開智中学校 入試対策
2017年度「開智中学校の理科」
攻略のための学習方法
[理科知識]
まずは入試の基本として、確実な理解のもとの理科知識が重要である。
今年度は、食物連鎖・中和などのびっくりするような基本用語を聞く問題から、また、アンモニアの性質、地球から真夜中に観測できない惑星とつづき、知識としてはここが分かれ目になるかと思われる節足動物の分類が聞かれている。全て必答だ。
そして、単純な知識とは言い切れないのが、【大問4】の金星だ。当然丸暗記では対応できない。その動きについての「理解」が求められる。
天体の動きについては、まず最初に太陽と月と星、そしてその次に金星である。さらに言うと内惑星である火星になるのであるが、金星までは飽きるくらいやってほしい。問5を除けば典型問題である。いつかどこかでやった問題だ。単純に言うと、基礎知識と金星の動きと実験の読み取りができれば今回は合格したと言えるかもしれない。
ところで、知識の丸暗記ではなく「理解」であるが、これはつまり、説明できるかどうかということである。
なぜその答えになるかという説明。これができて初めて入試に耐えうる知識といえる。今回の金星は典型的なものであろう。
家庭では、あやしい知識については一問一答の問題集などで、答えから、逆にその言葉を説明させるようにしてほしい。また、なぜその答えになるのかも説明させてほしい。自信を持って説明できなければ、それは入試では使えない丸暗記をしているということになる。
[実験観察問題]
これは時間との勝負だ。【大問2】のミジンコの実験はいいとしても、【大問1】の熱と【大問3】の中和反応は時間がかかってしまうであろう。
問題文が理解でき、文章的に読み取れれば出来るという問題は、上記の分類では「必答」にした。「必答」の問題は、男子の合格者平均点を基準にした。必答が全てできれば、男子合格者平均点に届く計算である。したがって、他の難易度を勘案すると、国語的に普通の読み取りは出来てほしいのである。
実験観察問題が薄めになる受験カリキュラムの場合は、過去問を中心に読み取りになれておかないといけない。とはいっても他の学校の過去問にまで手を広げる必要はない。まずはこの開智の過去問を使うのが一番効率的だ。時間がなければ、実験観察の大問だけを拾ってやってもいいだろう。
[まとめ]
まずは、一問一答的な問題集を使い、今までの理科知識を定着させること。
理科は意外かも知れないが、上位校であってもここで差がつく。なかなか理科の基本知識というものは頭に定着していないのが大多数の受験生だ。ここは強調したい。
そして、上記のように丸暗記にならないように注意したい。しっかりと理解しながら進めているかどうかを確認してほしい。暗記モノだからといって一人でやらせるのは小学生にはリスクを伴う。
次には過去問を中心に実験観察問題の読み取りだ。ある程度数をこなして慣れておいてほしい。
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2017年度「開智中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
29個の解答箇所に対して時間は30分。
読まなければならない文章の量が多いうえに、考察や計算をたくさん求められるため、のんびり解いていると時間が足りなくなる可能性が高い。
しかも一見して答えられそうな問題が多いので、1つの問題で立ち止まって考え込み、無為に時間を浪費することのないよう、注意が必要である。
【大問1】シロアリの生態
- 難度:易
- 時間配分: 6分
馴染みの薄い昆虫についての話題に一瞬怯むかもしれないが、マニアックな知識を要求されているわけではない。考察問題も大したことはないので、慎重かつ速やかに突破しよう。
問1 「さなぎの時期を持たない『昆虫』」という設問の記述に注意!したがって、ダンゴムシやザリガニは端から除外される。
問2 一般的な昆虫と同じく、シロアリの羽の枚数は4枚である。後ろ羽が退化して羽が2枚しか見られない昆虫としてはハエ、アブ、カを覚えておけば十分。
問3 会話文中の「王や女王となるシロアリ」という説明から、「女王バチ」という言葉を連想できれば難しくはない。
問5 「どれかの姿のシロアリが少なくなると」と書かれているので「実際にどれかの姿のシロアリを減らしてみる」というのが一番簡単な答えだと思われる…が、「多くいる姿のシロアリの一部が姿を変化させる」という書き方が引っ掛かる。おそらくKくんの仮説は「働きシロアリが兵隊シロアリや羽シロアリに変わる」ということを言いたいのだと思われる(本来、その逆は起こらない)。
そのため、単に「どれかの姿」という漠然とした答えよりも、「働きシロアリだけにしてみる」という答えの方が、より出題者の意図を汲んだ形となり無難であろう。
<時間配分目安:6分>
【大問2】ドライヤーの仕組み
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
リード文を読んだ段階で、ドライヤーの温風が「電熱線によって空気を温め、ファンの回転によって風を送り出す」ことで生まれているのだという見当がつけば、問2〜5は難しくない。問6が差のつく問題だろう。
問2 Aの方向に空気が流れなければ吹き出し口から風が出て来ない! だから、そうなるように作られている。それだけ。
問5 第一にON(冷)のスイッチを入れればモーターだけ、ON(温)のスイッチを入れればモーターと電熱線の両方に電流が流れるように導線をつなぐ必要がある。
もう1点考えるべきことは、ON(温)の場合にモーターと電熱線を直列につなぐか、並列につなぐか、ということである。両者を直列につなぐと、回路全体の抵抗が大きくなって発熱もモーターの回転も弱まってしまう。電気代を考えなければ、並列につなぐ方がドライヤーをパワフルに使うことができる。
問6 空気の流れが速くなると、同じ時間内に温める空気の体積の合計が大きくなる。または、ある体積の空気が電熱線を通過する時間が短くなるために受ける熱量が小さくなると考えても良い。いずれにせよ、風の温度は低くなる。
<時間配分目安:7分>
【大問3】二酸化炭素の発生と性質
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
- ★必答問題
二酸化炭素をテーマとして色々な方面の知識が多角的に問われており、正しく解くためには知識の応用力や思考力が必要になる。文章をよく読んで、状況を的確に把握すること。
問1
二酸化炭素は通常の気圧のもとでは液体を経ず、固体から気体へと直接変化する(昇華)。 室温でとかされたドライアイスは気体の二酸化炭素となるが、二酸化炭素は空気よりも重いため机の上に溜まっていき、ドライアイスの下へと入り込んで浮き上がらせる。
問2
本問のポイントは、「ペットボトルの中の空気が全て二酸化炭素に置き換えられた」という点が分かるかどうかにある。 値Xはペットボトルの容積と同体積の空気の重さ+ペットボトルの重さを示している。 一方、値Yはペットボトルの容積と同体積の二酸化炭素の重さ+ペットボトルの重さを示している。 体積が同じであれば空気よりも二酸化炭素の方が重いので、値Yの方が大きくなる。 問3を先に見ておけば着想が得やすいだろう。
問5
読解問題である。最初に実験結果を読んだだけでは意味が分からないだろうから、先生の説明を読んだ後、もう一度実験結果に目を通す必要がある。 まず、先生の説明から理解すべきことは、「炭素は銅よりも酸素と結びつきやすい」という点と「熱を加えると酸素はより結びつきやすい物質へと移動する」という点である。
後者を踏まえて実験結果を見ると、「炭素と結びついて二酸化炭素を作っていた酸素がマグネシウムへと移動することで、酸化マグネシウムが生成された」と見当をつけられる。 この結果はマグネシウムの方が炭素よりも酸素と結びつきやすいことを意味している。
よって、マグネシウム→炭素→銅の順番で酸素と結びつきやすいことが分かる。
問6
炭素1gから生成される二酸化炭素、一酸化炭素の質量はそれぞれ11/3[g]、7/3[g]である。 「2種類の単位量あたりの大きさ」、「単位数の合計」、「全体量」が与えられていて「個々の単位数」が分からない、という場合には即、つるかめ算を考えられるようにしておこう!
<時間配分目安:9分>
【大問4】月と地球との距離
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問3、問4は理科というよりも算数の問題であり、特に問4は相似が苦手だと厳しい。基礎的な問題である問1、問2で失点するようだと苦しくなる。
問1
リード文の冒頭に「満月を見ながら」とあるので、満月の1週間前に見られる月の形を考える。 月の満ち欠けの周期は29.5日であるから、新月→上弦の月→満月→下弦の月の変化にそれぞれ約1週間ずつ要すると考えると分かりやすい。 満月の1週間前は上弦の月に最も近く、上弦の月が午後6時頃に見えるのは南の空である。
問2
スーパームーンの成立条件として、「1. 月と地球との距離が最も近くなる」および「2. 満月である」を考えれば良い。 条件1より、月の位置はイと定められる。イの位置にある月が満月となるとき、地球に面する半球全体が照らされていなければならない。 つまり、太陽の方向はクであると分かる。
※ 実際には、月と地球の距離が「いつもより」近くなるときにスーパームーンが見えるとしか書かれていない。しかし、「いつも」が他のあらゆる時点を指すと考えるなら、「最も」近くなる場合を考えざるを得ない。
問4
空所「い」の前に「球体の中心から影の先端までの長さの比がどこでも1:108になる」と書かれていることから、月の中心から影の先端、つまり地球の中心までの距離は月の直径の108倍であると分かる。
「う」については、分かる所から順に考えていこう。
月と地球の距離を1とすると、「い」の結果から月の直径は1/108で表せることが分かる。 次に、月が通る位置で地球の影の直径は月の直径の2.5倍であるから、1/108×2.5=2.5/108で表せる。
すると、月の中心から地球の影の先端までの距離が2.5/108×108=2.5で表される。
地球の中心から地球の影の先端までの長さは、(地球の中心から月の中心までの長さ)+(月の中心から地球の影の先端までの長さ)に分解されることから、「う」に入る値は1+2.5=3.5である。
「え」については地球の直径1.3万kmの108倍を考えれば良い。 すなわち、地球の中心から地球の影の先端までの長さは140.4万kmであり、「う」の結果から、これが月と地 球の距離の3.5倍であると分かる。
したがって、「お」は140.4÷3.5を計算することで求められる。
なお、「え」と「お」の答えは小数第一位を四捨五入する必要があるが、「お」のような計算については四捨五入する前の「え」の値を用いて計算してから四捨五入するのが本式である。
<時間配分目安:8分>
攻略ポイント
状況把握能力、知識の応用力、考察力が試される難関校らしい問題である。
したがって、文章をよく読み、そこに示されている現象が何を意味するのかを理解する力が物を言うことになる。起こっていることを的確に掴みさえすれば、正解を導き出すのは大して難しくない設問がほとんどであるから、焦って直感頼みの答えを書きたくなる誘惑には精一杯抗うこと。
注意したいのが、知識の実践的な応用を重視した野心的な作問ではあるものの、リード文などの記述に言葉足らずな説明が少なくないという点である。
「きっとこのことを意図しているんだろう」と斟酌して設問を解釈しながら答えを考えられるかどうかも意外に重要である。
志望校への最短距離を
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