昭和学院秀英高等学校 入試対策
2018年度「昭和学院秀英高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
例年、説明的文章・文学的文章の各1問ずつが出題されている。字数は計8100ほど(2018年度)。
漢字5~6問・接続詞や慣用句などの言語事項が数問、合わせて出されている。
やはり70~90字ほどある記述問題は手間がかかる。論説文・小説の両方で出題があるので、それぞれの記述のまとめ方に慣れておこう。
記述問題
論説文の場合、本文中の言葉・文章の他の表現への変換や詳しい説明が主になるが、各段落の要点にまとめられている場合が多いだろう。傍線部の前後・段落の最初と最後は注意すべき最重要点である。まず同じ意味段落の中で適当な箇所を探すということもセオリーであろう。
形式段落→意味段落への整理・各意味段落の要約(この際、内容を短いタイトルにしてつけてしまうとわかりやすい)・段落ごとのつながり・各段落の要旨の把握、そして全体の要約へといたる。解答の際の手間を省くためにも、上記の重要点を印・傍線で目立つようにしておくことは大変有効である。
およそ20~30字程度で一つの事柄がまとめられる場合が多いので、80字であれば3点くらいの内容を抽出してつなげれば形よくまとまるだろう。
小説の場合、心情の説明がやはり多くなる。場面・登場人物の転換があればその箇所を正確に分けておく。人物の言動や表情からその時の心情を考える。特に心情に大きな変化があった場面は要チェック。情景にも注意しながら本文で描かれているテーマを読み取る。
文学的文章の場合、文中にはっきりと説明されていないことも多い。その場合、普段から多くの小説・随筆を読み、人間のさまざまな気持ちを体験しておくことが何よりもよい勉強になるので、ぜひ読書に勤しんでいただきたい。
選択肢問題
本校の選択肢の問題は5択になっていて、答えを絞るのに手間はかかるが、それぞれの選択肢の内容ははっきりしており、無理に迷わせるようなものではない。本文をしっかり読み取れていれば正解を選べるはずである。
漢字・その他
漢字は基本的なものが5~6問程度出題される。その他、品詞やことわざ・慣用句などの言語事項も数問。高校受験用の問題集などを1冊しっかり仕上げておこう。
古文
単語に注釈はついているが、現代語訳などはついていないので、ほぼ大学レベルとも言える難しさである。内容は現代人にも理解しやすいものが選ばれているようなので、古典に慣れていれば読み取れるであろう。
ただし、そのためには中学校で習う量では全く足りない。高校初級~中級レベルの教材で、重要単語・基本文法を覚え、少しでも多くの古文に触れて頭を慣らしておかなければならない。配点も2割ほどと高いので、最低でも半分は正解できるくらいの力はつけておきたい。
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2018年度「昭和学院秀英高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文読解は論説文3700字・小説4400字の計8100字ほどで前年度より少し増えた。これに古文600字ほどが加わり、文量が多くなっている。
長文記述は70~90字の3問。ここだけで12~15分ほどは要するであろうから、最初の漢字や知識問題を素早く済ませ、なるべく多くの時間を記述問題に残したい。古文も10分ほどみておいて全体の時間配分を考えたい。
【大問1】論説文の読解
- 時間配分:25分
変動の激しい現代社会において、〈経験〉や〈身体〉といった思想や理論の拠り所まで降りていき、知を再組織する必要があると説いている。哲学的な話題で難解である。
問1 A.端的――はっきりと・要点をてっとり早く。
D.統御――全体をまとめて支配する。コントロール。
E.窮地――逃げ場のない苦しい状況・立場。
問2 a. 変動する経済や政治を理解し対処するための地図=経済理論・政治思想。次の段落でも「思想や理
論」という言及がある。
b. 私たちのうちにほとんどなにものこさない=跡が残らない・強く刻み込まれないというイメージか
ら、「刻印」が当てはまる。
問3 直前の「思想や理論の拠り所に降りていき、知の再組織の手掛かりを得る」とある、その「拠り所」が、
生の全体像と結びついている「経験・身体」なのである。
問4 5段落~6段落に説明されていることを順番にまとめればよい。
問5 経験が真に経験になるためには、「能動的に・身体性ある主体として・抵抗物を受け止め」る必要がある
のだが、ここで言う「抵抗物」がすなわち「パトス=受苦」である。「受苦」が伴わないと「内面化され
ない経験・上の空の経験」となり、「生の全体像と結びついた経験=真の経験」にならないのである。ご
く単純に言うと「楽な経験は身に付かない」のである。
問6 「自己も現実も根源的経験の分化したものになる」とある。「経験」から「自己」が派生する・生れ出る
のである。「経験があっての自己」となるのである。
問7 私たちは、自己・他者・世界との矛盾に突き当たりながら生きていく。自己は世界や他者との関係性のな
かにあり、その関係性を組み込んだ結果、経験は経験となり現実とのかかわりが深まるのである。
問8 イ. 文中で「自己と他者との矛盾を解決する」とは述べられていないので×。
問9 真の経験には受苦に晒されることが必要なのであるから、「私たちを面食らわせ辛い立場・窮地に追い込
む」ような出来事を経て、以前の自分と異なった自分になる……といった具体例を考えればいいだろう。
【大問2】小説の読解
- 時間配分:15分
主人公と弟との境遇・関係性の変化を、りんごを道具として象徴的に描いている。
問1 a.「手さぐり」――目に見えないものを手の感触で感じ取ること。
b.「歯の根も合わぬ」――寒さで震え、歯がぶつかり鳴る様子。
問2 闇屋たちがりんごを2つ置いていったのは、玄関先で主人公たちの靴に気づき、菊雄以外にもう一人いる
ことに気づいたからである。「懐中電灯の光の輪」が文の主語なので、「時子の靴も照らし出した」など
とするのがよい。
問3 ア「父の悪口」・イ「自分の家に帰りたい」・エ「寝付けない気持ちを紛らす」がそれぞれ合わないので
×。
問4 懐中電灯の光から主人公を逃がし、「ねえちゃん、出るな」と菊男だけで闇屋と対峙したことなどから、
弟が姉を守ろうとしていた様子が見て取れる。りんごを食べて休めたこととともに、弟の優しさが記憶さ
れたのである。
問5 「姉弟でも、もう割り込む余地はない」とある。兄弟間で金を貸すことはある種のつながりともいえる
が、弟たち4人の家族に、姉としてはもう踏み込めない隔たりがあると主人公は感じたのである。
問7 「自分と比べて」なので、主人公のことにも触れる。菊男については「年とった動物が~実りはじめてい
る」の部分の例えに注目。ほどほどで満足する弟の性格に歯がゆさを感じていた主人公だったが、年月を
経て穏やかな幸せを手にしている弟と、モノに囲まれているだけの寂しい自分との違いを意識してしまっ
たのであろう。
問8 ウ 丸かじりしたことと食べずに放り投げることで「繊細な一面を暗示」することにはなっていないので
×。
【大問3】古文の読解
- 時間配分:10分
問1 a.「まめ」――真面目である。
問3 和歌の内容が良かったことと、やはり衣服を与えたのだから寒さで震えているのを気の毒に思ったという
ことだろう。
問5 A. 今世は良いこともないだろうと言っているので、法師になって徳を積み来世ではよい人生を送りた
いと思ったのである。
B. 出家するにも戒師に渡す布施もなくて無為に過ごしていたところに、和歌の褒美で上等な服をもら
ったので、それを布施として出家した。
攻略ポイント
記述問題で配点の2割強を占めている。同じくらいの字数で日本語に破綻がないようにうまくまとめる練習を積んでおくこと。
今年度選択肢は4択だったが、いたずらに答えを迷わせるような意地悪なものではないので、読解力をつけて臆せず自分が正解と思うものを選べばよい。
古文も中学生向けに素材文のレベルを下げてくれるわけではないので、高校生中級くらいを目指す気持ちで高校用の教材で勉強しておくのがよい。
問題文も含めて字数は多いので、常にスピードを意識して学習すること。