早稲田大学高等学院中学部 入試対策
2018年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」
攻略のための学習方法
[形式・分野]
大問数6、小問数50前後というのが、早大高等学院中のほぼ決まった問題構成となっている。
大問の内、3~4問は500~1000字ほどのリード文を読んでから答える設問で、残りは1問1答や長文記述などが割り当てられる。用語記入と記号選択では用語記入の方が多い傾向。年度によって異なるが、1行記述や50~100字ほどの記述問題が2~4問出されるのも通例である。
分野別では地理・歴史にウェイトが置かれ、政治経済分野はやや少なめの出題となっているが、他の分野に紛れて出題されたりするので、この分野も手を抜いてはいけない。
基本事項を問う問題も多いが、小学校の社会では覚えない事柄や、なかにはテキストや資料集などに載っていないデータを考えさせる、いわば「社会科的センス」を問われるような難しい問題も見られる。
問題数も多く、文章量もあるので、迷うことなくてきぱき答えていかないと時間が足りなくなる。内容も濃くスピードも必要なヘビーな試験となっており、高い実力が要求される。
[地理分野]
国土と自然、各地域の農林水産などの産業、人口統計を用いた問題などが過去よく出題されている。また、地域の特色に焦点を当てた問題が多いのも特徴である。「○○が××である都道府県」を選ぶ問題や、例えば2018年度年では「おろし」や「だし」という局地風をもとにした問題が出されている。その県や地域について、断片的でなく総合的に正確にイメージできるくらい、よく理解していないといけないのである。
各地の地形と気候、それに基づく産業の特色など、地図や白地図、統計資料などで体系的に整理して覚えるようにしたい。
[歴史分野]
各時代からまんべんなく出題され、大きな偏りは無い。人物・位置・できごとについてまずは基本事項を押さえる。そして年表などで、「誰が」「どこで」「何をして」「その結果どうなる」というようなつながりをまとめるようにすれば、より実践的な知識が手に入る。
史料をもとに考えるような設問も見られるので、資料集の図版などは見慣れておくようにする。
[政治分野]
他の分野と比べると出題量が少ないが、日本国憲法や三権の仕組みと働きなどの基本駅事項を中心として、国際連合や日本と関連の深い国々についても目を通しておかねばならない。
時事問題もニュースで話題になったことなど、注意して見ておく。
[記述問題]
記述問題は、用語や出来事を説明するものから、統計史料の数値を比べてその意味を問うもの、ある歴史の史料から当時の人々の考えを推測するものなど、いろいろなパターンで出題されている。地理分野の記号選択問題や時事問題にも言えることだが、本校の問題には、与えられたデータの意味を読み取ってそこから考えられる理由や結果を問う、といった少し難度の高いものが見られる。
また、知識があるのは当然として、その自分の持っている知識を利用して、普段はあまり見慣れない資料の意味を考えなければならないといった問題もある。まずは、各分野の基本的・重要な事項の問題を落とすわけにはいかないので、ミスしないようにしっかり定着させておく。その上で、それらの知識を活用して、ニュースや新聞で見たさまざまな出来事の背景や他への影響などを考えてみる。
「自分は中学生である」くらいの意識で社会的な出来事への関心を持っていないと、高得点は望めないテストであろう。ただし、極端な難問・奇問ではないので、あくまで正確なまとまった知識を身につけて少し深く考える習慣をつける、このような訓練を積み重ねて欲しいということである。
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2018年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数55問と問題数が多い。適語記入の問題が多く、1行程度の記述2問と2~3行ほどの記述3問もあり、書く分量が多いので時間的に大きな余裕はない。
選択問題・適語記入は出来るところを速やかに終え、時間がかかりそうな問題は残った時間であきらめずに取り組もう。
【大問1】地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:3分
統計資料を用いた問題。
問一 神奈川の次に人口の多いAが大阪府。BとCでは福岡市・北九州市を有する福岡県がB、Cが兵庫県となる。
問二 輸出入額の合計が最も多いAが最大の貿易相手国である中国、Bが米国である。日本は対米では貿易黒字になっているので、縦軸が輸入・横軸が輸出ということになる。オーストラリアに対しては、石炭・天然ガスや肉類など多く輸入しているので貿易赤字となっている。
<時間配分目安3分>
【大問2】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:13分
- ★必答問題
局地風を題材にした問題。
問一 阪神戦の野球中継で「六甲おろし」を耳にした人も多いだろう。
問二 アは出島のあった長崎、イは茨城県鹿島港、ウは北海道の釧路港などの説明。エの神戸港は日宋貿易の拠点として栄えたかつて大輪田泊だった港である。
問三 この地域には三重県四日市市がある。かつて石油化学コンビナートからの煤煙による大気汚染で四日市ぜんそくという公害病が発生した。
問四 夕顔の実をむいてつくるかんぴょうは栃木県の特産品である。
問五 (2)知床は国立公園に指定されており(知床国立公園)、現在はユネスコの世界自然遺産にも指定されている。
問六 (1)酒田市があるので山形県・庄内平野であることがわかる。最上川の河口に位置する。
(3)強風を利用した取り組みとしては、まず風力発電が思い浮かぶだろう。風の強い沿岸部に大きな風力
発電所がよく見られる。
(4)二か所とも山と山の間・谷の出口に当たることがわかる。山に当たった風が谷に集中して吹き抜ける
ので強風が吹きやすいのである。
問七 (1)屋敷森とも言う。
(2)日照もさえぎられてしまうため室内が暗くなる、落ち葉や枯れ枝の処理が大変である、などが考えら
れるが、これは見方をかえれば利点にもなるので、よい点の上位にも入るかもしれない。
<時間配分目安:13分>
【大問3】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
- ★必答問題
天皇を話題に、各時代について訊かれている。
A中大兄皇子 B聖武天皇 C桓武天皇 D白川天皇 E後鳥羽上皇 F後醍醐天皇
問一 大化の改新で土地と人民は国のものであるとする公地公民が定められたので、アが間違い。
問三 天平文化の時代。鑑真が来日を果たした。
問五 蝦夷討伐の役職はいくつか呼称を変え、征夷大将軍となった。坂上田村麻呂は征夷大将軍としては2人目である。
問八 後醍醐天皇は奈良の吉野に逃げ、以後朝廷が2つある状態が続いた(南北朝の動乱)。
問九 アは織田信長の行動、イとウは内容に誤りがある。
問十 難しい。「天子」は天皇のこと。天皇が修めるべきはまず学問である、として政治活動を規制したのである。
問十一 アは徳川吉宗、イは新井白石、エは松平定信の行った政策である。
問十二 ヨーロッパが主戦場になったため、日本からの物資の輸出が増えた。また、ヨーロッパからの輸出が手薄になった部分を日本が取り込み、特に中国で大きな利益を得た。
<時間配分目安:8分>
【大問4】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
- ★必答問題
教育制度を題材とした問題。
問二 ア 八省は太政官の下に置かれた。
イ 口分田は女子にも与えられた。
エ 防人と衛士が逆。
問四 ア 北条政子は頼朝の妻。
ウ 永仁の徳政令は貞時によって出された。
エ 義時は第2代執権である。
問七 アは版籍奉還の内容である。
問八 まず、建設費は住民の負担であったこと、さらに現代と違い、授業料も徴収したので庶民には負担が大きかったことが挙げられる。また、農家にとって子供は労働力でもあったので、学校に通わせたくない親も多かったのである。
<時間配分目安:8分>
【大問5】政治経済分野
- 難度:難
- 時間配分:4分
問一 Zは負担があっても裁判員を務める意義があると言っているので、エは合っている。
問二 裁判員裁判では、可決には過半数の賛成と、そのうち少なくとも1人の裁判官の賛成が条件とされる。
問三 戸籍やパスポートの業務は国が地方に委託している業務である。
問四 裁判員には裁判で知ったことを漏らしてはいけないという「守秘義務」が課せられる。
問五 東京と千葉の大きな違いを考える。裁判員裁判は重大事件を審理する。殺人・強盗・麻薬犯罪などである。千葉県には成田空港があり、国際空港であるため麻薬の密輸件数が多いので、事件数が増えると思われる。
<時間配分目安:4分>
【大問6】現代社会分野
- 難度:標準
- 時間配分:4分
オリンピックを話題にした問題。
問二 東海道新幹線はオリンピック開催の直前、同じ10月に開通した。
問三 「団塊の世代」。太平洋戦争後のベビーブームで生まれた世代で人数が多い。
問四 ウ 少子化はもっと前から始まっている。
エ 出生数は増えていない。
<時間配分目安:4分>
攻略のポイント
地図を使った問題がよく出されている。統計や表を読み取って考える問題も多い。類似問題を多くこなしてよく練習しておこう。
問題数の多さや知識だけでは答えられない記述問題など、時間がかかる部分も多いのでスピードが必要とされる。基本事項のマスターは当然として、記述問題への対応なども高いレベルで求められる。出来事の原因を考え結果を推測する思考力を養おう。
社会科のすべての範囲で高い実力が求められる試験なので、十分な準備をして臨むべきである。
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