｢問一｣は｢語句の選択と漢字の書きとり｣(全10問)。
｢設問文中の空所｣に当てはまる言葉を選び、漢字に直す。
いくつか厄介なものがある。
３｢彼は私にとって(③)である｣(⇒｢コウテキシュ｣＝｢好敵手｣)、
５｢これは(⑤)できない問題だ｣(⇒｢カンカ｣＝｢看過｣)、
６｢リーダーは(⑥)を承知している｣(⇒｢イサイ｣＝｢委細｣)、
８｢この果物は(⑧)用｣(⇒｢シンモツ｣＝｢進物｣)
など、しっかりと確認しておくこと。

｢問二｣は｢文法(｢被修飾語｣を特定する)｣(全３問)。

｢問三｣も｢文法(同じ｢品詞｣を選択する)｣(全２問)。
｢対策｣さえしていれば｢全問正解｣が当然。栄東志望者にとって｢文法対策｣は不可欠ということだ。

当代きっての｢インタビューの名手｣である筆者が、自らの経験を振り返りながら｢人見知り｣とはどういうものなのかを考察している。
とても平易な文章で、内容も理解し易いはずだ。｢選択肢設問｣などに栄東らしさが表れている。
以下、いくつかの｢設問｣を確認してみたい。

[問一]　｢理由説明記述｣(50字以上70字以内指定)。
傍線部１について、｢仕事仲間｣が｢あきれ顔｣になる｢理由｣を説明する。
｢理由説明｣なので、先ずは｢直接的理由｣を特定したい。
｢傍線部一文一部の法則｣(｢傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)で確認する。
直前に｢～だから｣とある。つまり、その前が｢直接的理由｣ということだ。
整理する。｢アガワ(筆者)｣が、｢対談の仕事｣の直前には｢仕事仲間｣に対し｢ゲストに会いたくない！｣などと叫んでいたにもかかわらず、終わると｢面白かったねえ｡会えてよかった！｣などと｢ほざくものだから｣、｢仕事仲間｣が｢あきれ顔｣になる。
こうしたことを、｢直接的理由｣を｢文末｣にして(｢記述｣では｢最重要要素｣を｢文末｣にする)、表現を調えて｢過不足なく｣まとめればいいい。
たとえば、｢アガワが対談の仕事の直前には、仕事仲間に対してゲストに会いたくないなどと言っていたのに、終わると途端に、会えてよかったなどと言い出すから｡｣といった｢答え｣となる。
｢解法｣に則して考え、分かりやすくまとめること。

＜時間配分目安：３分＞

[問三]　｢換言説明選択肢｣(５択)。
傍線部３｢『大人になった』自覚に欠けている｣について、｢ここでの意味｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡
先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡
各選択肢の｢文末｣で(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)、｢自覚に欠けている｣に結びつかないものを｢消去｣する。
｢自覚｣⇒｢自分自身に対すること｣、｢欠けている｣⇒｢不足｣＝｢打消し｣なので、選択肢(イ)の｢やっている｣、(エ)の｢頼りにしている｣、(オ)の｢環境が整っていない｣は｢消去｣可能と分かるはずだ。
ここまでで(ア)と(ウ)が残っているが、(ウ)では中頃に｢子供をしつけるなど｣とある。対象が｢自分自身｣ではないので、結局｢消去｣できる。(ア)は他の部分の説明も特に誤ってはいない。従って、｢答え｣となる。
｢選択肢設問｣では｢段階的消去｣を心がけよ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問五]　｢語句の空所補充記述｣(漢字３字指定)｡
本文中の｢今でも日常  　　　   です｣の                ｢空所｣に当てはまる語句を答える。
｢知識問題｣｡前後から判断して｢ありふれている｣という内容になるので、当然｢日常サハンジ｣だが、｢漢字｣でふと手が止まったりしないこと。無論｢(日常)茶飯事｣だ。
常に｢正確な知識｣を定着させておくこと。

＜時間配分目安：30秒＞

[問六]　｢傍線部の換言説明抜き出し｣。
傍線部５｢たいがいの人は……ということです｣と｢ほぼ同じ意味を表している一文｣を、｢これより前の本文中｣から探し｢初め｣の５字を抜き出す。
｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣を捉えた上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。長い傍線部の内容を的確に把握すること。要は、｢たいがいの人は、見知らぬ人に愛想良くしたくないが、仕事と割り切って何とか生きている｣ということだ。
では｢範囲｣は？ ｢これより前｣だが、ちょっと広過ぎるので絞り込みたい。
｢たいがいの人｣についてなので、｢セリフ｣部分でも｢アガワ(筆者)の体験｣でもない｢一般論｣の段落になる。ここまで絞れば問題ないはずだ。
傍線部２の次段落に｢たいがいの人｣についての論及がある｡｢本当は人見知りと言いたいところだけれど～自らを鼓舞しているのです｣という一文がある。ここだ。従って、｢答え｣は｢本当は人見｣｡
｢抜き出し｣では｢範囲｣の絞り込みがポイントだ。

＜時間配分目安：３分以内＞

本書は映画化もされた大ベストセラー。
本文では、長年｢辞書｣の編集に携わってきた主人公｢荒木公平｣が、出版社を定年退職する直前に｢辞書｣との出会いやその魅力を語っている場面。
難解な語句が多いが、｢*注｣を活用すれば理解できるはずだ。｢設問｣はさほど難しくはない。手際良く得点を稼ぎたい大問だ。
以下、いくつかを検討してみる。

[問三]　｢傍線部に関する説明抜き出し｣。
傍線部３｢俺の持てる情熱と時間のすべてを注ぎこんでも悔いのないもの。それが辞書だ｣について、｢37年後、荒木にとって辞書はどのような存在になったのかを表している一文｣の｢初め｣の５字を抜き出す。
｢抜き出すべき内容｣はそのままだ。
｢抜き出し範囲｣はといえば、｢37年後｣＝｢現在｣なので｢回想｣以降の場面(傍線部３以降)｡さらに｢荒木にとって｣という｢三人称｣に限定されているということは、｢会話｣以外の｢地の文｣になると分かるはずだ。
確認していく。すると、傍線部６の直後に｢辞書は荒木を構成する、ほとんどすべてだった｣とある。よって、｢答え｣は｢辞書は荒木｣｡

＜時間配分目安：２分＞

[問五]　｢心情説明選択肢｣(５択)。
傍線部５｢明らかに空元気とわかる調子で言った｣について、｢松本先生｣の｢気持ち｣を答える。
｢執筆者である松本先生｣と｢担当編集者の荒木｣との｢会話｣の場面だ。｢心情｣だが、できれば｢原意消去｣したい。
｢空元気｣と分かられても｢松本先生が言った｣⇒｢相手｣＝｢荒木｣に対して｢元気を示そう｣という｢心情｣だ。であれば、｢松本先生｣自身だけの｢心情｣を説明している選択肢(ア)(イ)(ウ)(オ)は｢消去｣可能なはずだ。従って、(エ)の｢荒木｣に対して｢これ以上気をつかわせまい｣が｢答え｣になる。
｢原意｣で｢一発消去｣、時間短縮の必殺技だ。

＜時間配分目安：１分＞

[問七]　｢換言説明記述｣(20字以上30字以内指定)。
傍線部７｢最後の大仕事｣とは何かを説明する。
｢同一場面｣(＝｢松本先生とのやりとり｣)を確認する(｢小説は同一場面に根拠あり｣は｢小説｣の｢最重要解法｣)｡
後半で、定年間際の｢荒木｣が手掛けている｢仕事｣は、｢新しい辞書の企画を推進していける若くて有能な｣｢私の後継となる社員を探す｣ことだと説明されている。それを｢過不足なく｣まとめればいい。
たとえば、｢新しい辞書の企画を推進していける若くて有能な社員を探すこと｡｣といった｢答え｣になるはずだ。
｢何を記せばいいのか｣を｢解法｣から導き出すことが重要だ。

＜時間配分目安：２分半＞