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渋谷教育学園幕張高校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「渋谷教育学園幕張高校の国語」
攻略のための学習方法

論理的な思考力を付けて、本問のような論説文の入試問題で高得点を取るにはどうしたらよいか。いくつかのポイントをあげておこう。第一に『文章を書く』ということである。何も考えなしに闇雲に文章を書いてみても、入試問題における論説文対策にはあまり効果が期待できないだろう。おすすめは「論説文の要旨をまとめる」ということである。受験生にとって一冊の論説文〈岩波新書など〉を読んで要旨をまとめると言っても、その様なことを行う時間的余裕はないはずである。そこで提案したいのは、論説問題の文章をまとめてみよう、ということである。それも、文章でまとめるのではなく、『箇条書き』で『単語』としてまとめていくということである。そうすれば、文章を書くという時間的な負荷も軽減され、なおかつコンパクトに論説文の内容、論旨の流れなどが手に取るように理解できるはずである。第二に『論点を明確にする』ということである。『論点』を『筆者の主張』と置き換えてもよい。つまり、筆者は何がいいたいのかということを明確に把握するということである。具体的には、本文中で筆者が繰り返している部分や、「つまり」や「したがって」という接続詞でつないでいるような箇所は要注意である。

また、筆者の考えを丁寧に辿ることである。「丁寧」といっても時間をかければよい、というわけではない。いうまでもなく試験時間は限られており、その時間的制限の中で的確に筆者の考えや論理展開を把握しなければならない。そのためにも、文章を読むスピード、内容を把握する力、把握した内容をまとめる要約力など、求められる「力」は相当なレベルである。これをしっかり満足のいく程度にブラッシュアップさせるためには、日頃から自分の言葉でしっかり考え、文章を書くということである

次に、小説に関する設問についてのアプローチを考えてみよう。まずは、心情の読み取りである。直截的に「私は……と思う」とは描写されない。人物の心の中は、情景描写であったり、その人物の一挙手一投足に現われる。そのような表現をしている部分を選び出し、人物と人物の間の精神的葛藤や同調する部分をしっかり理解しよう。そのような作業を行うことなく、小説に描かれている『人物』の内面の本質的な部分を理解するのには時間がかかるであろう。さらに、注目すべきは『会話』である。会話のやり取りを読み進めるうちに、人物同士が相手に対してどのように感じているか、心理的駆け引きは行われているのか、といった事柄も見えてくる。全体的な内容をしっかり理解するには、そのような面の理解と分析が不可欠である。いずれにしても、学校で扱う小説や過去問で挑戦する小説の問題に対して、人物の心情を中心に読み進める癖をつけるように心掛けること。これをうまくマスターすれば合格点は取れる筈である。

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2021年度「渋谷教育学園幕張高校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問1】文化人類学的分野(文化)の論説文に関する読解総合問題である。

漢字の書き取り問題、記述問題(50~70字:2題)と選択肢問題である。<22分>

【大問2】小説の読解問題である。

漢字の書き取り、記述問題が2題と選択肢問題である。<25分>

【大問3】古文読解総合問題である。

基本的な文法事項や古語知識は不可欠である。文学史も押さえておくこと。<13分>

【大問一】文化人類学的分野(文化)に関する論説文の読解問題

  • 時間配分:22分

出典:「近代文化の終焉」(山本雅男著)

(問一)漢字の書き取り問題である<一。<2分>

標準的な漢字問題である。完答を目指せるレベルの漢字である。「所以」=「ゆえん」は読めるようにしておこう。

(問二)内容把握選択問題である<3分>。

「観念の産物」が「物理的機能をも拘束する」のである。「観念」とは「家の中では外履きを脱いで素足かスリッパに履き替えるという日本の習慣」であり、「物理的機能をも拘束」するとは家に入るときに外履きを脱がない外国の習慣(靴を脱ぐという物理的機能)に直面し狼狽するのである。

(問三)適語選択問題である<2分>。

耳に聞こえる犬の鳴き声は日本やイギリスで大きく異なるが、それは犬の鳴き声そのものが異なるのではなく、それを耳にする聞き手側の「文化」によるのである。また、「言葉の種類とおなじ数だけ鳴き声の表現も可能」なのであり、「言葉」が「音」をつくり出しているといっても過言ではないのである。

(問四)内容把握記述問題である<7分>。

「日本では、秋の…虫の音は、季節の徴表」とされるが、「西欧においては、たんなる自然正解の音、ときには雑音」とさえされているのであり、その受け止め方は全く異なっている。その違いは、日本における「虫の音」を心地よいものとして受け止める文化が形成されているのである。

(問五)内容把握記述問題である<8分>。

「針の穴」とは、「人間の感覚器官がきわめて限定された範囲でしか実在の世界と向き合えない」に書かれている「限定された範囲」という比喩表現である。つまり、人間はごく限られた範囲のものしか把握できない、ということである。

 

【大問二】小説の読解総合問題

  • 時間配分:25分

出典:「そばやまで」(永井龍男著)

(問一)漢字の書き取り問題である<2分>。

「自嘲」もしっかり書けるようにしておこう。

(問二)語句問題である<2分>。

「鷹揚」とは、「おっとりしたようす」を表わす言葉である。

(問三)文章把握選択問題である<3分>。

「己の貧寒な性根」とは「売文で暮らしを立てる決心」をしたのであるが「才能がないと見切りがつけば、支那そばの屋台でもなんでも曳く」という「腹」のことである。

(問四)内容把握記述問題である<6分>。

「病葉」とは、「枯れ始めた色づいた葉」のことである。そして、この枯れ葉が分厚く積もっている状況から、住人による家の手入れがされていない様子が理解でき、この家が「売り」に出された家であることを感じさせるのである。

(問五)内容把握記述問題である<7分>。

「家主」が来たということで、「私」はとうとうこの家を追い出されるのかと「身構え」たが、家主は部屋を「引揚げ者のために明けてもらえ」るのであれば、無期限で済んでよいと話したのである。「私」は安心し家主の申し出を受け入れようと思っているのである。

(問六)心情把握選択問題である<4分>。

なぜ「私は口籠った」のかの理由を考える。成果らしいものを何一つ出していないのに、著述業という職業名を口にすることに関して「ためらいの気持ち」があったのである。

(問七)文学史問題である<1分>。

芥川賞受賞作家を選択する問題。大江健三郎が受賞作家である。

【大問三】古文読解総合問題

  • 時間配分:13分

出典:「沙石集」

(問一)現代語訳選択問題である<2分>。

Ⅰ「腹を据ゑかねて」とは「怒りを我慢できない」ということである。

「奇怪」とは「けしからぬこと、不届き」ということである。

「ねたさ」とは「腹立たしさ」ということである。

(問二)内容理解問題である<2分>。

「所領を召し、流罪」とは「勘当」したということである。

(問三)内容把握選択問題である<2分>。

「事苦々しくなりける」とは、女房が「腹の立つままに」=「腹立ち紛れに」根拠のないことを言って息子を「勘当」され「流罪」になってしまった。そのことを女房は「気まずいことになった」と感じているのである。

(問四)内容把握選択問題である<2分>。

該当の本文の表現は「反語表現」である。「どうしてたたくことができようか。できない」という意味である。

(問五)内容把握選択問題である<2分>。

「至孝」とは「最高の孝行」のことである。この場合、「何」が「最高の孝行」かを考える。どのような状況であろうとも、子として親(母親)のことを大事にしようとする「子の親に対する孝行心」のことである。

(問六)内容把握選択問題である<2分>。

根拠がないにもかかわらず息子を訴えた母親に対し、「至孝」をもって母のことを大事に思う息子のことを称賛しているのである。

(問七)文学史問題である<1分>。

出典の「沙石集」は鎌倉時代に無住法師が著した説話集である。選択肢の中にある同時代の作品としては「宇治拾遺物語」である。

攻略のポイント

全体的に、現代文(論説文・小説)の読解、古文読解が中心である。この出題傾向は例年変わらない。設問内容としては内容把握・心情把握が問われている。また、漢字、文学史、語句、古典文法などの知識問題は確実に得点できるように事前準備を怠らないように。さらに、50~60字の記述問題も全得点に占める比重が高いので、短時間で自分の考えを本文に沿って文章に纏め上げるスキルも身に付けなければならない対策としては、とにかく記述式問題で徹底的に文章を書くことである。この対策を怠ると、本番で徒に時間だけが過ぎてしまい、満足のゆく答案に仕上げることができないであろう。

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