逗子開成中学校 入試対策
2023年度「逗子開成中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問は3つ。ここ数年は漢字や言葉の知識・論説文の読解・随筆文の読解がそれぞれ割り当てられている。
素材文は2題で計5500~6000字と適度な文量である。総解答数は45問前後。選択肢・書き抜き・記述がバランスよく出題されている。
記述問題は30~70字ほど、あるいは字数指定無しで出されている。文中の適切な部分を用いてまとめられる場合が多い。
漢字・言葉の知識
漢字の読み書きで15問、その他、ことわざ・慣用句、品詞や文学史などが出されている。覚えていれば得点できる部分なので、ひととおりは頭に入れておこう。
論説文の読解
例年、3000字前後の文章が使われている。人文科学・社会科学などの分野が多い。
要点・要旨を穴埋め・書き抜きなどで訊く問題が多く出されている。記述問題は文中の重要点をまとめることで答えられる場合が多い。本文を読みながら要点等をマークして、効率よく答えを探せるように工夫しよう。
説明的文章の読解の技術を高めておこう。
・段落の整理
形式段落→意味段落へのまとめ。意味段落の内容を短くタイトルにしてつけてしまえば、段落のつながりや論理の流れがわかりやすくなる。
・要点
各段落の最初と最後に特に注意しながら、要点をチェック。自分のやりやすい方法で良いので、傍線を引くなどしてすぐ探せるようにしておくことはやはり有効である。別の言葉で言い換えた部分と線で結んでおくなどするのも良い。
・要旨
要点をまとめれば全体の要約ができる。その中で筆者の最も言いたいことが要旨である。特に記述問題は要点・要旨から字数に合わせて抽出し、まとめて答えとなる場合が多い。説明的文章の読解は結局は要旨の把握が求められている。
文学的文章の読解
ここ数年は随筆文の出題が目立つ。外国を旅した際の異文化との交流で感じたことがテーマになっている文章が多い。文章を読んだ感想や解釈を述べた文を設問で示し、内容についての理解を確認する問題がよく出されている。
記述問題は筆者の心情・意見を問うものが多く、必ずしも文中にはっきり示されていない場合もあるので、読解力が求められる。
文学的文章、特に随筆文の読解のコツをつかんでおこう。
・人物の整理
人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
・場面の変化
時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もある。
・心情の把握
人物の言動などから、気持ち・考えを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
・主題の理解
作者が伝えたかったことは何か。異国での経験・文化の違い・考え方の違いなど、よく取り上げられるテーマがある。読書を通じて筆者それぞれの物事の捉え方の違いや多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くことだろう。
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2023年度「逗子開成中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は39問、そのうち20問は漢字と言葉の知識である。素材文は3800字ほどと、例年より少なかった。文学的文章では2022年度は小説、2023年度は随筆文の読解が出題された。
記述問題は30~50字ほどで5問の出題。冒頭の知識問題を素早く終えて、その分を読解・記述に残せるようにペース配分しよう。
【大問一】漢字・慣用句
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問一 ① 絵札 ② 根底 ③ 豊富 ④ 岸辺 ⑤ 水平 ⑥ 姿勢 ⑦ 歌詞
⑧ 絹糸 ⑨ 暮(れる) ⑩ 退(く) ⑪ あんうん ⑫ せんとう ⑬ じゅひょう ⑭ ふる ⑮ たわら
問二 a. 一矢を報いる・二の足を踏む → 三
b. 二足のわらじ・三拍子 → 五
c. 一石を投じる・四の五の言う → 十
問三 Ⅰ. 百も承知・うそ八百
Ⅱ. 顔が立つ・角が立つ
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:20分
AIの普及に際して、筆者はAIにもバイアスが存在することに注意を促している。
問一 (a) バイアス、「つまり・すなわち」偏見や差別。
(b) AIは過去の採用実績にもとづいて応募者の履歴書をランクづけする。「しかし・ところが」実際には女性を低く評価する傾向が明らかになった。
(c) アマゾン以外にも広がっている。「たとえば」複数の米大手企業が……。
問二 アマゾンの全社員の約6割が男性〈ⅰ〉だったことから、それに倣った女性〈ⅱ〉を差別する採用システムができあがってしまった。
問三 「データに偏りがあれば、偏った判断を下すAIになってしまう」。その結果、両社の面接で女性やハンディを持つ人が差別される選考が行われてしまったのである。
問四 直前の「ここ」は前段落の内容を指している。データに多様性を持たせ偏りがないようにして、人間の定義を精緻化すればAIのバイアスを回避できるのではないか。しかし、人間が生きているということはそんな記述・パラメータでは示せないと筆者は警告しているのである。
問五 イ. 人間は一人一人多様な存在であるので、ステレオタイプに固定するのは危険であるという筆者の主張に沿っている。
問六 Ⅰ. 多様性
Ⅱ. 「人間は新しいテクノロジーが登場すると、むしろ自分の方をそれに合わせて作り変えてしまう傾向がある」ことを筆者は不安に思っている。
【大問三】随筆文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:20分
- ★必答問題
納棺師として会社を経営し講演なども行う筆者が出会った、ある母子のエピソードが語られる。
問一 話し手(担当者さん)は「怪訝そうな顔」をしているので、選択肢イが合う。
問二 「行く手」にはご遺体とその家族が待っている。喪主である奥さんが「ずっと笑っている」と聞いていた筆者は、それゆえ奥さんの心中がいろいろに察せられ、小さい子供がいることもあって気の毒に思って足が重くなっているのだろう。
問三 奥さんから子供を不安がらせないように明るく振る舞っていると聞いた筆者は、奥さんが誰もいないところで自分の本当の気持ちを表に出せるようにしてあげたほうがよいと感じて、ご主人と二人だけになる時間を提案した。
問四 (X) 子どもを不安にさせてはいけない、一人親として娘を育てていかなければならないという「責任感」。
(Y) 「笑っていないと泣いてしまう」→「悲しみ」に沈まないように。
(Z) 子どもの前での「振る舞」として、「まるでお父さんが生きているように話します」が二十字ちょうどで見つかる。
問五 (1) 「私、頑張ったよね」と話しかけていることから、ご主人に自分の頑張りを褒めてもらって、今後の母子二人での暮らしを乗り切っていけるよう勇気づけてほしいと思ったのであろう。
(2) 「パパをきれいにしてくれてありがとう」から、娘さんはお父さんをきれいにしてくれた筆者に感謝していることがわかる。
問六 亡くなったご主人がよく奥さんの頭を撫でていたことや、その動作が娘さんにも伝わっていることが、お父さんが亡くなった後でも強い家族の絆があることを感じさせる。
攻略のポイント
素材文がそれほど長くないのはありがたい点である。知識問題と読解問題のペース配分など、過去問で慣れておきたい。
試験冒頭の漢字とことばの知識は問題数も多く配点も大きいので、しっかり得点しないと損である。難問ではないので、標準的な教材をしっかりこなせば対応できるだろう。
記述問題は文中の手掛かりをもとにまとめられる問題が多いので、読解力をつけて字数に収める練習をしておこう。書き抜き問題も多いので、文中の手掛かりをすぐ探せる工夫もしておこう。
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