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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」
攻略のための学習方法

[形式・分野]

大問数6、小問数50前後というのが、早大高等学院中のほぼ決まった問題構成となっている。

大問の内、3~4問は500~1000字ほどのリード文を読んでから答える設問で、残りは1問1答や長文記述などが割り当てられる。用語記入と記号選択では用語記入の方が多い傾向。年度によって異なるが、1行記述や50~100字ほどの記述問題が2~4問出されるのも通例である。

分野別では地理・歴史にウェイトが置かれ、政治経済分野はやや少なめの出題となっているが、他の分野に紛れて出題されたりするので、この分野も手を抜いてはいけない。

基本事項を問う問題も多いが、小学校の社会では覚えない事柄や、なかにはテキストや資料集などに載っていないデータを考えさせる、いわば「社会科的センス」を問われるような難しい問題も見られる。

問題数も多く、文章量もあるので、迷うことなくてきぱき答えていかないと時間が足りなくなる。内容も濃くスピードも必要なヘビーな試験となっており、高い実力が要求される。

 

[地理分野]

国土と自然、各地域の農林水産などの産業、人口統計を用いた問題などが過去よく出題されている。

また、地域区分の問題が頻出となっているのが大きな特徴である。
「○○が××である都道府県」等を、区分けされた地図から選ぶのだが、例えば平成25年には「オーストラリアからの観光客が北陸地方や日本海側に多い」という統計をもとに問題が作られている。           日本と季節が逆であること、雪が多い地域であることなどの理由に思い至らないと、確信を持って正解を選べない。
その県や地域について、断片的でなく総合的に正確にイメージできるくらい、よく理解していないといけないのである。

各地の地形と気候、それに基づく産業の特色など、地図や白地図、統計資料などで体系的に整理して覚えるようにしたい。

 

[歴史分野]

各時代からまんべんなく出題され、大きな偏りは無い。
人物・位置・できごとについてまずは基本事項を押さえる。
そして年表などで、「誰が」「どこで」「何をして」「その結果どうなる」というようなつながりをまとめるようにすれば、より実践的な知識が手に入る。

史料をもとに考えるような設問も見られるので、資料集の図版などは見慣れておくようにする。

 

[政治分野]

他の分野と比べると出題量が少ないが、日本国憲法や三権の仕組みと働きなどの基本駅事項を中心として、国際連合や日本と関連の深い国々についても目を通しておかねばならない。

時事問題もニュースで話題になったことなど、注意して見ておく。

 

[記述問題]

記述問題は、用語や出来事を説明するものから、統計史料の数値を比べてその意味を問うもの、ある歴史の史料から当時の人々の考えを推測するものなど、いろいろなパターンで出題されている。

地理分野の記号選択問題や時事問題にも言えることだが、本校の問題には、与えられたデータの意味を読み取ってそこから考えられる理由や結果を問う、といった少し難度の高いものが見られる。
また、知識があるのは当然として、その自分の持っている知識を利用して、普段はあまり見慣れない資料の意味を考えなければならないといった問題もある。

まずは、各分野の基本的・重要な事項の問題を落とすわけにはいかないので、ミスしないようにしっかり定着させておく。
その上で、それらの知識を活用して、ニュースや新聞で見たさまざまな出来事の背景や他への影響などを考えてみる。

「自分は中学生である」くらいの意識で社会的な出来事への関心を持っていないと、高得点は望めないテストであろう。
ただし、極端な難問・奇問ではないので、あくまで正確なまとまった知識を身につけて少し深く考える習慣をつける、このような訓練を積み重ねて欲しいということである。

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2017年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

総解答数50問と問題数が多い。適語記入の問題が多く、1行程度の記述4問と2~3行ほどの記述2問もあり、書く分量が多いので時間的に大きな余裕はない。
選択問題・適語記入は出来るところを速やかに終え、時間がかかりそうな問題は残った時間であきらめずに取り組もう。

【大問1】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:4分
  • ★必答問題

地図の読み取りの問題。

問二 山口県北部に位置する萩市は日本海に面し、萩城跡や武家屋敷跡・白壁が並ぶ城下町など、名所旧跡が多く存在する観光地となっている。他の三ヶ所はいずれも内陸部にある。

問三 地図から読み取れる特徴を読み取る問題。まずは地図記号を覚えていないと判断できない。あとは説明と表を見ながら丁寧に確認すれば難しくはない。

<時間配分目安:4分>

【大問2】地理分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

4つの県についての問題。

問一 (A)東京への野菜の出荷が多く、つくば学園都市を有する茨城県。
   (B)かつての都で墨・筆の産地ということから奈良県。
   (C)養蚕や扇状地を利用した果物栽培という点で山梨県。
   (D)鳴門海峡やすだちが特産であることから徳島県。

問二 (お)徳島県といえば阿波踊りが有名。かつての国名から名付けられている。

問三 人口の減少が問題の根本である。産業が盛んになり収入が得られるならば人も戻ってくる。

問四 海岸線や県境の形から特定できる。

問五 (a)は夜間人口の方が多いので住宅の多いベッドタウンと考えられる。大阪に近く働きに行く人が多い奈良市は条件に当てはまる。

<時間配分目安:10分>

【大問3】歴史分野

  • 難度:
  • 時間配分:11分

巡礼という話題で人物や場所について訊かれている。

問二 町の成り立ち。長野は善光寺の門前町として栄えた。酒田は港町。東海道の最初の宿場町が品川宿である。

問四 (2)滝沢馬琴は『南総里見八犬伝』という物語の作者。

問九 「巡礼を口実とした旅行は可能だった」・「小説や映画などの影響で爆発的に増加し」とある。江戸時代にはお伊勢参りや善光寺参りが旅行という大きな娯楽であったし、本や映画をきっかけに巡礼に興味を持つ人もいる。いずれもその背景には、移動が安全にできる治安の良さや旅費を都合できる経済的な余裕、そうした社会の安定があるものと考えられる。

<時間配分目安:11分>

【大問4】歴史分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

福岡を話題にして人物や出来事について訊かれている。

問二 日宋貿易・日明貿易については輸出入の品目などもよく問題にされるので、覚えておこう。

問三 平安~鎌倉時代にかけての仏教の興りと創始者・教えの内容は混乱しやすい。よく整理しておく。

問七 大規模な公共の建物が多いことに注目。城跡は敷地が広く、その地域の中心地にあることが多い。条件や目的に適っているのである。

<時間配分目安:7分>

【大問5】政治経済分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:4分
  • ★必答問題

選挙について、最新の情報も問われている。

問一 かねてから有権者数と議員定数の不均衡が「一票の格差」として問題になり、違憲判決も多く出されている。その是正のため、それまでは別の選挙区だった鳥取県と島根県・徳島県と高知県がそれぞれひとつの選挙区にまとめられたのである。人口の少ない県どうしを合わせてひとつの選挙区とすることを合区という。

問二 リコールの請求に必要な署名数は有権者の三分の一以上である。

問三 選択肢ウは小選挙区と比例代表の重複立候補が認められている衆議院議員選挙で起こりうることである。

問四 参議院は6年の任期で途中で解散することはない。3年毎に定数の半数を改選する。

<時間配分目安:4分>

【大問6】現代社会分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:4分

最近の世界での出来事について。

問一 A殺害されたのは残留派の議員であった。
   B投票結果は僅差で離脱派が勝利した。

問四 『自由からの逃走』は「人は自由を求めるが、自由であるが故の孤立感や不安感に苛まれ、かえって自由から逃れることを選択するようになる」と説いている書である。歴史的な長い闘争の末に人類が勝ち取った自由をみずから放棄するような流れが一部に見られることを懸念している。

問五 外国からの安い労働力に国内の職を奪われてしまうことが、移民排斥の大きな理由のひとつになっている。

<時間配分目安:4分>

攻略のポイント

地図を使った問題がよく出されている。統計や表を読み取って考える問題も多い。類似問題を多くこなしてよく練習しておこう。

問題数の多さや知識だけでは答えられない記述問題など、時間がかかる部分も多いのでスピードが必要とされる。基本事項のマスターは当然として、記述問題への対応なども高いレベルで求められるし、時事問題もしっかり出題される。

社会科のすべての範囲で高い実力が求められる試験なので、十分な準備をして臨むべきである。

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