成績が上がらず自信を無くしてしまっているお子さんの「自信」を取り戻す方法は、一言でいうならば「成績を上げる」ことしかありません。そのためには、効率の良い学習方法を一日でも早く確立することです。
そして、
「効率の良い学習方法」を阻害する最大要因は「受験の三無」です。そこで、「受験の三無」をいかに克服し、学習した時間に見合った効果を効率よく上げることができるかを、一つ一つについて以下に具体的にお話ししたいと思います。
①無駄のない学習とは
古来、「勉強(学習)には無駄がない」とは、巷でよくいわれるところではあります。今、学習していることが目先の何かに役立たなくとも、将来必ず「何か」の役に立つ時がきっと来るから、今は一生懸命に学習しなさい、という主旨の戒めのことばなのでしょう。
しかし、「無駄な学習」は存在します。受験はある意味では待ったなしです。つまり、受験というものは100項目の学習内容を事前に告知され、それを完全にマスターしてから試験を行うというものではありません。100の学習事項を「入試日」までに覚え、その認知の度合いを受験生全員に対し同じ条件(問題・時間・場所)のもとで、どれだけ理解し、そして応用できるかを学校側が確認する作業です。
したがって、そのような制度の下での入試で合格(中学側が望む基準を満たすこと)を勝ちとるための学習方法は、
「時間の有効活用」と
「理解不十分な内容を炙り出し徹底的に反復学習を行う」ということです。
「時間の有効活用」とは、限られた時間をどのように有効に使うか、ということです。お子さんの一日を振り返ると、10分や15分のわずかな時間が無駄に過ぎていることに気が付く筈です。例えば、「トイレの時間」、「食事の時間」、「入浴時間」などの時間は貴重な知識習得の時間にできます。机に座ってテキストとにらめっこしているだけが勉強ではありません。トイレの中に歴史年表を貼る、食卓のテーブルカバーを透明にし、その下に各科目の重要事項(市販されている学習カードでも可)を挟み込み、お子さんの目に少しでも長く触れさせる、入浴時に耐水性のファイルに重要事項を入れ込み確認ができるようにする、ということが有効かと思います。
大事なことは、お子さんが学習した内容が、
「あれってなんだったっけ」とふと思ったときに、身近にその疑問を確認できる材料があるかどうかということです。
また、受験にとっての最大の敵の一つは「弱点・苦手分野」です。逆な言い方をすれば「得意分野・しっかり理解できている分野」はそれ程力を入れず、忘れない程度に学習しておけば大丈夫ということです。そのためにも、
自分がどの分野の理解が不十分であるかを「炙り出す(チェックする)」必要があります。そのチェック作業は、塾が毎週行うチェックテストを利用するのもいいでしょうし、模擬試験を活用するのも有効でしょう。
②無理のない学習計画とは
成績を確実に向上させるために、学習計画を立てることは不可欠な作業です。その際に、あまりにも力み過ぎて実現不可能な計画を立ててしまいがちになります。
学習計画は、「少々背伸びしたくらいがちょうどよい」という考えのもと、かなりタイトな計画を立てる場合があります。極端な例では、食事時間は15分、入浴時間は10分、残りの時間は勉強漬け、といった計画はいずれ確実に「破綻」します。その結果、お子さんは「頑張ったけどできなかった、ダメだった」と感じ、「やっぱり、自分には出来ない」と自信を無くしてしまいます。学習計画を立てる場合のポイントは、
「少し背伸びする」「メリハリのある計画立案」ということです。
さらに、学習進度を確認するタイミングも計画の中に盛り込みたいものです。「少し背伸びする」というのは、決してできもしないことを計画表に入れ込むことではありません。目的は、お子さんに「自信を付けさせる」ことにあるのですから、現状で10分間に5題の計算問題ができるのであれば、今度は10分間で8題の計算問題に挑戦する、という程度の「背伸び」です。
「メリハリのある計画立案」とは、計画通りに行かなかった場合を想定して「調整日」を用意することです。大人でも外的・内的な要因で、完璧に計画通りに行動できる場合は少ないと思います。したがって、1週間のうち計画通りに出来なかった範囲を取り戻すための「調整日」(土日が望ましい)を設けることが大事です。調整日を設けることで1週間単位の計画の8~9割が実行できれば、それがお子さんのやる気と自信につながり、成績面においても必ずや満足のいく結果が得られるでしょう。
③無用な(出題されそうもない分野の)学習の回避
誤解を恐れずに極論するならば、「(事前に)試験問題が分かっていれば合格はできる」ということです。つまり、出題内容が分かっていれば合格点が取れる、ということです。
現実的には、事前に試験問題が分かることは100%ありえません。そのような現実の中で、どのようにすれば「(志望校の)出題傾向と出題されそうな分野」を知ることができるのでしょうか。
第1には、志望校の学校説明会に積極的に参加することです。特に、秋以降の説明会への参加は必須です。説明会では、翌年の入試における各科目の出題傾向を掲載した資料を配布する場合が多いからです。中学校によっては、翌年の入試を前提とした「模擬授業」を開催する場合もあります。そのような場を活用しない手はありません。
特に、算数においては具体的な出題分野(売買算、旅人算、ニュートン算、相似と面積、回転体の求積等々)が示される場合が多いです。
第2には、塾に通われている場合には、
塾が資料として配る「入試の傾向と分析」という資料を積極的に活用することです。塾の中には、特定の中学に特化した資料を作成している場合があります。これらの資料が、全て公開されているとは限りませんので、個別具体的に塾側に問い合わせをしてみるのもいいでしょう。
第3には、塾に通っていない場合には、
市販の中学別過去問題集に掲載されている出題の傾向表を参考にするのがいいでしょう。(手前味噌ですが、リーダーズブレイン公式サイトの
入試傾向対策は目からうろこです。)また、中学によっては自校のホームページに翌年度の入試に関して出題傾向を詳細に掲載している場合があります。
以上、3点にわたり受験勉強における「無用な学習」を回避するために、出題傾向を知る手立てについてお話ししましたが、1点だけご注意しておきたい点があります。
それは
「情報に振り回されない」ということです。巷では、スマホなどの急激な媒体普及に伴い、さまざまな情報が飛び交っています。志望中学の校名を入力しただけで数多くのサイトがヒットします。中には、昨年度当該中学を受験し合格した子を持つ親と称して「入試問題の出題傾向と対策」という主旨のサイトもあります。匿名性という隠れ蓑の下、その信憑性に疑義を抱かざるを得ないサイトがあるのも事実です。したがって、お子様のためとはいえそのようなサイトから得た入試情報を「鵜呑み」にすることだけは、慎重を期した方が良いと思われます。