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江戸川学園取手中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2020年度「江戸川学園取手中学校の算数」
攻略のための学習方法

江戸川学園取手中学の算数は、問題の分野・難易度よりも、むしろテスト時間やその問題量に特徴がある学校である。

1月校ではたまに見かけるが、時間や量を増やすことで、偏りなく全分野の力を均等に見たいという学校側の姿勢が伺える。
小学生には限界に近い分量だが、学校が求めていくものに合わせて、対策を立てていきたい。

過去問を数年間見てみても、出題されているのは、参考書や問題集で見かけたことがあるようなものが多い。レベルとしては上・中・下の「中」あたりの問題である。

多くの生徒は、分らなかったとしても、その解き方を知れば、「ああなるほど」と説明に納得し、理解できた問題として処理されるだろう。

設問もシンプルなものが多く、テスト中盤までは設問を読めば「解き方→解答」までが見通せるものが多い。解きやすい、教えやすいという印象だ。

しかし、ここで引っかかってはいけない。
なぜ「江戸川取手」が難関校なのかと言われれば、上記のような「わかりやすい」問題を合格者はことごとく解いてしまっているからである。

つまり、これら中盤の解きやすい問題は、ほぼ正解できていないと合格はなく、出来なかったときの「さわやか感」「喪失感」など味わってはいられないからだ。

一見とっつきやすいけれども、ミスの許されないこわさ、それが「江戸取」をして難関校と言わしめている由縁なのである。

だいたい、この学校の中盤問題を失点少なく解けている生徒は、算数の偏差値が60くらいはあると思われる。
受験においては、平均点付近が偏差値50で一つの基準となっているが、偏差値50前後の生徒は「基本的な問題をある程度解ける」レベルであって、決して「江戸取」前~中盤が解ける力を持ち得ていない。

 

[基本問題と応用問題]

この学校のテストで大半を占めている問題のレベルは、もう一つ二つ上の「応用レベル」での基本問題と言える。江戸川取手の場合、合格の鍵を握る付近の問題はいずれもそうであり、実に受験生にとって「痛い」ところを突いてくる。難しいとも簡単とも言えない、解けそうで解けない−「隔靴掻痒」という四字熟語があるがそんな気分にさせられる問題が群をなしている。

この入試問題は算数の実力者とそうでないものを分ける分岐点なのだ。

この学校に受かるためには、基本問題だけではなくて、もう一つの上のレベルでの対策を厚く行う必要がある。
夏休みか、遅くとも9月頃までには、「四科のまとめ」や「ベストチェック」あたり(つまり、基礎とかベーシックと呼ばれる一行問題レベル)の水準までは克服しておきたい。

江戸川取手で言えば、【大問1】にあたる内容である。迅速に正確に解けるようスキルを磨いて先に進みたい。

受験の成否を分ける、【大問2】【大問7】にかけての対策は、秋~初冬にかけて時間を十分とって多くの問題にあたりたい。
江戸川取手の問題において、「出来るか出来ないか」の分岐点にある、具体的な公式・解き方は以下のものを参考にするとよい。

 

[代数]

「一定の量がない倍数算」⇒一方の比を○で囲い、比例式で解く求め方。
「売買損益」⇒「利益=総売上−仕入れ値の合計」
平均算や食塩水の面積図による解き方
割合のつるかめ算とその解き方
「1」からN番目までの奇数の和=N×N

 

[図形]

・外角を使って多角形の和を求める解き方
・30度、60度、90度の直角三角形の辺の比(2:1)
・3:4:5、5:12:13などの辺比を持つ直角三角形
・高さが等しい三角形において、底辺の比=面積の比
・半径の値が分らない円の面積の求め方
・おうぎ形の面積の公式=弧×半径÷2
・円すいの側面積=母線×半径×円周率
・斜めに切断した直方体の体積の求め方
・特殊な三角すいの展開図は正方形にまとめられる
・円すいをころがしたときの回転数=母線÷底面の半径
・その他、時計算・N進法などあまり触れる機会がない問題の解き方

これらの公式や解き方を身につけてからは、ランダムに中程度の問題に多くあたりたい。

江戸川取手の問題には奇問はないので、同レベルの学校の過去問よりは、精選された問題集などで良問をたくさん解く方がよい。

必ず解いたことのある問題に本番でも出会うはずだ。それは大きなアドバンテージをうむ。

 

[最後に]

最後に、60分という時間の使い方だが、これは集中力を維持できる時間としてはかなり長い部類に入る。ましてや本番は四科目であり、テスト時間だけでも3時間20分という中学受験最長レベルのものだ。
2時間足らずのテスト時間で受かる学校もあるのだから、社会科で言えば「1分の格差」問題につながりそうである。

本番にあたっては、気力・体力を充実させて当日を迎えたい。コンディションが大切なことはスポーツなどでもおなじみのことだ。
同じ学力があっても力を発揮できるかどうかはひとえに当日の調子にかかっている。

算数においては、前半スムーズに問題解法が進むと、中~後半にかけて余裕が生まれてくる。
そのためには当然の帰結となるが、普段の勉強量の豊富さ、内容の質の高さが肝心である。

ボリュームたっぷりな江戸川取手の良問群にぶつかり、来春見事に合格点に達することを目標にしてがんばっていこう!

 

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2020年度「江戸川学園取手中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

60分で大問が7,小問が26(150点満点)。
【大問1】は簡単な計算問題と基本的な一行問題で、【大問2】以降は「易」・「標準」または「やや難」の文章題から成り立っている。小問の数20台後半と考えて良い。
本校テスト問題の難易度は易しくなる傾向にあり、今年もそれは変わらなかった。合格点をとるためには100点~110点は必要であり、基本問題はほぼ完璧におさえておきたいところだ。
大問1つあたり8~10分の時間はかけられるので極端な時間不足と言うことないだろう。ただし、設問によっては格別に難しいものが含まれているのでその取捨選択は思い切って行おう。難問を深追いせず、出来る問題を確実に正解することが合格への最低条件となる。

 

【大問1】計算問題・年齢算・面積・体積

  • 難度:
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

本年度の(1)も基本的な計算問題だったが、は分母を積の形に変形する工夫が必要だ。無理矢理通分して正解は「正解」とは言えないので、解き方を覚えよう。
(2)は年齢の差は変わらないことに注目して解く年齢算。
(3)は斜線部分を等積移動して「四分円-直角二等辺三角形」の面積にまとめる。
(4)は5cmと12cmの高さを平均して全体の高さとして体積を求める。
いずれもウォーミングアップレベルの問題なので全問正解して先に進もう。

【大問2】還元算

  • 難度:
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

線分図に条件をまとめて最後の値から求めていく典型的な還元算で、「少ない金額」「多い金額」には注意したいものの、何度も解いてきた問題だろうからミスは許されない。

【大問3】速さ(ダイヤグラム)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分

ここからようやく問題の難化が始まる。示されているグラフもバス2台の距離の差を表しているので決して簡単とは言えないが、わかりにくいダイヤグラムを線分図に書き直すなどしてグラフの意味をとらえ正解して欲しい。
(1)バスBの方がAより速さが速いことから、両バスは20分後にすれちがったあと、先にバスBがP町に着き、さらに42分後にバスAがQ町に着いたことがわかる。バスAの速さは与えられているので距離を求めることが出来るだろう。
(2)(1)からPQ間の距離がわかり、20分で両バスがすれ違っていることからバスの速さの和が求められる。このことからバスBの速さもわかる。
(3)①は2回目にすれ違うときの時間で、はバスBがP町に着いたときのふたつのバスの距離の差なのでそれぞれ注意して求めよう。2回目にすれ違うまでに両バスでPQ間の3倍の距離を進んだことがわかる。

【大問4】文章題(消去算)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

問題の分類としては「消去算」としたが、それは最後に解くときの手段であり、その前は平均算の考え方が使われている。空欄が3つなので容易には求められないものの○と△の式までたどりついたあとはあてはまる数を調べていくことになる。ここは正解しておきたい。

【大問5】速さ(点の移動)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

【大問5】は点数の差が大きくつく問題である。(2)は超難問なので、(1)だけはあてておき差をつけられないようにしたい。
(1)初めてAP=BQとなるのは、PとQが動いた長さの和が30×2の60cmになったときである。図示してみるとよくわかる。
(2)は動く点の数が3点になるし、Rの速さをすべて求めなくてはならないという超難問になっている。捨て問として処理したい。

【大問6】平面図形(相似・底辺と面積の比)

  • 難度:
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

この問題の難易度を「易」としたのはいささか辛いかもしれないが、今時の中学入試ではこの問題はすでに基本問題と言えるだろう。特に(3)の連比を作るテクニックは取得しておきたい。
(1)(2)それぞれ相似な関係にある三角形を見つければ容易に解ける問題である。
(3)AP:PN:NQのように、辺AQを3つの部分に分けて比を求める問題では、AQの長さを2種類の比で表し、倍数を使って比の大きさをそろえるという技術が必要になる。ここでは、AP:PQとAN:NQをそれぞれ相似な三角形の関係から求める。
(4)(3)で連比が求まっていれば簡単で、底辺の比=面積比になることを使って答えを求めよう。

【大問7】場合の数(数字の並べ方)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分

最後の大問は設問が3つあり、それぞれ「易」「やや難」「難」と査定できるから(1)は正解したいものの(2)(3)【大問5】(2)同様捨て問扱いでもかまわない。ただし、他の問題すべてに手応えを感じている場合であるが…
(1)積の法則を使い、左のわくから5通り、4通り、3通りとなるのでそれらをかけあわせよう。
(2)エのわくから決めていく。には何を入れても良いから5通り、は4通り、は3通りになる。次にア・イの部分だが、に入れた数字は使えないので4通り、3通りになる。に関しても、に入れた数字は使えないので4通り、3通りになる。あとはそれらをすべてかければ良いのだが、答えが大きすぎて正解という心地がしないかもしれない。
(3)はさらに条件を複雑にしたものであるし、答えはさらに巨大になるのでここは退散してテストの見直しに入るのが得策だ。

攻略のポイント

テスト時間は60分で150点満点。
問題数は多いもののその大半は標準レベルの域を出ないものなので、気持ちに余裕を持って臨みたい。
本年度だと【大問5】(2)【大問7】(2)(3)が群を抜いて難易度が高く、この3問は避けるが勝ち、となった。逆に他の問題はすべて得点できるくらいには力をつけておきたい。
「江戸川取手中学」の算数において、合格点を取るためには以下の点に注意して進めていこう。
・手元にある教材の中から過去問と同程度の問題を多くこなし、必要な解き方や公式などを身につけること。
・分野において大きな偏りはない。最も出題されやすいとされる典型題の類、さらには「図形」「速さ」「場合の数」など、「中学受験一般に出やすい分野」に合わせて勉強していけばよい。
過去問にあたる時の注意としては、時間と問題数である。通常の入試問題に比べると時間が長く、問題数も多いので、与えられた60分を有効的に使えるよう時間配分を考え、むやみに時間が余ったり、また足りなくなったりしないよう、うまいペースを身につけておきたい。つねに安定した学習を継続し、自分の力を十分に出せるよう仕上げていこう。

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