栄東中学校 入試対策
2017年度「栄東中学校の社会」
攻略のための学習方法
スライド式学習
「栄東対策」としては当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れずに。
完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、悲しいことに人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる５年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、６年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。６年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか？ 実質的に１年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」での「深知り知識」が求められる栄東ではなおさらだ。
そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある５年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
いもづる式学習
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、栄東定番の「複雑な選択肢設問」など絶対に無理だ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。１つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。
その上で、それらが結びつく背景(＝「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。無論、栄東で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
手づくり式学習
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。
塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。
しかし、栄東ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」～「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。
さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が栄東には多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
細部へのこだわり式学習
「問題解説」でも指摘したが、「栄東対策」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。
「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。
過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。
導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
意識継続式学習
どのような場合であっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無意味だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。
そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。
栄東の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか？ 「要素」は全て確認したか？ 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か？ 「条件」を満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2017年度「栄東中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問１は｢地理｣。｢日本の観光名所を短歌にまとめた説明文｣からの出題｡小問は全７問（解答数14）、｢選択肢｣(｢不適切｣｢組み合わせ｣｢整序｣｢複数完全解答｣あり)､｢事項記述｣(全て｢漢字指定｣)、｢短歌創作｣(１問)。
大問２は｢歴史｣。｢古代～近代までの年表｣からの出題。小問は全14問(解答数14)、｢選択肢｣(｢組み合わせ｣｢年代整序｣あり)､｢事項記述｣(全て｢漢字指定｣)、｢説明記述｣(１問)。
大問３は｢公民｣(１問のみ｢時事｣)。｢ニュースを見ながらの会話文｣からの出題。小問は全８問(解答数８)、｢選択肢｣(｢不適切｣｢複数完全解答｣あり)､｢事項記述｣(全て｢漢字指定｣)｡時間配分は、｢説明記述｣｢短歌創作｣で８分､他は１問を１分弱というペース。無論、メリハリのある｢戦術｣が求められる。
【大問１】地理
- 難度：やや難
- 時間配分：16分
｢日本の観光名所｣５か所をそれぞれ｢短歌｣に詠み、それらについての｢説明文｣である(Ａ)～(Ｅ)に関する出題｡
｢地形図｣など｢地理｣の｢基本的知識｣を問う問題が多いが、｢統計資料｣に関するものはなかなか手強い。とりあえずは、｢５か所｣を特定しなければ何も始まらないので､｢説明文｣の｢キーワード｣から確認したい。
(Ａ)｢日本で初めての世界自然遺産｣｢ヤクスギ｣⇒｢屋久島｣(鹿児島県)、
(Ｂ)｢神社｣｢平清盛が現在の社殿を造営｣⇒｢厳島神社｣(広島県)、
(Ｃ)｢加賀藩｣｢日本三名園の一つ｣⇒｢兼六園｣(石川県)、
(Ｄ)｢日本で初めての世界文化遺産｣｢大天守の美しい姿｣⇒｢姫路城｣(兵庫県)、
(Ｅ)｢11世紀に『みちのく』に建てられた寺｣｢源頼朝が見た｣⇒｢中尊寺｣(岩手県)だ。
尚、最後に新傾向の｢短歌の創作｣という｢社会｣では珍しい｢設問｣がある。
これについては、示されている【メモ】を｢手がかり｣にして､あまり時間をかけずに何か｢１首｣を詠んでおけばいい。
以下、厄介な｢統計資料｣の｢設問｣を確認してみる。
[問５(１)] ｢統計資料についての位置整序組み合わせ選択肢設問｣(４択)｡
示されている｢観光名所｣(Ａ)(Ｂ)(Ｃ)(Ｅ)がある｢都道府県庁所在地都市｣の｢月別平均降水量｣と｢平均気温｣を表した｢グラフ｣(あ)～(え)について、それぞれの｢都市｣を｢西から順番に並べた｣ものを答える。
出た！！ 見たこともないような｢雨温図｣､昨年と全く同じものだ｡｢過去問演習｣をしっかりこなしていた諸君にとっては｢してやったり！｣､そうでなければ｢？｣という感じだろう。
｢横軸が降水量｣で｢縦軸が気温｣を示しいる｡
(Ａ)＝｢鹿児島県｣､(Ｂ)＝｢広島県｣､(Ｃ)＝｢石川県｣､(Ｅ)＝｢岩手県｣は上記のとおり。
では、特定していきたい。
先ずは｢気温｣から。｢０℃以下｣がある選択肢(あ)＝(Ｅ)の｢岩手県｣､｢最も高温な｣(う)＝(Ａ)の｢鹿児島県｣｡
次に｢雨量｣だ。｢気温の低い冬に多い｣(い)＝｢日本海側｣である(Ｃ)の｢石川県｣､｢全体的に少ない｣(え)＝｢瀬戸内海｣である(Ｂ)の｢広島県｣。
したがって｢西から並べる｣と、(う)→(え)→(い)→(あ)となる。
よって、｢答え｣は(イ)ということだ。
｢過去問演習｣､その重要性を改めて認識させられる問題だ。
＜時間配分目安：１分半＞
[問５(２)] ｢統計資料についての選択肢設問｣(全２問/４択/複数完全解答)｡
示されている｢かぼちゃ｣｢たまねぎ｣｢生しいたけ｣｢レモン｣のいずれかの(ア)～(エ)の｢農作物｣の｢生産量上位３位｣までの｢都道府県｣(｢観光名所｣(Ａ)(Ｂ)(Ｄ)(Ｅ)の｢都道府県｣)の｢表｣について、｢かぼちゃ｣と｢レモン｣のものを答える。
｢農作物の都道府県ランキング｣､当然定着しているはずだが、｢生しいたけ｣と｢レモン｣はなじみが薄いか？ チェックしてみよう。
｢北海道｣｢佐賀｣が｢１位｣｢２位｣の(ウ)が｢たまねぎ｣ということは即決定。また、同じく｢北海道｣が｢１位｣で｢２位｣が｢Ａ｣(＝｢鹿児島県｣)の(ア)は｢かぼちゃ｣だと特定できなければいけない。
残りでは、(イ)の｢１位｣が(Ｂ)＝｢広島県｣で｢２位｣は｢愛媛｣､(エ)の｢１位｣｢２位｣が｢徳島｣｢北海道｣となっている。
とすれば気候を考慮して､(イ)＝｢レモン｣､(エ)＝｢生しいたけ｣だと判別できるはずだ。
よって、｢答え｣は､｢かぼちゃ｣＝(ア)､｢レモン｣＝(イ)になる。
こうした問題では、｢消去法｣を存分に活用することが肝要。
＜時間配分目安：１分＞
[問５(３)] ｢統計資料についての組み合わせ選択肢設問｣(６択)｡
示されている｢観光名所｣(Ｂ)(Ｄ)(Ｅ)の｢都道府県｣の｢工業出荷額割合｣の｢グラフ｣(あ)～(う)について、｢組み合わせ｣の｢正しいもの｣を答える。
これまた、おなじみの｢資料｣だ。
上位｢１位｣～｢３位｣に｢輸送用機械｣がランクインしていない(う)は(Ｄ)＝｢兵庫｣だとすぐに特定できるはず。この段階で、選択肢は(イ)(オ)に絞り込める。
その上で、残りの(Ｂ)＝｢広島｣､(Ｅ)＝｢岩手｣であれば、｢電子部品｣が｢３位｣となっている(あ)＝(Ｅ)の(オ)が｢答え｣だと判別できる(｢東北自動車道｣＝｢シリコンロード｣､覚えているに違いない)｡
｢組み合わせ選択肢｣では、くれぐれも｢見間違い｣｢読み違い｣をしないようにすること。
＜時間配分目安：１分以内＞
【大問２】歴史
- 難度：標準
- 時間配分：16分
- ★必答問題
示されている｢７世紀初め～1945年までの年表｣から出題。
｢歴史｣の多種多様な分野からの設問が並ぶ。｢正誤判別｣｢組み合わせ｣｢事項記述｣｢年代整序｣｢位置整序｣……､本校特有の目まぐるしさで｢設問形式｣が次々に変化する。よほど注意しないと混乱してしまう。難易度もまちまちなので心してかかること。
｢事実関係｣｢背景｣｢人物｣｢年代｣など、細部まで十分に配慮しないと正解できない。
以下、いくつか検討してみよう。
[問３] ｢年表についての選択肢設問｣(４択)。
年表中の(Ｃ)｢藤原頼通が平等院鳳凰堂を建てる｣について、示されている｢藤原氏に関する説明｣で｢正しいもの｣を答える。
細部に着目しないと判別できない。難問だ。各選択肢の｢キーワード｣で｢正誤判別｣する。
(ア)｢天皇が幼い時は関白、成人した後は摂政｣⇒明らかに｢逆｣だ＝｢不適切｣､
(イ)｢藤原道長は摂政･関白となって｣⇒一瞬悩むか？ 道長は｢摂政｣と｢太政大臣｣にはなったが、｢関白｣には就任していないことを思い出したい＝｢不適切｣､
(ウ)｢菅原道真などの有力貴族を追放｣⇒誰もが知っているはず＝｢適切｣､
(エ)｢藤原頼通は娘を天皇の后にし、生まれた子を天皇にした｣⇒典型的な｢摂関政治｣の説明、｢正しい｣に決まっていると即決してはいけない。娘には皇子がいなかった＝｢不適切｣｡
よって、｢答え｣は(ウ)｡
目配せをした的確な｢判別｣が求められている。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問４] ｢年表についての空所補充事項記述設問｣(｢漢字５字｣指定)。
年表中の中にある空所｢ (Ｄ) が中尊寺金色堂を建てる｣について、｢この人物に始まる一族｣のことを｢何というか｣を｢漢字５字｣で答える。
｢この人物｣(藤原清衡)であれば困ってしまった諸君もいると思うが、｢一族｣なので、｢答え｣は｢奥州藤原氏｣と正解できなくてはいけない。｢清衡｣｢基衡｣｢秀衡｣と３代にわたって栄えたが、４代目の｢泰衡｣が｢源頼朝｣によって滅ぼされた。
＜時間配分目安：30秒＞
[問６] ｢年表についての年代整序選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。
年表中の(Ｆ)｢1185～1429年｣の期間におこった｢できごと｣として示されている(ア)～(オ)を｢古い順｣に並べかえ､｢２番目｣と｢４番目｣を答える。
｢年代整序｣では、覚えているであろう｢年代｣で無理やり｢整序｣しようとすると、｢数字｣を取り違えて誤ってしまう可能性があるので、必ず｢背景｣や｢流れ｣で整理しつないでいくこと。
ここでは、｢鎌倉時代前半｣の選択肢(イ)｢京都に六波羅探題｣→｢鎌倉時代後半｣の｢元寇｣の１度目である(オ)｢文永の役｣→｢元寇後｣の(ウ)｢永仁の徳政令｣→｢室町時代前期｣の(ア)｢日明貿易開始｣→｢室町時代中期｣の(エ)｢正長の土一揆｣という｢流れ｣。
したがって、｢答え｣は｢２番目｣＝(オ)、｢４番目｣＝(ア)となる。
｢できごと｣と｢時代の流れ｣を結びつけること。
＜時間配分目安：１分半＞
[問10] ｢年表についての位置整序選択肢設問｣(５択)。
年表中の(Ｊ)｢1707～1872年｣の期間におこった｢できごと｣として示されている(ア)～(オ)を､｢東から順｣に並べかえ､｢２番目｣と｢４番目｣を答える。
前問も含め、この設問までに｢年代整序｣が３問あり、｢問題文｣も｢年代整序｣と見紛うばかりを｢装って｣いる。本校ならではの意地悪な｢ひっかけ問題｣｡絶対にひっかからないこと。
各選択肢の｢場所｣を特定していく｡
(ア)｢ラクスマン来航｣＝｢根室｣(北海道)､
(イ)｢レザノフ来航｣＝｢長崎｣､
(ウ)｢大塩平八郎の乱｣＝｢大阪｣､
(エ)｢桜田門外の変｣＝｢江戸城桜田門外｣(東京)､
(オ)｢生麦事件｣＝｢横浜｣｡
｢東からの位置整序｣は､｢根室｣→｢江戸城桜田門外｣→｢横浜｣→｢大阪｣→｢長崎｣となる｡
よって、｢答え｣は｢２番目｣＝(エ)、｢４番目｣＝(ウ)だ。
｢設問｣に流されることなく、１問１問を的確に読み解いていくことが肝要。
＜時間配分目安：１分半＞
[問13] ｢年表についての年代整序選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。
年表中の(Ｎ)｢1901～1945年｣の期間におこった｢できごと｣として示されている(ア)～(オ)を｢古い順｣に並べかえ､｢２番目｣と｢４番目｣を答える。
ここでは｢明治｣｢大正｣｢昭和｣と｢３時代｣にまたがっているので、先ずは｢時代｣で｢整序｣したい。
選択肢(ウ)の｢日英同盟締結｣だけが｢明治｣だ。
｢大正｣は３つで｢流れ｣で｢整序｣すると､(エ)｢シベリア出兵挙行｣→(イ)｢関東大震災発災｣→(オ)｢治安維持法制定｣となる。
そして、｢昭和｣の(ア)｢五･一五事件発生｣が｢５番目｣だ。
したがって、｢答え｣は｢２番目｣＝(エ)、｢４番目｣＝(オ)。
｢時代での整序｣も忘れずに試みること。
＜時間配分目安：１分＞
[問14] ｢年表についての内容説明記述設問｣(｢50～70字以内｣指定)。
年表中の(Ｍ)｢八幡製鉄所が操業を始める｣について、｢日本の産業革命によって発生した問題点｣を説明する。
｢工業の発達や資本主義の発展｣に伴う｢問題点｣を整理していきたい。
｢都市での工場労働者が増加｣⇒｢低賃金、長時間労働で酷使｣⇒｢労働運動も盛んに｣､｢田中正造が直訴した『足尾銅山鉱毒事件』などの公害問題も発生｣といったことは知っているはずだ。
｢過不足なく｣まとめていきたい。
たとえば、｢低賃金、長時間労働などの厳しい条件で労働者が酷使されたという問題や、住民の健康よりも経済発展を優先させた足尾銅山鉱毒事件のような公害問題｡｣といった｢答え｣になる。
｢光と影｣の両面がある｢歴史的事項｣については、両方を関連づけて理解しておくことが重要だ。
＜時間配分目安：４分＞
【大問３】公民
- 難度：やや難
- 時間配分：8分
｢東京都知事選挙｣｢リオデジャネイロ･オリンピック｣｢『山の日』の制定｣｢天皇のビデオメッセージ｣などの｢時事ネタ｣を切り口とした｢ニュースを見ながらの会話文｣から出題。
｢公民｣の｢政治･経済･国際｣分野に関する｢基礎的な問題｣がほとんどだが、中には｢判別｣が難しいものや｢一般常識｣に近い問題もある。
以下、いくつか検証する。
尚、唯一の直接的な｢時事問題｣である[問８](｢国際組織｣の｢名称｣を答える｢選択肢設問｣)は､｢超難問｣過ぎるので｢捨て問｣で構わない。
[問２] ｢下線部についての事項記述設問｣(｢漢字６字｣指定)。
下線部②｢環境問題に関する会議｣について、｢1992年にリオデジャネイロで開かれた会議｣の｢名前｣を｢～会議｣という解答欄に合うように｢漢字６字｣で答える。
｢持続可能な開発｣をスローガンとした｢地球サミット｣のことだとすぐに分かるはずだ。が、｢漢字６字｣の｢正式名称｣は押さえているか？
｢答え｣は｢国連環境開発(会議)｣｡
尚、｢1972年にストックホルムで開かれた会議｣である｢国連人間環境会議｣(スローガンは｢かけがえのない地球｣)と混同しないこと。
また、｢国際組織｣も｢アルファベット(カタカナ)略称｣だけではなく｢正式名称｣も必ず定着させておくこと。
＜時間配分目安：30秒＞
[問５] ｢下線部についての不適切選択肢設問｣(５択/複数完全解答)。
下線部⑤の｢天皇の国事行為｣として、｢あやまっているもの｣を｢２つ｣答える。
頻出の｢国事行為｣に関する問題だが、なじみの薄い項目も含まれており、やや厄介だ。
各選択肢を確認する。
(ア)｢憲法改正、法律、政令及び地方自治体の条例を交付｣⇒無論､｢条例｣ではなく｢条約｣＝｢不適切｣､
(イ)｢総選挙の施行を公示｣･(ウ)｢栄典の授与｣･(エ)｢衆議院を解散｣⇒これらはなじみ深いはず＝｢適切｣､
(オ)｢大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定｣⇒見たことはあるが、細かな事項はよく覚えていないといった感じ｡実は｢決定｣ではなく｢認証｣＝｢不適切｣｡
よって、｢答え｣は(ア)(オ)だ。
尚、｢天皇の国事行為｣はその他に｢内閣総理大臣･最高裁判所長官を任命｣など、全部で10以上あるので確認しておきたい。
＜時間配分目安：１分＞
[問６] ｢下線部についての選択肢設問｣(５択/複数完全解答)。
下線部⑥の｢裁判所｣の｢説明｣として、｢正しいもの｣を｢すべて｣答える。
さほど難しくはないのだが、見落としがないようにすること。各選択肢を確認したい。
(ア)｢最高裁判所は長官１名とその他の裁判官９名｣⇒｢その他の裁判官｣は｢14名｣で｢計15名｣＝｢不適切｣､
(イ)｢高等裁判所は、札幌・仙台・東京･名古屋･大阪･広島･高松･福岡の全国８か所｣･(ウ)｢地方裁判所は、北海道に４ヵ所､各都府県に１か所の全国50か所｣･(エ)｢家庭裁判所は、地方裁判所と同じ都市｣⇒これらは全て知っていて当然＝｢適切｣､
(オ)｢簡易裁判所は、日常の事件、特に少年犯罪のすべてをあつかう｣⇒｢少年犯罪｣は基本的に｢家庭裁判所｣､｢簡易裁判所｣は｢刑の軽い刑事事件｣や｢少額の民事事件｣を主に扱う＝｢不適切｣｡
したがって、｢答え｣は(イ)(ウ)(エ)。
｢すべて答える｣問題はとにかく慎重に処理することが肝要。
＜時間配分目安：１分半＞
[問７] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。
下線部⑦の｢裁判員裁判｣の｢説明｣として、｢正しいもの｣を答える。
今や完全定着しているはずの｢裁判員裁判｣だが、意外と｢判別｣に苦心するかも知れない。各選択肢を確認してみる。
(ア)｢裁判員は、選挙権のある満18歳以上から無作為に決定｣⇒確かに｢選挙権年齢｣は2016年から｢満18歳以上｣に引き下げられた。とすれば｢適切｣か？ 否、｢裁判員資格｣は当面｢満20歳以上｣のままだ＝｢不適切｣､
(イ)｢すべてを裁判員のみで決定｣⇒｢裁判員裁判｣は｢裁判員６名｣と｢裁判官３名｣との合議で判決を下す＝｢不適切｣､
(ウ)｢裁判員として選ばれた場合、どのような理由であっても辞退できない｣⇒｢やむを得ない事情｣があり｢裁判所が認めた場合｣は辞退できる＝｢不適切｣､
(エ)｢裁判員には守秘義務があり、違反した場合、懲役刑の可能性がある｣⇒｢職務上知りえた秘密は漏らしてはいけない｣と定められ、｢懲役刑｣もある＝｢適切｣｡
よって、｢答え｣は(エ)になる。
｢公民｣の様々な事項には｢時事的要素｣があり、変化する可能性があるので、日々の目配せを欠かしてはならない。
＜時間配分目安：１分＞
攻略ポイント
●本校の最大のネックは、あらゆる｢設問形式｣が複雑に混在していて解答数も多いので、頭が混乱し｢自滅｣する恐れがあるということ。
｢適切｣と｢不適切｣、｢単数｣と｢複数｣といった｢選択肢問題｣や｢整序問題｣、様々な｢条件｣のある｢記述問題｣などが次々に出題されてくる。｢設問形式｣を正確に理解し判断することが最高の｢攻略法｣。それさえできれば、問題自体はさほど難しくない。
現に、過去３年間の｢受験者平均得点率｣は｢64.1%｣とハイレベルだ(ただし、本年度は下降して56.5%)｡本校の合格者はこうした｢問題｣に的確に対処できていると心得よ。
●｢複数選択肢問題｣や｢完全解答問題｣でさらに求められるのは、｢細部へのこだわり｣と｢知らない問題｣への｢対処法｣。前者はいかに｢細部｣から｢正誤判別｣ができるかであり、後者はいかに｢知っていること｣に結びつけられるかということだ。｢深知り知識｣が定着していなくても、必ずどこかに｢手がかり｣｢ヒント｣が隠されていると考えること。
｢リード文｣｢設問文｣や｢設問条件｣、｢設問どうしの関連｣等々と｢自らの知識｣を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができるのだ。従って、｢多角的思考｣ができるよう、十分に訓練しておきたい。
●｢地理｣では｢地図｣｢地形図｣｢統計資料｣等、｢歴史｣では｢年表｣｢歴史史料(｢図版｣含む)｣等がよく出題されるので、確実に覚え、繰り返し確認しておくこと。
もちろん、｢統計資料｣は必ず最新版を使いたい。テキストとしては｢日本のすがた｣(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
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