公文国際学園中等部 入試対策
2016年度「公文国際学園中等部の算数」
攻略のための学習方法
[解法へのこだわり]
一つの問題を、さまざまな解法を用いて、解けるようになっておきたい。算数のセンスとは、中学受験において、問題の解き方が、洗練されていることを意味している。洗練とは、志望者が多くの解法に精通しており、かつ、最適な解法を選ぶ判断力を兼ね備えている状態だ。
例えば、【大問1】の(10)は、どのように図形を計算するのかによって、計算時間に差が生まれる。機械的に計算の早さを上げればよいのではなく、計算の手順を省力するための、洗練された解法が、求められている。ひとつひとつの図形を、逐一に計算していっても、正答はできる。しかし、試験全体から見れば、時間を浪費してしまう結果になる。最適な解法を選ぶセンスが、試験の総得点に影響を与えている。
そこで、算数のセンスを上げるために、以下の2点に気をつけて、演習の質を高めていきたい。
1点目は、できるだけ実践的な演習をしよう。ひとつの問題集を反復するのではなく、さまざまな種類の過去問を演習したい。それによって、さまざまな設問文や図式に触れる経験ができ、いざ問われ方が変わっても、算数の本質を見抜く力が育つからだ。
2点目は、別解にまで手を広げよう。演習の答え合わせをして、たとえ数字が合っていても、別解のある場合がある。正解と不正解だけに拘らずに、同じ正解でも、より効率的な解法があれば、積極的に自分のものにしていってほしい。
[計算力の強化]
計算力については、受験の本番までに、以下の3点を身につけたておきたい。
まずは、持久力だ。試験時間50分の間、細かな数字を扱い続けても、息切れしないだけの持久力が求められる。単純に手をすばやく動かし、一問一問を解く速度を上げながら、かつ、試験の後半になっても速度が落ちないことが求められる。
次に、精度だ。細かい小数・分数の計算になった場合でも、計算の精度が落ちないかが気になる。毎年、子どもの計算力の発達を見ているが、計算の精度は、急激には上がらない。理想的には、小学5年生の段階から、計算練習を積んでおくことをおすすめする。
最後に、見直しだ。試験時間内に、すばらやく見直しができるように、計算式を整理して書き残しておく習慣が欲しい。試験中に間違いを発見した場合に、あらためて式をはじめから書き直すのではなく、すでに書いた式を流用できるようになっておきたい。そうすれば、試験時間を効率的に利用できる。
志望者の計算力の基準としては、公文国際学園中学は、【大問1】がすべて正答できているかどうかだろう。一問一問をばらばらに解くのではなく、きちんと試験時間を測ったうえで、過去問に挑戦してみてほしい。
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2016年度「公文国際学園中等部の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は50分で、得点は100点満点だ。大問数は5問で、うち後半2問に記述式の設問が含まれている。設問数は27問で、1問1問に時間がかかる。時間内にすべての設問を解くためには、ただ計算の速度を上げるだけではなく、洗練された解法が求められる。算数のセンスがある受験者が、有利になる試験構成だ。
【大問1】小問集合
- 難度:易
- 時間配分:11分
内容:基本的な内容の小問が集まっている。四則演算、約数と倍数、文章題、平面図形などの幅広い単元が問われている。いずれの設問も、必ず見直しをしよう。
(10)図形をどのように見るかで、計算の段取りが変わってくる。
【大問2】小問集合
- 難度:標準
- 時間配分:11分
- ★必答問題
内容:応用的な内容の小問が集まっている。いずれも公式を当てはめる前に、立ち止まって考える必要がある。算数を暗記で乗り切ろうとする受験者は、歯が立たないだろう。
(1)数直線などを描いて、情報を整理したい。
(5)まずは「水」と「食塩」の質量を、それぞれ求めておこう。そこから、「水」だけを独立に計算しよう。
【大問3】小問集合
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
内容:一見簡単に見えるかもしれないが、洗練された解法が思いつかない受験者は、大幅に時間を取られてしまう、厄介な設問が集まっている。ここでは、それぞれの設問を解くのにどれだけの時間がかかるのか、判断する力が大事になってくる。算数のセンスがあるかないかで、得点に差がつくだろう。
(1)トーナメントの優勝国は、一度も負けていない国と、気づきたい。
【大問4】図形の移動と軌跡
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
内容:平面図形の単元から、図形の移動と軌跡をまとめて問うている。設問文を読み、まずはしっかりと図形を手書きできるようになっておきたい。
(1)即答したい。移動後の図形が書けなかった場合は、図形の移動の単元を復習しよう。
(2)から(3)丁寧に計算していけば、正答はできる。しかし、どこかで法則を見つけて、まとめて計算する工夫ができないと、時間が足りなくなるだろう。
【大問5】ニュートン算とグラフ
- 難度:標準
- 時間配分:8分
内容:水槽を水で満たす実験から、ニュートン算の理解を問うている。グラフの読み取りに、慣れておきたい。
(1)設問文を手がかりにして、まずはグラフのわかる部分に数字を記入していこう。
攻略ポイント
算数のセンスを磨き、できるだけ多くの解法に精通しておきたい。合格者の平均点は、決して高くはなく、ほとんどの受験者が正答できない難問が多く含まれている。したがって、すべての設問を解いていく試験構成ではない。
合否を左右しているのは、一見すると難問に見えるが、わずかのひらめきによって、正答できる設問の存在だ。難問にぶつかっても、萎縮せずに、いくつかの解法を検討して、設問が解けるかどうかを判断する力があれば、合格点は出せるはずだ。
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