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栄光学園中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「栄光学園中学校の理科」
攻略のための学習方法

科学法則の理解

科学法則は、暗記するのではなく、きちんと理解しよう。暗記と理解は、似て非なるものだ。教科書に書いてある公式を暗記したら、そこから、どのような物事にその科学法則が活用できるのか、理解を深めておきたい。

例えば、【大問1】(4)は、熱と空気の移動のしくみが理解できていないと、正答できない。空気の移動に影響を与えるのは、熱によって温度が上昇し、体積が増した空気だ。さらに、空気が羽に当たるときに、羽は物理的に力を加えられる。羽の角度によって、どのように力が加わるのか、理解できただろうか。ここでは、さまざまな単元の知識を関係づけて、志望者が物事を体系的に理解できているかが、問われている。

生活環境の観察

設問文の題材は、小学生の生活環境で出会いそうな物事だ。ここで問われているのは、志望者が、生活環境とのやりとりの経験から、知識を深めているかどうかだ。

例えば、【大問1】(3)は、1円玉という身近にある器具を題材にしている。1円玉の原材料はアルミニウムだが、なぜ1円玉の素材にアルミニウムが選ばれたのか、化学的な性質の理解が求められている。製品の素材の決定には、必ず科学的性質の裏付けがあることを、小学生が、最終的には理解できるように、誘導している。正答するためには、科学的な目で、物事を観察した経験が、求められる。

現代社会は、何気ない暮らしのなかに、いくつもの科学法則がそれとなく潜んでいるので、観察する機会には困らないだろう。実験授業や理科教室も、各地で開催されている。それでも、もし実験の経験が不足していると感じたら、担当の家庭教師に、おすすめの理科の実験教材を紹介してもらってもいいだろう。授業を提供して終わりではなく、子どもの学習状況に合わせて、学習全体を支援できる点に、家庭教師の強みがある。

答案作成力

答案作成能力のうち、注目したいのは、速度と精度の、2つの能力だ。これらの能力は、一朝一夕には身につかない。単純な知識の暗記であれば(一問一答であれば)、直前の対策でも、生徒に身につけさせることはできる。しかし、答案作成能力は、短期的には伸びにくい。長期間の学習によって、少しずつ身につけていくものだ。
したがって、栄光学園中学校の志望者は、受験の早い段階から(理想的には小学5年生の後半から)、本番を想定した学習を心掛けたい。

具体的には、演習問題を解く比率を増やすべきだ。中学受験のカリキュラムは、知識を定着する暗記と、知識を活用する演習に、大別される。基礎知識の暗記では満足せずに、積極的に演習まで、挑戦していってほしい。学習時間を増やすことにはなるが、その演習の成果は、受験の本番が近づいてくれば、はっきりと現れてくる。

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2018年度「栄光学園中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

試験時間は40分で、得点は50点満点だ。大問数は、今年は1問だけとなり、さまざまな単元の知識が、総合して出題される。設問数は12問で、そのうち本格的な記述形式が多く含まれる。解答速度よりも、受験者の思考力によって差がつく試験構成となっている。

【大問1】物理・化学

  • 難度:標準
  • 時間配分:40分
  • ★必答問題

走馬燈という製品を通して、どのような材料で、どのような構成で、どのような科学法則を用いて、物事が達成されるのかが、問われている。栄光学園の理科の試験は、受験の水準を超えた完成度があり、科学の持つ魅力を、しっかり理解しておきたい。

答案を完成するためには、実験と資料から、背後にある科学法則を考察する経験推論が重要になる。また、解答方法は、本格的な記述形式が含まれるので、文章を短くまとめる訓練も必要となる。

(2)製品である「ろうそく」がどのように製造されるのか、しっかりと理解しておきたい。ろうそくの芯には、木綿が用いられる。木綿は、原料である綿花を、工場で木綿に加工する。さらに、木綿は白蝋と合わせて加工され、完成品の「ろうそく」となる。
私たちの身の回りの製品は、完成品として現れがちだが、理科を学ぶことで、製品が生み出される過程を理解できるようになりたい。

(4)
記述力の基本となる設問だ。与えられたキーワード(ここでは「空気」と「羽」)を用いて、文章を書くのだが、まずは短い記述に慣れておきたい。
そのためには、理科の教材を選ぼう。理科の教材は、知識暗記・計算・資料読解・記述など、出題形式が多様なので、そのうちの、記述の設問がたくさん入っている問題集を選んでおこう。「キーワードがない設問」「キーワードが1つある設問」「キーワードが2つ以上の設問」というように、記述の難易度が異なる設問を、順番に解いていこう。

近年では、2020年以降の大学入試改革も見据える形で、設問の記述の割合は増加傾向にある。しっかりとした記述力の育成を、小学校の早い時期から意識しておきたい。従来の5年生・6年生の前段階で、3年生・4年生でも、できるだけ記述の設問に触れあわせ、文章を書く習慣をつけておくことも、大事になる。文章を書くことを、嫌がらなければ、記述問題は決して難易度が高いわけではないので、安定して得点できるようになるだろう。

攻略のポイント

いずれの設問も、受験者の思考力を試そうとしている。これは、単純な暗記ができる記憶力とは、異なる能力だ。一問一答形式の試験で、得点が良くとも、本校の過去問を解き始めたら、急に得点が下がってしまう受験者がいる。その場合は、学習方法が、暗記中心になっていないかを、点検しよう。本校への王道の学習方法として、科学法則を丸暗記するだけではなく、日常生活のどの場面で、どのように活用されているのか、小学生なりに思考する経験を積んでおきたい。

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