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青山学院中等部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「青山学院中等部の国語」
攻略のための学習方法

〇問題構成

本校の試験は大問が5~6問と多めである。漢字1題・長文読解3題・詩1題といったパターンがここ数年続いている。長文は文学的文章1問と説明的文章2問という組み合わせが多い。

文章量は文学的文章が多めで4000~5000字、説明的文章が1500~2500字ほどで2問あるので、多い年だと10000字超にもなる。2021年度は文学的文章5600字を含む、計1100字超にもなり、文章量は多い傾向にある。

総解答数は40問程度。2021年度では39問中、記号選択13問・書き抜き12問・記述1問・その他といった設問の割合になっている。また、「自分の言葉で」適語を考える問題も数問みられる。書き抜きは字数指定のあるものが多い。

 

〇長文読解

本校の高い偏差値からすると、素材文や設問の難易度は比較的低いと言える。難解・長大な問題で受験生をふるいにかけるのではなく、小学校6年間で培った適正な国語力を測ろうとしている印象を受ける。

説明的文章は1問が1500~2500字ほどの文章で、選択肢問題もいたずらに迷わせるような意地悪な内容にはなっていない。

文学的文章も5000~6000字と文量は多いが、内容は小学6年生にも理解しやすい設定やストーリーのものが多く、読みやすい。

設問形式は記号選択と書き抜きが大半を占めるので、解答にさほど時間は取られない。

全体として、文章・設問ともに難し過ぎない設定で、適正な実力でテンポよく解いてゆく試験と言えるだろう。簡単過ぎず、難し過ぎず、中学入試としてよく練られた問題である。ただし、文章量・問題数は決して少なくはないので、スピードは十分につけておく必要がある

以上のような点をふまえて、長文読解の基本に沿って演習に取り組む。段落・要旨・要約や場面・情景・人物の心情とテーマなど、文学的文章・説明的文章の読解テクニックを身に付ける

記述問題は30~50字程度のものが出題されるが、全体の要約が必要なものやあまりに難しい心理を説明するような重い記述問題ではないので、同程度の字数の記述問題で練習して慣れておけば、それほど手間取らないだろう。

 

〇詩

必ず詩の問題が1問出されるのが本校の特徴である。他校ではまったく見られない場合も多いので対策がおろそかになりがちだが、配点でも2割ほどを占めるので、大きく失点するわけにはいかない。

特別に難解な問題が出されるわけではない。中学入試レベルの教材で良いので、詩に特有の表現や技法に慣れておくこと。詩に多く触れて想像力を養うことは、長文読解にも大きく資するところがある。

 

〇漢字・その他

漢字は5~6問出題される。難しい漢字ではないので、標準的な漢字教材を1冊仕上げておけば対応できるだろう。

その他、接続詞・ことわざ・慣用句などの言語事項が2~3問合わせて出題される。全般的な国語の学習や読書を通じて覚えられるレベルであろう。

 

〇まとめ

選択肢問題と書き抜き問題が多いので、類似問題で慣れておく必要はある。全体の文章量と問題数の多さから、スピードも必要とされる。その他の点は、中学入試として適切な難易度で整えられているので、普段の学習で手を抜かず、読書にもできるだけ親しむ習慣も持てば、自信を持って試験に臨めるであろう。

ただ、2018年度以降では文章量が増え、問題の難易度が高くなった印象がある。今後の傾向に注意しておきたい。

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2021年度「青山学院中等部の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

今年度の読解問題は論説文2題・詩・小説という構成であった。

物語5600字・論説文2題で5900字の計11500字ほどと、小説が長めの文となっている。ことばの知識は漢字や詩の技法、慣用句やことわざなどが数問出されている。

詩や論説文は解ける問題をてきぱきこなし、最後の長い小説になるべく急いで目を通して、設問にはひととおり手をつけたい。100点を目指す必要はないので、答えられそうな問題なのに解く時間が無かった、という事態は避けたい。

【大問一】漢字の書き取り

  • 難度:標準
  • 時間配分:2分

(1) 穀倉――穀物を備蓄する倉庫。

(3) 魔が差す――瞬間的に判断・行動を誤る。出来心を起こす。

(6) 大枚――金額が大きいこと。

【大問二】詩の鑑賞

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

自分を支えてくれる人たちの心を感じて、病に伏せながらも安らぎを感じている。

 

(1) 「本立て」が「話し相手になる」で擬人法が使われている。行の最初は「いつも~」の部分。

(2)・(3) 傍線Ⓒの「大地」は病気の自分を支えてくれている家族や周囲の人の愛情を表しているだろう。そのおかげで傍線Ⓓのように病室でも心の安寧を感じられるのである。

 

(4) ③ 「閉塞感」は閉じふさがっている感じ。窓から見る空や大地が気を紛らしてくれる。

【大問三】論説文の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

人との会話では、特に子供が相手の場合は同じ目線に立って肯定的に話を受け入れ、相手の可能性を伸ばすようにしたいと筆者は考えている。

 

(1) ポジティブ(積極的・肯定的)⇔ネガティブ(消極的・否定的)。

 

(2) 傍線Ⓑは「考えとしてまとまっていないような状態で投げかける場合」である。その逆としては三段落後に「自分で考え抜いた理論を堂々と展開する」がある。

 

(4) 愚にもつかない――ばかげている・くだらない。

 

(5) 「適切な判断」と言ってはいるがそれは単に親が正しい方向性を示している「つもり」なだけ(→選択肢ウ・親が正しいと「思ったこと」)で、実は子供の可能性を摘み取ってしまっているのである。

 

(6) 失敗・挫折をしてもそれは「自らものを考えられるという自信」につながり、「成功体験」と同じ効果を持つはずだと述べられている。

 

(8) あくまで「言いかえた表現」なので、傍線Ⓗの意味・内容を訊かれているわけではない。相手と立場を同じにしてということを最後の段落で「海抜ゼロメートルの位置」と例えている。

 

(9) イ. 「人間関係は飛躍的に発展して」とは述べられていないし、可能性が伸びるのは「自分」ではなく「相手」であるので、選ばない。

【大問四】論説文の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

心の安定や生命の維持に必ずしも役に立たない学問は「虚学」などと呼ばれるが、世の中のさまざまなことを知り自分の世界を広げられる「脳みそのパン」なのであると主張している。

 

(1) 「虚学」に対して「実学」が挙げられている。

 

(3) 腫(は)れ物に触るように――遠慮しながら恐る恐る接する様子。

 

(4) 現存する世界遺産は、古くからの現物を「壊れてきたら直す」、「新しい部分と古い部分がごっちゃになっている」状態なのだから、選択肢ウが合う。

 

(6) 「脳みそのパン」で「世の中とは異なった見方、世界観をつかむこと」が、第五段落の「虚学」で「世のさまざまな物事について知ることは、すなわち自分の世界を広げること」と一致する。

 

(7) 「いろんな分野の学問」を勉強して学問の本質を知ることは脳にとってかなりの「快感」であり、そこから得た発想(生命の永遠など)で「安心」して生きて死んでいける、と述べている。

 

(8) エ. 中盤の段落で述べられている。

【大問五】小説の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:17分
  • ★必答問題

上手くいかない居酒屋の経営に苛立ち家族の気持ちにも思いが及ばなかった主人公だが、娘が見つけた母のレシピ集を見るうちに、自分の過ちに気づかされる。

 

(1) 何かを思いついた時などの、パンと「手」をたたいたりする動作である。

 

(3) 母の残したノートにはレシピ以外にも細やかな客への気配りが記されていた。訪れた人皆に平等に家族のような愛情で接していたことを知り、主人公は母親の立派なふるまいを誇りに思ったのである。

 

(4) 「注文の数や滞在時間」も利益に関係するが字数が合わないので、「伝票と、客が落としていったお金」を抜き出す。

 

(6) 店がつぶれそうだと認めるような言い方をしてしまい、「複雑な思いで瞳を揺らす」主人公が描かれている。いわゆる「目が泳ぐ」といった状態であろう。

 

(8) 父娘関係のみならず店の経営のことにまで思いを寄せてくれていた娘の気持ちを知り、自分のこと・経営のことばかりしか考えられずにいた己の情けなさに恥じ入っている心の内が独白されている。

 

(9) ① 笑ったり泣いたりもそうだが、「最初に」分かるのは主人公が初めて母のノートを手にしたときの様子である。

   ② 笑ったのをごまかそうと「口もとをひきしめる」動作をしている。

攻略のポイント

最新年度も文章量の多い試験である。問題の難易度も高い。素材文の長文化は難関校全般に見られる傾向なので、スピードを意識した演習をこなして、最後までやり通す手際の良さを身に付けていただきたい

とはいえ、文量が多いと時間切れの恐れは出てくる。無理そうな問題には早めに見切りを付けて、できる問題を確実に答えるのも作戦である。

こつこつと手を抜かずに身につけた実力があれば合格圏に到達できる試験である。

文学的文章・説明的文章・詩のそれぞれに、苦手意識を持たずに地道に勉強に取り組んで欲しい。

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