｢漢字の書きとり｣(全10問)。本年度は｢間違いやすい漢字｣の定番が登場し、｢同訓異字｣でも悩みそうだ。

注意するものとしては、                                                                                                            

 ①｢センモン家の意見｣＝｢専門｣⇒まさに定番、｢セン｣は｢右上｣に｢点｣は打たない｡また、｢モン｣は｢問｣ではないので要注意｡                                                                                                                                  ②｢アタりが暗くなる｣＝｢辺(り)｣⇒｢文脈｣を正確に読み取り｢当(り)｣などとしないこと。                              ③｢時間をサく｣＝｢割(く)｣⇒これも｢同訓異字｣を確認せよ。                                                              ⑤｢食材がイタまないように｣＝｢傷(まない)｣⇒無論｢痛(まない)｣ではない。                                          ⑦｢先生のお宅をホウモンする｣＝｢訪問｣⇒この｢モン｣は｢門｣としないこと。

本校では、確実な｢漢字力｣の定着が必須条件｡

＜時間配分目安：２分以内＞

｢語句の空所補充および選択肢｣(全５問/｢ひらがな｣指定/６択)｡｢総合的知識問題｣｡｢ことわざ｣｢慣用句｣。

(ａ)～(ｅ)の｢ことわざ｣｢慣用句｣の空所に｢あてはまる語句｣を｢ひらがな｣で答え、それぞれの｢生き物｣を【語群】から選ぶ。｢読み｣が難しいものが紛れている。確認してみよう。

(ａ)｢ ① 　猿の仲｣＝｢犬猿の仲｣＝｢答え｣は｢けん｣､選択肢は(オ)｢イヌ｣｡　　　　　　　　　　　　　　　　(ｂ)｢   ② 　突猛進｣＝｢猪突猛進｣＝｢答え｣は｢ちょ｣､選択肢は(カ)｢イノシシ｣｡　　　　　　　　　　　　　　(ｃ)｢窮   ③ 　猫をかむ｣＝｢窮鼠猫をかむ｣＝｢答え｣は｢そ｣､選択肢は(ア)｢ネズミ｣｡　　　　　　　　　　　　(ｄ)｢   ④ 　足｣＝｢蛇足｣＝｢答え｣は｢だ｣､選択肢は(ウ)｢ヘビ｣｡　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ｅ)｢   ⑤ 　脚をあらわす｣＝｢馬脚をあらわす｣＝｢答え｣は｢ば｣､選択肢は(エ)｢ウマ｣｡

｢ことわざ｣｢慣用句｣｢故事成語｣｢四字熟語｣などは必出、｢知識｣は完璧にしておくこと。

＜時間配分目安：２分＞

自然界は｢弱肉強食｣の厳しい社会だが、実は、弱そうに見えるたくさんの動植物たちが優れた戦略を駆使して自然を謳歌している――植物たちの豊かな｢生き方｣を楽しく説明している。

本文では、｢生命｣は永遠であり続けるために自らを壊し、時代の変化に合わせて進化した新しい個体をつくり、世代を進めて｢命｣をリレーすると述べている。｢専門用語｣もあるが、｢※注｣を参照すれば内容は理解できるはず。

本校らしい多種多様な｢設問｣が並んでいる。以下、いくつかを確認してみたい。

[問一]　｢慣用表現の空所補充記述｣(｢漢字｣指定)。｢総合的知識｣｡｢文語の慣用表現｣｡二重傍線部｢□きとし□けるもの｣の空所に入る｢同じ漢字｣を答える。

｢文語表現｣なので知らなくても当然。難問だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要｣という｢重要解法｣)で前後を確認する。｢それは□きとし□けるものの逆らえない宿命｣となっている。｢それ｣＝｢最後には必ず死を迎えること｣だと分かる(｢指示語｣が出たらすぐに開くこと)｡ということは、要は｢□きとし□けるもの｣＝｢すべての生き物｣だ。

｢この世に生きているすべてのもの｣という意味の連語｢生きとし生けるもの｣､したがって、｢答え｣は｢生｣だ。　本校ではこうした｢語彙力｣も問われることがあるということだ。無論、知らなければ｢捨て問｣で構わない。

＜時間配分目安：30秒＞

[問三]　｢条件付き内容説明記述｣(｢20字以内｣指定)。傍線部①｢考えてみると不思議である｣について、｢どんなことが不思議なのか｣を｢二十字以内｣で説明する。

｢条件｣は｢本文中の言葉を用いる｣こと。｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣で確認すると、直前に｢しかし｣という｢逆接｣の｢接続詞｣がある。｢逆接｣はその前と｢直結｣なのでチェックすると、｢植物は、木から草へと進化していった｣となっている。つまり、このことが｢不思議｣なのだ。

が、これでは｢答え｣にはならない。｢何が不思議なのか｣が不明だからだ。｢同一意味段落｣をさらに確認する(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢手がかり･根拠｣がある)｡すると、３段落後に｢どうして植物は、進化の結果、短い命を選択したのだろうか｣という問いかけがある。まさに｢不思議｣だ。

よって、この部分の｢言葉｣を用いてまとめていく。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　たとえば、｢植物が進化の結果、短い命を選択したこと｡｣といった｢答え｣だ。　　　　　　　　　　　　　　　通常、｢説明記述｣では､｢本文中の言葉(語句)を用いること｣との｢条件｣がなくても､｢本文のある部分｣をまとめることになる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

にもかかわらず､わざわざ｢条件｣になっているということは、｢用いない｣と｢不正解｣になるわけで、必ず｢用いるべき文中の言葉(語句)｣がそのままあると心得よ。

＜時間配分目安：２分＞

[問五]　｢換言説明選択肢｣(４択)。傍線部②｢『死』は地球上に生まれた生命が創りだした発明品である｣について、｢どういうことか｣を答える。

｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣を試みたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

｢換言説明｣なので、｢発明品｣の｢原意｣での｢消去｣だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　各選択肢の文末を確認する(選択肢の説明でのポイントは｢文末｣だ)｡

(ア)｢願っているということ｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(イ)｢有意義なものであるということ｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ウ)｢努力するということ｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(エ)｢死滅するということ｣

｢発明品｣＝｢品｣なのだから当然、｢もの｣となっている(イ)以外は｢消去｣できるはずだ。　　　　　　　　　　　他の部分の説明も特に誤っていないので、｢答え｣は(イ)だ。｢一発消去｣！　｢原意消去｣は必ず活用せよ。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問八]　｢内容説明記述｣(全２問。ともに｢字数指定｣なし、各｢30字ほど｣の解答欄)。｢『命』と『生命』という語句｣の本文中での｢使われ方の違い｣をそれぞれ説明する。

｢本文中｣ということでは漠然としていて絞りきれない可能性がある。ここはやはり、｢最後｣の部分に絞って考えていきたい(｢論説文｣｢説明文｣での｢要旨｣は｢最初｣と｢最後｣だ)｡

｢最後｣から２段落目に｢生命は死ぬことによって、永遠であり続ける｣とある⇒｢生命｣＝｢永遠｣だと分かる。そして、｢最後｣の段落には｢生命は限りある命に価値を見出した｣とある⇒｢命｣＝｢限りあるもの｣だ。　　　　　　　

さらに、｢最後｣から３段落目では｢生命は死と再生を繰り返し、世代を進めることで命をリレーしていく仕組みを創りだした｣｢変化し続けることによって、永遠であろうとした｣と説明されている⇒｢生命｣＝｢死と再生を繰り返し､世代を進めるもの｣､｢命｣＝｢リレーされていくもの｣だと読み取れる。

こうした｢要素｣からそれぞれを簡潔に説明していきたい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　たとえば、｢命｣＝｢死ぬことで次の世代へと受け継がれていく限りあるもの。｣､｢生命｣＝｢死と再生を繰り返し変化することによって永遠であり続けるもの｡｣といった｢答え｣となる。

｢傍線部｣などの限定がなく｢本文での｣｢本文全体で｣などと問われた場合、｢論説文｣｢説明文｣では｢論旨(要旨)｣直結なので､｢序論部｣(最初)と｢結論部｣(最後)に着目して読み解いていくこと。

＜時間配分目安：４分＞

｢俺｣(＝｢アガタ(安賀多)｣は電機会社の｢コールセンター｣の派遣労働者、そこの管理者で正社員の｢徳永さん｣と小学校の同級生で今は｢現場の統括主任｣となっている｢ティアン(町村桂子)｣(ベトナム難民)､そして、幻の動物｢レワニワ｣､彼らの交流を通じて､｢共生社会｣のあり方を描いている作品。

本文は、｢徳永さん｣の野球チームの試合が｢ティアン｣の以前住んでいた団地の近くで行われることになり、応援のために｢俺｣を強引に誘う場面。読みやすく、｢設問内容｣も基本的なものが多い。以下、いくつかを検討してみよう。

[問一]　｢語句の意味の選択肢｣(全２問/各４択)｡｢総合的知識問題｣｡本校では定番の｢語彙力｣の問題。二重傍線部(Ａ)｢口ごもる｣､(Ｂ)｢拍子抜け｣の｢意味｣を答える。

両方ともに知っていてほしい。が、万一､ど忘れしていたらどうするか？　｢単語｣それぞれの｢原意｣をつなげてみたい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(Ａ)｢口ごもる｣⇒｢口｣(の中に言葉が)｢こもる｣＝｢答え｣は(ア)の｢言いかけてやめる｣｡　　　　　　　　　　　(Ｂ)｢拍子抜け｣⇒｢拍子｣(が)｢抜けてしまう｣(＝｢はずれてしまう｣)＝｢答え｣は(ウ)の｢緊張が急にゆるむこと｣｡

どれほど｢語彙力｣を磨いていても本番での｢ど忘れ｣はあり得る。その時には、あせらずに｢単語の原意｣を組み合わせていくことが肝要。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問四]　｢理由説明記述｣(｢80字以内｣指定)。傍線部①｢気分が暗くなった｣について、｢それはなぜか｣を｢八十字以内｣で説明する。

先ずは、｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣｡直前に｢俺は、ティアンが、徳永さんもいるから会議室に来てというのを聞いて、なにか注意をされるのか｣とある。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つまり、｢なにか注意をされるのか｣と思ったことが､｢気分が暗くなった｣ことの｢きっかけ｣だと分かる。　　　したがって、｢理由説明｣での｢最重要要素｣である｢直接的理由｣は、｢いやな予感がしたから｣といったことが考えられるはずだ。

無論、これだけでは字数的に不十分だ。次に｢間接的理由｣を確認したい。　　　　　　　　　　　　　　　　　｢ティアンが、徳永さんもいるから会議室に来てというのを聞い｣たことが、｢なにか注意をされるのか｣と思ったことの｢きっかけ｣になっている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

なぜか？　｢ティアン｣と｢徳永さん｣がいることは、｢俺｣にとってはどういうことなのか？　　　　　　　　　　

｢同一場面｣の｢直前直後｣を確認する(｢小説は同一場面直前直後に根拠あり｣、｢小説｣の｢最重要解法｣)｡直後に｢十月に入って、立て続けに二件、客とトラブルになっていた｣と説明されている。また、その後の部分から､｢俺｣は｢派遣社員｣だが、｢ティアン｣は｢現場の統括主任｣で｢徳永さん｣は｢コールセンター担当の管理者｣でともに｢正社員｣だということが分かる。

ということは、｢客とのトラブル｣があった後に、｢派遣社員｣の｢俺｣が｢現場の統括主任｣の｢ティアン｣と｢コールセンター担当の管理者｣の｢徳永さん｣という立場が上の｢正社員｣に呼ばれた⇒｢なにか注意をされる｣と､つながるはずだ。

こうしたことを｢過不足なく｣まとめていく。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　たとえば、｢派遣社員の自分が､現場統括主任のティアンと管理者の徳永さんという立場が上の正社員に呼ばれたので、客とのトラブルについて注意をされるのかと、いやな予感がしたから｡｣といった｢答え｣だ。

｢理由説明記述｣では、｢直接的理由｣を｢文末｣として、｢字数｣に応じて｢間接的理由｣をその前に加えることがポイント。

＜時間配分目安：３分＞

[問七]　｢理由説明選択肢｣(４択)。傍線部④｢俺、船が好きなんで、そっちから行きます｣について、｢『俺』がこのように言った理由｣を答える。

先ずは｢原意消去｣だが(｢理由説明｣では｢直接的理由｣での｢消去｣)、ここでは傍線部自体に｢船が好きなんで｣という｢理由｣(もちろん｢表向きの理由｣)が記されているので無理だ。

そこで、｢同一場面｣の｢直前直後｣を確認する｡直前から､｢せっかくの日曜日に会社の野球チームと一緒に行動するのは嫌だ｣と思っていたことが分かる。

各選択肢の文末で｢消去｣していく。

(ア)｢休みの日にまで会社の人たちに気を使いたくなかったから｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(イ)｢車も買えない自分のふがいなさを自覚したくなかったから｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ウ)｢昔よく乗っていた渡し船にもう一度乗ってみたいと思ったから｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　(エ)｢ティアンともっと仲良くなってみたかったから｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

｢日曜日に会社の野球チームと一緒に行動するするのは嫌｣なのだから､(ア)以外は｢消去｣できなくてはいけない。他の部分の説明も特に誤っていない｡よって、｢答え｣は(ア)。

｢小説｣では、｢心情｣や｢理由｣の｢表裏｣をしっかりと見極めることが必要だ。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問八]　｢表現についての選択肢｣(４択)。｢この文章の表現についての説明｣を答える。

こうした問題では、｢表現技法｣などの｢事実関係｣で判別することが鉄則だ。　　　　　　　　　　　　　　　　各選択肢を確認し、｢正誤判別｣していく。　　　

(ア)｢時間や空間が複雑に入れ替わり、幻想的に表現されている｣⇒｢時空間｣は入れ替わっていないし、｢幻想的な表現｣もない＝｢不適切｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(イ)｢会話文を多く用い｣｢『俺』や『俺の周りの人びと』が『俺』自身によって語られている｣⇒確かに、典型的な｢一人称描写｣＝｢適切｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ウ)｢コールセンターの活気ある様子が｣｢表現されている｣⇒｢コールセンターの様子｣はほとんど描かれていない＝｢不適切｣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(エ)｢登場人物の｣｢内面が客観的に描かれる｣⇒｢俺｣の｢一人称｣で描かれているので｢客観的｣ではない＝｢不適切｣

よって、｢答え｣は(イ)になる。

近年、本校も含め上位校では、この設問のような｢表現｣に関する問題が頻出だ。｢事実関係｣での｢正誤判別｣に慣れておくことが肝要。

＜時間配分目安：１分半＞