城北中学校 入試対策
2019年度「城北中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向と特色
例年は文学的文章・説明的文章の読解に語句や漢字というオーソドックスな構成であったが、2017年度から大きく傾向が変わった。
小説の読解1題(ことばの知識を含む)に漢字の書き取りだけと、かなりの変わりようである。説明的文章は出されていない。
素材文の文量は10000字ほどにもなり、2019年度では記号選択が7問・書き抜きが2問・30~90字の記述が5問と、記述重視の傾向が続いている。
来年度も記述中心の構成なのか、文学的文章だけなのか、あるいは以前の傾向に戻るのか、さまざまに考えられる。学校説明会などには積極的に参加して、情報収集を怠りなく行いたい。
傾向は変わったが、全体の難易度は変えていないと思われる。傾向が変わって3年目になり、過去問での練習もしやすくなったので、経験を積んでおきたい。
長文読解
素材文は文学的文章・説明的文章のどちらが使われるか、あるいは両方出されるのか、いろいろな可能性を考えてどちらにも対応できるようにしておかなければならない。
まずはそれぞれの読解の基本的な技術を磨こう。文学的文章であれば登場人物の整理・時間や場所や人物の入退場による場面分け、人物の心情や描かれているテーマの把握など。説明的文章であれば、形式段落と意味段落の整理、段落ごとの要点と細部、要旨と全体の要約など。
出題傾向は変わったが、素材文自体の難易度などは過去問と変わらないと思われるので、過去問で経験を積むことはもちろん有効である。
記述対策
文学的文章では、人物の心情や行動の理由などを聞かれる場合が多い。類似問題をこなすのはもちろんだが普段の読書においても常に意識して、いまこの人物はどういう気持ちなのか・なぜこんな表情になりこんな行動をとったのかなど、考えながら読むようにしたい。
説明的文章であれば、要点・要約が答えあるいは手がかりになる場合が多いので、読んだ部分を短くまとめるような練習が役に立つだろう。
そしてそれらを50~100字程度で文章に破綻がないようまとめる練習を積もう。だいたい一つの事柄・内容は20~25字くらいでまとめられることが多いので、70字であれば2~3の内容を使って解答を組み上げれば良いということになる。
城北中の過去問で練習に加えて、記述問題中心の普連土学園中や、難易度は高くなるが海城中や豊島岡女子学園中などは、文章量の多さなどの面でも練習台になるだろう。
傾向の近い他校の過去問などもうまく利用して、記述問題に慣れておかれたい。
漢字・言語事項
言葉の知識も出されている。漢字と合わせて、標準レベルの教材でよいので、丁寧に学習しておこう。
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2019年度「城北中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説で文量は10000字ほど。解答数は読解問題が14問、そのうち記号選択が7問・30~90字の記述問題が5問となっており、これに書き抜き2問と漢字10問が加わる。素材文は15~17分程度で読み終え、記述問題に時間を残したい。
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:45分
- ★必答問題
主人公は本当は佐藤先輩と吟行することを楽しみにしていたが、周囲から怖がられている佐藤と仲が良いと思われたくないために佐藤を傷つけるようなことを言ってしまい、それを本人に聞かれてしまった。周囲の目を気にしてばかりいる自分を情けなく思い佐藤に謝りたいと考えた主人公は、気持ちを短歌に託して佐藤に渡す。
問1 (A) ひょんな――思いがけない・意外な・妙な。
(B) 颯爽とした――姿や態度が勇ましくさわやかである様子。
問2 この時、佐藤も自分と同じ転校生だったことを知ったと書かれている。よく知りもしないくせにうわさ話で悪口を言われてしまう状況に、自身も転校生で周囲の目を気にしている主人公は自分のことのように辛さを感じてしまっているのである。
問3 「誰かの目を気にしながら生きているようには見えない」点を強いと感じているようである。26字の部分としては図書室司書の七海さんの言葉に「自分のなかの価値観~周りに流されない」があるので、ここを抜き出す。
問4 朋香に佐藤先輩と仲がいいと思われてしまった場面である。変わり者で怖がられている佐藤と親しいのだと周囲に知られることを恐れている。傍線④の後で「下級生からも~知られるのが嫌だった」と独白している箇所があるので、ここから40字で「こと」につながるように切り取る。
問5 「無理やり連れていかれて迷惑」と佐藤を傷つける発言をしてしまい、それを本人に聞かれてしまったことを悔やみ、自分を情けなく思っている。しかもそれは、本当は佐藤と吟行するのが楽しみで仲良くしたいのに、周囲の目を気にして本心を隠してしまった自分の弱さ・「虫のよさ」に起因している。その点も書き加えよう。
問6 周囲に合わせて自分を抑え込むことで、仲間外れにされたりせず表面的には平穏に学校生活が送れるということであろう。
問7 直前の「居心地いい寝床」といった皮肉を込めた発言から、周囲の目を気にしている主人公の態度に他の生徒たちと同じだったのかと失望していることがわかる。
問8 主人公は本心では佐藤と吟行するのが楽しく、これからも仲良くしたいと思っている。しかし、「あの言葉」を聞いてしまった佐藤から、今後は吟行に誘わないと言われてしまい、佐藤との親しい付き合いが終わってしまったのだと感じている。
問9 「わたしは悔しかった」が一番のポイントである。直後で説明されているマレーシアでの生活をふまえ、日本での状況と比較しながら3~4点ほどでまとめれば形よく仕上がるだろう。①マレーシアでは周囲を気にせずのびのびと過ごせたこと。②日本では周りに合わせようといつもびくびくしていること。③そんな自分の性格が変わってしまったようで情けなく、嫌であること。それぞれを25~30字程度でまとめれば適度な字数になる。
問10 直後の七海の顔をよく観察している描写からも、「まじまじ」が選べる。
問11 「どこでも同じ凛とした姿」である点に安心感を覚えた、とある。「りりしさ」に言及しているアがよい。
問13 きちんと自分の弱さに向き合い、本当の気持ちを佐藤に伝えることができた。主人公にもう迷いはない。これからは周囲に知られようとも、佐藤との吟行を楽しんで親しく付き合いを続けるのだという、吹っ切れた気持ちがあらわれている。
【大問二】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:5分
3. 絶版――本などの発行が停止されること。
6. 得体――正体。本質。
7. 段取り――物事を行う手順や準備。
9. 納める――収める・治める・修めるとの使い分けに注意。
攻略のポイント
新たに記述対策が必要になった点は負担に感じるかも知れない。だが、同じく記述問題が多く出される、いわゆる最難関校ほど難しくはない。傾向が変わって3年目だが、合格者平均点に大きな変動はなく、難易度自体は以前と変わらないものと思われる。
来年度も同じ傾向が続くものと仮定して、同程度の字数の記述問題を多くこなしておこう。過去問が不足するが、同じように記述問題の多い普連土学園中など、他校の過去問も利用して経験を積んでおきたい。
たとえ設問の形がどうであれ、読解力を磨くことが第一であることは言うまでもないだろう。
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