医大・医学部受験プロ家庭教師 東海大学 物理の入試対策と勉強法
医大・医学部受験専門プロ家庭教師が語る

東海大学 物理
入試対策と勉強法

特徴と時間配分

出題範囲(分野)

本学の一般入試での内容は各分野から偏りなく出題され、バランスよく出される基本から標準レベルの問題が並びます。一部やや面倒な小問もありますが全体的には標準的な問題が中心です。原子物理の単元もしっかり出題されます。1日目、2日目と2回の受験が可能(もちろんどちらか1日でも可能)です。2日間の出題内容はあまり重ならず、難易度もどちらが難しい、易しいとも言えません。

出題量と時間配分

理科は物理、化学、生物から1科目を選択して70分です。日にちによって、出題量に差はなく、両日ともに20問となっています。なお、本学の理科は1科目の選択なので、科目による不公平を避けるため各科目が偏差値化されます。

出題形式

大問3~4題、小問の数は各大問が4~6問、合計約20問が例年、基本的スタイルとなっています。はじめに大前提の設定・仮定が数行で示され、図もついています。そして、小問ごとに設問に答えていく形です。出題形式は例年あまり変更がありません。誘導に乗りにくい問題が目立つので要注意です。

解答形式

記述式とマーク式が半々です。つまり、前半は答えのみを書く記述方式です。後半は、解答の選択欄から記号を選んでマークするマークシート方式の構成となっています。マーク式の出題数は全体の1/3から1/2で年によって異なります。数値計算の問題は、答えは割り切れるキリの良い数値が多いです。  

攻略のポイント

1、まずは教科書の内容の定着を徹底的に行う
教科書にある定義や公式などの基本項目は、しっかり定着させることが必要となります。

しっかりと定着させるためには、自分の手を動かして計算したり、図を書いてみたりなどが有効となります。どの科目にも言えることですが、特に物理では、教科書をただただ眺めたり、意味もなく覚えたりといった学習はまったく役に立たないことを肝に銘じましょう。自分の頭で考えたり、自分の手で計算したり、図示したりなどのアウトプット(表現)をどれくらい行ったかが重要となるでしょう。教科書にある例題や練習問題をすべて正しい解き方でマスターすることが物理の入試突破の第一歩といえます。もちろんですが、公式の証明はすべて自力でできるようになるまで繰り返しましょう。公式の証明が入試に出ないからやらないという短絡的な学習は厳禁です。

2、次に入試物理の「標準」レベルの問題集を一冊マスターする
『セミナー物理基礎+物理(いわゆるセミナー物理)』(第一学習社)、『物理重要問題集(いわゆる重問)』(数研出版)などの問題集を1冊選び、それを徹底的にマスターしましょう。マスターするというのは、ただなんとなく答えを出すというのではありません。時間はかかりますが1問1問解答を見ずに解き、自力で正答を出します。もし、わからない問題があれば、解答を使用するのも良いのですが、ヒントを得るにとどめ、すぐに解答を閉じ、あくまで自分の力で答えを出します。解答を見て納得という学習は力を付けることはできません。面倒な数値計算、式変形もすべて自力で行います。理解が曖昧なところが出てきたら、その都度教科書にもどり基本項目をしっかりと確認します。そのような正しい物理の学習は一見大変で時間がかかるように見えるかもしれませんが、実は物理の力を伸ばす最短ルートなのです。ただなんとなく、問題集を2周、3周したり、複数のものに手を付けるのもやめましょう。そうすれば、時間に正比例して標準~発展レベルくらいまでは対応する力が容易につけられるでしょう。何度も強調しますが、一見面倒な作業が一番力がつきます。例えば、単振動、万有引力とケプラーの法則、力積と運動量保存則・エネルギー保存則、ドップラー効果、特に、光波の干渉、状態方程式とポアソンの公式などの近似計算があるものは何度も繰り返すことです。

3、過去演習
前述の通り、8割前後が基本から標準レベルで構成されています。それらは2行から4、5行くらいまでの計算で答えが出ます。それ以上の面倒なものが、各大問の小問4,5あたりに潜んでいることもあります。そこまでは「正確に速く」という力量が求められます。普段の演習時点での時間感覚、過去問演習でも時間配分が合否を分けるカギとなります。難しい問題は、試験会場のだれにとっても難しいでしょう。ライバルが当然取るであろう問題を素早く処理して、やや面倒な問題に腰を落として取り組める時間を確保できるよう、競合校の標準レベルまでの問題も含めて繰り返し時間演習に励みましょう。

推奨テキスト

(1)『教科書』(各出版社)
教科書はなければ合格できないというものでもなく、これさえマスターすれば合格というものでもありません。しかし、教科書が入試の出典の原点であることは強調し過ぎということはありません。入試の基準としての教科書は、手の届くところにキープしましょう。各種公式・法則の導出過程やさまざまなカラーの図式・写真などだけでも相当の価値があるでしょう。

(2)『セミナー物理基礎+物理』(第一学習社)
(3)『リードα物理基礎+物理』(数研出版)
(4)『実戦 物理重要問題集2022-物理基礎・物理』(数研出版)
『セミナー物理』は、定番の教科書傍用の問題集です。教科書の例題とともにこの基本問題をマスターするのが一つの段階です。とても良い問題集ですが、市販されていないのが難点です。
『重要問題集』も大定番の市販問題集です。セミナーやリードの基本問題が大丈夫でしたら、こちらを始めてもよいでしょう。少しずつ入試問題も更新されていて、しっかりとした内容です。

(5)『物理のエッセンス(力学・波動および熱・電磁気・原子)』(河合出版)
(6)『良問の風』(河合出版)
(7)『漆原の物理(物理基礎・物理)明快開放講座』(旺文社)
教科書と上記の二つの問題集を理解するために必要な「物理の思考回路」を磨くための参考書兼問題集が物理のエッセンスです。文字通り、一言一句、エッセンスというべき内容が凝縮しています。名著と言えますが、エッセンスだけに行間を埋めてくれるチューターがいた方が良いかもしれません。医学部の物理を攻略するために必要な、物理的なものの見方、思考回路を開いてくれるでしょう。『物理のエッセンス』と並行しながら、『良問の風』を解くとよいでしょう。『漆原の物理』は原則的に本質に迫るというよりは、解法をわかりやすくパターン化してくれるタイプです。『物理のエッセンス』『漆原の物理』は受験物理への異なるアプローチです。どちらが向いているか、実際に手に取って確かめましょう。

(8)『物理基礎問題精講』(旺文社)
(9)『物理標準問題精講』(旺文社)
(10)『漆原の物理 最強の88題』(旺文社)
だれしも過去問演習を解きながら、苦手な単元や問題にぶつかるでしょう。そんな時は、類題を5題探して解くと良いでしょう。その中でも典型的な良問がセレクトされ、ていねいで的確な解説があるのがこれらの本です。『物理基礎問題精講』をやって、余裕があれば『物理標準問題精講』、『漆原の物理 最強の88題』に進みましょう。全部こなすのは無理としても、類題をピックアップして演習するためにあるとよいでしょう。

 

テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。

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