ここでは、早稲田大学の法学部を目指す方に対して、国語の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。

※本大学の｢政治経済学部｣では2021年度より大幅な｢入試制度改革｣が実施されましたが(同学部の別稿参照)､本学部でも同年度からの｢入試改革｣が予定されていました(2018 年５月30日/本学部ＨＰ告知)｡しかし、2021･22年度ともに出題内容はそれ以前とほとんど変わりありません。但し、情報は随時更新されるので、注意しておくきましょう。尚、以下の｢入試傾向｣は、2021年度までの｢入学試験｣に準拠しています。

早稲田大学法学部　国語試験の出題傾向とは

出題範囲（分野）

｢出題科目｣は｢国語総合｣｢現代文Ｂ｣｢古典Ｂ｣です｡

現代文は、｢論説文(評論文)｣２題というパターンです。文章の内容は、現代社会や政治、哲学、文化に関するテーマが多く、抽象語や専門用語が多用され硬質なものが中心です。古典は、｢古文｣１題(中世～近世までの幅広い題材で、｢和歌｣が含まれることが多い)と、｢漢文｣１題(｢漢詩｣が頻出)が出題されます(2015年度までは｢古文｣の小問としての扱いだった)。国語総合は小問で扱われ、｢漢字｣などで高度な語彙力が求められます。

また、｢文語文法｣(稀に｢口語文法｣の出題もある)や｢和歌修辞｣等、そして、｢漢文｣も含め多様な｢古典常識｣も問われます。

出題量と時間配分

本文の文章量は、｢現代文｣２題合わせて7000～8000字程度で、国公立を含めた難関校としては標準的と言えます。
｢古文｣は1000～1500字程度(ここ数年はやや減少気味だが、油断は禁物)で、｢漢文｣が200字前後です(当然ながら、独立した大問となってからやや増加傾向)。
90分の試験時間なので、先に｢古典｣を30分弱で仕上げ、｢長文説明記述｣のある｢現代文｣に60分強の時間を割いてしっかりと解いていきましょう。

出題形式

近年は大問４題が定着しています(2015年度までは永らく３題だった)。

大問(一)は｢古文｣、｢小問｣は７～８問程度です(解答数は7～10ほど)。

大問(二)が｢漢文｣、｢小問｣は４～５問です(解答数も同じ)。

大問(三)と大問(四)は｢現代文｣で、｢小問｣は各５～8問程度です(解答数は計14～15ほど)。

例年、大問(四)の最終小問に､｢長文説明記述｣が待ち構えています。

解答形式

｢マーク方式｣と｢記述式｣が混在しています。｢マーク方式｣では｢傍線部内容｣に関しての｢換言説明｣｢理由説明｣や｢空所補充｣｢内容合致｣等が問われます。また、｢記述式｣では｢漢字の書きとり｣や｢古典常識｣の｢事項記述｣等の他、｢抜き出し記述｣などもあります。

｢説明記述｣は｢現代文｣の最後に例年、120～180字程度のものが出題され(2016年度以降、それまでの｢120～130字以内｣から｢120～180字以内｣へと一気に増加)、国公立を含めて｢大学入試の国語｣では最難関とされている早稲田大学法学部の最大の特徴となっています。

早稲田大学法学部　国語試験を攻略するための勉強法

知識

直接的な出題はほぼ｢漢字の書きとり｣だけだが(ときおり｢四字熟語｣｢故事成語｣｢慣用句｣等の語彙力が問われることもある)、法学部特有の硬質な｢本文内容｣を理解し咀嚼する為には、難解な語句や頻出テーマに関する｢キーワード｣を読み解く｢知識｣が当然ながら必要となります。そこで、先ずは｢己が実力｣を把握することが重要です。

｢センター試験｣の｢漢字問題｣(要は｢同音異字｣｢同訓異字｣の判別)がひとつの目安となります。最低10年分以上の過去問をこなしましょう。その結果次第で、具体的な学習を進めていきます。

尚、以下のサイトは｢漢字問題｣だけがまとめられていて便利だです。http://www.kanjijiten.net/center/index.html

解法

｢論説文(評論文)｣に特有の｢解法｣、そして全てに共通する｢解法｣を体系的に理解し定着させ、応用する為に肝要なのは｢復習｣の仕方です。｢考え方のプロセス｣を｢トレース｣することが必須です。特に｢間違った問題｣が重要です。誤ってしまった｢分岐点｣をしっかりと確認しておきましょう。さらに、いくつもの練習問題や過去問を通じて同種の設問に共通する｢解き方のプロセス｣を身につけましょう。それが｢解法｣となります。

尚、｢具体的解法｣については、本ＨＰの別サイト｢大学入試”王道現代文”｣をご覧ください。

説明記述

本学部の合否を左右する最後の難関｢長文説明記述｣(｢記述｣というより｢論述｣問題)。前述のように｢180字以内指定｣となったことから分かるように、｢思考力･判断力･表現力｣がより求められるようになった｢新大学入試制度｣導入に伴い、｢記述力(表現力)重視｣の傾向が強まっています。

正否の分かれ目となる｢最重要な要素｣を｢文末｣として、他の｢必要な要素｣を積み上げていく積上げ方式という手法を完璧にマスターすることが肝要です。｢内容｣から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げていきます。各｢要素｣を｢20～30字程度｣でまとめられるように徹底的に練習することが必要です。｢120～180字以内｣というの｢字数指定｣なので、4～７つ程度の｢要素｣でまとめることに慣れましょう。

また、｢150～200字程度｣の｢要約｣を数多くこなすことがいい練習になります。

古典

｢古文｣は、先ず｢文法｣を徹底的に習得しましょう。特に、｢助動詞｣｢助詞｣の｢意味･用法･接続｣、そして｢敬語｣は完全に定着させることが重要です。その上で、多様な分野の文章に触れ、｢人物関係｣に注意して読み解く練習を重ねましょう。また、｢和歌修辞｣等、｢古典常識｣の習得も必須です。

｢漢文｣は｢文の構造｣｢句法｣などの基礎知識を習得した上で、練習問題を通じて読解力を培いましょう。｢書き下し文｣に合わせての｢返り点記入｣などの｢白文対策｣も忘れずにしましょう。また、頻出の｢漢詩｣に対する備えも必要になります。さらに、可能であれば｢漢文｣の背景となる｢思想｣や｢歴史｣についても理解しておきましょう。

推奨テキスト

ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
ここではテキストを知識編、現代文編、古文編、漢文編に分けてご紹介します。

知識編

（１）『漢字 一問一答【完全版】』(東進ブックス)
（２）『現代文最重要語句(暗記いらずの)らくらく練習帳―熟語･慣用句･評論語句･外来語』(学研プラス)
（３）『新版完全征服 頻出現代文重要語700 三訂版』(ピアソン桐原)
（４）『現代文キーワード読解[改訂版]』(Ｚ会出版)

前項の｢センター試験(漢字問題)｣チェックで、５割未満の場合は（１）から、６割は（２）から、７割は（３）から、８割は（４）から始めるのが目安です。反復練習して完全習得させます。特に（４）では、｢キーワード編｣のみならず｢頻出テーマ編｣も熟読し、完全に理解しましょう。

現代文編

（１）『現代文読解力の開発講座<新装版＞』(駿台文庫)
中級レベルです。文章を客観的に捉える術が説明されており、中堅私大から難関私大へのステップアップ段階の一冊です。

（２）『現代文と格闘する[三訂版]』(河合出版)
上級レベルです。｢文章を読み繋ぐ｣ことを主眼として、そのためのシンプルな｢視点｣を提案しています。難関私大合格を確実にする一冊です。

（３）『[記述篇]現代文のトレーニング[改訂版]』(Ｚ会出版)
上級レベルです。頻出テーマに沿った問題構成で、｢完成度｣を自己採点で把握できます。早稲田法学部の｢説明記述｣に習熟するための一冊です。

（４）『得点奪取 現代文[三訂版]』(河合出版)
最上級レベルです。｢採点基準｣が明確に示されています。採点の厳しさで知られる早稲田｢現代文｣で失点･減点を防ぎ合格を固める一冊です。

　※尚、（１）（２）（３）には｢要約問題｣があるので必ずこなしましょう(本学部の鬼門｢長文説明記述｣の練習になる)。

（５）『上級現代文Ⅰ･Ⅱ』(ピアソン桐原)
最終レベルです。自らの｢解答の欠点｣を｢採点者の視点｣でチェックできます。｢段落要旨｣や｢全文要約｣の他に｢参考図書｣も紹介されています。｢私大最高峰｣である｢早稲田法学部長文説明記述｣対策に万全を期す２冊です。

（６）『早稲田大学法学部（過去問）』
実践レベルです。しっかりと解いて、｢解法｣を繰り返しトレースしましょう。

古文編

（１）『重要古文単語315[三訂版]』
（２）『標準古文単語650(完全征服21) [三訂版]』(共に桐原書店)

前者を反復して完全定着させた上で、後者を数回丁寧に通読しておきましょう。それで｢語彙｣はほぼ心配ないでしょう。

（３）『ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル[三訂版]』(河合出版)
｢文法｣の基本が分かりやすくまとめられています。｢例文｣は｢品詞分解｣し｢現代語訳｣も行っておきましょう。

（４）『古文上達 読解と演習56』
（５）『最強の古文 読解と演習50』(共にＺ会出版)

前者は｢入試古文｣の全てを凝縮し、後者はその応用篇です。｢古文｣への自信がみなぎる二冊です。

漢文編

（１）『漢文道場[基礎編］』(Ｚ会出版)
｢送りがな･返り点｣といった基本ルールから重要な｢句法｣まで、基礎力養成の一冊です。

（２）『ステップアップノート10 漢文句形ドリルと演習(河合塾シリーズ)』(河合出版)
基礎定着確認用です。

（３）『漢文(河合塾シリーズ)入試精選問題集９[改訂版]』(河合出版)
｢読解力｣アップへの道標です｡