市川中学校 入試対策
2020年度「市川中学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
論説文と小説(随筆文)の2題が例年出されている。文量は増える傾向にあり、6000~8000字から、2018年度では10000字にもなり、まずは読むスピードをつける必要がある。
さらに本校の特徴として、選択肢問題に注意が必要である。五択である上に、一つの選択肢が100字を越えることもある。スピードとともに細部にまで注意を払う集中力も必要となり、本校の試験対策において特に訓練が必要な部分であろう。
以上のような傾向から、長文をすばやく読み、重要な部分をすぐ探せるように傍線や印で見やすくしておく工夫は重要である。
論説文であれば、段落を整理すること
形式段落を意味段落にまとめ、各意味段落の内容を大まかでいいので小見出しのようにメモしておく。
要点と細部の区別では、段落の最初と最後にポイントがあることが多いので、最重要と思われる一文をマークする。別の言葉で言い換えた箇所などを線で結んで参照できるようにしておくのも良い。
そして全体をながめて要旨をまとめる。普段の学習で、要旨を50字や100字で簡潔にまとめる練習をしておくと、実力アップにもつながるだろう。
小説では、まず場面を分けること。
時間・場所・登場人物の移動などを手がかりに、映画のシーンのようにイメージしておく。人物の言動から性格を把握し、情景も感じ取って心情を読み取る。特に気持ちに変化があった箇所は問題にされることも多いのでマークしておいたほうが良い。そして、誰のどんな気持ちが描かれた話なのかを読み取るのである。
このような点が整理できていれば、選択肢を判断する際の手助けになる。記述問題でも役立つはずである。
ただし、本校の記述問題は単純に文中から抜き出してつなぎ合わせただけでは答えにならないものが多い。 文中の実例を自分の言葉で具体的にまとめる必要があったり、言葉を補わなければわかりづらかったりする場合がある。傾向や字数の近い記述問題を多くこなし記述力をつけておきたい。
漢字・知識問題
漢字は読み・書き・同音異字の選択肢と多彩な形の出題が見られる。過去問で十分に慣れておくこと。
ことばの知識も毎年出されている。文法が出題される年度もある。油断せず学習しておく。
試験の難易度について
2~3年毎に国語の試験の平均点にばらつきがあり、難易度に差があるようである。あまりに難しい問題に当たった時は、あきらめて他の問題に注力する作戦も有りである。
なるべく多くの年度の過去問を見て、こういった点も実感しておいて欲しい。
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2020年度「市川中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文2題で約9000字と文量が多い上に選択肢のひとつひとつの字数もかなり多いので、何度も読み直す余裕はない。できれば素材文2つは12~13分ほどで読み終え、残りを問題の解答に回したい。
選択肢・記述ともに時間のかかりそうな問題を後回しにして、解ける問題をまず終わらせる。総解答数は20問とさほど多くはないので、一通り最後まで手を付けるペースを過去問でつかんでおきたい。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:25分
- ★必答問題
転校生の鳴沢の探し物に付き合う主人公の心の動きが描かれている。
問1 X. 「~するや否や」は「~するとすぐ」という意味。
問2 本来なら「不機嫌になるのが当たり前」だが「ここまで子供っぽいと怒りすら覚えない」と書かれているので、ウが合う。オも近いが、「初めからずっと助けてあげていた」が本文と合わない。
問3 傍線部直後で説明されている。「いままで」の苛立ちは、たかがぬいぐるみに固執し子供っぽい態度を示す鳴沢への苛立ちであるが、傍線部の「別の種類の苛立ち」は、たかがぬいぐるみでもその持ち主にとってその喪失感や悲しみがいかばかりか、そこに思いが至らない犯人の意識の幼稚さに対する苛立ちである。
問4 「そんなおれの柄にもない願い」が「メアリーに通じたわけではないだろう」と「現実的」に考えている。現実的な主人公がファンタジックにぬいぐるみに話しかけている図が「柄にもない」のである。
問5 ぬいぐるみはごみとして捨てられていたうえに正体不明の粘液で汚されていた。その念入りな嫌がらせに主人公はさらなる怒りを覚えている。鳴沢の悲嘆にも思いが及んでいるだろう。
問6 鳴沢の気持ちはわかるし、共感して犯人に対する怒りも覚えてはいるが、主人公にとって「メアリー」はあくまで「ぬいぐるみ」であり特段の思い入れがあるわけではないので、ウは誤り。
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
シンパンジーや子どもの描き方を例に挙げながら、「おもしろい」絵と「上手い」絵の違いや写実的に描くことの難しさを述べている。
問1 子どももチンパンジーも「描かれた結果としての絵=美」にはあまり興味がなく、絵筆を動かすことと描いたときの感覚の関係を「探索」する「過程」を面白がっているという点で共通していると述べられている。
問2 写実的に描くためには「目に入る視覚情報」を「ものとして認知する前の知覚」として描く必要があるのだが、人間は視覚情報をすぐに「『なにか』として言葉に置き換えて概念的に『認知』してしまう癖」があるので、視覚情報をそのまま描くのが難しくなってしまうのである。
問3 「母が嫌がること」や「新たな発見ができたような気がした」が本文の内容と合っているので、イがよい。
問4 本文で述べられている人間の性質を当てはめて考えてみる。「上手に書こう=写生しよう」とはするのだが、視覚情報を「概念的に認知された、知っているもの」に置き換えてしまうため、「見たまま」を描けていない。現実には隠れている猫の顔が描かれてしまっているのである。【A】と【B】の相違点を一つ挙げ、その原因に言及すればよい。
【大問三】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
1. 火急――火がついたように差し迫っていること。
3. 辺境――中央から遠く離れた地域。
6. 留保――判断や決定を一時さしひかえること。「保留」とほぼ同義だが、「留保」は法律・政治の場で用いられることが多い。
7. 気勢――意気込んでいる気持ち。
攻略のポイント
読解問題の長文化の傾向と選択肢問題の字数の多さを念頭に、同傾向の問題を多くこなして慣れておきたい。
まずは、本文を読み一通りすべての問題に目を通すスピードをつける。そして選択肢や書き抜きの問題で手間取らないよう、素材文を読みながら重要点を手際よくマークしていくコツをつかむ。特に選択肢の五択については最終的に2つで迷う場面が多く、そうなると細部の違いが重要になるので、細かい点を見落とさない落ち着きや注意力も必要である。また、記述問題は、文中から取り出して単純につなぎ合わせるだけでは答えにならないものが多いので、傾向の似た問題で訓練したい。
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