暁星中学校 入試対策
2018年度「暁星中学校の社会」
攻略のための学習方法
傾向
試験時間40分、大問は3~4だが、総解答数は50~60にも及ぶ。
本文・資料も含めると、目を通す分量がかなり多い試験である。
解答形式は、記号選択と用語記入がほとんどであるが、正解を選ぶのに手順や多くの知識が必要になる問題が多く、かなり手ごわい。
平成26年度では無くなっていた記述問題がその後は復活している。また、試験全体の難易度も27年度以降は突然に高くなった。
今後の動向について、学校説明会などに参加し、情報があれば確認しておきたい。
地理分野
日本地理全般の問題がまんべんなく出題されていて、偏りは無い。
地図や資料が多く示され、地形図の読み取りも出されている。
ここ数年は特に統計・グラフから数値を読み取って答える問題が多くなっている印象である。
また、一つの事項について集中して詳しく訊く問題(例:平成24年度大問3の政令指定都市の設問など)が、地理分野で出題されることがある。副教材などで「世界遺産」や「国際紛争の起こった地域」などをまとめたページでテーマごとに覚えておくと良い。
問題自体はテキストや参考書で勉強できる内容なので、幅広くこなしておく。
地図を使った問題は頻出なので、常に近くに置いて場所などのチェックを怠らないこと。
また、世界地理の問題も出されているので、主だった国や地域は知っておこう。
平成28・29年度と同様、今年度もなかなかに難しくなっている。北海道の発電所や都内のある市の夜間人口と昼夜間人口比率の比較など、他校ではあまり見られない問題もみられた。
歴史分野
古代から近代、現代の時事的要素を含む問題まで、幅広い範囲から出題される。
歴史上の出来事があった場所や関係の深い都道府県など、「歴史地理」といった問題も見られる。
単発の知識よりも歴史の流れを問われる設問が目立つ。
事項を時代順に並べ替えたり、本文自体で文章を時代順に並べて穴埋めさせたりという問題が出されている。
先に述べたように27年度から著しく難易度が上がったが、とくに歴史分野でその傾向が顕著である。橘諸江や恵美押勝など他校ではあまり問われない人物名や、近江大津宮の場所など、答えられなかった人も多かったであろう。
29年度は地理分野に重点が置かれ、歴史分野でも地理分野が混合された問題が見られたが、30年度では歴史分野の方で問題数が多くなっている。両分野とも油断なく準備したい。
政治分野
日本国憲法・政治の仕組み・国際関係などからの出題。
特に憲法と三権の仕組みはよく訊かれるので、しっかり覚えておくこと。
政治分野も細かく突っ込んだ内容は問われないので、テキストを中心に丁寧に学習しておけばよい。
この分野で時事的問題が合わせて聞かれることが多いので、地理・歴史と比べると、政治自体の問題数は少な目である傾向が見られる。
29年度は歴代総理大臣の名前と、関係する知識を問う政治史とも言える問題が出された。年度により傾向が変わる可能性があるので、慌てないように幅広く学習しておきたい。
知識
26年度まではテキストに書かれているレベルの基本をしっかり押さえた学習で対処できたが、27年度から難易度が急上昇した。例年45点前後だった合格者平均点が27年度以降では30点前後と大幅にダウンしている。
来年度の動向に注意しつつ、テキストレベルにおいて可能な限り高度な学習を目指し、極端な難問以外は確実に得点できる実力を身につけたい。
◆テキスト・問題集で基礎をしっかり固めた上で、地図・白地図・資料集等で場所や関連事項を詳しく調べておく。
◆年表で時代の流れに沿って知識をまとめておく。地図で場所も確認する。
◆「必要と思われる解答は全て漢字で」という指定がつくので、特に人名・地名や法律の文言などは漢字で書けるようにしておく。
難しい問題で時間を取られ過ぎてもよくない。できる問題から着実に答えることである。
さらに注意点として、本文と設問でかなりの文章量になる年が多いため読むスピードは必要であるということを付け加えておく。
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2018年度「暁星中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
本校の試験問題は、全体の文章量が多く、資料もたくさんあり、読み取りに時間がかかる。
解答数も多い上、答えを選ぶのに手順が必要な問題があり、時間的にはきついかも知れない。
今年度も、大問4つに解答数68と、一つ30秒ほどの計算にはなるが、読むのにあまり時間がかかるようではうまくない。
文章を読むスピードをつけるよう練習すること。
【大問1】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:18分
- ★必答問題
様々な史料をもとに各時代のことについてひろく訊かれている。
問一 Aは隋の時代の歴史書にある遣隋使についての記述である。日本は「倭」と呼ばれていた。
問二 607年の第1回遣隋使のことなので小野妹子である。
問三 天皇ということであれば推古天皇となるが、摂政として政治を動かしていた聖徳太子とも取れるところである。
問四 「日が沈むところの天子」と言われて怒ったとされる皇帝・煬帝。
問七 Bは承久の乱のときの北条政子のことば。当時の執権は第二代の北条義時。
問八 源頼朝―頼家―実朝と続く。源氏の将軍はこの3代で滅びた。
問十 Cは3代将軍・徳川家光が出した武家諸法度。2代・秀忠の出したものに改定が加えられている。
問十一 大名が領地を没収・お家取り潰しにされることを改易という。
問十三~問十五 Dは明治天皇が神に誓うという形で新しい政治の指針を示した五か条の(御)誓文。
問十六 攘夷。天皇に政治の実権を取り戻そうという動きと合わせて尊王攘夷と呼ばれた。
問十八~問二十 Eは柳条湖事件(南満州鉄道爆破事件)を調査したリットン調査団が国際連盟に出した報告書。
問二十一・二十二 日本は柳条湖事件をきっかけに満州を占領し(満州事変)、満州国として独立の形を取り、実権を握った。
【大問2】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:3分
(1)青森県・三内丸山遺跡は縄文時代の大規模集落跡で、縄文時代の定住生活を示す貴重な遺跡である。
(2)万葉集は奈良時代の歌集である。
(3)アンパンは木村屋總本店が明治時代に初めて作った菓子パン。
(4)サトウキビは関東では栽培されていない。
(5)滝沢馬琴は化政文化の時代に活躍した人物。
(6)菱川師宣は元禄文化の時代。
(7)八幡製鉄所は日清戦争後に下関条約で得た賠償金を元に造られた。
(8)芥川龍之介は大正時代の作家。
【大問3】現代社会分野
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
問一
(A) ソ連がアメリカのすぐ隣のキューバにミサイル基地を置こうとした(キューバ危機)。
(E) 朝鮮戦争を機に警察予備隊が作られ、のちに保安隊→自衛隊と組織された。
(F) ゴルバチョフは東西冷戦終結に大きな役割を果たし、後にノーベル平和賞を授与された。
問三
(2) 長く内戦が続いていたスーダンで、南部が南スーダンとして独立し国連への加盟が認められた。
(3) ウクライナではEU寄りの市民とロシア系の市民との間で、クリミアのロシアへの併合を巡って衝突が起きている。
問四
あ. ドイツではなく中国。
う. 総会の議決は通常は過半数、重要事項は3分の2の多数決で決まる。
え. 安全保障理事会の決議に総会の承認は要らない。
問六
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)。UNEPは国連環境計画。
問七
「恐怖と欠乏から免れ」と書かれている。
【大問4】地理分野
- 難度:難
- 時間配分:13分
- ★必答問題
4つの都府県に関する問題。
問一
A. 日本で2番目の流域面積で石狩川。
C. 琵琶湖から流れて大阪湾に注ぐ淀川。
問二
① 大塩平八郎の乱。
問三
まずDは事業所数が多く、情報通信機器が多いことから東京都。Bは化学が多いことから石油化学コンビナートのある大阪府とわかる。Cはパルプ・紙が多いので北海道、Aが長崎県となる。
①の輸送用機械は造船と考えられるのでキ(佐世保市)。③は化学の多さからコンビナートのあるカ(高石市)。⑤はパルプ・紙からイ(苫小牧市)、⑦は事業所数の多さからエ(大田区)が選べる。
問四
内陸に点在する×は水力発電と考えられる。沿岸部に多い■は燃料の輸送と海水を得るのに都合がよい火力発電所。北海道の唯一の原発・泊原発が●、残る▲が地熱発電となる。
問五
まず水田が少なく茶の栽培が多い③は鹿児島県とわかる。次に人口50万人の都市がある①が熊本県、②は稲作の盛んな筑紫平野がある佐賀県である。50万人都市が2つある⑤は福岡県、残る④が長崎県となる。
問六
(1)このような数値の変化は、昼間は都心に通勤・通学に出て夜に家のあるA市に帰ってくるという人の動きの表れである。鉄道の発達によりA市が東京のベッドタウンになったことが考えられる。
(2)夜間人口は減少しているのに昼夜間人口比率が上昇するということは昼間人口の上昇率が高いということである。これは人口自体が減っている中で、昼間人口の割合が増えている(昼間都心に出かけない)ことを意味し、高齢化による生産年齢人口(働ける人)の減少がその原因と考えられるのである。
(3)通勤・通学の利用者が減ると乗客数が大きく減少することになり、収益が悪化することが予想される。鉄道会社は人員整理で人件費を押さえたり、沿線の土地・建物を活用したりするなど、経費削減や他分野での収益を増やす施策が必要になると思われる。
攻略のポイント
27年度からの難易度の急変に戸惑った人も多かったであろう。教科書だけ勉強していても答えられない問題も見られ、合格者平均点も5割にぎりぎりで届いていない。
来年度も同様だと予想されるが、いずれにしてもテキストの基本的事項を徹底的にマスターし、難問を除いた他の問題を確実に得点していけば合格最低点には達すると考え、あまり身構えずに堅実な実力アップを図って欲しい。復活した記述問題にも抜かりなく対策をしておく必要がある。
また、地理分野で狭い範囲に限定して細かく問う問題が見られ、その範囲の勉強をおろそかにしていると大量失点につながるので、各分野で大きな穴を作らないようにすることも大切である。
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