城北埼玉高等学校 入試対策
2017年度「城北埼玉高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
例年、文学的文章と説明的文章の計2問が出題される。古文・漢文は出題されていないので、古典を苦手とする人には受けやすい学校である。
選択肢・穴埋め・抜き出し・空欄補充・並べ替えと設問の形は多彩であるが、長い記述問題などは見られず、オーソドックスな試験であると言える。選択肢問題が多く、書き抜きが数問といった割合になっている。
難易度についても特別な難問は出されていない。選択肢の内容も無理に迷わせるようなものは無く、適正な実力があれば正解できる、クセのない試験問題となっている。
したがって、特別変わった対策を取る必要は無い。小説や論説文の読解の基本に則った訓練を積めば良い。
文学的文章ならば、やはり普段から数多くの小説に触れ、さまざまな登場人物の考えや行動を体感しておくことである。読書を通じて多種多様な考え方や物の見方に触れておくこと、いわば「人間心理体験」のようなものを積んでおくことが、人物の心情理解に役立つのである。
その上で、長文読解の技量を磨く。時間経過や登場人物の変化で場面・段落の変わり目をマークする。人物・筆者の言動や表情をチェックし、気持ちや筆者の考えを汲み取る。そこから作者・筆者の言いたいこと・主題に迫る。その際、矢印や傍線などを使って重要点をすぐ探せるようにしておくと、時間短縮できる。
説明的文章はやはり論理の流れを見誤らないことが重要である。自然科学・社会科学に関する本などを、序論・本論・結論や、段落のつながり、細部説明と要点の区分けなどを意識しながら読んでみると良いだろう。
そして実践。形式段落と意味段落の整理、この時、意味段落の内容をまとめてタイトルとしてつけてしまうとわかりやすい。段落の最初と最後に特に注目しながら要点を確認、それらをまとめて要旨・結論を抽出。本文を読み進めながら矢印・傍線を用いて目立つようにしておくことはここでも有効である。
同じような出題傾向の学校も多いので、他校の過去問なども良い練習になる。同レベルの入試問題などもこなして、長文に慣れておいていただきたい。
文章量
平成27年度では、およそ小説文5100字・論説文2700字の計7800字となっており、近年文章量が増える傾向にある。他の難関校でも同様の傾向が多く見られるので、文章を読むスピードは重要である。過去問に取り組む時はもちろん、普段の読書においても、意識して速く正確に読む訓練をしておかれたい。
本校の場合、使われる文章の難しさはさほど難解なものではないので、無理に大人向けの書物に挑戦する必要は無いだろう。高校生対象レベルの本で自分の興味の持てる内容のものを多く読んで、よく現れるテーマやストーリーに触れておくと良い。
知識問題
長文読解の問題と合わせて語句の意味や文法などの知識問題も出題されている。基本レベルで良いので、しっかり練習しておくこと。
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2017年度「城北埼玉高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
現代文の読解2問で合わせて約7800字。総解答数は35問。漢字の読み書き5問は1~2分で済ませ、残りは長文読解に当てることになる。
その他は例年通り、記号選択と書き抜きの問題で、記述問題は出題されていない。
素材文を速めに読み、要点のハイライトが上手く出来ていれば、大幅に時間が足りなくなることはないだろう。
【大問一】漢字の読み書き
- 時間配分:1~2分
さほどの難問は出されていない。標準~中級程度の漢字教材を一冊しっかり仕上げておこう。
【大問二】論説文の読解
- 時間配分:24分
分業による世界の一体化で中央を形成する欧米と周辺に含まれる新世界やアフリカの間で格差が固定化してゆく仕組みが説明され、後半ではハイチを例に取ってくわしく述べられている。
問一 空欄1の直前の「交通や通信の発達によって」から、「発見・発明・考案」などはふさわしくない。「形成」ならしっくりくる。選択肢オは本文の論旨に合わない。
問三
A.「終わりなき苦難」を表現した言葉。苦労して山を越えたのにまた山が続くのである。
B.直後に「親を失った子供」を例としてとして使って説明している。
問四 空欄Cは直前の「すべての黒人が20年で入れ替わった」に注目。問十で問題になっているが、過酷な奴隷生活で20年生きられないということである。「にもかかわらず」、奴隷の流入でその後100年で50万人にも増えるのである。
問五
6.難しい言葉だが、文脈から病気が大流行していたという意味であることはわかるだろう。
7.ここは「人道的」とか「~べき」とか特別な強い意味を含んだ言い方ではない。ハイチに起こった過去の(非道な)出来事(が現在にまで悪影響を及ぼしている)ということである。
問六 単なる「発展の遅れ」なら時代が進めば追いつけるかもしれないが、分業が周辺の富を中央へ移動させる固定化された「システム」だとすると、低開発国はいつまでも搾取され続けて発展できないことになるのである。
問七 フランスの植民地として長く搾取され、独立後もその影響から抜け出せずに貧しいままであるハイチの歴史を表現した言葉である。その「歴史」はあくまで欧米にとっての都合のよい面ばかりが目立つ「歴史」なのである。
問九 選択肢ウの内容も文中にはあるのだが、ここはハイチの話をしている箇所なので「新大陸」という言葉も合わないし、話の中心は感染症に関することなのでアを選ぶ。エは「それぞれの感染症が相互に伝染し」が文中には言及が無い。
問十 過酷な生活で20年生きられた黒人がいなかったのである。選択肢エは文中に書かれていないので選ばない。
【大問三】小説の読解
- 時間配分:24分
両親が離婚して祖父のもとで貧しい生活を送る主人公。親切にしてもらったお姉さんとの別れが母との別れと重なり、マラソン選手のアベベに倣って、人を裏切らない大人になろうと決意を強くする。
問一 B.よく「折悪しく」と同じ意味で使われるが、もともとの意味として「きまりが悪い」の意味もある。祖父としては現金を渡すのは気恥ずかしいような気がするのであろう。
問二 aやbでは見分けが付きづらい。cやdで判断できるだろう。cは遊園地に行った帰りの母との別れのときと同じで余計な事を言うと泣いてしまいそう「だから」さよならだけ言い続けた、dは逆説では当てはまらないので「そして」「それから」などが入るだろう。
問三 「広志は少しも気にならなかった」とある。家にテレビがある裕福な家庭の人物が、わざと生徒に聞こえるように貧乏を小馬鹿にした言い方をしているのだと思われる。
問六 「~る遊び」につながる部分なので、「~点数をつけ」から遡り、正確に45字を数えよう。だいたいキリのいい部分から始まっている。
問七 オリンピックの自国開催という、めったにない貴重な経験である。それを祖父と二人で見るというのだから、母や父とは関係を疎遠にしようという意思が感じられる。
問八 「白くてやさしい」もそうだし、墓前に手向けられることが多い菊という直物からも「みなぎるほどの力強さ」は感じられない。
問九 両親との別れの際にさよならをしっかり言えなかったことっを後悔している場面がある。そこで「さよなら」を言い換えている。
問十 お金を渡すのは「間が悪い」のでこんな言い方になってしまうのである。大切な菊と共に賞金まであげてしまう点で、八千代に対するおじいさんの気持ちは推し量られる。
問十一 アベベに倣ったその意味であるが、文中にもあるように広志はアベベを「約束を守る人」と捉えている。八千代さんとの別れ→母親との別れとの重なりの中で、自分もアベベのようになりたいと思っているのである。
問十二 問十一と同様、広志がアベベを真似た理由から考えられる。
問十三 母親の電話番号を記した切符を投げ捨てている。最後の「さよなら」は八千代さんだけでなく母へも向けられている。
攻略ポイント
古文・漢文が出題されない試験であるだけに、現代文読解の得意な生徒が多く受けることは予想される。形式・内容ともにスタンダードな試験なので、堅実な長文読解力を養って臨むのが得策である。今後、文量がさらに増える可能性もあるので、4000字程度の問題2問を45分程度でこなすスピードを身につけておきたい。
また、問題数は多くないが文法などや言葉の知識も出題されている。標準レベルの問題集で良いので言語事項なども油断なく学習しておくこと。