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明治大学付属明治中学校 入試対策

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2017年度「明治大学付属明治中学校の算数」
攻略のための学習方法

「正攻法で攻めよ」明明の算数対策を一言で表わすならば、これに尽きる。
とりたててスピードも要らないし、超難問を解きほぐせるひらめきも要らない。受験算数という枠組みの、真ん中の道を進んでいけば、おのずから合格への道は開けよう。

 

《オーソドックスな問題》

50分で大問5題、設問15・6題という分量はきわめてオーソドックスである。上位校としては、やや少なめかもしれない。普通に研鑽を積んでいけば、時間不足になって解けないと言うことは無い。持っている力を十分に出して問題にあたれるはずだ。

また、難易度について言えば、やはりオーソドックスな難問が並んでいるという感じである。易しいとは言えないが、決して解けないレベルではない。

他校に見られるような「捨て問」の類がきわめて少なく0点から100点までで算数の力が競える。点差はつきやすくなるが、算数が得意な生徒は満点近くを狙えるし、なにより奇問・超難問によって生徒が悩むことがないのはきわめて評価できる点だ。どの問題にも既視感があり、生徒は安心して問題解法に進んでいけることだろう。

しかしながら、明明の壁は高く、そのハードルを越えるのは容易ではない。

つまり、自分から見て「簡単だ」と思えるものは他者がみても同じであり、自分から見て「やりやすい」と思えるものは、他者から見てもやりやすいからだ。ここは誤解しやすいところである。明明の競争率が高いのは、テスト問題へのとっつきやすさも影響している。

ある生徒が「やりやすい」と感じて選択するとき、他の生徒たちも同じ感想を持って明明を選択している。奇問・超難問を克服するよりは確かに対策は立てやすいが、いまわの際でライバルたちに差をつけなければならない困難さも理解しておこう。

 

《公式の応用》

では、実際の入試問題において、明明対策はどのようになされるべきか。

どの問題にも一貫して言えることは、手数のかかる問題が多いと言うことだ。大問【1】の計算問題から始まり、大問【5】最後の設問に至るまでそれは徹底している。

「公式」と言うものがある。「公式」に当てはめれば答えが出るという問題も数多く存在するが、明明ではあまり見かけない。(「公式が分れば解ける」これは簡単を意味しない。特異な公式を使えば一発で出来ても、知らないと解けないか解法に苦労するという問題はたくさん存在する)

代わりに多く登場するのが、「公式」は分っていても、それだけでは解けないという、公式の応用を試される問題である。

明明で頻出の内容に「速さ」と「割合」がある。
この2つの内容は、誤解を恐れずに言えば、公式は一つずつしかない。
よく「割合の3用法」とか「速さの3つの公式」とか言うが、1つの式の解く箇所を変えているだけである。だから、普通の受験生であれば「公式」を知らないから解けない、という分野ではない。

平成27年度の問題にも、この2つの分野から出題はいくつも見られる。「食塩水」と「速さの比」と形を変えてはいても、使うのは「割合」と「速さ」の公式である。しかし、解ききるのは容易ではない。公式を何度も駆使して、ようやく解答までこぎ着けるというスタイルを取っている。

つまり、明明の算数では「公式の暗記量」よりも「公式の応用」に完全に重点が置かれていることがわかる。「規則性」の問題が意外に少ないのは、「規則性」の場合、その周期や決まりが分れば「公式」にあてはめて一発、という問題が多いからではないか。その代わり、「場合の数」のように、究極的な解き方は「数え上げる」という手法になる内容は多く出されている。

さらに言えば、明明の場合、「公式」にあてはめてさらっと解ける問題を避け、非常に手数のかかる、作業中心の問題が多い。

大問【1】では、計算問題は分数や小数、整数の混合算であり、逆算を要求されることもある。ここでも、「計算の工夫」一発というよりは、泥臭く計算を積み上げていくという問題が多い。一行問題には「和と差」「割合と比」「平面図形」などが多く出題されるが、やはり「公式は知っている」という前提でそれを使いこなせるかどうかが試されている。

大問【1】は、式は不要で、答えだけを求めればよいという形式ではあるが、大問【2】以降とさして変わらぬ作図や式が必要となる。多少難易度が低く設定されているだけである。

大問【2】以降では、より手作業が必要な問題が増えてくる。
「割合と比」、「速さの問題」、「場合の数」などである。

これらの内容は、大問【1】よりも難易度が高めに設定されているがやることはさして変わらない。よく知っている、よく使ってきた「公式」や「考え方」を用いて、丹念に作業を積み重ね、正解まで持って行くという地道な努力があるだけだ。

しかし、学校側はまさにそこを要求しているわけで、コツコツと作業をしていく問題が得意な生徒には向いていると言えるだろう。

その代わり、男子によく見られる例で、ひらめきにかけては自信があるが、ノートに式を書いて求めていくのはイヤ(何が書いてあるのかさっぱりわからない~)という生徒、または苦手な生徒はこれから自分自身のやり方を方向転換しなければならない。この学校の姿勢がそうである以上、それに合わせて自分のスタイルを変えていくのが賢明な受験生である。

今までのことをまとめると、この学校では作業を要求される問題を多く出題するので、生徒はそれに対応できるように努力するべし、と言うことになる。

 

《実践問題演習》

では、どのように普段の勉強を積んでいけばよいか。

まず、大問【1】レベルの、基本ではあるが、基本の中では最上級クラスの問題の解き方を身につけることが先決だ。ここでの5問は、明明合格への競争に参加できるかどうか、という資格が問われるところだ。このレベルで苦戦しているようでは、まだ後半の問題に取りかかるのは早計である。まずは一行問題を極めよう。手元によい問題集なり参考書があるはずだ。

そして大問【1】を突破し、大問【2】~【5】の問題に挑むにあたっては、過去問も含め、解く問題の分量はどうしても限られてくるので、要領よく時間を使って“合格の力”をつけたい。

大切なことは、問題の難易度に注意するということ。問題が易しすぎては話にならないが、超難問に時間を費やしても「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」である。自信もなくしかねない。過去問と同じ難易度を持つ他校の問題、たとえば「芝中」や「城北中」のような、男子進学校の問題を選んで解けばよいだろう。後半にある「捨て問」覚悟の難問ではなく、中盤の問題で十分だ。

また、出題範囲は限られているので、その分野の問題に絞って作業のコツなどを身につけながら力を蓄えていくのもよい。

特に、「動く点」の問題や「場合の数」の場合は、式ではなくて、表などに数値をまとめていくことが多い。ていねいに数値を数えていけるよう、普段から気をつけて作業に臨みたいものだ。
はじめのうちは時間を気にしなくてよい。納得いくまで時間をかけて問題の深みを味わおう。明明の難易度が体感できるはずだ。

秋が深まってくる頃には、大問1つを8分以内にこなせるスピードを会得し、算数で高得点が取れるよう仕上げていきたい。

算数の基本的な力を持つ生徒であれば、誰もが挑戦可能な難易度で「おもてなし」をしてくれる学校である。自分なりにテーマを持って挑戦し、合格を目指してもらいたい。

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2017年度「明治大学付属明治中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が5題、小問が16題。はじめに計算問題を含む小問が5題あり、そのあと大問が4問という並びになっている。

大問【1】は答えだけ、大問【2】以降は、式や考え方も解答用紙に書き込むという形式になっている。また,点数配分もおおよそきまっている。

時間と問題数がマッチした学校であり、良問が多く受験生は時間に追われることなく自分の力を十分出せる分量になっている。本年度は全般に難易度が高くなり、その分合格点も下がった。

【大問1】計算・小問

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

(1)はじめの計算問題は3年連続で□が中ほどにある逆算の問題。分数小数の混合計算なので手間はかかるものの正解はしておきたい。

(2)数の性質から、おなじみの問題だ。8=2×2×2なので、2で割れる回数を出して3で割ると言うことになる。ここも正解しておきたい。

(3)還元算では標準レベルの小問。線分図でも解けるし式を立てて求めることもできる。ここまでで失点するわけにはいかない。

(4)唯一の図形問題は、やはり典型的な相似を用いた問題。最近では標準レベルに組み込まれているないようなので多くの受験生は解き方も熟知していることだろう。

(5)こちらもややレベルは上がるものの過不足算の既視感あふれる問題だ。みかんとりんごの、買った個数の差を求められれば(それも難しいことではない)あとは小学4年生なみの作業が残っているだけ。

最初の小問5問のうち最低でも4問は解けるようになっておきたい。本年度のものであれば、できれば全問正解しておきたい。

<時間配分目安:12分>

【大問2】割合と比(売買損益)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

問題文を読むと商品・定価など売買損益に関する問題に思えるが、利益や損失を扱うわけではなく商品A、Bについての式を2つ立ててそれを解いていくという消去算の内容になっている。

(1)はA、Bの定価をそれぞれA、Bとして式を立てると
A+B=470
となる。また、Aを8%値下げし、Bを10%値上げした式は
A×1.08+B×1.1=472
となるので、この2つの式からAまたはBの係数(AまたはBの前についている数)をそろえてA、Bを求めていく。

(2)ではA、Bの売値を求めた上で個数に関する条件を用いて求める。(1)ができていればそれほど悩む設問ではあるまい。
ここまですべて正解できているとすでに受験者平均点は突破することになる。ただ、ここからあとの3問がなかなか手強いのだ。

<時間配分目安:8分>

【大問3】食塩水

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

(1)あまり聞かれたことがない設問内容だが、解いてみれば他愛のないことになっている。
10%と14%をどのように混ぜても9%の食塩水は作れないので、8%と10%、8%と14%の2種類をそれぞれ混ぜて必要な8%の食塩水の範囲を求める。問題文に「2種類以上混ぜて」とあるが、3種類を混ぜて解かなくては求まらないような内容にはなっていない。

(2)でも、10%と14%の混ぜる割合がわかっているので平均をとることで1種類の食塩水にまとめられ、それと8%を混ぜて9%の食塩水を作ればよいので、(1)よりも設問の内容はつかみやすい。食塩水の面積図を使うけれどもそれくらいは身についてることだろう。

<時間配分目安:8分>

【大問4】速さ(流水算)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分

ここまで全問正解!と鼻息の荒い生徒にとってもここは手を焼くところだろう。              (1)は当てられれば当てておきたいが、(2)(3)はかなり高難度だ。

(1)船A、Bそれぞれについて上り下りにかかった時間の比が出ているので、逆比にして速さの比に直す。

その上でA、Bとも上りと下りの速さの差は流速の2倍になっているでそれぞれ上りと下りの時速が求まることになる。あとは18kmの距離をAの下りとBの上りの速さの和で割れば求めることができる。なんとか正解できただろうか…

(2)では「午前9時にAは北町を、Bは南町を同時に出発すると、Aは午後0時42分にAは南町に到達し、Bは南町を出発します」という問題文から、AもBも複数回北町と南町を往復していることが読み取れなければ問題は解けない。

Aは36分で上り、30分で下るのでその間の休憩時間も含め、2回以上は往復していることになる。しかも、その往復の回数がわからないので逐一調べていかなくてはならない。その上でちょうどBが南町を出発するものを選んでいく、と大変の手がかかる設問。ここは本年度の問題でははじめてパスしてもよいところになっている。

(3)を解くには精緻なダイヤグラムを書くという作業が必要であり、うまく解けたときの快感もわからないではないが、10分という限られた時間の中では解ききることは不可能だろう。ここもパスして先に進みたい。

<時間配分目安:10分>

【大問5】ニュートン算

  • 難度:
  • 時間配分:12分

明大明治の算数にはニュートン算が出る、必ず出るので対策は必須である、ということで多くの受験生はこの問題を解くためにニュートン算の演習を十分にこなしてきたことだろう。そしてついにその努力が実を結ぶことに!?

…昨年までのニュートン算に比べても本年度のニュートン算はレベルが高いものになっており、はたして解き終えることができただろうか。【大問1】~【大問3】をしっかりとこなせた生徒にとっては最後のニュートン算は合否に関わってこなかっただろうが、ニュートン算に賭けてきた生徒にとってはなかなか厳しい大問だったのではないだろうか。

(1)(2)問題文の内容を3つの式(A・B・給水について)にまとめると、

A×10+B×8-給水=240(9600÷40)
A×5+B×6-給水=120(9600÷80)
A×5+B×4-給水=80(9600÷120)

となる。ここで、一番下の式を2倍して A×10+B×8-給水×2=160
とすると、一番上の式との差から給水=80(L)と求めることができる。給水する量がわかればその数値をあてはめることでA、Bの排水量も求まり、(1)の答えも求めることができる。

(3)はそれらを求めた上で開いていたA、Bの本数をあてはめて解いていかなければならずやはりかなり細かい作業を要求されている。(2)まで解けた上に10分以上のテスト時間が余っている生徒はがんばってチャレンジしてみよう。

<時間配分目安:12分>

攻略ポイント

テスト時間は50分で100点満点。受験者平均が40,合格者平均が59と、かなり点差があるのが特徴で、近年では昨年度を下回り最も低い平均点となっている。【大問1】~【大問3】を見る限り、そんなに難しいとは思わないが…合格点は55~60点と設定。

明明特有の、条件の複雑な大問群に立ち向かうには、基本問題の徹底履修だけでは難しく、基本的な公式や解き方を身につけたら、設問が2つ以上ある,条件の複雑な問題にもトライしてみることがおすすめだ。また、割合と比にかたよった出題・図形が重視されない傾向にあるので、その両点から向き・不向きを考えてみるのもよいだろう。

また、頻出の分野は時間をかけて必ず得意にしておきたい。特に、「割合」と「速さ」は十分に時間をかけてがんばろう。

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