塾で習ったばかりの問題が、家では全然解けない・・・
保護者様からのご相談
「塾から子どもが帰宅して、宿題をしている姿をかたわらから見守っていますが、とても問題を理解しているようには思えません」
「塾の宿題の提出はできているのですが、子どもが解答を丸写しにしているように見えます。その宿題と同じ単元を、模試テストになると間違えています」
お子さんは理解できていません。塾での解説を理解できていないため、宿題を前にすると手が止まってしまいます。
それでも宿題を解かせようとすれば、お子さんは無理をしはじめます。親御さんの期待に応えるために、宿題を仕上げたいのですが、自分の頭では解けないので、解答を写すという行動に出ます。
さらに悪化すれば、親御さんや周囲の人間を非難して、宿題に取りかかること自体を拒否するようになります。
子どもの学びに適う3つのポイント
確認したいのは、3点です。
1点目は、お子さんに「担任の先生が合っているかどうか」です。塾が有名で、教材が同じものでも、担当の先生によって子どもへの指導能力には差があります。有名無名に流されず、「お子さんの校舎」の「お子さんの先生」の指導能力を確認してください。
2点目は、「カリキュラムが合っているどうか」です。
中学受験のカリキュラムは、1つの単元でも、どこまで掘りさげて演習を行うかは、現場の先生の裁量にまかされています。「基礎」と「応用」を同時に演習していないでしょうか。あるいは、算国と理社で、クラスの難易度が変わっているということはないでしょうか。ご確認ください。
3点目は、「カリキュラムの順番が合っているかどうか」です。
中学受験のカリキュラムでは、基礎知識を定着させる授業と、定着した知識をもとに演習する授業があります。カリキュラムの順番は、お子さんの理解にとって大事です。例えば、社会科目において、日本の都道府県の知識が定着していない生徒に、地理の問題を演習させても、効果はほぼありません。カリキュラムの順番が間違っているので、お子さんはぼうっと先生の話を聞いているだけで、実になっていないことがあります。
理解度の把握と不足部分の発見をすることで対策を考えます。
先日、家庭教師先のお宅に算数の体験授業に伺い、それまでの教材をすべてご用意していただきました。
まずは、そのお子さんがひとつひとつの解法が理解できているのか、階段式に確認を行っていきました。理解できていなかったのは、「平面図形の相似」の単元でした。図形が単純なときは正答できるのですが、図形が複雑になったとたんに、手を止めてしまう状況でした。図形を見抜く演習が、不足したまま、放置されていたようです。
そこで、週に2時間、平面図形に単元を絞って、演習をしていくことにしました。というのも、塾側の都合では、カリキュラムの進行を変更できないので、「平面図形の単元はまた3か月後にする」という対応だったからです。塾のクラスでの宿題とは別に、時間を設けていただき、「平面図形」の演習時間を確保できたので、指導がしやすかったです。
私が指導で実践したこと
お子さんが理解していない理由を、親御さんは納得がいくまで追及してよいと思います。担当の先生でも良いですし、担当でなくとも校舎にいるベテランの先生でも結構です。危険なのは「お子さん本人にしか意見を聞かない」状態です。
子どもの学びに添うために
お子さんの学習状況の判断には、いくつかの要因をていねいに見守っていくことが必要です。根気がいる作業で、楽ではありませんが、がんばっていきましょう。