東京農業大学第一高等学校 入試対策
2017年度「東京農業大学第一高等学校の国語」
攻略のための学習方法
現代文の読解
例年、2題の論説文の長文読解が出題されている。文学的文章は出されていない。2017年度では計7200字、さらに古文の1000字ほどがこれに加わる。読解のスピードをつける訓練が必須である。
形式は選択肢が多く、穴埋め・記述が数問ずつ含まれており、漢字や語句の意味などの言語事項も合わせて出題される。記述は25~50字程度の説明記述で、答えるのにある程度の時間を取られる。
説明的文章のみの出題なので、対策もそこに絞ったものとなろう。形式段落→意味段落への転換・意味段落の内容把握(短いタイトルを付けてしまうと良い)・段落のつながりや関係・段落の最初と最後に注目しながら要点と細部の区別・それらを整理して要旨・結論をまとめる……といった論説文読解のパターンに習熟する。
記述問題では特に、要点と要旨のまとめが重要である。求められる答えは、各段落の要点をいくつか組み合わせて作られる場合が多い。50字の記述であれば、書ける内容が2つ(2文)程度と見当をつけて、適切な箇所を使ってまとめるのである。
本文に印や傍線で重要点をマークしておき、関連する部分を結んでおけば、記述問題の答えをまとめる際に大幅な時間短縮が見込める。その際、誤字・脱字や文法の誤りなどにも注意して、不用意な減点を受けないように気をつける。
長い記述問題は時間が取られるので、他の軽い問題をまずは解き進め、最後まで一通り手を付けるのは当然である。
そして、試験対策に限らず、普段から読書を厭わずに自然・人文・社会科学などの分野の書物を多く読む習慣を持てば、すなわち国語力の養成になることも忘れないでいただきたい。
古文の読解
本校の古文の問題は手ごわい。言葉の知識や文法、はては文学史まで、高校の授業で習うことが当然のように訊かれる。中学生向けに現代語訳を付けるといった配慮もない。配点も2割ほどと大きいので、苦手だからと避けてしまうと不利である。
高校生向けの標準レベルの教材で必修単語200、係り受け・枕詞や敬語などの主な文法を覚え、古典の文章にできるだけ触れて、頭を慣らしておかなければならない。
暦の月名や、当時の風俗・暮らしぶりなども問題と関係してくる可能性があるので、そうした知識も一通りで良いので仕入れておきたい。
十分な得点には、相当にしっかりした対策が必要である。
漢字・言語事項
現代文の読解とともに出題されるが、さほどの難問は見られない。
語句の意味が多く出されているので、言語事項の問題集や読書を通じて、語彙を増やす努力をお願いしたい。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2017年度「東京農業大学第一高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
論説文と論説的随筆文の読解2問がそれぞれ約3600字ずつの計7200字ほど、さらに古文の1000字ほどがある(2017年度)ので、スピードが必要である。総解答数は34問。
漢字や言語事項は10問ほどなので2~3分で済ませ、あとは読解問題に当てる。幸い、問題数は多くないので、読みに手間取らなければ考える時間はある。記述問題2問に7~8分ほどは取られることも計算に入れておく。
【大問1】論説文の読解
- 時間配分:24分
風景と自己の関係の把握が自己変容の起点(原体験)であり、その時の風景が原風景であると論じている。
問三 (X)「根こそぎ」は植物を根っこから全て引っこ抜くイメージ。後に何も残さない。
(Y)「雑然」は整理されていない様子。
問四 アイロニー(皮肉)・ストイック(禁欲的)・パラダイム(その時代に支配的な規範)・リベラル(自由主義的)。
問五 a・b・eは助動詞で「ず・ぬ」と言い換えられる。c・dは形容詞。さらに品詞の一部の「ない」がある。よく出る問題なので、区別できるようにしておこう。
問六 学生Sさんの部分は具体例。そこから考察した結論が最後の3つの段落に書かれているのでそこから探す。
問七 訊かれているのはコンセプトの内容である。選択肢1はコンセプトに従った「結果」が含まれているので選ばない。
問九 選択肢2は「神秘性」が文中では述べられていないので不適切。「人の人生の長さを超える履歴」はたかが人間の考えた「コンセプト」などでは捉えられない悠久の時を含んでいるのである。
問十 田舎・里山のイメージを原風景と感じるのは、農村や山村で生まれ育った後に都市部に移動した人々である。これに対比した一文なので、《2》に戻せば良い。
問十一 他者が原風景を設定したり、原体験を操作・支配したりすることはできないと、最後で述べている。
【大問2】論説的随筆文の読解
- 時間配分:14分
優れた歴史書とはどのように書かれるべきかを考察しつつ、歴史から学ぶ重要性を説いている。
問一 傍線の直後で述べている。
問三 筆者の主張は一貫して「歴史から学べ」ということなので、そこに即して選べばよい。正解以外の選択肢は間違いがわかりやすいのであまり迷わないであろう。
問四 「どのように書かれれば望ましいか」を訊かれている。「望ましい」は文中でも使われており大きな目印になっている。どんな「スタンスで書かれるのが望ましい」と筆者は思っているか。
問五 トルストイの話も参考にしながら探す。解答のなかに比喩表現などがあった場合はその比喩が何を指しているかを明らかにしないと、答えとして不十分である。
【大問3】古文の読解
- 時間配分:12分
観音様に生活苦を訴え続けた女が帷を授かり、それを服に仕立てて身につけたところ、幸福を得た。
問一 「便り」は頼みにできるもの・便宜や縁故という意味でよく用いられる。手紙という意味もあるが、この文意では意味が合わないので、ここは頼り・手段の意。(注)の「その事となくあくがれて」は手がかりになる。
問二 C.「いとほし」は気の毒やかわいらしいの意。観音様が慈悲を示してくださった場面なので「かわいそうに思って」の意。
問三 「さらに~じ」と打ち消しの語と呼応して「けっして~ない」という強い否定を表す。
問四 すこし難しくなるが、夢の中の言葉は観音様の言葉ではない。「思し召せど」と敬語が使われているので観音様以外の者の言葉である。ありがたい賜り物を受け取らなかったので、観音様に対して失礼だと非難しているのである。
問六 上記の解説で書いた通り、無礼だとたしなめたのは観音様ではないので、選択肢4は選べない。ここで間違った人も多かったと思われる。古文では主語が誰なのかを敬語などを手がかりによく考える必要があるので、繰り返し練習しておこう。
問七 文学史や古文の知識の問題も頻出である。基本的な知識は押さえておこう。
攻略ポイント
論説文主体の長文読解だが、難しいテーマが扱われていたり、文章自体も難しかったりでなかなか手ごわい。記述問題も侮れない。スピードをつけ、最後まで目を通し、できる問題を確実に取ることで得点をあげたい。
古文も十分に学習しておかないとあらすじすら判然としない事態も予想できるので、文法・その他の知識も合わせて高校生レベルでの勉強をしておかれたい。
漢字・ことばの意味などの知識問題でも15点ほどの配点があるので、地道に語彙を増やす努力をしておくこと。