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筑波大学附属駒場高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「筑波大学附属駒場高等学校の国語」
攻略のための学習方法

記述

「筑駒の記述対策」は「問題解説」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。

最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。60~90字程度で書いてみる(筑駒の典型的な「解答欄」の「字数」に慣れる練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際はマス目のない用紙を用いること)。

解法

前述のとおり、「記述」やそれ以外の問題も含めて「筑駒の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。
「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

合計で3000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は45分。

当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。

その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。筑駒に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。
そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい

知識

「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「筑駒の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか?
「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。

先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。
過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。
特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。
しかし、筑駒ではそんなことはお構いなく出題されることになる。前述のとおり塾での学習でも不十分なので、「独習」をする他ない。

「古文単語」では「大学入試基礎レベル」(300語程度)を定着させ、「文語文法」は「動詞」「形容詞・形容動詞」は当然として、「助動詞」「助詞」の「意味・用法・接続」、さらに「敬語」までも理解しておく必要がある。

そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「高校用」の「ステップアップノート30——古典文法基礎ドリル」(河合出版)や、「古文単語」定着用として「重要古文単語315」(桐原書店)などが推薦できる。

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2021年度「筑波大学附属駒場高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問一は「随筆」、出典は「朝日新聞」(2020年01月11日付け)掲載の村田沙耶香「多様性って何だ? 気持ちよさという罪」(文字数約4000字)。小問は全6問(解答数7)。全て「説明記述」(「字数指定なし」7問、全て「70字ほど」の解答欄)。問題文は5分強で読み切り、設問を27~28分で解きたい。

大問二は「古文」、出典は清少納言「枕草子」(文字数約200字)。小問は全3問(解答数3)。「仮名遣い記述」(1問)、「説明記述」(「字数指定なし」2問、ともに「70字ほど」の解答欄)。12分程度で解きたい。

【大問一】現代文

  • 時間配分:

「個性」や「多様性」といった言葉が包含しているまやかしについて、筆者自らの体験を交えて綴(つづ)っている随筆の全文。大人が想像できる「個性」のみを認めて他を排除したり、「異物」をキャラクター化し、ラベリングをして「多様性」を認めたりすることは、本来の「個性」や「多様性」とは全く相反すると指摘している。内容は理解しやすい。「換言説明」、「内容説明」、「理由説明」と言った小問構成だ。典型的な問題を検証してみたい。

[問三] 「換言説明記述」(「字数指定」なし。「70字ほど」の解答欄)。

傍線部の「人間ではなくキャラクターになった」とは「どういうことか」を説明する。先ずは、「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)に「手がかり」を求める。直前に「そのとき、私という人間は」とある。「そのとき」「キャラクターになった」のだから、何があったかを確認したい。「指示語」なので開く。傍線部は段落冒頭で、前段落から「そのとき」=「それ(メディアがつけた私の「クレージーさやか」というあだ名)が私のキャッチフレーズとして独り歩きするようになり、キャッチコピーとして使うことを私が許諾してしまったとき」だと読み取れる。そして、「換言説明」なので「キャラクター」をどう「換言」するかだが、「キャラクター」とは「何らかの商品としての性質・特徴」を表しているということは知っているはずだ。そのことを踏まえて、まとめていくことになる。したがって、たとえば、「『私自身』というひとりの人間として認められているのではなく、単なる商品のキャッチフレーズとしてあだ名が利用されるようになったということ。」(68字)といった「答え」だ。

尚、「段落冒頭」の「指示語」は「前段落全ての内容」を指し示すということを確認しておくこと。

                                    <時間配分目安:4分>

[問四(2)] 「理由説明記述」(「字数指定」なし。「70字ほど」の解答欄)。

傍線部「最初はそのことが誰かを傷つけていることに気が付かなかった」について、「『気が付かなかった』のはなぜか」を説明する。解き進める前提として「指示語」を開いておく。前問の傍線部の直後であり、「そのこと」=「テレビで『私』のことである『クレージーさやか』というフレーズが流れるようになったこと」だと分かるはずだ。次に、それによって「誰」がどのように「傷ついている」のかを、「同一場面」から把握したい(「小説」「随筆」では「同一場面」に「根拠・手がかり」がある)。本文は「 ■   ■ 」で「同一場面」が明確になっている。確認する。「クレージーさやか」という「キャラクター」になった「私」がテレビで笑われていると、「私」と似ていると感じている視聴者が「自分が笑われている」という気持ちになってしまうことで「傷ついている」と読み解ける。では、なぜ「私」はそうしたことに「気が付かなかったのか」? 直後に「笑われて、キャラクター化されて、ラベリングされること。奇妙な人を奇妙なまま愛し、多様性を認めること。この二つは、ものすごく相反することのはずなのに、馬鹿な私には区別がつかないことがあった」と説明されている。これが「直接的理由」だと判断できるはず。よって、こうした内容を「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「『私』が奇妙な人間としてキャラクター化されて笑われることと、『私』と似ている人の多様性を認めることは相反するという区別がつかなかったから。」(69字)といった「答え」になる。尚、「説明記述」では「最重要要素」(「理由説明」の場合は「直接的理由」)を必ず「文末」にすること。

                                   <時間配分目安:4分強>

[問五] 「内容説明記述」(「字数指定」なし。「70字ほど」の解答欄)。

傍線部の「『個性』という言葉の薄気味(うすきみ)悪さ」とは「どのようなものか」を説明する。「傍線部(空所部)一文一部の法則」で確認すると、直前に「私は子供の頃」とあり、直後は「に傷ついていた」となっている。つまり、「私」は、「『個性』という言葉の薄気味悪さ」に「子供の頃」「傷ついていた」ことが分かる。ここで「同一場面」を読み解いていくのだが、この「場面」は「大人」になった「私」が「多様性」という言葉の「気持ちよさ」を述べていることに気づかなくてはいけない。「子供の頃」のことではないのだ。そこで、「子供の頃」の「個性」についての思いが述べられている「場面」を確認する必要がある。それは本文冒頭だとすぐに判断できるはずだ。「私が中学生くらいのころ」、「先生が一斉に『個性』という言葉を使い始め」、そのときの「先生」の「気持ちのよさそうな様子」が「私」には「薄気味悪かった」と述べられている。そして、「大人が喜ぶくらいの個性的なもの」は評価されるが、「本当に異質なもの、異常性を感じさせるもの」は「静かに排除されていた」と続けている。要するに、こうした「大人の二面性」が「薄気味悪さ」だと読み取れる。あとは、「補足説明」を加えて分かりやすくまとめていきたい。たとえば、「自分たちが喜べるくらいの『個性』は評価する一方で、本当に異質なものや異常なものはさりげなく排除して、自己満足しているという大人の二面性。」(68字)といった「答え」だ。「同一場面」の概要を的確に把握することが肝要だと心得よ。

                                    <時間配分目安:4分>

【大問二】古文

  • 時間配分:

言わずと知れた平安時代中期頃に書かれた随筆で、鎌倉時代の「方丈記」「徒然草」と並ぶ、「日本三大随筆」のひとつ。文章の長短・形式・内容のさまざまな約300の章段で構成されている。本文は127段の「七日の日の若菜」。例年同様に「内容解釈」と「仮名遣い」といった設問構成だが、全て「記述問題」となっている。2問を検討してみよう。

 [問一] 「理由説明記述」(「字数指定」なし。「70字ほど」の解答欄)。

傍線部の「むべなりけり」とは、ここでは「なるほどそうだったのね」という意味だが、「どうして『なるほど』と言ったのか」を説明する。「傍線部一文一部の法則」に「手がかり」を求める(「現代文」だけではなく「古文」でも適用できる)。直前に接続助詞の「ば」があることに気づかなくてはいけない。「ば」は「已然形接続」では「順接確定条件」(「~ので」「~と」と訳す)、「未然形接続」では「順接仮定条件」(「~ならば」と訳す)だ。確認すると、「と言ふ者のあれば」と、ラ行変格活用の動詞「あり」の「已然形」である「あれ」に接続していることが分かる。「順接確定条件」、つまり「理由説明」だ。無論、「~と言う者がいるので」ということだ。何を言ったのか? 直前に「耳無草(みみなぐさ)となむ言ふ」とある。「なむ」は「強意」の係助詞なので「耳無草と言う」と訳せる。さらに、その前から「状況」を読み取りたい。「見も知らぬ草」を「子ども」が「取り持て来たるを」(=取って持ってきたのを)、「何とか、これをば言ふ」(=これは何と言う草なの?)と「問へば」(=問うと)、「子ども」は「とみには言はず」(すぐには答えないで)、「これかれ見合はせて」(=お互いに顔を見合わせて)、ようやく「耳無草」と答えている。ということは、「子ども」は「耳無草」(⇒耳がない草)なので、質問が「聞こえないふり」をしていて、そのことに気づいたから「なるほど」と言ったことが分かる。あとは、整理して「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「持ってきた草の名を子どもがなかなか答えなかったのは、耳がないを意味する耳無草という名前なので、わざと聞こえないふりをしていたのだと納得したから。」(72字)といった「答え」になる。ざっくりとした「現代語訳」をしたあとは、「現代文」と同様の「解法」を用いて解き進めると心得よ。

                                    <時間配分目安:4分>

[問二] 「仮名遣いの変換記述」(「ひらがな」指定)。傍線部「あはれ」を「現代かなづかい」に直して、「全てひらがな」で記述する。誰もが知っていなくてはいけない「歴史的仮名遣い」の基本。「語頭」以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」→「わ・い・う・え・お」となるので、「答え」は「あわれ」だ。尚、他に「母音」と「母音」が直接つながった場合の変換で「au」→「ou」→「o(∧)」、「iu」→「yu(∧)」、「eu」→「yo(∧)」、表記として「え」と「ゑ」・「い」と「ゐ」の区別も理解しておくこと。

                                   <時間配分目安:30秒弱>

攻略のポイント

  • ●「説明記述」を制さずして「筑駒の門」は開かない。特に本年度は出題形式が大きく変わり、「配点の98%」もが「説明記述」だ。攻略ポイントは、いかに過不足なく「必要要素」を網羅してまとめられるかだ。結局は、愚直に「記述」の「練習」を続けるしかない。先ずは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。そして、「内容」から重要度を特定し、優先度の高いものから積み上げる。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「60~90字程度」の「解答欄」が多いので、2~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。本校の「合格ライン」は6割強(過去9年間平均の「合格者最低得点率」は61.0%。本年度は60.8%。)。配点比率の大きい「説明記述」での「失点」は防ぎ、「減点」も最小限にしなくてはならない。来年度以降は、今までよりも増して重点的な対策が求められる。

 

●「説明記述」以外の「設問」にはどう「対処」するか?(本年度は未出だが、油断は禁物)。 「選択肢」「抜き出し」が主だが、高度な「読解力」が求められる。「設問内容」や「条件」を的確に捉え、それぞれに応じた「解法」を適切に用いることが最優先だ。そのためにも、基本的「解法」は完全に習得したい

「古文」の「攻略法」は? 勿論、「中学レベル」の学習ではとても追いつかない。一般的な「私立高校」向け対応をする塾などの「範囲」をも超越する。要は、中堅クラスの「大学入試」に対応できなくてはならない。「語彙」や「文法」、「古典常識」まで幅広い「知識」が求められる。尚、これまでの出典で多い、「宇治拾遺物語」や「今昔物語集」といった「説話集」、そして、本年度の「枕草子」、一昨年度の「徒然草」のような「随筆」にも馴染(なじ)んでおく必要がある

  • ●試験時間は45分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は例年3500字ほどと少ないのだが(本年度はやや増えて約4200字)、「説明記述」での時間を考慮すると、やはり、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にしたい

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