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頌栄女子学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「頌栄女子学院中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

「頌栄の国語」には、「漢字の書きとり」は無論、様々な「総合知識問題」が大問の中に用意されている。さあどうするか? 当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。

先ず「語彙力」。                                          日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。

また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあやふやなものがあったら、書き出して自分なりの「言葉ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。

これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。字数制限の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。ちなみに、「語彙力」強化用では「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)等がオススメだ。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が意外と多い。直接出題されることも多いし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法的」に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の用法を確実に定着させておくことが重要だ。

 

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。大問2題で7000~8000字程度。解答時間は40分。当然、「速読」が求められる。

しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は論旨が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら各形式段落の最初と最後を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。これらのコツは塾でも教えてくれるはずだ。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

頌栄に限らず、他の学校(男女問わず)の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。

 

解法

「読解問題」の基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。

「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメだ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。

特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。

そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておく。解き方に迷ったらその「ノート」を確認して、確実に応用できるようにする。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

 

記述

先ずは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。

そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかどうかを確認する必要がある。

では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をすることがとてもいい方法だ。200字程度で書いてみる(頌栄新傾向の「作文問題」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。

だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「最も重要な要素」や「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。

マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。

ある程度「感覚」がつかめたら、「最も重要な要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(この段階では「マス目のない用紙」を使う)。

頌栄の「指定字数なしの記述」は「100字程度」が目安なので、「最も重要な要素」+3つほどの「必要な要素」で書くこと。

 

意識

いかなる場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。無意識に机に向っていても無意味なだけ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要だ。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつかのことを「意識」するようにしたい。「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「必要な要素」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

40分という時間で解き進めていかなくてはならない頌栄では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2018年度「頌栄女子学院中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「説明文」、出典は稲垣英洋「植物はなぜ動かないのか――弱くて強い植物のはなし」(文字数約3500字)。
小問は全10問(解答数14)。「選択肢」(「不適切」「空所補充」「脱文挿入」「具体例」あり)、「抜き出し」(1問)、「説明記述」(全3問。「15字以内指定」2問、「20~30以内指定」1問)、「自由作文」(「字数指定」なし、「150字ほど」の解答欄)。問題文は4分半ほどで読み切り、設問を16~17分で解きたい。

大問は「小説」、出典は三浦しをん「風が強く吹いている」(文字数約3900字)。
小問は全12問(解答数は18)。「選択肢」、「説明記述」(全2問。ともに「字数指定」なし、「100字ほど」と「120字ほど」の解答欄)、「漢字の書きとり」(全5問)、「総合的知識問題」(慣用表現)。問題文は5分ほどで読み切り、設問を15分弱で解きたい。

【大問一】「説明文の読解」(「自由作文」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:20分
  • ★必答問題

自然界は弱肉強食の厳しい社会だが、弱そうに見えるたくさんの動植物たちが、優れた戦略を駆使して自然を謳歌(おうか)している――植物たちの豊かな生き方を分かりやすく説明している。本文では、逆境の中、さまざまな方法で生きのびてきた「雑草」について、「オオバコ」や「日本タンポポ」などを例に挙げ解説している。中高生向けに記されているので、難解な語句は少なく、内容は分かりやすい。

最後に本校の「新定番」ともいえる「長文自由作文」が待ち構えている。そこまでの「設問」は一気呵成に解き進める必要がある。以下、いくつか確認する。

[問一] 「語句の空所補充選択肢」(全4問/6択)。
本文中の 1  4  の空所に入れる「適当な語」を答える。

各選択肢は、「そ~」で始まる「接続詞」などだ(なかなかユニークな問題)。「接続詞」は本校に限らず定番の問題。「逆接」はともかく、それ以外には十分に注意すること。「逆接」以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「内容」を確認する必要がある。順に空所に「入れる適当な語」をチェックしていく。

 1 には「順接」の「接続詞」である(ア)の「そこで」, 2 には「指示語」の「それ」+「逆接」の「接続詞」の「でも」である(オ)の「それでも」, 3 には「指示語」の「それ」+「主格」の「助詞」の「は」である(ウ)の「それは」, 4 には「添加」の「接続詞」である(エ)の「そして」がそれぞれ入ると分かるはずだ。

「逆接」以外では、いくつかの「候補」をしっかりと「代入確認」してから確定することが重要だ

<時間配分目安:2分>


[問三] 「条件付き内容説明記述」(全2問。ともに「15字以内」指定)。
傍線部②「柔らかさと硬さを併せ持っている」について、「オオバコの葉」の、(Ⅰ)「柔らかさ」と(Ⅱ)「硬さ」には、「どのような長所があるか」をそれぞれ「15字以内」で説明する。

「条件」は「本文中の語句を用いて説明する」こと。傍線部が「オオバコの葉」のことなのかを、「傍線部(空所部)一文一部の原則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分」だった場合、「傍線部以外が重要」ということ)で確認する。直後に「オオバコが踏まれに強い秘密である」とあるので、OKだ。
また、直前には「このように」とある。ということは、この「指示語」を開けば(「指示語」が出たらすぐに開くことが肝要)、「柔らかさと硬さ」の内容が分かるはずだ。「指示語」を開くと、「オオバコの葉」は、「踏まれても柔らかい葉で衝撃を吸収するようになっている」、
その一方で、「踏まれたときにちぎれてしまわないように、葉の中に硬い筋を持っている」ことが分かる。もうこれで説明できる。

たとえば、(Ⅰ)=「踏まれても衝撃を吸収できる点。」、(Ⅱ)=「踏まれたときにちぎれにくい点。」といった「答え」だ。

そもそも、「説明記述」では「本文の一部」をまとめることになる。したがって、「条件」で「本文中の語句を用いる」ことが課されている場合は、可能な限り「本文の語句」に忠実にすべきだ。

<時間配分目安:2問で2分半> 


[問六] 「脱文挿入選択肢」(4択)。
示されている「問題文からぬけた一文」を入れるのに「適当なか所」を、本文中の【A】~【D】の中から答える。

「脱文」は「こうして、きれいに草取りをしたと思っても、それを合図にたくさんの雑草の種子が芽を出して、結果的に雑草が増えてしまうのである。」。「脱文挿入」では「接続詞」「指示語」、そして、「内容」を「手がかり」とする。ここでは、「脱文」に「こうして」という「指示語」がある。
つまり、「挿入」する直前に「雑草の種子が芽を出して、結果的に雑草が増えてしまう」ことが説明されているわけだ。

各選択肢を確認すると、【B】と【C】の直前が「雑草の種子が芽を出す」という内容になっている。そして、【B】は「光が当たる」→「雑草の種子が芽を出す」、【C】は「他の雑草が取り除かれる」→「雑草の種子が芽を出す」という因果関係になっている。「脱文」は「草取りをしたと思っても」なので無論、「答え」は【C】だ。

尚、「選択肢」ではない「脱文挿入」では、「形式段落の最後」に挿入するのが原則だということも心得ておくこと。

<時間配分目安:1分半>


[問九] 「傍線部の換言説明抜き出し」(「8字」指定)。

波線部「逆境をブラスに転じる力」について、この言葉と「同じことを言っている他の部分」を「八字」で抜き出して答える。

「抜き出し」では、「抜き出し内容」を捉えた上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいく。
「内容」は、「逆境」=「マイナス」→「プラス」にする「力」ということ。
「範囲」は「同一意味段落」となる(「説明文(論説文)」では「同一意味段落に根拠・手がかり」がある)。「同一意味段落」を探す。が、「ふさわしい部分」はない。さあ、どうするか? 

「波線部」は「序論部」。そこで、「説明文(論説文)」の「重要解法」を思い出したい。「序論部」⇔「結論部」という「対応関係」。「序論部(結論部)」の「換言」が「結論部(序論部)」にあることが多いのだ。
よって、「結論部」を探してみる。最後から2行前に「『ピンチはチャンス。』」とある。まさに、どんぴしゃだ。

よって、「答え」は「ピンチはチャンス」となる。

「抜き出し」では「範囲」の絞り込みがポイントとなり、その際にはさまざまな「解法」を駆使しなくてはいけないと心得よ。

<時間配分目安:1分半>


[問十] 「条件付き自由作文」(「字数指定」なし、「150字ほど」の解答欄)。

「あなたは、問題文中の『カシ』のような生き方と『ヨシ』のような生き方のどちらがすぐれていると考えるか」、「どちらを選んだかを明確にして、それがどのような生き方か」を説明し、また、「あなたが選んだ生き方の方がすぐれている理由」を「自由に作文」する。

「条件」は「自分の経験を具体例としてあげる」こと(どうしても「自分自身の経験」として思い当たらなければ、人から聞いた話、本で読んだ話などでもかまわない)。いくら「自由」といっても、「本文」に関することを問われているのだから、「手がかり」「ヒント」を探す。

先ずは、「『カシ』のような生き方」と「『ヨシ』のような生き方」との違いだ。
それについては、  ③  の「意味段落」に説明されている。そこからは、「カシ」は「たとえ失敗したとしても、頑強に正面から困難に立ち向かう生き方」であり、「ヨシ」は「外からの困難を正面では受けとめず、柔らかくかわしていく生き方」だということが分かるはずだ。それを踏まえた上で、「あなた自身」は「どちらの『生き方』がすぐれていると考えるか」を、「自分の経験を具体例」としてあげ、その「すぐれている理由」を説明することになる。その際、問題文に「評価は内容と表現の両面から行う」と明記されているので、「表記」「文法」「構成」などにも十分に配慮すること。

尚、この「設問」は本校が求めている「鑑賞力・想像力・創造力・表現力」全てが網羅されているので、「白紙」のままというのは避けた方がいい。

<時間配分目安:5~6分>

【大問二】「小説の読解」(「漢字」「総合的知識問題」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:20分

「箱根駅伝」を走りたい……、そんな「清瀬灰二」(ハイジ)の想いが、天才ランナー「蔵原走(かける)」と出会って動き出す。10人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進み、自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷(たすき)を繋ぐことで、仲間と繋がっていく――。本文では、駅伝初心者が多い「清瀬」たちが合宿で、駅伝常連校の「榊(さかき)」たちと出くわし、両者が火花を散らす様子が描かれている。

内容はすぐに理解できるはずだが、疾走感あふれる文体で、「状況」の把握に手こずる部分もある。以下、いくつかの「設問」を検討してみたい。

[問一] 「漢字の書き取り」(全5問)。
二重傍線部(A)~(E)の「カタカナ」を「漢字」に直す。

本年度は例年と比べてとても平易だ。本校志望者は当然ながら「全問正解」が必須。
唯一、確認しておきたいのは、(C)「サバンナの猛獣合戦といったヨウソウを呈していた」=「様相」⇒「様相を呈する」という「慣用表現」として覚えておきたい(「状態になる」という意味)。

万が一、本問でひとつでもあやふやなものがあった諸君は、未だ「本校レベル」に達せずと認識し、精進すること。

尚、本校の「漢字の書き取り」では、わざわざ「ていねいに書きなさい」という「条件」が明記されている。ということは、それだけ厳しく採点されるわけだ。一点一画を意識して記すこと。

<時間配分目安:1分以内>

[問二] 「空所補充の漢字記述」(全3問/各「漢字1字指定」)。
「総合的知識問題」。「慣用的表現」だ。破線部(a)「■を向けた」、(b)「■を引っ張りあうような」、(c)「■に返り」の空所「■」に入る「漢字一字」をそれぞれ答える。

本校としては「基礎的レベル」だ。この、設問段階で全てが分からなくてはいけない。
「答え」は、(a)=「背」、(b)=「足」、(c)=「我」だ。
それぞれの「意味」で曖昧(あいまい)なものがあれば、自ら習得し、定着させておくこと。尚、こうした問題で「知識」として未定着の場合は無論、本文の前後の「文脈」から判断することを試みなくてはいけない。

<時間配分目安:3問で1分半>

[問八] 「内容説明選択肢」(4択)。
傍線部⑥「象の行進みたいな榊の勢い」について、これは「『榊』のどのような様子を表しているか」を答える。

「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」を試みたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。

もちろん、ここは「比喩表現」なので、「象の行進」の「原意」が、どのような「勢い」を表現しているのかということで「消去」する。各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢説明」での最重要ポイントは「文末」だ)。
(ア)「圧倒する様子」、(イ)「追いつめる様子」、(ウ)「告白する様子」、(エ)「表現する様子」。「象の行進」の「勢い」なのだから当然、(ア)以外は「消去」できるはずだ。他の部分の説明も特に誤っていないので、「答え」は(ア)でいい。見事な「一発消去」だ。

「紛らわしい選択肢説明」にも惑わされず、時間短縮もできる。「原意消去」、練習を重ねて完璧に活用できるようにすることが肝要。

<時間配分目安:30秒>

[問九] 「心情説明選択肢」(4択)。
傍線部⑦「もういい、と俺は言ったはずだが」について、この時の「『清瀬』の気持ち」を答える。

先ずは「原意消去」といきたいが、さすがに傍線部だけでは無理だ。しかも、これは「一文全て」なので、「傍線部(空所部)一文一部の原則」も使えない。

そこで、「同一場面」の「直前直後」に着目したい(「小説」では「同一場面の直前直後」に「根拠・手がかり」がある)。傍線部の「セリフ」の直後に「清瀬のひんやりとした声音が、サバンナの猛獣合戦といった様相を呈していた二人を凍りつかせた」という「ト書き」がある。「清瀬」の「声音」は「ひんやりと」していたのだ。

各選択肢の「文末」をチェックする。(ア)「強い憎しみを覚えている」、(イ)「失望感を抱いている」、(ウ)「いらだちを感じている」、(エ)「あきれはてている」。「ひんやり」とした「心情」なので、(イ)(エ)は「消去」でいい。
また、「ト書き」には「二人を凍りつかせた」ともある。つまり、「清瀬」の「心情」は「二人」に向けられているわけだ。(ア)は「榊の態度に」、(ウ)は「走と榊の幼稚な態度に」となっている。無論、(ア)は「消去」できるはず。(ウ)は他の部分の説明も特に誤っていないので、「答え」となる。ここでは「2段階消去」となったわけだ。

尚、「小説」では「セリフ⇔ト書き⇔動作⇔情景」と、多角的に「心情」を把握することが肝要だ。

<時間配分目安:1分半>

[問十二] 「条件付き理由説明記述」(「字数指定」なし、「120字ほど」の解答欄)。
傍線部⑩「走の体はあたたかいままだった」について、その「理由」を説明する。

「条件」は「走の気持ちにふれながら、自分の言葉でわかりやすく説明する」こと。

先ずは、「傍線部(空所部)一文一部の原則」で「手がかり」を探したい。直前に「夜のほうから吹いてくる高原の風に当たっても」とある。ここから、「条件」である「走の気持ち」は「あたたかいままだった」ということが分かる。
次に、「同一場面」で「状況」を確認する。「走」と「清瀬」とのやりとりの場面だ。「走」は、「『榊』と自分との争いで『清瀬』たちに迷惑をかけた」と悔やみ、「すみません」と謝ったが、「清瀬」に「謝る必要はない」と言われ、「ありがとう、ハイジ(清瀬)さん」と言い直すと「どういたしまして」と返ってきている。こうした一連のやりとりから、「走」は傍線部直前のあるように、「ハイジさんは、俺をかばってくれたんだ」と「気持ちが軽く」なっているのだ。これらの「状況」から読み取れる「走」の「気持ち」を、「自分の言葉」でまとめていくことになる。

たとえば、「清瀬を巻きこみ、迷惑をかけてしまったと悔やんで謝ったが、清瀬に『謝る必要はない』と言われ、さらに、『ありがとう』に対しては『どういたしまして』と返されたことで、清瀬が自分を信頼してかばってくれたのだと気づき、気持ちが軽くなりほっとしたから。」といった「答え」となる。

「小説」では「同一場面」を丁寧に読み取ることが肝要。また、「説明記述」では、「最重要ポイント」(「理由説明」では「直接的理由」)を「文末」にすること。

<時間配分目安:3分>

攻略のポイント

●本校では、「国語力の根幹をなすものは客観的読解力と必要十分な日本語表現力と考えますが、情報化著しい現代社会に対するためには、速読速解の力も欠かせません。受験生の日頃の学習には、多読および文章構造を押さえ、要を得た速読力の習得まで期待したい」(現在の本校HPより)と、受験生に助言している。その通りに実行したい。そのためには、「設問内容」に応じた適切な「解法」を習得し、応用できるようにすることが重要だ。合格ラインは6割ほど(過去5年間の「合格者平均得点率」は61.3%。本年度は61.8%)。

●「最低限必要とされる文法力、語彙力、教養」(同HPより)も問われているので、「総合的知識問題」も侮(あなど)れない。本校を志した瞬間からあらゆる「知識」を吸収するように努力することが重要

●本年度で5年目になり、本校の新たな特色として定着した観のある「自由作文問題」。「与えられた情報」に基づいて自ら「思考」し、自らの言葉で「表現」するという練習をしっかりとしておくことが求められる。

●試験時間は40分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文のボリュームは全体で7000~8000字程度となっている(本年度は約7400字)。いかに速く読み取れるかが勝負だ。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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