市川中学校 入試対策
2023年度「市川中学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
論説文と小説(随筆文)の2題が例年出されている。近年増加傾向にあった文量について、2021年度では約7000字であったが、2023年度は約11000字とまた増えている。しかし、もともと問題数が少なめの試験だったこととも考え合わせると、いたずらに問題を難しく時間がかかるようにするのではなく、しっかり考える時間を持たせるような意図が感じられる。今後数年の傾向を注意して見ておきたい。
本校の特徴として、選択肢問題に注意が必要である点は変わりない。五択である上に、一つの選択肢が100字を越えることもある。スピードとともに細部にまで注意を払う集中力も必要となり、本校の試験対策において特に訓練が必要な部分であろう。
ともあれ、長文をすばやく読み、重要な部分をすぐ探せるように傍線や印で見やすくしておく工夫は重要である。
論説文であれば、段落を整理すること
形式段落を意味段落にまとめ、各意味段落の内容を大まかでいいので小見出しのようにメモしておく。
要点と細部の区別では、段落の最初と最後にポイントがあることが多いので、最重要と思われる一文をマークする。別の言葉で言い換えた箇所などを線で結んで参照できるようにしておくのも良い。
そして全体をながめて要旨をまとめる。普段の学習で、要旨を50字や100字で簡潔にまとめる練習をしておくと、実力アップにもつながるだろう。
小説では、まず場面を分けること。
時間・場所・登場人物の移動などを手がかりに、映画のシーンのようにイメージしておく。人物の言動から性格を把握し、情景も感じ取って心情を読み取る。特に気持ちに変化があった箇所は問題にされることも多いのでマークしておいたほうが良い。そして、誰のどんな気持ちが描かれた話なのかを読み取るのである。
このような点が整理できていれば、選択肢を判断する際の手助けになる。記述問題でも役立つはずである。
ただし、本校の記述問題は単純に文中から抜き出してつなぎ合わせただけでは答えにならないものが多い。 文中の実例を自分の言葉で具体的にまとめる必要があったり、言葉を補わなければわかりづらかったりする場合がある。傾向や字数の近い記述問題を多くこなし記述力をつけておきたい。
漢字・知識問題
漢字は読み・書き・同音異字の選択肢と多彩な形の出題が見られる。過去問で十分に慣れておくこと。
ことばの知識も毎年出されている。文法が出題される年度もある。油断せず学習しておく。
試験の難易度について
2~3年毎に国語の試験の平均点にばらつきがあり、難易度に差があるようである。あまりに難しい問題に当たった時は、あきらめて他の問題に注力する作戦も有りである。なるべく多くの年度の過去問を見て、こういった点も実感しておいて欲しい。
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2023年度「市川中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文2題で約11000字と文量が多めで選択肢のひとつひとつの字数もかなり多いので、何度も読み直す余裕はない。できれば素材文2つは12~13分ほどで読み終え、残りを問題の解答に回したい。
選択肢・記述ともに時間のかかりそうな問題を後回しにして、解ける問題をまず終わらせる。
総解答数は21問と少なめなので、一通り最後まで手を付けるペースを過去問でつかんでおきたい。
【大問一】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
社会の移り変わりにともない今後増えていくことが予想されるアーバン・ベア問題に対して、筆者が考える対策を述べている。
問1 住宅地でもヒグマの目撃はめずらしいことではなくなった、「しかし、この個体は…生息地である南西部から遠く離れた北東部の河畔林で最初に目撃された」と、生息地から離れた河畔林を辿って市街地に入り込んだ可能性を重要視している。→選択肢エが選べる。
問2 まず食物を求めてという動機を挙げ、次に「しかし、市街地内部まで侵入するのは…新たな生息場所を求めて移動する途中、河畔林などから横にそれて街中に出てしまう」という事例を挙げている。
問3 河畔林など河川の緑化や保全は「多自然型の川づくり・生態系ネットワークの復元」のために重要であり、緑豊かで生きもののにぎわいある町づくりという意義のある施策なのだが、それが市街地にクマが出現するという負の側面ももたらしてしまうのである。
問4 従来クマの被害は入林者や農業者など山林で働く人に限定され、一定の対処療法も講じられてきたが、アーバン・ベア問題は突然街中に現れたクマに一般市民が遭遇するという従来の認識では対処しきれない問題になっている。
問5 筆者はクマをめぐる問題に実際に対処する鳥獣担当部署への要望として、「市街地の内部にクマが出没しにくい街づくり」と「地域の魅力や活力、日常生活の豊かさにつながる生態系ネットワークの復元」の両立を期待しているが、そのためには「予算を割き、部局横断の組織づくりと専門人材配置」を進めなければならないことを指摘している。
問6 ウ. 【文章Ⅱ】では、人口減少や機械化により農地などの市街地周辺にクマが近づきやすくなることが指摘されている。従来、市街地へのクマの侵入を食い止める役割もあった周辺ゾーンにその機能がなくなると、容易に市街地まで入り込んでしまうことが【図】からも見て取れるのである。
【大問二】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:27分
- ★必答問題
主人公は出版社で経理補助として働くうちに少女漫画を好きになり、制作には関われていないながらも出版社で働いていることに誇りを感じるようになる。
問1 A. 生返事――いい加減な受け答え・はっきりしない返事。
B. 怪訝――納得がいかず不審に思うさま。
問2 直後の段落に書かれているので、字数内でまとめる。好きは好きだがまだそんなに漫画のことを知らないし、もし大好きだと言って先輩にいろいろ聞かれて答えられなかったら恥ずかしい……と思ったようである。
問3 昔の少女漫画は「もっと素朴で幼い感じ・ほのぼのした地味なもの」が多かったが、現在は「現代的でおしゃれ、子供向きではあるが話も起伏に富んで面白く、大人の嗜好にも合っている」ことに驚いている→選択肢イが合う。
問4 まず「少女漫画をひそかに楽しむようになっているなんて、誰にも知られたくなかった」し、「漫画に時間を費やすなんて、あまり褒められたものではない気がし」ている。なにより「家族に職場のことを詮索されたくないという気持ちが強かった」。さらに「仕事は経理補助」で「出版に関わっていないことを認めるのも嫌だった」し、「くわしく訊かれて答えられなかったら恥ずかしい」とも思っている。以上のような内容からかいつまんで字数内に収める。
問5 ウ. 「子供とは違って夏休みのない自分は社会で必要とされている」などと考えて働くことの大切さに気付いたわけではない。
エ. 「自分の立場が編集者を支えており、それが自分だけの強みだと理解した」ような描写はない。
問6 エ. 「あっさりまた~いってしまった」は、千秋が牧子の話に注意を引かれずまさに漫画に集中している様子を示している。
【大問三】漢字の書き取り
- 難度:やや難
- 時間配分:3分
- ★必答問題
1. (浅学)菲才――学問や知識が浅く、才能が無いこと。
2. 遺志
3. (金科)玉条――最も大切な法律や規則・絶対的なよりどころとなるもの。
4. 亀の甲より年の功――年長者の経験は貴重であり、尊重すべきものである。
5. 景勝(地)
6. (徒)競走
7. 階級
8. 講演
攻略のポイント
読解問題は今年度はまたやや文量が増えた。選択肢問題の字数の多さを念頭に、同傾向の問題を多くこなして慣れておきたい。
まずは、本文を読み一通りすべての問題に目を通すスピードをつける。そして選択肢や書き抜きの問題で手間取らないよう、素材文を読みながら重要点を手際よくマークしていくコツをつかむ。特に選択肢の五択については最終的に2つで迷う場面が多く、そうなると細部の違いが重要になるので、細かい点を見落とさない落ち着きや注意力も必要である。
また、記述問題は、文中から取り出して単純につなぎ合わせるだけでは答えにならないものが多いので、傾向の似た問題で訓練したい。
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