｢古代から近世までの歴史上の人物４人についてのそれぞれの説明文｣からの出題｡｢歴史｣の多様な分野からの設問｡｢基礎的問題｣が多いが、中には｢深い知識｣が必要なものや若干分かりづらいものもある。
以下、いくつか確認してみる。

[問１(２)]　｢説明文についての選択肢設問｣(４択)｡
｢文章Ａ｣で説明されている｢人物｣について、｢世継ぎ｣がいない｢わし｣が｢自分の地位を継がせた親族｣を答える。
先ずは｢人物｣を特定したい。｢文章Ａ｣に｢島津も北条も伊達もわしの命令に従い、刃向うやつはいない｣とあり、｢設問(１)｣は｢茶道を大成した人物に切腹を命じた｣となっている。ということは、もう分かるはずだ。｢わし｣＝｢豊臣秀吉｣だ。
でも、｢世継ぎがいない｣？ ｢秀頼｣は？ 確かにそうだ。が、｢秀吉｣が｢関白｣の頃にはまだ生まれておらず、｢おい｣の｢秀次｣を養子として地位を継がせたのだ。よって、｢答え｣は選択肢(イ)｢おい｣｡
いきなり｢ディープな知識｣が問われている。やはり渋渋はそう甘くはないということだ。
｢周辺知識｣の定着も忘れずに。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問３]　｢説明文についての選択肢設問｣(２問/｢人物記入｣及び｢選択肢設問(４択)｣)｡
｢文章Ｃ｣で説明されている｢人物｣についての設問。
説明には｢『あいつ』は『守護･地頭』を置かせてくれと『私』に迫ってきた｣とある。｢『守護･地頭』を置く｣⇒｢あいつ｣＝｢源頼朝｣、｢設置を認めた『私』｣＝｢後白河上皇｣(果たして定着しているか？)｡

(１) ｢守護･地頭｣を設置して、｢あいつ｣が捕まえると主張した｢裏切った親族とは誰か｣を答える。｢源頼朝｣による｢守護･地頭｣設置の当初の目的＝｢誰を捕えるため｣か？ そう、｢答え｣は｢源義経｣だ。｢重要事項｣については｢背景｣までも的確に理解し定着させておくこと。

＜時間配分目安：１分以内＞

(２) ｢あいつ｣が｢私｣に、｢右近衛大将｣とは｢別の称号｣を要求した｢理由｣を答える。やや分かりづらいが、｢頼朝｣は結果として｢征夷大将軍｣の｢称号｣を与えられているのだから、と考えていく。よって、選択肢(イ)｢御家人を統率する地位がほしかったから｣が｢答え｣となる。
尚、
(ア)｢平清盛と同じ地位｣＝｢太政大臣｣、
(ウ)｢足利義満と同じ、海外貿易に必要な称号｣＝｢日本国王｣、
(エ)｢天皇側近の警護役の長の称号｣＝｢右近衛大将｣｡
｢自分の知っていること｣に結びつけて考えていくことが重要。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問５]　｢説明文についての組み合わせ選択肢設問｣(５択)｡
｢文章Ａ～Ｄ｣で説明されている｢人物｣の｢それぞれの称号｣について、｢正しい組み合わせ｣を答える。
｢人物｣は、
｢Ａ｣＝｢豊臣秀吉｣、
｢天皇に政権を返した｣となっている｢Ｂ｣＝｢徳川慶喜｣、
｢Ｃ｣＝｢後白河上皇｣、
｢なんだこの手紙は、無礼なやつらめ！ 東の島国のやつらは礼儀を知らん｣とある｢Ｄ｣＝｢隋の煬帝｣｡
従って、｢答え｣は選択肢(エ)の｢Ａ＝関白、Ｂ＝征夷大将軍、Ｃ＝上皇、Ｄ＝皇帝｣となる。
｢Ｃ｣｢Ｄ｣で悩もかもしれないが、｢消去法｣で特定できるはずだ。
｢選択肢設問｣では｢消去｣を活用すること。

＜時間配分目安：１分半＞

本校の教育方針の｢自調自考｣に基づいた｢社会科と理科の研究例イラストとそれに関する写真･図版･説明文｣からの出題｡
｢地理｣｢歴史｣と、単元には直接結びつかない｢その他｣の設問が並んでいる。｢その他｣では、｢イラスト｣や｢説明文｣などを正確に読み解き、順序立てて考えていく力が求められている。
ここでは、｢地理｣｢歴史｣の設問を考えてみたい。

[問２]　｢イラストに関する設問｣(２問/｢説明記述｣及び｢選択肢設問(４択)｣)｡

(１) ｢祇園祭｣について、｢祭りが33年間中断することにつながった、室町時代に京都が荒廃した理由｣を説明する(字数指定なし、20字程の解答欄)｡｢歴史｣単元。
これは基本的な問題だ。すぐに分からなくてはいけない。無論、｢応仁の乱｣だ。よって、たとえば｢応仁の乱で戦場になってしまったから｡｣といった｢答え｣となる。｢基礎事項｣は絶対に外さないこと。

＜時間配分目安：１分＞

(２) ｢竿燈まつり｣について、｢竿燈｣が象徴している｢作物｣を示した｢絵図｣を答える。｢地理｣単元。
｢竿燈｣⇒｢秋田｣なのだから、選択肢(イ)｢ぶどう｣、(エ)｢桜桃｣は即｢消去｣で問題なし。残りの(ア)(ウ)の｢絵図｣が分かりづらい。しっかりと特徴を捉えて判別したい。(ア)は｢小麦｣なので、｢答え｣は(ウ)の｢稲｣となる。｢理科｣のようだが、しっかりとした｢観察力｣は｢社会｣でも必要だ。

＜時間配分目安：１分以内＞

｢明治以降の近代化と女性の労働についての説明文及びリード文｣からの出題｡
｢歴史｣｢公民｣｢時事｣単元の設問が並ぶ。｢空所補充｣の設問でやや戸惑うものがあるかもしれない。それを検証してみよう。

[問２]　｢リード文中の空所補充記述設問｣(４問)。｢公民｣｢時事｣単元。
｢女性が社会で働くこと｣に関する｢Ｑ＆Ａ｣(｢質問｣と｢答え｣)の中の｢空所　①　～　④　｣に当てはまるものを答える。
順に確認する。先ずは｢2014年、都議会で問題となった女性議員に対する野次｣についての｢あの発言は、男は　①　、女は　②　という考えにとらわれた発言だった｣。相当にディープな｢時事問題｣だ。｢早く子どもを産め｣といった｢セクハラ野次｣が大きな話題となったが、果たして押さえているかどうか？ 仮に押さえていなかったとしても、前後の｢文脈｣から判断可能のはず。
｢答え｣は、｢　①　｣＝｢仕事｣、｢　②　｣＝｢家庭｣｡
次に｢政府が女性も活躍する社会を目指す方針を掲げている理由｣について｢日本の人口は　③　で減少しているために、　④　も減少しているから｣。｢　③　｣の｢答え｣は、当然｢少子化｣だが、　④　は？ ｢人口減少｣に伴い｢減少するもの｣で｢政府が女性の活躍を目指す理由｣⇒｢少子化｣＋｢高齢者の増加｣⇒｢女性の活躍が必要｣⇒｢働き手｣と考えていきたい。従って、｢答え｣は｢労働人口｣だ。
いくつかの要素をつなぎ合わせて考察することが重要。

＜時間配分目安：４分＞

｢条件付き説明記述｣(｢150～180字以内｣指定)
。｢経済成長が続いている現在の中国に対して、経済発展を経験した日本が助言するならば何を伝えるべきか｣を説明する。
｢条件｣は、｢資料｣から｢中国の経済発展のプラスとマイナス｣｢日本の経験から得られること｣に触れること。
｢資料｣は、｢高層ビルが建ち並ぶ現在の上海｣と｢煙突からの排ガスがたなびいている四日市コンビナート｣の｢写真｣、｢中国及び主要国のＧＤＰの伸び｣と｢北京のＰＭ2.5排出源｣を示した｢グラフ｣、計４点だ。当然ながら、｢条件｣と｢資料｣から｢記すべき要素｣を特定していく。
｢ＧＤＰの伸び｣＋｢現在の上海｣⇒｢ＧＤＰ世界２位となった経済大国･中国の豊かな暮らし｣＝｢プラス面｣、
｢ＰＭ2.5排出源｣⇒｢自動車の排気ガスや石炭燃料が原因の公害問題｣＝｢マイナス面｣｡
そして、
｢四日市コンビナート｣⇒｢かつて日本が経験し克服した公害問題｣⇒｢現在の高度な公害対策技術や政策｣｡
こうしたことが｢要素｣となるので、｢プラス面｣と｢マイナス面｣を説明した後で、｢日本の公害対策｣等の｢経験｣を｢助言｣として述べていけばいい。
｢条件｣や｢資料｣は｢手がかり｣｢ヒント｣の宝庫だと心得よ。

＜時間配分目安：５分＞

｢４つの駅の構造についてのリード文と位置を示した断面図｣と｢沼田市の地形図｣からの出題。｢地理｣単元。
｢地形図｣｢地図記号｣に関する設問は基礎的なものだが、｢断面図への書き込み設問｣は意表をついており、いかにも渋渋らしい。それを検討してみる。

[問１]　｢リード文に関する書き込み設問｣。
｢リード文｣で説明されている｢Ｓ駅～Ｗ駅｣について、その｢地表面の断面図｣(｢各駅の出入口｣が示されている)に｢鉄道の線路｣を書きこむ。
ただし、｢駅と駅の間は直線｣で結ぶ。何ともユニークな問題で、最初はどうしたらいいか見当がつかないかも知れない。しかし、｢リード文｣をしっかりと読み解いていくと、｢鉄道の線路｣＝｢各駅のホーム｣の｢上下の位置関係｣が｢階数｣や｢階段の昇り降り｣などから判明する。
｢各駅のホーム｣の位置は、
｢Ｓ駅｣＝｢地下３階｣、
｢Ｔ駅｣＝｢地下２階｣、
｢Ｕ駅｣＝｢地下１階｣、
｢Ｖ駅｣＝｢地上２階｣、
｢Ｗ駅｣＝｢地上２階｣
となっている。
従って、｢各駅の出入口｣が｢地表｣なので、そこを基準として位置を確定し｢直線｣で結べばいい。
｢手がかり｣｢ヒント｣は｢リード文｣にあるということだ。

＜時間配分目安：３分半＞