(1)と同じように上から1段ずつ求めていくものの、1つの段の上部の切断線と下部の切断線では切っている立方体に変化があるのでよほど注意してかからないといけない。本番では、ここの失点はやむを得ないかもしれない。
攻略のポイント
テスト時間は50分で100点満点。
2020年度の問題は、受験者平均が70点、合格者平均が84点と比較的高い数値になっている。際立った難問が最後まで見当たらなかったからだろうか、目標点は80点に設定して問題に取り組みたい。
その中では難しいと思われた設問は【大問5】(2)で、あとの問題はふだんテキストなどで解いてきたレベルの範囲内である。ミスを最小限に抑えて合格ラインの突破を図ろう。
城北中学(第2回)合格への対策として、以下のことを守るべし。
・塾の教材や市販の問題集などで中程度の問題をしっかりこなし,正答率を上げておくこと。
・分野的には「図形」がメイン。角度や円の面積・相似形・立体図形など,さまざまな分野の問題になれておきたい。
・グラフを使った速さの大問にもふだんからトライしていこう。
入試問題の水準もここ何年かは安定してきたのでそのレベルに合わせて対策も立てやすくなっている。大切なことは合格点まで解けることだ。基本的な力を十分身につけて本番に備えておこう。
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