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山手学院高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「山手学院高等学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

前述のとおり「直接出題」も多いが、「本文読解」等でも必然的に問われることになる山手の「総合的知識問題」。いかなる「攻略法」があるのか?
 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

また、「口語文法」も必須項目だ。例年、直接出題されている。「文節分け」「文節の相互関係」「品詞分類」「品詞分解」「活用の種類と活用形」などを、完全に定着させ応用できるようにしておくこと。、中でも「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は特に重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

解法

「選択肢」「抜き出し」「空所補充」「脱文挿入」「語句記述」、その他の問題も含め「山手の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

大学入試にも匹敵するのボリュームの問題文を読まなくてはならない。全体で6000~7000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
山手に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

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2017年度「山手学院高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「論説文」、出典は入江昭「歴史を学ぶということ」(文字数約2800字)。

小問は全10問(解答数10)。「選択肢」(「組み合わせ」、「空所補充」あり)、「抜き出し」(空所補充)。問題文は4分弱で読み切り、設問を16~17分で解きたい。

大問は「小説」、出典は芝木好子「湯葉」(文字数約3500字)。

小問は全10問(解答数10)。「選択肢」(「本文内容合致」あり)、「語句記述」(「空所補充」の「総合的知識問題」)。問題文は4分半ほどで読み切り、設問を20分弱で解きたい。

大問は「総合的知識問題」。

小問は全5問(解答数10)。「選択肢」(「不適切」あり)。「口語文法」「文学史」「故事成語」「外来語」、「漢字の読み書き」(6問)。5分ほどで解きたい。

【大問一】論説文

  • 時間配分:

「ナショナリズム」を乗り越え「共通の歴史認識」を目指すことが果たしてできるのか――「地域共同体」を目指し、国際社会を「国際協調主義」だけではなく、「地域主義」と「多角主義」という2本柱で捉えるべきだと論じ、「歴史」は「過去」を共有のみならず、「将来」をも共有するように努力すべきだと指摘している。

本文では、21世紀の世界において、日本がどのような役割を果たし、近隣諸国とどのような関係を築いていくのかということについて、明確なヴィジョンを持つことが「歴史認識問題」を解決する鍵となると述べている。

「歴史学」に関する論考で、若干難解な語句もあるが、本校志望者であれば、内容は理解できるはずだ。多彩な「読解問題」が並ぶが、「形式段落」に関するものが2つあるというのは異色だ。尚、本大問では、「形式段落」について1~17の「番号」が付されている。

以下、いくつか確認してみたい。

[問一] 「空所補充抜き出し」(「7字」指定)。

本文中の空所     ①     に「あてはまる単語」を、「七字」で抜き出して答える。空所部前後は「学問や言論の自由を阻む大きな障壁のひとつは     ①     である」となっている。

「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。先ずは「内容」。「学問や言論の自由を阻む大きな障壁のひとつ」のものだとは分かるが、どのようなものかはここだけでは不明だ。「同一意味段落」に「手がかり」を求める(「論説文」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある)。すると、直後に「自分の国の行為を擁護し、他国を非難するといった傾向がある」と説明されていることに気づくはずだ。

つまり、「抜き出すべき内容」=「自分の国の行為を擁護し、他国を非難する」ことだ。「範囲」は無論、「同一意味段落」(形式段落冒頭の「接続詞」などに着目して特定すること)。

確認していくと、形式段落の最後に、「学術的・客観的な見方を持つべき歴史家ですら、……、えてして自国の弁護に終始するものを見かける。ナショナリズムの威力を思い知らされる」とある。「自国の弁護に終始する」=「ナショナリズムの威力」だと読み取れる。「内容」はふさわしい。

「指定字数」を考慮すると、「答え」は「ナショナリズム」になる。「抜き出し設問」では、「内容」→「範囲」→「確認」と順序立てて探していくことが重要

<時間配分目安:2分>

[問三] 「段落内容についての説明選択肢」(4択)。

形式段落についての「説明」を答える。「同一意味段落」の一部分に関しての「内容」を問う問題だ。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。だが、ここは「段落内容」なので、残念ながらそれは無理だ。「段落相互関係」に着目しながら、「選択肢消去」をしていくことになる。

確認する。の冒頭には「たとえば」という「接続詞」がある。要は、形式段落の「具体例」というわけだ。そして、はその「補足説明」だと判断できるはず。では、2の内容は何か? 段落最後から「(アメリカ人の)歴史認識にかんしてはこの事件(2001年9・11の同時多発テロ事件)以前と以降とで目立った相違はない」ということだと分かる。

各選択肢を確認し「消去」していきたい。(ア)「米国の歴史認識が9・11を転換点として……強硬的なものになった」、(イ)「米国の歴史認識が9・11以前も以降も変わらず自国中心主義である」、(ウ)「米国の歴史認識が政権を担う政党によって自由主義的なものにも愛国主義的なものにもなりうる」、(エ)「米国の歴史認識が……政府の思惑によって強硬的なものになり、他国から批判されている」。「9・11以前と以降とで目立った相違はない」のだから無論、(イ)以外は「消去」できる。

よって、「答え」は(イ)。「段落相互関係」は、段落冒頭の「接続詞」「副詞」などに着目することが肝要。

<時間配分目安:1分半>

[問四] 「語句の空所補充選択肢」(4択)。

本文中の空所    ③    に「あてはまる語」を答える。各選択肢の語句は「接続詞」と「副詞」。本校に限らず、定番の「空所補充設問」だ。特に、「接続詞」では「逆接」以外には十分に注意すること。「逆接」以外だと、どれもあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「文脈」を確認する必要がある。

また、段落冒頭の「接続詞」は前段落全ての内容を受けているので注意すること。選択肢は、(ア)「ましてや」、(イ)「ところが」、(ウ)「ところで」、(エ)「または」。空所にあてはまるものを確認する。空所の「前」で説明されていることについて、「後」では「一層その傾向が見られる」となっている。

したがって、「なおさら。さらに」という意味の「副詞」である「まして」を強調した「ましてや」があてはまると判断できる。「答え」は(ア)だ。

<時間配分目安:1分以内>

[問八] 「換言説明選択肢」(4択)。

傍線部⑦の「知の共同体」とは「どのようなものか」を答える。先ずは「原意消去」。各選択肢の「文末」(「選択肢の説明」で最も重要な要素は「文末」に記されている)が「共同体」の「原意」に結びつかないものを「消去」したい。だが、「文末」は全て「集団」となっているので無理だ。

次は「内容」での「消去」だ。「同一意味段落」を確認すると、次段落冒頭に「したがって」という「接続詞」がある。「まとめ」となっているので読み解いていくと、「帰するところ、『知の共同体』の構築、なかんずく歴史認識の共有」となっている。

各選択肢は、(ア)「相違点を統合した集団」、(イ)「価値観を共有した集団」、(ウ)「疑問点を超越した集団」、(エ)「応用力を兼備した集団」。「歴史認識共有」なのだから、 (イ)以外「消去」だと判別できるはずだ。

他の部分の説明も特に誤ってはいないので、「答え」は(イ)だ。先ずは「原意消去」を試みて、次に「解法」に則しての「段階的消去」をすること

<時間配分目安:1分半>

[問九] 「語句の空所補充の組み合わせ選択肢」(4択)。

本文中の空所   A      D   に「あてはまる語」の「組み合わせ」を答える。示されている「語句」は「現在」と「過去」の2語のみだ。「組み合わせ選択肢」なので、自分が分かりやすい空所から特定していき、「選択肢」を絞っていく。たとえば    D   、「     D    へのヴィジョン」となっている。「~へのヴィジョン」なので当然、「未来」で決定。

ここで選択肢は(ウ)(エ)だけとなる。(ウ)と(エ)の他の「語句」は全て異なっているので、どれかで判別できるはず。中でも    C   は「歴史認識問題は、ただ    C   をどう解釈するのかというレベルのものではなく」とあるので、「過去」以外はあり得ない。

よって、残るのは(エ)であり、    A        B   も問題ない。ということで、「答え」は(エ)になる。「組み合わせ選択肢」では、「組み合わせ」の特性を十分にメリットとして活用すること。無論、最終的な「代入確認」は不可欠だ。

<時間配分目安:1分半>

[問十] 「意味段落分けの選択肢」(4択)。

本文の17の「形式段落」を、「内容上三つに分けたもの」を答える。要は「意味段落分け」の設問なのだが、「高校入試」でダイレクトに問われるのは珍しい(「中学入試」ではままある)。意表を衝かれ、エアポケットになっていた諸君もいるやも知れぬ。

これまでも指摘してきたように、「段落相互関係」の読み取りでは「形式段落冒頭」の「語句」に着目することが肝要だ。から順に確認していくと、の「冒頭」に「第二の点、」とある。ここで「意味段落」が移っていることは明白だ。

各選択肢を確認すると、で区切っているものは(イ)だけなので、「答え」というわけだ。念のために他の「区切り」をチェックしても問題はない。尚、本問のように直接「意味段落分け」を問われていない場合でも、「論説文」は基本的に「序論」「本論」「結論」という3つの「意味段落」で構成されているものがほとんどで、その「区切り」は「論旨把握」にも欠かせないので、「問題文」を読む際には意識的に「分けておく」ことが肝要だ。

<時間配分目安:1分半>

【大問二】随筆

  • 時間配分:

徳川幕府瓦解により禄を離れた幕臣の娘が15歳で神田の湯葉商の養女となり、養父を助けその半生を捧げて奮闘する……、その半生を細やかな筆で描く「女流文学者賞」受賞作。本文は、主人公の少女「蕗(ふき)」が父親の「主馬(しゅめ)」とともに、養父となる「吉衛」と内儀(=おかみさん)の「歌」と初めて出会い、やがて、懸命に働くようになる姿が描かれている。

時代背景が明治時代で、当時の描写で難解な語句も登場するが、「※注」を参照すれば内容は理解できるはず。「換言説明」「心情説明」「理由説明」などが中心となったオーソドックスな大問構成になっている。

以下、いくつかの設問を検証する。

[問一] 「換言説明選択肢」(4択)。

傍線部①「吟味の眼差しを蕗へそそいだ」について、「このときの歌の説明」を答える。無論、先ずは「原意消去」。各選択肢の「文末」が「吟味」の「原意」に結びつかないものを「消去」する。

(ア)「判断している」、(イ)「見極めようとしている」、(ウ)「点検している」、(エ)「比べている」。「吟味」=「物事を念入りに調べること。また、念入りに調べて選ぶこと」ということは知っていて当然なので、(ア)(エ)は無論「消去」だ。次に「何の吟味」なのかを直前直後から読み解きたい(「小説」では「同一場面」の「直前直後」に「手がかり・ヒント」がある)。直前から、「歌」は「店(うち)は忙しい商いだから、しっかり働いてもらいますよ」と喋り(しゃべり)ながら、「蕗」を「吟味」していることが分かる。

残りの選択肢は、(イ)「店の労働力として使えるのか」、(ウ)「お客様に愛されるか」を、それぞれ「吟味する」となっている。であれば、難なく「答え」は(イ)だと判別できなくてはいけない。「小説」では、前後の「状況」や「きっかけ」などが重要な「手がかり」になると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[問三] 「換言説明選択肢」(4択)。

傍線部③「その部屋はにわかに充実したものになった」について、「これは何を表しているか」を答える。当然、「原意消去」からだ。各選択肢の「文末」が「充実」の「原意」に結びつかないものを「消去」する。

(ア)「大きさ」、(イ)「緩和」、(ウ)「安心感」、(エ)「にぎやかさ」。「充実」=「内容が満ち満ちていて豊かなこと」なので、(イ)(ウ)(エ)は「消去」できるはずだ(逆に「消去」できなければヤバイ)。「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で確認しても、「充実」した「きっかけ」が直前の「彼(=主人の吉衛)が坐ると」となっており、「主人の吉衛の存在感の大きさ」とある(ア)で間違いないことが分かる。

要は「一発消去」だ。畏るべし! たった「一単語」で正解にたどり着ける「原意消去」、大いに活用すべし

<時間配分目安:1分以内>

[問六] 「心情説明選択肢」(4択)。

傍線部⑥「今日までにはじめて出会った同志を蕗に見出していた」について、「このときの吉衛の心情」を答える。「原意消去」をする。「同志を見出していた」という「原意」と結びつかない「心情」を「消去」したい。

各選択肢は、(ア)「驚嘆と感謝」、(イ)「共鳴と歓喜」、(ウ)「信頼と尊敬」、(エ)「期待と不安」。「同志」であるので、残念ながら「消去」できるものはない。傍線部はほぼ一文なので、「傍線部(空所部)一文一部の法則」も使えない。

そこで「同一場面の直前直後」を確認する。次文に「その喜びが、めずらしく吉衛を饒舌(じょうぜつ)にした」とある。「その」は無論、傍線部を指し示している。つまり、「吉衛の心情」=「喜び」だ。したがって、「答え」は(イ)となる。結果的には、ここも「一発消去」だ。「選択肢消去」は様々な「解法」を駆使して、「消去」のオプションを適用していくことが重要だ。

<時間配分目安:1分>

[問七] 「比喩換言説明選択肢」(4択)。

傍線部⑦「算盤だけでは動けないよ」について、「どのような意味か」を答える。もちろん、「算盤」=「そろばん」=「和算の計算器具」のことだが、ここでは「比喩」として用いられていると判断できるはずだ。傍線部は「吉衛」の言葉、そして、「吉衛」は「商家の主人」。だとすると、「計算」するのは「お金」で、「得か損か」を考えることだと分かる。つまり、傍線部は「得か損かというお金のことだけでは商売は動けない」という「意味」だと読み取れる。

各選択肢は、(ア)「損得などのお金の問題だけでは、商売はできない」、(イ)「食べ物は食材が一番大切」、(ウ)「まず資金を用意すべきだ、(エ)「湯葉の味はおいしくなる」。当然、「答え」は(ア)だ。「比喩」であっても、「原意」を的確に捉えて読み解いていくことが肝要。

<時間配分目安:1分>

[問九] 「ことわざの空所補充語句記述」(「ひらがな3字」指定)。

「総合的知識問題」。傍線部⑨「どこからも米は降ってこないのに主馬は行儀を崩してはならないと信じていた」について、示されている「ことわざ」は「そのような武士の様子をからかったもの」だが、その中の空所           に「あてはまる語」を「ひらがな三字」で答える。「ことわざ」は「武士は食わねど高           」だ。

「答え」は「ようじ」だ。あまりなじみがないかも知れないが、「武士は食わねど高楊枝」は「武士は貧しくて食事ができなくても、あたかも食べたかのように楊枝を使って見せる」⇒「武士の清貧や体面を重んじる気風」を表現している。本校が求める「語彙力」はこのようにハイレベルだと心得よ。

<時間配分目安:30秒>

【大問三】総合的知識問題

  • 時間配分:

「総合的知識問題」。「口語文法」「文学史」「故事成語」「外来語」、そして、「漢字の読み書き」といった多彩な「知識問題」がそろっている。本校の本領発揮で、どれもが手強い。以下、検討しよう。

[問一] 「単語の数の記述」(「漢数字」指定)。

「口語文法」。示されている「しかしラジオはまったく異なった媒体であった。」の文は、「いくつの単語で成り立っているか」を「漢数字」で答える。先ずは当然、「文節分け」ではないということに注意したい。要は「品詞分解」することになる。

確認する。「しかし(接続詞)/ラジオ(名詞)/は(格助詞)/まったく(副詞)/異なっ(動詞)/た(助動詞)/媒体(名詞)/で(助動詞)/あっ(動詞)/た(助動詞)」だ。つまり、「十単語」なので、「答え」は「十」となる。「文節分け」はもちろん、「品詞分解」も「口語文法」の基礎のキだ。「品詞分類表」も含めてしっかりと再確認しておくこと。

<時間配分目安:1分以内>

[問二] 「文学史の年代整序選択肢」(5択)。

「文学史」。示されている「文学作品」を「成立年代順」に並べたとき、「四番目」となるものを答える。各選択肢は、(ア)「新古今和歌集」、(イ)「徒然草」、(ウ)「枕草子」、(エ)「竹取物語」、(オ)「源氏物語」。なかなかの難問だ。

(ア)(イ)が「鎌倉時代」で、(ウ)(エ)(オ)が「平安時代」だということまでは、誰でも分かるはずだ。であれば、「4番目」は(ア)か(イ)、どちらが先か? 瞬時に(ア)「新古今和歌集」だと判別できた諸君は準備万端だ。そうでなければ、まだまだ勉強不足と心得よ。

よって、「答え」は(ア)。ちなみに、全作品の成立順は、「竹取物語」(平安時代初期)→「枕草子」(平安時代中期、西暦1000年頃)→「源氏物語」(平安時代中期、西暦1010年頃)→「新古今和歌集」(鎌倉時代初期)→「徒然草」(鎌倉時代後期)となる。尚、本校では「文学史」は頻出だ。細部にわたるまで習得・定着させておくこと。

<時間配分目安:1分以内>

[問三] 「語句の意味の選択肢」(4択)。

「故事成語」。示されている「語句」のうち、「肝胆相照らす」と「ほぼ同じ意味のもの」を答える。「肝胆相照らす」は知っていなければならない「故事成語」のひとつで、「互いに心の底まで打ち明けて親しくつきあう」ことだ。

各選択肢は、(ア)「孟母三遷」(「教育には環境からの感化が大きいという」ということで、「孟母三遷の教え」と用いられる)、(イ)「呉越同舟」(「仲の悪い者どうしが同じ所に居合わせたり、行動を共にしたりする」こと)、(ウ)「春秋に富む」(「年が若く、将来が長い」こと)、(エ)「管鮑の交わり」(「非常に仲のよい友人づきあい」のこと)。

よって、「答え」は(エ)。ひとつでも未知のものがあったら、徹底的に復習しておくこと。

<時間配分目安:30秒>

[問四] 「外来語の意味の不適切選択肢」(4択)。

「外来語」。示されている「語と意味の組み合わせ」で「誤っているもの」を答える。各選択肢は、(ア)「ロジック――論理」、(イ)「ポテンシャル――一時的」、(ウ)「ストイック――禁欲的」、(エ)「パラドックス――逆説」。「ストイック」がやや分かりづらいか? しかし、「ポテンシャル」=「潜在的な力。可能性としての力」だということは判断できるはず。したがって、(イ)が「答え」となる。「外来語」についても、最低限のものは押さえておきたい、

<時間配分目安:30秒>

[問五] 「漢字の読み書き」(全6問)。

昨年度と同様に、本校としては「平均的難易度」、一般的には「難問ぞろい」だ。①「作家にゲンコウ料を支払う」=「原稿」(⇒「稿」の「部首」に要注意)、②「彼は党内でオンケン派」=「穏健」(⇒頻出の「熟語」だ)、③「落語好きの叔父がヨセに連れていってくれた」=「寄席」(⇒これは「読み」でもよく出される)、④「舌のえた美食家」=「(えた)」(⇒「文脈」を踏まえること)、⑤「演劇の台本を戯曲という」=「戯曲」(⇒「曲」ではないので注意)、⑥「見栄えのする」=「みば(え)」(⇒「栄え」=「は(え)」の「読み」も覚えておきたい)。

「漢字の読み書き」では「最難関レベル」までの習得が必須だと心得よ。

<時間配分目安:1分半>

攻略ポイント

●兎にも角にも多種多様な「総合的知識問題」が肝だ。出題数が多く難易度も高い。どう「攻略」するか? 「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」「手紙の常套句」「文学史」までをも確実に定着させることが必要。さらには、「口語文法」。学校自身が「高校の古典理解の前提として、口語文法を理解していることが必要なので例年必ず出題」と明言している。完全定着が不可欠。

いずれにしても、独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。学校や塾での学習だけでは全く不十分。「独習」は必須。「合格ライン」は6割強。「配点」が大きい「知識」での「失点」は合否に直結すると心得よ。

●「抜き出し」や様々な「選択肢設問」等はどう「攻略」するか? いかに「解法」を的確に用いるかがポイントになる。「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが必要だ。そのためにも、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくこと。それによって、「得点力」が安定することになる。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は6000~7000字程度。速く正確に読み取ることが求められる。分速700字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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