渋谷教育学園幕張中学校 入試対策
2016年度「渋谷教育学園幕張中学校の理科」
攻略のための学習方法
[答案作成力]
答案作成能力のうち、注目したいのは、速度と精度の、2つの能力だ。これらの能力は、一朝一夕には身につかない。単純な知識の暗記であれば(一問一答であれば)、直前の対策でも、生徒に身につけさせることはできる。しかし、答案作成能力は、短期的には伸びにくい。長期間の学習によって、少しづつ身につけていくものだ。
したがって、渋谷幕張の志望者は、受験の早い段階から(理想的には小学5年生の後半から)、本番を想定した学習を心掛けたい。
具体的には、演習問題を解く比率を増やすべきだ。中学受験のカリキュラムは、知識を定着する暗記と、知識を活用する演習に、大別される。渋谷幕張を志望するのであれば、基礎知識の暗記では満足せずに、積極的に演習まで、挑戦していってほしい。学習時間を増やすことにはなるが、その演習の成果は、受験の本番が近づいてくれば、はっきりと現れてくる。
[資料の読解力]
資料を読み取る能力は、合否を左右する。中学受験においては(12歳の段階では)、知識の量に、大きな差があるわけではない。そこで、渋谷幕張では、志望者を選定するために、「知識の量」だけではなく、「知識の活用」を、試験していると考えられる。資料問題の比重を高くして、「ただ覚えているだけの子ども」と「覚えたことが活用できる子ども」を、判断しようとしているのだろう。
例えば、【大問3】の各設問は、事前に知識として、準備しておくことができない。知識の量が多い志望者は、必ずしも有利にはなっていない。
[記述の訓練]
渋谷幕張では、記述形式の出題があるので、独自の対策が必要となる。一般的な中学入試においては、記述形式の設問は、理科ではあまり出題されない。受験本番の設問だけではなく、教科書や問題集や模試にも、そもそも記述形式の設問の比率は高くはない。したがって、放っておくと、志望者の記述力は、伸びないままになる恐れがある。
例えば、【大問3】の(2)と(3)が、記述力を判断する基準となる。解答用紙に合わせて、要点を短くまとめて記述できる能力が求められている。このような能力は、一問一答形式の設問だけを演習していても、身につかない。
そこで、志望者は、記述形式の設問があれば、積極的に解く経験を積んでおきたい。採点については、自己採点では甘さが残るかもしれないし、集団授業では対応に限界があるかもしれないので、もし不安があれば、家庭教師に依頼しよう。細かな添削指導が期待できる。
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2016年度「渋谷教育学園幕張中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は40分で、得点は75点満点だ。大問数は3問で、分野ごとに整理されて出題される。設問数は30問で、資料を多く読みこまなければいけないので、時間にあまり余裕がない。受験者には答案作成の速度が求められている。
【大問1】生物分野
- 難度:やや難
- 時間配分:14分
- ★必答問題
単元:生態系、食物連鎖
内容:生態系や食物連鎖といった、生物同士の関係を扱っている。設問が独特であり、受験者の思考力が問われている。
形式:資料読解ではあるが、資料があまり整理されておらず、慣れていないと、はじめはどこに注目すべきか、混乱する。過去問の演習を多めにして、資料をすばやく読み取れるようになろう。
(1)注意力が必要な設問で、本校の特徴がよく表れている。
(5)類題があまり見られない設問だ。まずはきちんと点を打ち、どのようなグラフになるのか検討しよう。
(7)図5で示されている法則を利用しよう。受験者に新しい法則を与えて、問題を解かせるのが、渋谷幕張の特徴だ。
【大問2】物理分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
単元:運動
内容:さまざまな実験を通して、運動の法則を理解しているかを確認しようとしている。公式を丸暗記しているだけの受験者には、つらい。
形式:物理分野には珍しく、計算ではなく、思考力を試す形式だ。
(2)車にどのような力が働いているのか、整理しよう。ドライヤーを床に固定した場合、手で押した場合と同じく、はじめに鋭く加速する。
【大問3】化学分野
- 難度:難
- 時間配分:16分
- ★必答問題
単元:温度と状態変化、水溶液
内容:小学生にも身近な素材であるプラスチックを、理科の知識を用いて理解する。
形式:計算に加えて、長めの記述が含まれている。
(1)そもそもどのような計算式を立てるべきなのか、「実験1」を読んで、受験者は考えなければならない。このような設問に対処するためには、はじめて見た設問を、じっくりと思考しながら解いていく学習習慣が必要となる。暗記による学習では、歯が立たない。
(3)せんたくのりが、熱を遮断し、プラスチックの体積が減らなくなった。因果関係をしっかりと記述しよう。
(6)設問文がきちんと読めれば、それぞれがどのような変化なのか、理解できる。特に事前の知識が求められているわけではない。
攻略ポイント
いずれの設問も、受験者の思考力を試そうとしている。これは、単純な暗記ができる記憶力とは、異なる能力だ。一問一答形式の試験で、得点が良くとも、本校の過去問を解き始めたら、急に得点が下がってしまう受験者がいる。その場合は、学習方法が、暗記中心になっていないかを、点検しよう。本校への王道の学習方法として、科学法則を丸暗記するだけではなく、日常生活のどの場面で、どのように活用されているのか、小学生なりに思考する経験を積んでおきたい。
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