東京農業大学第一高等学校 入試対策
2019年度「東京農業大学第一高等学校の国語」
攻略のための学習方法
現代文の読解
例年、2題の論説文の長文読解が出題されている。文学的文章は出されていない。2019年度では計6500字、さらに古文の540字ほどがこれに加わる。読解のスピードをつける訓練が必須である。
形式は選択肢が多く、穴埋め・記述が数問ずつ含まれており、漢字や語句の意味などの言語事項も合わせて出題される。記述は25~100字程度の説明記述で、答えるのにある程度の時間を取られる。
説明的文章のみの出題なので、対策もそこに絞ったものとなろう。形式段落→意味段落への転換・意味段落の内容把握(短いタイトルを付けてしまうと良い)・段落のつながりや関係・段落の最初と最後に注目しながら要点と細部の区別・それらを整理して要旨・結論をまとめる……といった論説文読解のパターンに習熟する。
記述問題では特に、要点と要旨のまとめが重要である。求められる答えは、各段落の要点をいくつか組み合わせて作られる場合が多い。50字の記述であれば、書ける内容が2つ(2文)程度と見当をつけて、適切な箇所を使ってまとめるのである。
本文に印や傍線で重要点をマークしておき、関連する部分を結んでおけば、記述問題の答えをまとめる際に大幅な時間短縮が見込める。その際、誤字・脱字や文法の誤りなどにも注意して、不用意な減点を受けないように気をつける。
長い記述問題は時間が取られるので、他の軽い問題をまずは解き進め、最後まで一通り手を付けるのは当然である。
そして、試験対策に限らず、普段から読書を厭わずに自然・人文・社会科学などの分野の書物を多く読む習慣を持てば、すなわち国語力の養成になることも忘れないでいただきたい。
古文の読解
本校の古文の問題は手ごわい。言葉の知識や文法、はては文学史まで、高校の授業で習うことが当然のように訊かれる。中学生向けに現代語訳を付けるといった配慮もない。配点も2割ほどと大きいので、苦手だからと避けてしまうと不利である。
高校生向けの標準レベルの教材で必修単語200、係り受け・枕詞や敬語などの主な文法を覚え、古典の文章にできるだけ触れて、頭を慣らしておかなければならない。
暦の月名や、当時の風俗・暮らしぶりなども問題と関係してくる可能性があるので、そうした知識も一通りで良いので仕入れておきたい。
十分な得点には、相当にしっかりした対策が必要である。
漢字・言語事項
現代文の読解とともに出題されるが、さほどの難問は見られない。
語句の意味が多く出されているので、言語事項の問題集や読書を通じて、語彙を増やす努力をお願いしたい。
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2019年度「東京農業大学第一高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
論説文と論説的随筆文の読解2問がそれぞれ約4100字・2400字の計6500字ほど、さらに古文の540字ほどがある(2019年度)ので、スピードが必要である。総解答数は29問。
漢字や言語事項は10問ほどなので2~3分で済ませ、あとは読解問題に充てる。幸い、問題数は多くないので、読みに手間取らなければ考える時間はある。記述問題1問は100字あるので7~8分ほどは取られることも計算に入れておく。
【大問一】論説的随筆文の読解
- 時間配分:23分
IT やインターネットによる「知の整理・体系化」の恩恵と、その先を生きる若い世代への提言が述べられている。
問一 ① 匿名――名前を明かさないこと。
④ しんえん――奥が深くて底が知れないこと。
⑤ もさく――手探りで探すこと。
問二 A. 前段落の「定石研究成果~計算方法の考え方」に加えて「最先端局面における最新情報」を挙げているので「さらに」
D. かつては学者によって書かれた教科書により知の体系化が行われた。「しかし」今ではそれが「さまざまな分野で日々自動的に」行われている。
問三 「ブレイクスルー」は、障壁となっていたものを突破して進歩・前進すること。
問四 直後で「強敵との実戦」が必要と書かれているので、「静的な情報を記憶する」だけでは「畳の上の水練(実地訓練が伴わない)」だと言っているのである。
問五 「高速道路」を抜けると「奨励会二段=プロ棋士の一歩手前」相当の実力であると述べている。
問六 ITやネットにより将棋における知の整理・体系化が進みだれにでも開かれていることを「こうした新現象のすべての総合」と言っている。そのおかげで「高速」に「ある程度の強さ」まで到達しやすくなったことを指しているので、花子の意見がよい。他の意見は部分的だったり書かれていないことが含まれていたり、不正確・不十分である。
問七 「数学や物理」では「知の体系化」が「閉鎖的」であったが、「ネット」では「自由に公開」されているという違いが大きい。
問八 「体系を極めるべく高速道路を疾走するもよし」とあるので選択肢2が選べる。また、「高速道路」は「自分だけの新しい世界を戦略的に模索するための道具」でもあると述べているので、選択肢4も合っている。選択肢3は「高速道路が敷かれていない古典的分野」が文意と合わない。
問九 将棋の話から離れる場面なので、(Ⅲ)に入る。
【大問二】論説文の読解
- 時間配分:16分
「自由主義」と「民主主義」は本来相容れない性質を持っているが、日本人は「民主主義」の本質的な意味を取り違えていると述べている。
問一 「結合する、あるいは補完的である」面もあり深く結びついてはいるが、「決定的に異なっている面もある」といっており、この点を日本人は勘違いしていると述べているので、選択肢1が選べる。
問二 直前の3つの段落で説明されている。民主的に決まったことに「個人の自由は認められない」。多数派に従うという約束が前提であるので、その約束に合意するかどうかは「自由ではない」・「民主主義に参加を強制されている」など、本質的に自由主義とは相反するのである。
問三 具体的には「賃金格差を5倍以内に縮める法律」のことである。そうした政策を実行する大統領が選挙で勝ったとすると、民主的に選ばれたはずの大統領が自由な経済活動を制限する=民主主語が自由主義を制約する事態になるわけである。
問四 選択肢2→(第4・第5段落)、 選択肢5→(第13段落) 選択肢6→(第14~第16段落)にそれぞれ述べられている。
【大問三】古文の鑑賞
- 時間配分:11分
水たまりを鏡のようにして映った景色を見て木の上にとまった鷹を見つけたエピソードと「野守の鏡」という話が語られている。
問一 「てしがな」は連用形に接続する終助詞。「~したいものだなあ」の意。和歌は、人の心の中を映し出せるという鏡を手に入れて、好きな人が自分を好きかどうか確かめたいという、恋する者の気持ちを詠んだ歌である。
問二 「しばのうへにたまれる水を鏡として、その『鏡をまぼりて』御鷹の木居を知れり」とある。水たまりを鏡のように覗き込んで映り込んだ鷹を見つけたのである。「まぼる」は「見つめる・見守る」の意。
問三 「民は、公主におもてをまじふる事なし」とある。自分のような低い身分の者は、天皇のような高貴な方に顔を上げてはいけないと恐縮している。
問四 もともと水たまりを鏡代わりに使っていたという庶民の知恵を説明している。自分の頭の白髪や顔のしわを数えていたと言っている。
問五 「が」は所有「~の」を表す格助詞。現在でも「我が校」などと使う。
問六 1. 「大勢の家来に命じて」が合わない。
2. 「水を占いに使って」ではない。
3. 「悪者が欲しがった」が合わない。
5. みなが鏡を欲しがったのは「人の心を映し出せるから」である。
問七 最古の勅撰(天皇の命で作られた)和歌集が『古今和歌集』である。
攻略のポイント
論説文主体の長文読解だが、難しいテーマが扱われていたり、文章自体も難しかったりでなかなか手ごわい。記述問題も侮れない。スピードをつけ、最後まで目を通し、できる問題を確実に取ることで得点をあげたい。
古文も十分に学習しておかないとあらすじすら判然としない事態も予想できるので、文法・その他の知識も合わせて高校生レベルでの勉強をしておきたい。
漢字・ことばの意味などの知識問題でも15点ほどの配点があるので、地道に語彙を増やす努力をしておくこと。